青林書院



子の親権・監護の実務


子の親権・監護の実務
 
編・著者秋武憲一監修・盒郷幸・藤川朋子 著
判 型A5判
ページ数480頁
税込価格6,264円(本体価格:5,800円)
発行年月2015年04月
ISBN978-4-417-01651-9
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■解説
●問題解決に向けて当事者に求められているものとは?裁判所の判断基準に基づき,
 望ましい具体的方策を探る。

●親権・監護権の指定・変更(第2章),面会交流・子の引渡しの実施方法(第3章
 ・第4章),養育費の算定・請求手続(第5章)などの必須知識と,調停・審判から
 訴訟に至る場面において紛争当事者や代理人(弁護士)に求められる問題解決の在
 り方を,裁判例も紹介しながら分かりやすく丁寧に解説する。
●日頃聞けない家裁調査官,調停委員の生の意見・要望も充実掲載。


 本書は,「親権・監護の実務」と題するように,親権と監護をめぐる家庭裁判所
の実務を説明したものである。これに類する書が多い中で,本書を上梓したのは,
親権と監護をめぐる紛争についての現在の家庭裁判所の取扱いとその理由を分かり
やすく,かつきちんと解説すべきであると考えたからである。すなわち,近年,親
権と監護をめぐる紛争が増加するとともに,事案の内容も複雑となり,その解決が
困難な状況になっている。そのため,家庭裁判所においても,これまで以上に,こ
うした事件についての調停や審判の進め方,解決方法等について検討がされ,新た
な試みがされている。こうした状況を,子の親権や監護をめぐる紛争に関与する紛
争の当事者,その相談を受け,その代理人となる弁護士,この問題について関心を
寄せる人々がきちんと理解していないと,紛争に対してしっかりとした対応をとる
ことができないと思われる。したがって,こうした事柄について正確に伝えるべき
であると考え,本書を上梓するに至った次第である。しかし,現在の家庭裁判所の
実務をきちんと理解してもらうには,家庭裁判所で行われている取扱いを紹介する
だけでは不十分である。なぜそのようにされているのかという理由や根拠をしっか
り説明し,これを理解してもらわないと,真の理解が得られたとは言えないからで
ある。そこで,本書においては,基本的な事項を含めて,なるべく分かりやすく,
丁寧に説明したつもりである。
 このように,本書においては,単に家庭裁判所の実務を紹介するだけではなく,
なぜそのようにしているかという理由についても,分かりやすく説明した。そのた
めに,執筆者及び監修者である私たちが一番苦労したのは,説明内容の質を落とす
ことなく,いかに明快に説明するかということであった。この点は,ほぼ成功した
と思う。本書を他の類書と比較していただければ,このことは明らかであろうと自
負している。なお,家庭裁判所の実務は,全国すべて同じというわけではなく,裁
判所や裁判官によってやり方が異なることもある。こうした問題については,執筆
者が自身の見解を示しているが,これは,監修者である私と執筆者とで意見交換し
たものである。
 さらに本書について言えば,家庭裁判所には,人間諸科学の専門家である家庭裁
判所調査官が配置され,家族間の紛争解決に貢献しているが,近年の親権と監護を
めぐる紛争の増加と内容の複雑化,解決の困難化に伴い,家庭裁判所調査官の活動
範囲とその方法等については,従前とは異なってきている面がある。こうした家庭
裁判所調査官の最新の活動状況等についても,その理由を含めて,分かりやすく説
明したつもりである。
 今ひとつ,本書が類書と異なる点を挙げれば,数多くの親権・監護事件の調停を
担当した経験豊かな調停委員の視点から,調停の在り方や調停委員自身のほか,当
事者や手続代理人となる弁護士について率直な意見を述べている点がある。つまり
,これまで調停や調停委員については,調停の本質論や進め方等について説明した
ものは数多くあるが,調停委員の視点から,調停の当事者やその手続代理人となる
弁護士に対して,どのような準備をし,どのような態度で調停に臨むべきかなどを
明確に発信したものは少なかったと思われる。しかし,本書では,あえてこれを行
った。したがって,この部分は,代理人となろうとする弁護士にとって参考になる
ものと思われる。これに加えて,調停委員の考え方や思考の傾向等について,その
選出階層等にも触れて説明している。こうした試みも従前あまりなかったものと思
われるので,調停制度に関心のある人には参考になるであろう。
 本書の執筆者は,盒郷幸裁判官(長野地方・家庭裁判所飯田支部長判事),藤
川朋子家庭裁判所調査官(さいたま家庭裁判所次席家庭裁判所調査官),東京家庭
裁判所家事調停委員であった品川寿夫さん,野村(満田)康子さんと森岡由紀子さ
ん,現在も東京家庭裁判所家事調停委員である水野鮎子さんである。いずれも,私
が勤務した東京家庭裁判所及び仙台家庭裁判所において,一緒に仕事をして,その
能力及び人柄について尊敬し信頼している方々ばかりである。それゆえ,本書の内
容も私の期待どおり,いやそれ以上のものになっている。喜ばしい限りである。
 なお,本書については,石井葉子家庭裁判所調査官(新潟家庭裁判所勤務,元名
古屋家庭裁判所首席家庭裁判所調査官)及び七尾聡裁判所書記官(東京家庭裁判所
家事首席書記官)から,貴重な意見と助言をいただいた。この場をお借りしてお礼
申し上げる。
 

