青林書院



解説 独占禁止法


解説 独占禁止法
 
平成25年改正を盛り込んだ最新版
編・著者波光 巖・栗田 誠 編
判 型A5判
ページ数550頁
税込価格6,264円(本体価格:5,800円)
発行年月2015年03月
ISBN978-4-417-01650-2
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■解説
●公正取引委員会における実務経験を持つ研究者らがこれまでに蓄積された
 判例及び公取 委の審決・命令を通して違反事件の特色を整理し、独禁法
 の体系的な理解と実務運用の 実態把握を図る。
●知財・政府規制との関係、アメリカ・EUとの比較も充実。


はしがき
本書は,平成25年(2013年)改正後の独占禁止法(私的独占の禁止及び公正
取引の確保に関する法律)について,実務的観点を取り入れつつ詳細に解説す
るものである。我が国における経済活動に関する基本法である独占禁止法のほ
か,その特別法としての下請法(下請代金支払遅延等防止法)及び消費者法と
して位置付けられるものの関連が深い景品表示法(不当景品類及び不当表示防
止法)についても簡潔な解説を加えている。執筆者,いずれも,独占禁止法の
運用機関である公正取引委員会において長年同法の運用実務に携わった経験を
有する研究者であり,行政実務の経験と大学における教育・研究の成果を活か
して論述したものである。
本書の前身は,丁度20年前,編著者らの公正取引委員会における先輩諸氏が
学部学生向けの分かり易い解説書として刊行された『テキスト独占禁止法』
である。同書は,学部学生だけでなく多くの社会人からも支持を得て版を重ね
てきたが,その間,編者や執筆者も順次交代し,質的にも量的にも内容を拡充
してきており,今回の改訂を機に,書名を『解説独占禁止法』に改めることと
したものである。
 平成に入ってからの独占禁止法は,違反に対する措置や執行手続を中心に,
幾度となく重要な改正を経てきた。平成3年(1991年)の課徴金制度の強化
及び平成4年(1992年)の刑事罰の強化から始まり,平成9年(1997年)の
持株会社の解禁,平成10年(1998年)の企業結合規制手続の効率化,平成12年
(2000年)の不公正な取引方法に係る差止請求制度の導入,平成14年(2002年)
の刑事罰の強化と域外送達手続の整備が順次行われた。次いで,平成17年
(2005年)には,課徴金制度の強化と支配型私的独占への拡大,課徴金減免制
度の導入,犯則調査手続の導入,審判手続の事後化という大きな改正が行われ
,さらに,平成21年(2009年)には,課徴金制度の排除型私的独占及び一部の
不公正な取引方法への拡大並びに企業結合事前届出制度の整備が行われた。
そして,平成25年(2013年)には,審判制度を廃止するとともに命令前の意見
聴取手続を整備するという手続の大幅な改正が行われた。公正取引委員会のこ
の四半世紀は,こうした法改正を立案し,改正内容を円滑に施行することに腐
心してきた歴史であると言ってよいであろう。
 こうした累次の法改正とその運用により,競争制限行為に対する独占禁止法
規制はその実効性が増大し,我が国経済の発展や国民生活の向上に寄与するも
のとなっていることは疑いない。反面,独占禁止法制度が複雑化してきたとの
意見があったり,あるいは裁量型課徴金制度の導入や審査手続上の問題など,
様々な課題を抱えていることは否定すべくもない。また,法適用事例に乏しく
,取扱いが確立されていない行為類型も依然として残されており,経済実態の
変化に対応した制度・運用の見直しが必要になっている分野もあ。それは,
本書の執筆者らが実務家として,また,研究者として,日々実感してきてい
ることである。そうした中で,執筆者らは,独占禁止法の現在の姿を忠実に
描こうとした。公正取引委員会の現行実務と判例について,行政実務経験を
有する研究者の視点から詳細に解説することを目指した。その成果が本書であ
る。独占禁止法の優れた概説書は少なくないが,本書には次のような特徴があ
ると考えている。
 第1に,公正取引委員会における実務経験と大学における教育・研究の経験
を活かし,公正取引委員会や裁判所の実務を精確に,かつ,平易に紹介する
ことを旨とし,加えて,現行実務に対する批判的視点をも織り込んでいる。
 第2に,多くの具体的事例の紹介を行っている。これは,違反事件における
審判決のみならず,企業結合における許容事例等についても行われている。
これにより,実務における法解釈と運用の実態を正しく把握することができる。
 第3に,独占禁止法の実体規定に関する解説が中心になることは言うまでも
ないが,そのエンフォースメントに関わる解説において類書に比して大きな比
重を置いている。公的・私的な執行に関する第8章や違反に対する措置体系に
関する第9章がそれである。
 第4に,現下の独占禁止法執行上の重要課題である知的財産権,政府規制及
び国際取引との関係についてはそれぞれ独立の章を設けて詳述するとともに,
米国及びEUを中心とする海外競争法に関する章も加えて,特に企業法務・法曹
実務の便に資するようにしている。
 これにより,本書は,大学学部や法科大学院における「経済法」「独占禁止
法」の授業はもとより,企業法務・法曹実務の現場においても利用できるもの
になっていると考えている。平成25年改正はこの4月に施行されるが,特に審
判手続廃止後の東京地方裁判所における命令取消訴訟の審理がどのように行わ
れるのかが注目されている。そうした時期に,独占禁止法の最新の解説書を公
刊できることに編著者一同深い喜びを感じている。本書が江湖に広く受け入れ
られ,活用されることを通して独占禁止法についての理解が深まることに役立
つならば,望外の喜びである。

