青林書院



新しい商標と商標権侵害


新しい商標と商標権侵害
 
編・著者青木 博通 著
判 型A5判
ページ数640頁
税込価格7,776円(本体価格:7,200円)
発行年月2015年04月
ISBN978-4-417-01654-0
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■解説
●いかに商標権侵害を回避するか―

 産業構造審議会・新しいタイプの商標WG委員を
 務めた著者が,2015年施行改正商標法の要点を解説!
 これからの商標権侵害の判断手法を見通す1冊!


はしがき
商標法が改正され,2015年4月1日に,色彩,動き,ホログラム,位置,
音からなる新しい商標(新商標)の出願受付が開始され,同日に471件の
新商標の出願があった(色彩190件,音144件,位置102件,動き32件,ホ
ログラム3件)。
新商標法(2014年5月14日公布),政令(2015年1月28日公布),省令
(2015年2月20日公布),商標審査基準(第11版)(2015年3月2日公
表),改定商標審査便覧(2015年3月25日公表)も出揃った。
新商標が登録された場合,商標権侵害がどのように判断されるかは,企
業の最も注目する点である。新商標の登録には,識別性の点で困難を伴
うため,攻めより,むしろ,どのように商標権侵害を回避するか検討し
ている企業が多いからである。
新商標も従来の商標法の枠組みの中で保護されるものであり,商標権侵
害について特別の規定は設けられていない。
そこで,第1章「伝統的商標と商標権侵害」では,文字商標,図形商標
等の伝統的商標の商標権侵害はどのように判断されてきたか,商標の類
似,商品・役務の類似,事実表記と商標の使用等について解説する。
第2章「新しい商標と商標権侵害機廚任蓮ぅャッチフレーズ商標,イ
ンターネット商標,立体商標,小売等役務商標,地域団体商標,パロデ
ィ商標といった改正前商標法で保護されてきた新種の商標について,商
標権侵害事件を中心に裁判例を紹介する。
第3章「新しい商標と商標権侵害供廚任蓮げ正商標法で登録が認めら
れる新商標の登録要件,出願方法,補正について,改正商標法,政省令,
商標審査基準に基づいて解説する。また,これらの新商標が日本の不正
競争防止法や欧米の商標法でどのように保護されてきたかについても言
及する。
第4章「新しい商標の国際的保護」では,各国の商標制度及び意匠制度
を国際比較するとともに,商標と意匠の国際登録制度であるマドリッド
協定議定書とハーグ協定ジュネーブアクト(2015年5月13日に日本・米
国同時発効)のリスクと対策についても解説する。
第5章「グローバル企業のブランド戦略」では,グローバル企業がどの
ようにブランドを守っているか,その現状を紹介する。
このように,本書は,伝統的商標の商標権侵害の判断手法,日本の不正
競争防止法及び欧米の裁判例を検討することにより,新商標の商標権侵
害の判断手法を予測するとともに,グローバルな視点で新商標をブラン
ド戦略に活かしていくスキルを身に着けることをねらいとしている。
  
2008年から2009年にかけて,産業構造審議会知的財産政策部会商標制度
小委員会新しいタイプの商標に関する検討ワーキンググループ委員とし
て,新商標の保護制度の在り方について議論する機会を得た。ご指導頂
いた土肥一史委員長(一橋大学大学院教授(当時))をはじめ,特許庁
関係者,委員の方々に厚く御礼申し上げる。
2010年2月19日には,知的財産高等裁判所知的財産権部研究会において
,「欧米におけるデザインとブランドの保護」と題して講演を行う機会
を与えられた。ご指導頂いた,塚原朋一知的財産高等裁判所所長,飯村
敏明同裁判所部総括判事(後に所長),滝澤孝臣同裁判所部総括判事,
睇眞規子同裁判所判事に厚く御礼申し上げる(肩書はいずれも当時)。
2014年7月26日には,北海道大学情報政策学研究センター知的財産法研
究会で,本書と同じテーマ「新しい商標と商標権侵害」について発表す
る機会を得た。新設された商標法26条1項6号の解釈も含め改正商標法
全般について,ご指導頂いた田村善之北海道大学大学院法学研究科教授
(上記審議会商標制度小委員会委員)に厚く御礼申し上げる。
2014年7月29日には,明治大学知的財産法政策研究所で開催されたシン
ポジウム「改正商標法の評価と課題」で,青木博文特許庁審査業務部商
標課長,竹本一志サントリーホールディングス株式会社知的財産部長
(日本知的財産協会理事長),鈴木將文名古屋大学大学院法学研究科教
授,木村一弘特許庁審査業務部商標審査基準室長(スピーチ順)ととも
にパネラーを務める機会を与えられた。ご指導頂いた,中山信弘明治大
学研究・知的財産戦略機構特任教授(東京大学名誉教授),熊谷健一同
大学法科大学院教授,金子敏哉同大学法学部准教授及びパネラーの方々
に厚く御礼申し上げる。

