青林書院



Q&A著作権法 − 実務経験に基づく重要事例108 −


Q&A著作権法 − 実務経験に基づく重要事例108 −
 
編・著者鈴木 基宏
判 型A5
ページ数472
税込価格4,212円(本体価格:3,900円)
発行年月2011年01月
ISBN978-4-417-01527-7
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■解説
Q&A著作権法 − 実務経験に基づく重要事例108 −

◆著作権に関する身近な問題を108のQ&Aで徹底的に解説◆

日常生活及び業務上に生じうる問題について,気鋭の弁護士が詳細に執筆。
国民総著作者時代における,実務か必携の一冊,初学者にも最適。

ISBN978-4-417-01527-7


はしがき

インターネットの発達と国民総著作者化

 インターネットが普及する以前は,著作物を創作して公表する者は作曲家,画家,小説家,彫刻家などのアーティスト,プログラムの制作を行う技術者,論文や講演を行う大学教授など,一部の専門家に限定されていました。
 ところが近時,特にここ数年,インターネットの発達により,これまで情報の受け手であった一般人又は一般企業が,ホームページ,ブログ,Twitterなどにより積極的に,かつ頻繁に創作行為を行い,これを公衆に向けて発信する機会が飛躍的に増大しています。
会社広告も外部に委託することなく自社で制作することが可能になりました。様々な情報がデジタル化され,著作物のコピーがほとんど原著作物と変わらない品質で交換され,利用されています。パソコンの操作は年々簡易化され,プログラミング言語を習得せずとも,容易にパソコンの画面上で描画や動画の編集等創作行為を行えるようになりました。
現代はまさに,「国民総著作者時代」といっても過言ではないほど,誰しもが創作行為を行い,それを公表しています。


著作権侵害の実態

 しかし,情報が氾濫する中で,他人の著作権を侵害する著作物がまん延していることも顕著な事実です。他人の描いた絵画をスキャナーで取り込み,一部を改変してあたかも自らが創作したかのようにブログ上で公表したり,他社の広告の配列や写真をそのまま模倣して自社の広告として配布したり,動画のコピープロテクションを解いた上で違法コピーを作成の上インターネット配信したりと,著作権侵害の実例は枚挙にいとまがない状況です。本書の解説やコラムにて後述のとおり,著作権法は著作権者の著作権が制限される場合を限定して列挙しており,その限定列挙事由に該当しない限り,著作権者に無断で行う著作物利用行為は著作権侵害行為なのです。


著作権侵害を行った者はどうなるか

 著作権侵害行為は,他人の財産を奪うのと同じように他人の権利を侵害する行為であり,不法行為に該当します。また,侵害行為の内容によっては,罰則が適用されて刑罰を科せられます。一般人でも一般企業でも,創作行為を行って著作物を公表するにあたり他人の著作権を侵害していれば,著作権侵害として損害賠償請求訴訟を提起され,さらに刑罰を科される可能性があります。実際に,インターネットで入手した著作物をそのまま利用して出版した結果,著作権者から損害賠償請求訴訟を提起され敗訴したという例,ファイル交換ソフトを利用して入手した動画の違法コピーを店舗の客に無償で視聴させた結果,突然警察に出頭を求められ,逮捕されたという例もあります。


法律実務家の役割

 このように,著作権侵害は重大な結果を招来する可能性があるにもかかわらず,一般人や一般企業の多くは依然として著作権法に対する理解が乏しく,自らの行為が著作権を侵害しないものと完全に誤解し,又は他者の著作権を侵害していたとしてもその侵害行為が発見されて著作権者から訴えを提起されたり刑罰を科されたりすることはないであろうと軽く考えているように思われます。国民総著作者化した昨今の事情に鑑みれば,著作権に関する問題や紛争は今後増加の一途をたどるでしょうから,法律実務家は少なくとも本書に記載された程度の著作権法に関する知識を保有することで,かかる一般人や一般企業に前記のような重大な結果が発生することを未然に防止すべく適時に的確な助言ができるよう,準備しておくべきであると考えます。


本書の目的・使い方

 本書では,表現行為を行う上で最低限必要な著作権法の知識を網羅しつつ,かつ,一般人や一般企業の方が疑問を抱く又は生活や業務に関連する著作権法上の問題点を取り上げ,具体的な事例とその回答を示すことで,実際の場面における適当な思考過程及び法的効果を端的に示しています。その後の解説では,相談事例に関連する条文・論点につき必要な限度で詳細な解説をしておりますが,些細な学説の対立には触れておらず,条文の内容も分かりやすいように,一部省略したり括弧を付したりしております。正確な条文内容については,別途六法やインターネット検索等によりご確認下さい。
法律実務家の方は,ご自身が直面されている著作権法上の問題点の解決策又は解決糸口を探すために本書を利用することが可能です。すなわち,本書目次よりご自身が直面されている著作権法上の問題点に関連する相談事例を見つけ,その回答及び解説をご一読いただくことで,時には直接相談事例の回答や解説において解決策が示され,また,時には掲載された裁判例や参考文献が解決の糸口となることと思います。他方,初学者の方は本書の第1章から読み進めることをお勧めしますが,本書の順序にとらわれることなく,興味のある箇所やご自身の生活・業務に関連する箇所から,又はその箇所のみを読んでいただいても十分理解が可能です。お読みになった相談事例と関連する問題については,解説中に参照問題の番号が記載されておりますので,その問題番号をたどりながら読んでいただいてもよいと思います。

