青林書院



グローバル企業法


グローバル企業法
 
編・著者井原宏 著
判 型A5
ページ数386
税込価格3,780円(本体価格:3,500円)
発行年月2003年11月
ISBN978-4-417-01345-7 (4-417-01345-4)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
グローバルに展開する企業の組織と活動に焦点をあて,その法的規制のメカニズムを体系的に明らかにした書。数多くの先例・実例を分析し,企業活動の外部規制面のみならず,企業経営や企業統治といったガバナンス面からも考察を試みる。

■書籍内容
主要目次

第1章 グローバル企業の形態と構造

1 多国籍企業とは
 (1) 多国籍企業の定義
 (2) 多国籍企業の変遷

2 多国籍企業の資本所有関係によるグループ企業
  (a) 完全子会社
  (b) 過半数資本参加の子会社

3 多国籍企業の事業提携関係に基づくグループ企業
 (1) 純粋の契約関係に基づく提携
  (a) 提携関係の性質
  (b) 事業提携の具体的形態
   (i)  共同研究開発
   (ii)  製品開発(product development)
   (iii) 生産受委託
   (iv)  OEM生産
   (v)  ディストリビューターシップ
 (2) 少数資本参加を伴う提携
   (i)  共同研究開発
   (ii)  OEM生産・マーケティング
   (iii) ディストリビューターシップによる共同マーケティング
   (iv)  共同研究開発・生産・マーケティング

 (3) パートナーシップ型ジョイントベンチャーによる提携
   (i)  共同研究開発
   (ii)  製品開発・国際標準(スタンダード)化
   (iii) 共同生産
(4) コーポレート型ジョイントベンチャーによる提携
   (i)  共同研究開発・生産
   (ii)  共同生産
   (iii) 共同生産・マーケティング
   (iv)  共同研究開発・生産・マーケティング

4 多国籍企業とその活動の理論的説明
 (1) 海外直接投資に関する古典的な理論
 (2) 国際生産に関する理論
 (3) グローバル企業のダイナミックな事業展開

5 グローバル企業グループにおける企業間の関係


第2章 グローバル企業におけるコントロールと責任

1 支配会社のコントロール
 (1) コントロールとは
   (i)  コントロールの存在と行使
   (ii)  コントロールの定義

 (2) コントロールのメカニズムと程度
   (i)  財務管理によるコントロール
   (ii)  販売管理によるコントロール
   (iii) 生産管理によるコントロール
   (iv)  技術管理によるコントロール
   (v)  人材管理によるコントロール
   (vi)  所有の程度とコントロール

2 支配会社によるコントロール行使とその責任
 (1) グループ企業の法人格否認
 (2) 法人格否認の法理の分類
  (a) 道具(instrumentality)理論
  (b) 分身(alter ego)理論
  (c) 同一人(identity)理論
 (3) 法人格否認における契約と不法行為の区別
  (a) 契約の場合
  (b) 不法行為の場合
 (4) 法人格否認のための基本的要素としてのコントロール
 (5) 法人格否認と閉鎖会社

3 コントロールする会社に契約責任を負わせる法人格否認のための実質的要素
 (1) 過剰なコントロールの行使
 (2) 会社資産の操作
  (a) 資産の収奪(asset-stripping)
  (b) 資産の混合(commingling of assets)
  (c) 資産のグループ企業間の往復(shuttling of assets among group affiliates)
 (3) 過少資本
 (4) その他の補完的要素
  (a) 分離した存在の欠如(lack of separate existence)
  (b) 経済的統合(economic integration)
  (c) 組織運営における統合(administrative integration)
  (d) 財政的統合(financial integration)
  (e) 共通のグループ人格の使用(use of common group persona)
  (f) 会社の形式の不遵守