2015年4月 
青木 博通


著者紹介
青木 博通:ユアサハラ法律特許事務所パートナー弁理士








■書籍内容
目 次
  
第1章 伝統的商標と商標権侵害
第1節 商標権侵害の要件
1 はじめに
2 商標権侵害の要件
第2節 商標の類似
1 はじめに
2 最高裁判決
3 下級審判決
4 特許庁と裁判所の違い
第3節 商品・役務の類似
1 はじめに
2 最高裁判決
3 商品同士の類似
4 役務同士の類似
5 商品と役務の類似
第4節 商標の使用
1 はじめに
2 使用の定義の拡大(歴史的経緯)
3 商標法2条3項の逐条解説
4 不正競争防止法に使用の定義がない理由
第5節 事実表記と商標の使用
    ――他人の登録商標はどこまで使用できるか―― 
1 はじめに
2 商標権侵害を否定した裁判例
3 商標権侵害を肯定した裁判例
4 並行輸入業者の広告
5 どのように考えるか
6 欧州の裁判例(L'Oréal香りの比較リスト事件)
7 おわりに
第6節 「類似商品・役務審査基準(国際分類第10版対応)」の
改定の主なポイントと留意事項
1 はじめに
2 審査基準が改定された理由
3 改定の主なポイント
4 商標法施行規則別表と〔2012年版〕との関係
5 〔2012年版〕で非類似の商品同士が類似になった例
6 〔2012年版〕で類似の商品同士が非類似になった例
7 〔2012年版〕の下で,新出願をする必要がある場合
8 〔2012年版〕が審査及び裁判所に及ぼす影響
9 更新の際に注意する点
10 外国出願の際に注意する点
第7節 オリンピックと商標法
1 はじめに
2 商標法との関係
3 不正競争防止法との関係
4 アンブッシュ・マーケティング規制法
第8節 国旗と知的財産法
    ――国旗の商標登録・使用はどこまで可能か―― 
1 はじめに
2 国旗に関する条約・法律の概要
3 パリ条約
4 商標法
5 意匠法
6 不正競争防止法
7 刑法92条(外国国章損壊罪)
8 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)4条1項3号(不当な表示の禁止)
9 外国の状況
第9節 商標の稀釈化からの保護――各国の比較法的考察と
AIPPIパリ総会決議(2010年)――
1 商標の稀釈化について
2 日米欧の基本構造
3 各国比較
4 AIPPIパリ総会決議(2010年)
5 おわりに
第10節 アンケート調査
1 はじめに
2 要件事実の把握と実施時期
3 質問事項と選択肢
4 母集団
5 標本の抽出
6 評  価
7 要件事実とアンケート調査の結果の比率
8 裁判例
9 おわりに