平成27年(2015年)3月
編者 波光 巖
 同 栗田 誠 


編者
波光 巖:(弁護士)
栗田 誠:(千葉大学大学院専門法務研究科教授)

執筆者
松山 榔僉А米瓜崋丗膤慄_並膤惘ゞ擬・TMI総合法律事務所顧問)
横田 直和:(関西大学教授)
中出 孝典:(富山大学教授)
波光 巖 :(上掲)
鈴木 恭蔵:(東海大学法科大学院教授)
滝川 敏明:(関西大学教授)
栗田 誠 :(上掲)
鵜瀞 惠子:(東洋学園大学教授)
   
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実務解説 景品表示法
編・著者:波光 巖・鈴木恭蔵[著]
発行年月:2012年12月
税込価格:4,320
在庫:品切れ



■書籍内容
第1章 独占禁止法の目的・沿革・構成
 第1節 独占禁止法の目的
  1 競争法・競争政策の意義
  2 目的規定の意義
 第2節 独占禁止法の沿革
  1 原始独占禁止法の制定とその後の改正経緯
  2 経済のグローバル化時代と運用の新展開
  3 新しい時代状況に即した独占禁止法の整備
 第3節 独占禁止法の構成
  1 独占禁止法の実体規定等の体系
  2 独占禁止法の執行体制・執行手続及び措置の体系
  3 公的執行における措置の体系
 第4節 基礎概念
  1 違反行為の要件
  2 事業者及び事業者団体
  3 行為類型
  4 一定の取引分野における競争の実質的制限 
  5 公正な競争を阻害するおそれ
  6 公共の利益に反して

第2章 不当な取引制限(カルテル)の禁止
 第1節 不当な取引制限(カルテル)の禁止
  1 不当な取引制限(カルテル)とは何か
  2 不当な取引制限の要件 
  3 カルテルの成立と終了 
  4 カルテルの種類
  5 入札談合等関与行為防止法の運用
  6 行政指導・適用除外カルテル 
 第2節 事業者団体によるカルテルの禁止
  1 事業者団体に対する規制の概要
  2 事業者団体によるカルテルの規制
  3 事業者団体によるその他の競争制限に対する規制
  4 協同組合に対する適用除外
 第3節 非ハードコア・カルテル
  1 主要な類型 
  2 情報交換活動 
  3 共同研究開発 
  4 共同生産・共同販売・共同購入などの業務提携
  5 規格設定・標準化
  6 社会公共目的の共同行為
第4節 国際カルテルへの参加の禁止
  1 国際カルテルに対する規制
  2 国際カルテルの規制事例 

第3章 私的独占(独占行為)の規制
 第1節 私的独占(独占行為)の意義
  1 私的独占(独占行為)と市場支配力の濫用
  2 競争の実質的制限 
 第2節 私的独占(独占行為)の行為態様
  1 単独行為と共同行為
  2 排除行為と支配行為
 第3節 違反事件における排除・支配行為

第4章 不公正な取引方法の規制
 第1節 不公正な取引方法の意義と性格
  1 規制の概要
  2 「公正競争阻害性」に関わる文言 
  3 公正競争阻害性の具体的内容 
 第2節 市場からの排除効果・市場への参入阻止効果を有する諸類型
  1 はじめに
  2 共同の取引拒絶
  3 単独の取引拒絶 
  4 差別行為
  5 不当な価格による取引
  6 取引強制
  7 排他条件付取引 
 第3節 取引の相手方の事業活動の拘束
  1 はじめに 
  2 再販売価格維持行為 
  3 価格以外の事業活動の拘束 
 第4節 不当な競争手段となる諸類型
  1 不当顧客誘引行為
  2 不当な取引妨害
 第5節 取引上の優越的地位の濫用となる諸類型
  1 規制の意義
  2 ガイドラインと規制事例
 第6節 下請代金支払遅延等防止法
  1 規制の趣旨
  2 適用範囲  
  3 親事業者の義務と禁止行為
  4 規制手続 222
 第7節 不当景品類及び不当表示防止法
  1 規制の趣旨 224
  2 過大な景品類の提供に対する規制 
  3 不当表示に対する規制
  4 協定又は規約制度
  5 規制手続 
 第8節 消費税転嫁対策特別措置法
  1 本法の趣旨と概要
  2 消費税の転嫁拒否
  3 消費税の転嫁を阻害する表示
  4 転嫁カルテル・表示カルテル
  5 運用状況