4 コントロールする会社に不法行為責任を負わせる法人格否認のための実質的要素
 (1) 過剰なコントロールの行使
 (2) 不当な行為・取引
 (3) 会社資産の操作
 (4) 財政的統合
 (5) その他の補完的要素
  (a) 経済的統合
  (b) 組織運営における統合
  (c) 共通のグループ人格の使用
  (d) 過少資本
  (e) 会社の形式の不遵守
 (6) 契約責任と不法行為責任における各要素のウェイト

5 リスク配分とコントロールする会社の責任
 (1) 有限責任とリスク配分
  (a) 有限責任の経済的説明
  (b) 有限責任によるリスク配分
 (2) パートナーシップ法制における有限責任化
  (a) 統一パートナーシップ法の下におけるパートナーの経営参加
  (b) 統一有限パートナーシップ法の下におけるパートナーの経営参加
  (c) 有限責任会社の下におけるメンバーの経営参加

6 コントロールする会社の不法行為責任を拡大する法理論
 (1) 親会社に直接責任を負わせる法理論
  (a) 代理(agency)
   (i)  コモンローによる代理人
   (ii)  外観的権限(apparent authority)
  (b) 親会社自身の不法行為による責任
   (i)  不実表示
   (ii)  契約関係への不当介入(interference with contractual relations)
   (iii) 一般的不法行為による責任
  (c) 親会社による義務の引受け(assumption of duty)
 (2) 共通のコントロール(common control)による責任拡大
 (3) 株主の不法行為無限責任論


第3章 グローバル企業の事業活動に伴うリスクと責任

1 環境・安全上の責任
 (1) ボパール・ガス流出事件
  (a) 事件の概要
   (i)  In re Union Carbide Corp. Gas Plant Disaster, 634 F.Supp. 842
       (S.D.N.Y. 1986)におけるアメリカ連邦地方裁判所の判断
   (ii)  In re Union Carbide Corp. Gas Plant Disaster, 809 F.2d 195
       (2nd Cir. 1987) におけるアメリカ第2巡回区連邦控訴裁判所の判断
   (iii) インドの裁判所による審理と和解
  (b) 法律問題
   (i)  インド政府による多国籍企業責任論
   (ii)  フォーラム・ノン・コンヴィニエンス
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての環境安全対策
 (2) エイシアン・レア・アース事件
  (a) 事件の概要
  (b) 法律問題
   (i)  ニューサンス(nuisance)
   (ii)  Rylands v. Fletcherのルール
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての環境対策

2 製品の製造物責任
 (1) グローバル市場における製品の製造物責任
 (2) 昭和電工トリプトファン事件
  (a) 事件の概要
  (b) 法律問題
   (i)  PL保険
   (ii)  弁護士費用
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての製品安全責任
   (i)  企業における組織体制
   (ii)  基本的な予防対策

3 製品の保証責任
 (1) アメリカ法における製品保証責任
  (a) 保証の形態と範囲
  (b) 保証違反に対する損害賠償
  (c) 保証の否認と救済方法の変更
   (i)  明示の保証の否認
   (ii)  黙示の保証の否認
   (iii) 救済方法の変更・制限
 (2) 東芝パソコン不具合事件
  (a) 事件の概要
  (b) 法律問題
   (i)  クラスアクションの共通要件
   (ii)  クラスアクションの種類
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての製品品質保証

4 雇用上の責任
 (1) アメリカ法における雇用差別禁止と解雇
 (2) 米国三菱自動車セクハラ事件
  (a) 事件の概要
  (b) 法律問題
   (i)  雇用機会均等委員会(EEOC)
   (ii)  アファーマティブ・アクション(affirmative action)
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての差別禁止
 (3) 三菱銀行不当解雇事件
  (a) 事件の概要
  (b) 法律問題
   (i)  随意的雇用の原則の例外
   (ii)  契約関係への不当介入
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての雇用政策

