青林書院



憲法学へのいざない 〔第3版〕


憲法学へのいざない 〔第3版〕
 
編・著者大隈義和・大江正昭 [編]
判 型A5判
ページ数332頁
税込価格3,240円(本体価格:3,000円)
発行年月2015年03月
ISBN978-4-417-01649-6
在庫有り
  
在庫があります

■解説
●最新学説・判例を盛り込んだ第3版。
●最高裁による婚外子相続分差別規定の違憲判断(平成25・9・4大法廷決定)
 等の重要判例はもとより特定秘密保護法の制定・施行、集団的自衛権行使容認
 の閣議決定、学校教育法の改正など、変容する社会、制度の最新動向を補訂。



第3版はしがき
 2012年3月,本書第2版を刊行してから3年が経過し,この度,第3版を
刊行することとなった。第2版刊行後も,研究の進展,新判例の登場,制度
改変等については,増刷の折に最低限の補正を行ってきたが,憲法や憲法学
を取り巻く状況は,大きく変容しており,今回の改版は,それに対応する必
要があると考えたことによる。
 さて,憲法に関わる政治面では,2012年12月及び2年後の2014年12月の衆
議院議員総選挙では,自民党が圧勝し(両選挙とも当選者数290台),参議院
議員選挙(2013年7月)でも同様であり(改選121議席中65議席獲得,現有は
114議席),一時期の「ねじれ国会」の状況はなくなったどころか,自民党一
党優位体制と言われる状況になっている。
 第2版刊行の2012年からの3年間には,このような政治状況を背景に,次
のような,今後に大きな影響を与えると思われる出来事があった。すなわち
,2013年11月の国家安全保障会議(日本版NSC)設置関連法や同年12月の特定
秘密保護法の制定と施行(2014年12月10日)であり,2014年7月の集団的自
衛権の行使を閣議のみで決定したことである。歴代の自民党政権にあっても
,自国のみを守る個別的自衛権しか認めなかったのであり,集団的自衛権の
行使容認は,「憲法改正」レベルの事柄であるが,それを閣議のみでいとも
簡単に決定したものである。また,2014年5月,学長の権限を大幅に拡張し
,教授会を意見を述べる機関にし,大学の自治の在り方を根本的に変えてし
まうと言っても過言ではない学校教育法の改正も行われた(施行は2015年4
月1日)。これらの事柄は,この3年間が,いつの日か,我が国の戦後体制
の大転換期であったという評価がなされるかもしれない性格のものと言わね
ばならない。
 これに対し,2014年には,「憲法第9条にノーベル平和賞を」という動き
があったことも確認しておかねばならないであろう。
多くの憲法判例が出されたが,中でも,最高裁による婚外子相続分差別規定
の違憲判断(全員一致)が最も重要であろう。また,上記の衆議院及び参議
院議員選挙に関わり,全国各地で,選挙権の平等(一票の価値の差)を問う
訴訟が提起された。最高裁は,いずれについても「違憲状態」とする判決で
あったが,高裁はほとんどが「違憲・違法宣言」判決であり,中でも広島高
裁及び同岡山支部判決は,「違憲」のみならず,訴訟を提起した原告達の選
挙区の選挙を無効とする判決であった。
 第3版では,憲法研究の進展は言うまでもないが,以上のような憲法に関
わる社会,制度等の変容や新しい判例等を紙幅の許すかぎり取り込んだ記述
を心がけた。このようなことから,本書は,法学部の講義にも十分対応でき
る内容になっていると考えている。
  
 2015年3月
 大隈 義和 
 大江 正昭 


編者
大隈 義和:京都女子大学教授・九州大学名誉教授
大江 正昭:熊本学園大学教授
  
執筆者
大隈 義和:上掲 
井田 洋子:長崎大学教授
井上 禎男:福岡大学准教授
植木 淳 :北九州市立大学准教授
近藤 敦 :名城大学教授
大江 正昭:上掲
森脇 敦史:福岡県立大学准教授
湯淺 墾道:情報セキュリティ大学院大学教授
奈須 祐治:西南学院大学教授
太田 周二郎:下関市立大学教授
日野田 浩行:法政大学大学院法務研究科教授