第2章 新しい商標と商標権侵害
第1節 はじめに
第2節 キャッチフレーズ商標
1 キャッチフレーズ・スローガンの商標化
2 キャッチフレーズの登録
3 キャッチフレーズと商標権侵害
4 キャッチフレーズと不正競争防止法違反
5 紛争回避の方法
第3節 スローガン商標
1 はじめに
2 スローガン商標の登録状況
3 スローガン商標の問題点
第4節 インターネット商標及びドメイン名紛争
1 はじめに
2 商標権侵害
3 ドメイン名紛争
4 ドメイン名の登録件数
第5節 キャラクター商標
1 キャラクターの種類
2 キャラクター商標の登録の実態
3 キャラクター商標の登録可能性
4 キャラクター商標の侵害事件
5 キャラクター商標の意匠法による保護
6 キャラクター商標の著作権法による保護
7 キャラクター商標の不正競争防止法による保護
第6節 アイコン商標
1 はじめに
2 アイコン意匠の登録例
3 アイコン商標の登録例
4 アイコンの意匠としての保護と商標としての保護
第7節 立体商標制度の基本構造とその解釈
    ――日米欧の比較法的考察―― 
1 はじめに
2 立体商標制度の基本構造と学説
3 特許庁『商標審査基準』
4 商標法3条1項3号に関する裁判例
5 米国の立体商標制度の基本構造
6 欧州共同体商標規則の立体商標制度の基本構造
7 日米欧の基本構造の比較
8 日米欧の基本構造からみた商標法3条1項3号の解釈
9 その後の進展
第8節 小売等役務商標
1 はじめに
2 小売等役務商標制度導入までの経緯
3 小売等役務商標制度の概要
4 登録要件
5 商標権侵害
6 不使用取消審判
7 小売等役務商標の登録例の検討
8 企業の対応策
第9節 地域団体商標と地理的表示(GI)
    ――地域団体商標制度の基本構造と侵害判断基準―― 
1 はじめに
2 地域団体商標制度の基本構造
3 地域団体商標の侵害判断基準
4 おわりに――次のステップとしての商標法3条2項
5 その後の進展――地理的表示(GI)の保護
第10節 パロディ商標
1 はじめに
2 商標法4条1項7号(公序良俗違反)
3 商標法4条1項10号(他人の周知商標)
4 商標法4条1項11号(先願に係る他人の登録商標)
5 商標法4条1項15号(商品又は役務の出所の混同)
6 商標法4条1項19号(不正の目的をもって使用する商標)
7 商標権侵害
8 不正競争防止法2条1項1号(混同惹起行為)
9 不正競争防止法2条1項2号(著名表示冒用行為)
10 不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣)
11 外国の事案

第3章 新しい商標と商標権侵害
第1節 改正商標法の概要
1 改正商標法の施行日
2 新商標導入の趣旨
3 新商標の種類
4 商標の使用の定義の拡大
5 新商標の登録要件
6 新商標の出願方法
7 商標権侵害と効力の制限
8 色彩の特例
9 経過措置
第2節 色彩のみからなる商標
1 はじめに
2 色彩のみからなる商標の使用の定義
3 色彩のみからなる商標の出願方法
4 色彩のみからなる商標の登録要件
5 商標権侵害
6 色彩の特例
7 色彩のみからなる商標に関する不正競争防止法事件
8 外国における色彩のみからなる商標の登録例
9 外国における色彩のみからなる商標の商標権侵害事件
10 色彩のみからなる商標に関する欧米の比較
第3節 位置商標
1 はじめに
2 位置商標の使用の定義
3 位置商標の出願方法
4 位置商標の登録要件
5 商標権侵害
6 位置商標に関する不正競争防止法事件
7 外国における位置商標の登録例
8 外国における位置商標の商標権侵害
第4節 動き商標
1 はじめに
2 動き商標の使用の定義
3 動き商標の出願方法
4 動き商標の登録要件
5 商標権侵害
6 経過措置
7 動き商標に関する不正競争防止法事件
8 外国における動き商標の登録例
9 外国における動き商標の商標権侵害
第5節 ホログラム商標
1 はじめに
2 ホログラム商標の使用の定義
3 ホログラム商標の出願方法
4 ホログラム商標の登録要件
5 商標権侵害
6 経過措置
7 ホログラム商標に関する不正競争防止法事件
8 外国におけるホログラム商標の登録例
9 外国におけるホログラム商標の商標権侵害
第6節 音商標
1 はじめに
2 音商標の使用の定義
3 音商標の出願方法
4 音商標の登録要件
5 商標権侵害
6 外国における音商標の登録例
7 外国における音商標の商標権侵害事例
第7節 香りの商標
1 はじめに
2 香りの商標の使用の定義
3 香りの商標の特定方法
4 香りの商標の登録要件
5 商標権侵害
6 経過措置
7 香りの商標に関する不正競争防止法事件
8 外国における香りの商標の登録例
9 外国における香りの商標の商標権侵害
第8節 触覚の商標
1 はじめに
2 触覚の商標の使用の定義
3 触覚の商標の特定方法
4 触覚の商標の登録要件
5 商標権侵害
6 経過措置
7 触覚の商標に関する不正競争防止法事件
8 外国における触覚の商標の登録例
第9節 味の商標
1 はじめに
2 味の商標の使用の定義
3 味の商標の特定方法
4 味の商標の登録要件
5 商標権侵害
6 経過措置
7 味の商標に関する不正競争防止法事件
8 外国における味の商標の登録例
第10節 トレードドレス
1 はじめに
2 トレードドレスの使用の定義
3 トレードドレスの特定方法
4 トレードドレスの登録要件
5 商標権侵害
6 経過措置
7 トレードドレスに関する不正競争防止法事件
8 外国におけるトレードドレスの登録例
9 外国におけるトレードドレスの裁判例
第11節 補  正
1 一般的な考え方(「商標審査基準〔第11版〕」より)
2 要旨変更とならない例となる例(「商標審査基準〔第11版〕」より)
第12節 マドプロ出願の取扱い
1 「Indication relating to the nature or kind of marks」との関係
2 「Description of the mark」との関係
3 上記1又は2より商標のタイプが判断できない場合
4 商標の詳細な説明について
5 物件について