5 競争制限の責任
 (1) アメリカ法における競争制限禁止
 (2) ファクシミリ用紙国際カルテル事件
  (a) 事件の概要
   (i)  国際カルテル
   (ii)  日本製紙事件
  (b) 法律問題
   (i)  司法取引
   (ii)  アンチダンピングと競争法
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての競争法遵守
 (3) リジン国際カルテル事件
  (a) 事件の概要
  (b) 法律問題
   (i)  反トラスト法違反における個人の責任
   (ii)  司法取引後の私訴による損害賠償責任
  (c) 関連事件
  (d) 親会社の関与と責任

6 知的財産権侵害の責任
 (1) アメリカ法における知的財産権の保護
 (2) ミノルタ自動焦点カメラ事件
  (a) 事件の概要
  (b) 法律問題
   (i)  懲罰的損害賠償(punitive damages)
   (ii)  陪審裁判(jury trial)
  (c) 関連判例
  (d) 経営問題としての知的財産管理


第4章 グローバル企業に対する法規制

1 国内的アプローチによる規制
 (1) エンタープライズ法(enterprise law)による責任拡大
  (a) 交通輸送分野における先例
  (b) 他の分野における先例
  (c) EUにおける先例
  (d) エンタープライズ法アプローチに対する評価
 (2) 環境法における責任
 (3) 製造物責任法における責任
  (a) 製造物責任の法的根拠
  (b) 製品の欠陥と因果関係
  (c) 製造物責任訴訟における抗弁
  (d) アメリカにおける製造物責任訴訟の有利性
 (4) 雇用関係法における責任
  (a) 「統合エンタープライズ(integrated enterprise)」の概念による責任
  (b) 「エンタープライズ」の概念による責任

2 規制法規の域外適用
  (a) アメリカ対外関係法第三リステイトメントの原則
   (i)  国家の規律管轄権行使の一般的原則
   (ii)  競争制限行為を規律する管轄権行使の原則
  (b) アメリカ反トラスト法の域外適用に関する判例の原則
   (i)  域外適用の効果主義
   (ii)  域外適用のバランス(比較考量)理論(balancing theory)
  (c) EU競争法の域外適用

3 フォーラム・ノン・コンヴィニエンス
 (1) フォーラム・ノン・コンヴィニエンスの法理と展開
  (a) 連邦におけるフォーラム・ノン・コンヴィニエンス
   (i)  Gulf Oil Corp. v. Gilbert
   (ii)  Koster v. Lumbermens Mutual Casualty Co.
   (iii) Piper Aircraft Co. v. Reyno
  (b) 各州におけるフォーラム・ノン・コンビニエンス
 (2) フォーラム・ノン・コンヴィニエンスの功罪
  (a) 人的管轄権の拡大とアメリカにおける訴訟の有利性
  (b) フォーラム・ノン・コンヴィニエンスの存在意義と機能
   (i)  フォーラム・ショッピングの是非
   (ii)  国際的フォーラム・ショッピングに対する抑制
  (c) フォーラム・ノン・コンヴィニエンスに対する批判
   (i)  外国被害者の救済とグローバル企業の責任
(ii)  裁判所の裁量権による不透明性

4 国際的アプローチによる規制
 (1) OECD多国籍企業ガイドライン
  (a) ガイドラインの目的
  (b) ガイドラインの内容
   (i)  定義と原則(Concepts and Principles)
   (ii)  一般方針(General Policies)
   (iii) 情報開示(Disclosure)
   (iv)  雇用および労使関係(Employment and Industrial Relations)
   (v)  環境(Environment)
   (vi)  贈賄の防止(Combating Bribery)
   (vii) 消費者利益(Consumer Interests)
   (viii) 科学技術(Science and Technology)
   (ix)  競争(Competition)
   (x)  課税(Taxation)
  (c) ガイドラインを実施するためのシステム
 (2) 国際法による規制の影響
  (a) 国際環境保護
  (b) 国際知的財産権保護
   (i)  基本原則
   (ii)  権利保護基準
   (iii) 権利行使手続