第5章 企業結合の規制
 第1節 合併(企業結合)による市場支配力形成の「事前規制」
  1 規制対象とする企業結合の種類
  2 合併の形態――水平・垂直・混合
  3 市場(一定の取引分野)の画定
  4 セーフハーバー(安全圏)
 第2節 市場支配力を形成する合併(企業結合)の阻止
  1 「競争を実質的に制限することとなる」の意味
  2 合併企業単独あるいは他企業との協調による市場支配力の阻止
  3 合併がもたらす効率性に対する配慮
  4 破綻(不振)会社の取扱い
 第3節 企業結合審査の手続
  1 企業結合の事前届出
  2 「第1次審査」と「第2次審査」 
  3 問題解消措置と排除措置 
 第4節 企業結合による一般集中の規制
  1 一般集中規制の意義と種類
  2 「事業支配力の過度集中」の禁止(9条規制)
  3 金融会社の株式取得規制(11条規制)
 第5節 独占的状態の規制

第6章 知的財産権と独占禁止法
 第1節 知的財産権の行使と独占禁止法
  1 知的財産制度と競争政策 
  2 独占禁止法21条の解釈論と実務上の意義 
 第2節 知的財産に関わる独占禁止法ガイドライン
  1 知的財産に関わるガイドラインの概要
  2 知的財産ガイドライン
 第3節 知的財産権が関わる独占禁止法違反事例等
  1 知的財産権が関わる独占禁止法問題
  2 水平的制限行為 
  3 共同ボイコット
  4 排除型私的独占
  5 排除型の不公正な取引方法
  6 競争回避型の不公正な取引方法
  7 ライセンスに伴うその他の制限
 第4節 知的財産権に関わる独占禁止法上の課題
  1 知的財産ガイドラインと予測可能性
  2 研究開発の阻害につながる制限行為
  3 水平的な競争回避効果を有する制限行為
  4 優越的地位の濫用の観点からの知的財産取引規制

第7章 政府規制と独占禁止法
 第1節 政府規制と競争政策
  1 政府規制の役割と弊害
  2 規制改革と競争政策の展開 
  3 競争唱導 
 第2節 規制法と競争法の関係
  1 規制法・政策と競争法・政策
  2 独占禁止法適用除外制度と独占禁止法
  3 事業法規制と独占禁止法 
 第3節 政府規制分野における独占禁止法の適用
  1 政府規制分野における不当な取引制限・事業者団体活動規制
  2 政府規制分野における私的独占・不公正な取引方法規制
  3 規制産業における企業結合規制

第8章 公正取引委員会による執行及び私人による執行
 第1節 公正取引委員会の組織と権限
  1 公正取引委員会の組織
  2 公正取引委員会の権限 
 第2節 公正取引委員会による法執行
  1 手続の概要 
  2 違反事件調査手続
  3 意見聴取手続
  4 排除措置命令・課徴金納付命令
  5 司法審査 
  6 緊急停止命令
 第3節 私人による独占禁止法の執行
  1 独占禁止法以外の手続の活用 
  2 不公正な取引方法の差止請求訴訟制度
  3 無過失損害賠償請求制度

第9章 独占禁止法違反に対する措置体系
 第1節 行政上の排除措置
  1 不当な取引制限(カルテル)
  2 私的独占
  3 不公正な取引方法 
 第2節 行政上の課徴金の賦課
  1 課徴金制度の趣旨 
  2 課徴金の賦課対象及び算定方法
  3 課徴金の軽減措置及び加算措置
  4 課徴金減免制度 
  5 罰金額との調整
  6 課徴金の賦課手続
 第3節 犯則調査・刑事告発と罰則の賦課
  1 専属告発と告発の実施 
  2 罰則規定の概要
  3 告発事例

第10章 独占禁止法の国際的執行
 第1節 競争法の域外適用の理論と実務
  1 域外適用を巡る考え方の変遷と現状
  2 手続規定の整備 
 第2節 競争当局間の競争法執行協力
  1 国際執行協力の概要
  2 わが国の二国間協力協定 
  3 第二世代協定及び司法共助
 第3節 国際的事案に対する独占禁止法の適用
  1 国際的事案に対する独占禁止法適用の概要 
  2 国際カルテル
  3 外国の支配的事業者による単独行為
  4 国際的企業結合
 第4節 競争法分野の国際協力
  1 国際協力の現状と課題
  2 競争法整備支援と地域協力

第11章 独占禁止法運用のアメリカ・EUとの比較
 第1節 競争法の規制目的と規制制度
  1 競争維持による消費者利益目的と公共政策目的の対立
  2 競争法の施行制度の比較 
 第2節 行為類型別の規制基準の比較
  1 水平的制限(水平的協調)の規制
  2 垂直的制限の規制
  3 排他行為(単独行為)の規制 
  4 合併(企業結合)規制

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