〔執筆順,肩書は2015年1月現在〕



■書籍内容
目 次
 
第1章 憲法の概念
機〃法とはなにか
供〃法を支えるもの(立憲主義)
 1 憲法という舞台とその背景
 2 憲法の主役だれが護るのか
 3 日本国憲法の原理

第2章 日本国憲法の歴史
機‖臚本帝国憲法(明治憲法)の制定
 1 大日本帝国憲法(明治憲法)制定過程 
 2 大日本帝国憲法(明治憲法)の特色 
 3 大日本帝国憲法(明治憲法)の展開
供‘本国憲法の成立
 1 日本国憲法の制定 
 2 評 価 

第3章 国民主権
機‘本国憲法と国民主権
 1 観念の多義性,概念の多様性
 2 国民主権の内容 
 3 国民主権概念の限界と汎用性
供‖緝縮閏臉と国民代表制
 1 直接民主制,間接民主制,代表制
 2 日本国憲法と政党制 
掘々駝閏膰△半歡天皇制
 1 象徴としての天皇の地位
 2 天皇の権能 
 3 皇室経済 

第4章 平和主義
機(刃村腟舛鳩法9条の意義
 1 日本国憲法における平和主義
 2 「戦争放棄」と「戦力不保持」
供(刃村腟舛慮充
 1 自衛隊と日米安全保障条約
 2 1990年代の展開
 3 2000年代以降の展開
 4 日本の平和主義の現在
掘〃法9条と裁判所
 1 自衛隊の合憲性 
 2 日米安全保障条約の合憲性
検(刃村腟舛両来
 1 憲法改正論 
 2 平和主義の将来 

第5章 基本的人権総論
機ヾ靄榲人権の歴史
 1 人権思想の形成と人権宣言の登場 
 2 人権と国民(市民・臣民)の権利 
 3 人権の普遍性と国際化 
 4 第1・第2・第3世代の人権
供ヾ靄榲人権の内容
 1 基本的人権の人間像 
 2 基本的人権の意味
 3 基本的人権の分類
 4 制度的保障
 5 だれが基本的人権をもつのか
掘ヾ靄榲人権保障のための原則
 1 公共の福祉と人権
 2 特別な法律関係と人権
 3 私人間における法律関係と人権 

第6章 幸福追求権と平等原則
機々福追求権
 1 憲法13条における「個人の尊重」と「幸福追求権」 
 2 新しい人権人格権 
 3 「新しい人権」の具体例 
 4 人格権論の展開 
供(薪原則
 1 「平等原則」の理念 
 2 憲法14条1項の法的意義 
 3 「平等原則」に関する具体的事例 
 4 平等原則の展開 

第7章 精神的自由
機〇彖曄ξ豹瓦亮由
 1 意 義 
 2 保障の内容 
供/教の自由
 1 信教の自由の意義 
 2 日本国憲法における信教の自由 
 3 政教分離原則 
掘ヽ慳笋亮由
 1 意 義 
 2 内 容 
 3 大学の自治 
検”集修亮由
 1 意 義 
 2 表現の自由の規制例 
 3 規制の違憲審査基準 
 4 知る権利 
后―顕顱Ψ觴劼亮由
 1 意義・法的性格 
 2 集会の自由 
 3 結社の自由 
此…命の秘密
 1 通信の秘密 
 2 通信の秘密の制限 

第8章 経済的自由
機〜蹇\
供ゝ鐔察Π榲勝こ姐餔椽察す饑厠ッΔ亮由
 1 居住・移転,外国移住の自由 
 2 国籍離脱の自由 
掘/Χ帆択の自由
 1 意義と内容 
 2 規制の内容と規制目的二分論 
検〆盪左
 1 財産権保障の意義 
 2 財産権の制限 
 3 損失補償 

第9章 人身の自由
機/与箸亮由の意義
供‘本国憲法における人身の自由の保障規定
掘〃沙手続
 1 適正手続の保障 
 2 被疑者・被告人の権利 
 3 拷問および残虐刑の禁止 
 4 裁判員制度 
検‐年法問題

第10章 参政権
機〜蹇\
 1 国民主権と参政権 
 2 参政権
 3 公務員の選定・罷免権 
供〜挙権と被選挙権
 1 選挙権 
 2 被選挙権 
 3 選挙権に関する諸原則 
掘〃法改正の国民投票権,最高裁判所裁判官の国民審査
 1 総説憲法明記以外の国民投票制度は可能か 
 2 憲法改正の国民投票権 
 3 最高裁判所裁判官の国民審査 
 4 地方自治と住民の参政権 