第5章 グローバル企業のガバナンス

1 取締役の義務
 (1) 監督責任(oversight responsibility)
 (2) 監査委員会と独立取締役
  (a) アメリカ型コーポレートガバナンスにおける監査委員会と独立取締役
  (b) イギリス型コーポレートガバナンスにおける監査委員会と非業務執行取締役
  (c) 監査委員会の機能
 (3) 取締役会の独立性
  (a) OECDコーポレートガバナンス原則による独立取締役
  (b) 社外取締役(outside directors)の有効性と独立性
  (c) 取締役会会長と最高経営責任者(CEO)の分離

2 企業情報開示と説明責任
 (1) 企業情報開示(disclosure)
 (2) 情報開示のインセンティブと抑制要因
 (3) 情報開示の機能
 (4) 開示されるべき企業情報
  (a) 会計基準のグローバル化と情報開示の拡大
  (b) 基本的情報の開示
  (c) 補完的情報の開示
   (i)  財政的見通しの情報
   (ii)  株式および株主の情報
   (iii) 付加価値の情報
   (iv)  従業員に関する情報
   (v)  環境に関する情報
  (d) セグメント情報
  (e) 環境情報
 (f) 企業環境会計と環境報告書
(5) マネジメントの説明責任(accountability)

3 コンプライアンス
 (1) アメリカにおける動向
  (a) 連邦量刑ガイドライン(Federal Sentencing Guideline)
  (b) 会社法・証券法上の義務とコンプライアンス
 (2) コンプライアンス経営
 (3) コンプライアンス・プログラム
  (a) コンプライアンス・プログラムの目的
  (b) コンプライアンス・プログラムの内容
   (i)  一般的声明
   (ii)  コンプライアンス・マニュアル
  (c) プログラムの実施
   (i)  プログラム運営の組織
   (ii)  プログラムの啓蒙・訓練
   (iii) プログラムの監視と風化の防止
   (iv)  内部通報制度
   (v)  違反者への対応
   (vi)  プログラムの見直し
 (4) 国際標準化
  (a) 国際環境マネジメント規格
  (b) 企業の社会的責任に関する規格


第6章 グローバル企業経営のリーガルプランニング

1 リーガルプランニングとは

2 グローバル企業のグループ企業の経営に対する責任
 (1) 親会社の経営政策と子会社に対するコントロール
 (2) 子会社の経営の独立性
 (3) 子会社の不法行為に対する親会社の責任

3 グローバル企業のガバナンス
 (1) 経営者の暴走と怠慢
 (2) コーポレートガバナンス形態の選択
 (3) 社外取締役の活用
 (4) 内部監査・検査部門の機能

4 グローバル企業の情報開示
 (1) 経営政策と情報開示
 (2) 情報開示による企業価値の創造
 (3) 経営者の説明責任
 (4) 広報・IR部門の機能

5 グローバル企業のコンプライアンス
 (1) 経営政策とコンプライアンス
 (2) コンプライアンスの実効性
 (3) 内部双方向監視システム
 (4) 法務・コンプライアンス部門の機能


 索  引
  法令等索引
  判例索引
  事項索引

=================================================================================
■著者略歴

井 原   宏 (いはら・ひろし)

1963年 京都大学法学部卒業,同年住友化学工業株式会社入社
1976年 ケンブリッジ大学大学院比較法研究課程修了
1979年 同社法務課長
1990年 経営法友会代表幹事
1991年 同社法務部長
1994年 博士(法学)(京都大学)
1995年 筑波大学教授(社会科学系),大学院経営・政策科学研究科企業法学専攻
    同大学院経営・政策科学研究科副研究科長,同大学院ビジネス科学研究科企業法
    学専攻長を経て,現在,ビジネス科学研究科長

著 書
・企業の国際化と国際ジョイントベンチャー(商事法務研究会,1994年)
・現代国際取引法(商事法務研究会,1999年)
・国際事業提携―アライアンスのリーガルリスクと戦略(商事法務研究会,2001年)

Copyright © SEIRIN SHOIN All Rights Reserved.