第4章 新しい商標の国際的保護
第1節 商標制度の国際比較
1 はじめに
2 商標に関する条約
3 各国商標制度の基本構造
4 日本からみた各国の特異な制度
5 国際商標実務
第2節 意匠制度の国際比較
1 はじめに
2 意匠に関する条約
3 各国意匠制度の基本構造
4 日本からみた各国の特異な制度
5 おわりに
第3節 商標の国際登録制度「マドリッド協定議定書」の
    リスクと対策
1 はじめに
2 マドリッド協定議定書の概要
3 マドリッド協定議定書と関係する日本の商標法
4 マドリッド協定議定書のリスクと対策
5 グローバル企業のマドリッド協定議定書の利用状況
6 おわりに
第4節 意匠の国際登録制度「ハーグ協定ジュネーブアクト」
    のリスクと対策
1 はじめに
2 ハーグ協定ジュネーブアクト(日本→WIPO)
3 ジュネーブアクトのリスクと対策
4 新意匠法の概要

第5章 グローバル企業のブランド戦略
第1節 はじめに
第2節 日本における商標実務
    ――新しい商標,残す商標,捨てる商標―― 
1 はじめに
2 新しい商標を採択する場合のフロー
3 既存の商標のブラッシュアップのフロー
第3節 グローバルな商標実務
1 グローバル企業の出願動向
2 商標調査
3 権利形成
第4節 強いブランドの権利形成
1 強いブランドと出所識別力の関係
2 商標調査の3つのポイント
3 ブランド拡張(brand extension)と商標登録出願
4 ブランド戦略と拒絶理由への対応
第5節 商標の普通名称化と出版社への商標表示請求権
    ――日本,欧州,米国の比較法的考察と立法論―― 
1 はじめに
2 商標権へのダメージの類型
3 商標の普通名称化の判断基準
4 商標の普通名称化の要因
5 欧米の状況
6 出版社への商標表示請求権
7 立法論
8 おわりに
第6節 商標,意匠,デザインに関する法的リスク
    の見落とし事例
1 商標法に規定のない拒絶理由「精神拒絶」
2 適法な真正商品の並行輸入が突然商標権侵害に
3 商標権者の使用が商標権侵害に
4 検索連動型広告は商標権侵害か
5 インターネットの世界性と属地主義・商標契約
6 米国では通用しない日本流・商標ライセンス契約
7 意匠権侵害を回避できても不十分

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