第11章 社会権
機ー匆餮△箸呂覆砲
供\限幻
 1 生存権の法的性質 
 2 生存権の具体化 
掘ヾ超権
 1 環境権の概念 
 2 環境権と裁判 
検ゞ軌蕕鮗ける権利
 1 教育を受ける権利の性質と具体化 
 2 教育権 
后]働基本権
 1 労働基本権の内容と性質 
 2 公務員の労働基本権 
 3 労働者と政治活動 

第12章 国務請求権
機\全蠍
供〆枷修鮗ける権利
 1 意 義 
 2 「裁判所」・「裁判」の意義 
掘々餡版綵請求権
 1 意 義 
 2 法的性質 
 3 法律上の要件 
検〃沙補償請求権
 1 意 義 
 2 要件・内容 

第13章 統治の原理と国家機構のあらまし
機仝⇔亙立とはなにか
供)ー主義とはなにか
掘‥治の組織と法令の種類・その相互関係

第14章 国会(立法権)
機々餡颪涼楼未搬緝縮閏臉
 1 国民の代表機関 
 2 国権の最高機関 
 3 唯一の立法機関 
供々餡颪料反
 1 二院制 
 2 選 挙 
 3 国会議員の地位 
掘々餡颪粒萋
 1 常会と臨時会 
 2 会 期 
 3 解 散 
 4 参議院の緊急集会 
 5 委員会制度 
検々餡颪慮能
 1 国会の権能 
 2 議院の権能 

第15章 内閣・行政組織
機〜蹇\
供ゝ脹‘盂媽
 1 議院内閣制の意義と歴史 
 2 日本国憲法下の議院内閣制 
掘々埓権
 1 行政権の意義 
 2 行政権の帰属 
検‘盂奸行政機関の組織と権能
 1 内 閣 
 2 行政機関 

第16章 司法権
機〆枷十蠅料反
 1 各裁判所の概要 
 2 司法権の帰属 
供〇碧仝△瞭販
 1 司法権の独立 
 2 司法府の独立 
 3 裁判官の独立 
掘〇碧仝△寮質と範囲
 1 司法権の意義・本質 
 2 司法権の範囲 
 3 司法権の限界
検^齋審査制
 1 意義と類型 
 2 わが国における違憲審査制
 3 違憲審査の主体 
 4 司法積極主義と司法消極主義 
 5 違憲主張の適格
 6 違憲審査の方法 
 7 違憲審査基準 
 8 違憲審査の対象 
 9 違憲判決の効力 
后々駝韻乏かれた司法
 1 裁判の公開 
 2 裁判員制度 

第17章 財 政
機〆眄の基本原則
 1 財政民主主義の沿革とその意義
 2 租税法律主義 
 3 国費の支出と国庫債務負担行為 
 4 公金などの支出の禁止と利用の制限
供〆眄統制の方式
 1 予 算
 2 決 算 
掘〆眄状況の報告

第18章 地方自治
機|亙自治の沿革
 1 明治憲法下における地方自治制度の成立と展開 
 2 戦後の地方自治制度の成立と展開 
 3 戦後の地方自治制度に内在する問題点 
 4 地方制度の抜本的な改革への動き 
 5 平成の地方自治制度改革の展開  
供‘本国憲法と地方自治
 1 地方自治の本旨 
 2 地方自治権の法的性質 
掘|亙公共団体の意味
 1 二層制自治制度の保障 
 2 特別区 
 3 地域自治区とその他の自治区
 4 その他の特別地方公共団体 
検|亙公共団体の組織
 1 議 会 
 2 執行機関 
 3 議会と長の関係 
后|亙公共団体の機能
 1 自治行政権 
 2 自主立法権 
 3 自主財政権 
此―察〔
 1 住民の地位 
 2 住民投票 
 3 住民監査請求と住民訴訟 

第19章 憲法を守り育てるための方式
機ヽ機\
 1 憲法の保障 
 2 憲法の変動 
供…況法的な根拠により認められる憲法保障
 1 抵抗権 
 2 国家緊急権 
掘\度化された憲法保障と立憲的憲法変動
 1 憲法の改正 
 2 憲法の解釈とその変更 
  
 巻末資料
 日本国憲法 
 大日本帝国憲法 
 事項索引

Copyright © SEIRIN SHOIN All Rights Reserved.