平成27年4月
秋武 憲一 







■書籍内容
主要目次

第1章 子の親権・監護をめぐる紛争
子の親権・監護をめぐる問題とは
1 子の親権・監護をめぐる問題の多様さ
2 まとめ
子の監護に関する事件,親権に関する事件の動向等
1 事件数について
2 事件自体の傾向等
【コラム】家事事件手続法の成立 
子の親権・監護に関する事件の特徴
1 公益性・子の福祉への配慮
2 継続性
3 可変性
4 紛争の複雑・困難性
5 紛争の長期化
6 履行段階における特徴
7 合意による解決の重要性
8 算定表
近時の法改正
1 児童虐待
2 親権喪失等の制度の改正
3 親権行使や子の監護について必要な事項を定めるときにお
  ける子の利益の視点の明確化
4 養育費・面会交流の明確化
家事事件手続法の制定及び施行
1 家事事件手続法の施行
2 家事事件手続法の趣旨
3 家事事件手続法における主な改正点等
4 家事事件手続法の下における調停
家事事件,人事訴訟に関わる人・家庭裁判所の組織
1 家庭裁判所
2 裁判官
3 家事調停官
4 家事調停委員
5 調停委員会
6 裁判所書記官
7 家庭裁判所調査官
8 家庭裁判所医務室技官
【コラム】高等裁判所における調停 
家事事件の実際
1 家庭裁判所の司法的機能・福祉的機能
2 職権主義と当事者主義(当事者主義的運用)
3 調停前置主義
4 家事事件手続の非公開
5 当事者出頭主義
6 子の意思の考慮
【コラム】子ども代理人制度 
家事調停の実際
1 家事調停事件の申立て
2 受付から第1回の家事調停期日まで
3 付調停
4 調停期日
【コラム】同席調停 
【コラム】DV(ドメスティック・バイオレンス)がうかがわれる調停事
     件の進行について 
5 評議
6 家庭裁判所調査官の活用
7 最近の調停の傾向と弁護士(手続代理人)の協力
8 調停の成立
9 調停調書の効力
10 調停の不成立
11 調停(事件)の取下げ・調停をしない措置
12 家事事件手続法により新たに導入された制度
家事審判の実際
1 家事審判事件の開始
2 審理
3 事実の調査とその通知
4 家事審判記録の閲覧謄写
5 付調停による解決
6 審理終結日・審判日
7 家庭裁判所調査官の関与
人事訴訟
1 人事訴訟の特徴
2 調停前置主義
3 人事訴訟の実際
4 訴えの提起
5 審理
6 家庭裁判所調査官の関与
7 参与員
8 和解
9 付調停

第2章 親権・監護権
親権とは
1 身上監護権
2 財産管理権
【コラム】医療行為について 
3 身分行為の代理権
利益相反行為(民826条)
1 特別代理人の選任
2 利益相反行為の判断基準
【コラム】特別代理人選任の手続─別表第1事件について 
親権者となる者
1 父母が婚姻中の場合
2 父母が離婚する場合
3 父母が婚姻していない場合
4 養子縁組がなされた場合
親権の行使方法
1 共同親権の場合
2 共同親権者の一方が親権を行うことができないとき
3 単独親権の場合
【コラム】共同親権とは 
監護者とは(義務と権利)
1 父母が離婚する場合
2 父母が婚姻中の場合
3 監護者の数
子の監護者指定の実際
親権と監護権との分離
監護者を第三者とする事例
1 第三者を当事者とすることができるとする考え方
2 第三者を当事者とすることができないとする考え方
3 検討
【コラム】申立ての趣旨とは異なる審判をすることができるか 
親権者・監護者変更
1 親権者・監護者の変更
2 当事者が親権者変更に合意している場合
3 単独親権者が死亡した場合
4 期限・条件付きの親権
親権者・監護者の適格性の判断基準
1 総論
2 判断の基準
【コラム】別居と連れ去り 
将 親権者の適格性判断の検討方法
1 親権者の適格性判断の検討点
2 親権者の適格性判断の検討方法
将 調停・審判・判決の実際
1 離婚調停
2 親権者の変更調停・審判
【コラム】親権者指定の合意等に瑕疵があるとき 
3 離婚訴訟における親権者の指定
将 渉外家事事件における手続上の問題
1 管轄
2 準拠法
3 外国裁判の承認
4 手続上問題となる点
将 親権の喪失(親権停止を含む)
1 親権喪失
2 親権の一時停止
3 親権喪失・親権の一時停止の手続・効果
4 その他の方法