 本書が皆様の法律実務、著作物創作活動又は企業における法令遵守の一助となれば幸いです。

 平成22年11月
弁護士 鈴 木 基 宏

■書籍内容
■ 目 次

第1章 序   章
Q1-1 著作物とは
Q1-2 著作者の権利
Q1-3 著作者人格権の一身専属性
Q1-4 出版権,著作隣接権
Q1-5 著作権の制限
Q1-6 著作権,著作者人格権,著作隣接権の保護期間
Q1-7 「公に」・「公衆」の意義
Q1-8 「公表」の意義
Q1-9 権利の目的とならない著作物
Q1-10 著作権法の適用範囲
 ●関連問題●
Q1-11 改  正
Q1-12 未公表著作物の差押え
Q1-13 権利管理情報


第2章 著 作 物
Q2-1 著作権法の保護範囲
Q2-2 標語の著作物性
Q2-3 契約書の著作物性
Q2-4 インターネット上の掲示板の書き込みの著作物性
Q2-5 キャラクターの著作物性
Q2-6 応用美術の著作物性
Q2-7 商品紹介用写真の著作物性
Q2-8 写真の著作物性
Q2-9 プログラムの著作物
Q2-10 編集著作物
Q2-11 データベースの著作物性
 ●関連問題●
Q2-12 未完成の著作物の著作物性
Q2-13 タイプフェイス(印刷用書体)の著作物性
Q2-14 ロゴマークの著作物性
Q2-15 建築の著作物
Q2-16 事実の伝達としての報道
コラム(1)  電子出版


第3章 著 作 者
Q3-1 著作者
Q3-2 共同著作
Q3-3 職務著作(1)──職務著作の要件
Q3-4 職務著作(2)──プログラムの著作物
Q3-5 職務著作(3)──公表要件
Q3-6 映画の著作権
 ●関連問題●
Q3-7 映画の著作物の改変と著作者人格権
Q3-8 映画の著作者の判断基準


第4章 著作権・著作者人格権の内容
Q4-1 氏名表示権
Q4-2 複製権──ウェブサイト掲載写真の無断転用
Q4-3 複製権──団体内部の複製
Q4-4 複製権──写真への著作物の写り込み
Q4-5 複製権,公衆送信権──ハイパーリンク,フレームリンク
Q4-6 上映権
Q4-7 頒布権・譲渡権・貸与権──権利の消尽
Q4-8 翻案権,二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
Q4-9 二次的著作物の利用
 ●関連問題●
Q4-10 同一性保持権とやむを得ないと認められる改変
Q4-11 貸与権の及ぶ物
Q4-12 CD,DVDの貸与と実演家・レコード製作者の貸与権
Q4-13 譲渡権の消尽


第5章 権 利 制 限
Q5-1 私的使用のための複製──技術的保護手段の回避
Q5-2 私的使用のための複製──自動複製機器の利用
Q5-3 私的使用のための複製──デジタル方式のダウンロード
Q5-4 私的使用のための複製──デジタル録音・録画補償金制度
Q5-5 引用
Q5-6 営利を目的としない上演等──店舗での市販CDの再生
Q5-7 営利を目的としない上演等──店舗での放送の上映
Q5-8 翻訳,翻案等による利用
Q5-9 公開の美術の著作物の利用
Q5-10 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製──
     インターネットオークションサイトにおける美術品のコピーの掲載
Q5-11 出所の明示
 ●関連問題●
Q5-12 要約引用
Q5-13 転載
Q5-15 教科用図書等への掲載
Q5-16 試験問題としての複製等
Q5-17 時事の事件の報道のための著作物の利用
Q5-18 美術の著作物等の原作品の所有者による展示
コラム(2)  フェアユース規定導入の議論


第6章 著作物の利用許諾
Q6-1 著作物の利用(1)──キャラクター利用
Q6-2 著作物の利用(2)──音楽の利用
Q6-3 著作物の利用(3)──ホームページの利用
Q6-4 ライセンサーの破産
Q6-5 著作者不明の著作物の利用
Q6-6 出版権設定契約
 ●関連問題●
Q6-7 文庫本の出版
Q6-8 利用許諾の範囲が不明確な場合
コラム(3)  漫画喫茶


第7章 著作権の移転
Q7-1 著作権の登録
Q7-2 実名登録の抹消
Q7-3 著作権譲渡契約における一般的な留意事項
Q7-4 プログラムの制作発注と下請法,下請法に基づく書面交付義務
Q7-5 著作権の帰属
Q7-6 著作権の相続
 ●関連問題●
Q7-7 著作権に対する質権設定
Q7-8 著作権に対する強制執行


第8章 著作権侵害
Q8-1 著作権侵害の判断基準
Q8-2 違法複製行為による損害発生時点
Q8-3 損害額の算定
Q8-4 差止請求──廃棄等措置請求
Q8-5 みなし侵害──頒布目的所持
Q8-6 侵害主体性──間接侵害
Q8-7 侵害の具体的態様の明示義務
Q8-8 プロバイダ責任制限法
 ●関連問題●
Q8-9 著作権紛争解決あっせん
Q8-10 みなし侵害──プログラムの違法コピー
Q8-11 みなし侵害──レコードの環流防止措置
Q8-12 著作権侵害に基づく損害賠償請求権の消滅時効
Q8-13 損害と弁護士費用
Q8-14 秘密保持命令
Q8-15 共同著作物等の権利侵害
Q8-16 裁判管轄
コラム(4)  リバース・エンジニアリング


第9章 刑 事 罰
Q9-1 罰則──両罰規定
Q9-2 親告罪の告訴権
 ●関連問題●
9-3 映画の盗撮の防止に関する法律


第10章 そ の 他
Q10-1 著作者死後の人格的利益
Q10-2 放送のための固定物等による放送と実演家の許諾
 ●関連問題●
Q10-3 物のパブリシティ権
Q10-4 映画DVDの放送と実演家の許諾
Q10-5 放送の写真撮影

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