第3章 面会交流
面会交流とは
面会交流の意義
1 歴史的経緯,当事者の意識の変化
2 心理学等の知見から見た面会交流の意義
面会交流の法的性質について
1 面会交流を法的にどのように考えるべきか
2 実務における考え方
【コラム】「子どもの権利条約」 
面会交流の主体
1 総論
2 祖父母との面会交流
3 きょうだいが分属しているときの面会交流
面会交流の判断基準
1 考え方
2 検討
面会交流を禁止・制限すべき場合
1 子が連れ去られる可能性があるとき
2 非監護親の子への監護養育が不適切であったとき
3 非監護親が監護親に対して暴力を振るっていたとき
4 子の意思
5 その他
6 面会交流の禁止・制限が問題となった事例
別居中の面会交流
1 法的性格・意義
2 実務上の問題点
当事者の一方が再婚したときの面会交流
養育費との関係
面会交流の内容
1 考え方
2 具体的内容・条件
【コラム】FPIC 等を介した面会交流 
3 強制執行(間接強制)を前提とする面会交流の条件
4 まとめ
将 間接的な面会交流
【コラム】多様な面会交流の方法 
将 面会交流を求める手続
1 面会交流調停・審判
2 面会交流調停
【コラム】面会交流の実施に必要なツールについて 
3 面会交流の審判
4 離婚調停における面会交流の協議
5 離婚後の面会交流
【コラム】調停成立時における当事者双方の同席について 
6 別居中の面会交流の調整
7 離婚訴訟における面会交流
8 家庭裁判所調査官の関与
9 試行的面会交流
将 相手が面会交流に応じない場合
1 履行勧告
2 再調停(再度の調停)
3 間接強制
4 損害賠償

第4章 子の引渡し
子の引渡しとは
子の引渡しを求めるための手続・方法
子の監護に関する処分としての子の引渡し
1 子の引渡しを認める判断基準
2 別居中の夫婦の場合
3 監護者や親権者が子を監護養育する権限のない父又は母に
  対して子の引渡しを求める場合
4 監護権のない親が監護権のある親に対して子の引渡しを求
  める方法
5 親以外の者(祖父母)を当事者とする子の引渡し
子の引渡しの審判手続
1 申立て
2 審理
3 審判書
保全処分
1 保全処分とは
2 要件
3 保全処分の手続
人事訴訟における子の引渡し
人身保護請求
1 子の引渡しの方法としての人身保護請求
2 要件
3 手続
4 審理の実際・実情
5 刑事罰
親権に基づく妨害排除請求による子の引渡し
1 親権に基づく妨害排除請求による子の引渡し
2 要件
3 手続など
子の引渡しを認める審判に基づく強制執行
1 直接強制
2 間接強制
ハーグ条約について
1 ハーグ条約とは
2 ハーグ条約の基本的な考え方
3 条約の主な規定
4 返還命令の執行
5 その他の規定
6 国内法の整備

第5章 養育費
養育費とは
養育費の範囲と支払義務
算定方法と請求手続
1 算定表・算定式
2 算定式・算定表の基本的考え方
3 収入の認定
4 算定表の利用が難しい場合・工夫が必要な場合
5 養育費の計算式
6 特別の事情
7 父母が再婚したとき
【コラム】配偶者の連れ子と養子縁組した父母が離婚するときの離縁と
       養育費 
8 義務者に認知した子がいるとき
養育費負担の始期・終期
1 始期
2 終期
3 20歳以上の子の養育費
支払時期・支払方法等
1 支払時期
2 子が複数名いるとき
3 支払方法
養育費の増減額請求
1 原則
2 臨時の支出
3 離婚の際に不相当な養育費の合意がされた場合
4 養育費の増減額が認められる時期
調停・審判の実際
1 調停
2 審判
3 離婚調停の場合
4 離婚訴訟の場合
養育費の支払の履行確保
1 協議離婚で合意した養育費の履行の確保
2 履行勧告
3 履行命令
4 強制執行
5 強制執行がなされているときに養育費の減額が認められた場合
渉外事件としての養育費請求

第6章 離婚等における子の問題への家庭裁判所調査官の関与
家庭裁判所特有のスタッフ(家庭裁判所調査官)と設備
1 家庭裁判所調査官
2 児童室
家事事件における調査官の関与
1 手続選別(インテーク)
2 審判・調停の期日立会いと期日間調査
3 調停における評議
4 審理段階に応じた調査官調査
5 調査官調査の主な類型
6 調査報告書
子の親権・監護に関する調査(養育費請求事件を除く)
1 子どもの調査の前提
2 家事事件における「子の親権・監護」に関する調査
3 人事訴訟事件における子の親権に関する調査
主な事件類型ごとの調査の実際
1 親権者指定をめぐる紛争
2 監護者指定
3 親権者変更
4 子の引渡し
5 子の親権・監護に関する審判前の保全処分
6 親権喪失・停止
7 面会交流
【資料1】陳述書記載項目と提出資料のチェックリスト(参考書式) 
【資料2】子の監護に関する陳述書の記載例〔監護親用〕 
【資料3】参考文献 

第7章 家事調停委員から見た子の親権・監護
家事調停委員
1 家事調停委員の地位等
2 調停委員の調停における活動内容
【コラム】家事調停いろはカルタ 
家事調停の実際
1 調停手続の具体的進行
2 離婚調停

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