青林書院



プラクティス 金銭消費貸借訴訟


プラクティス 金銭消費貸借訴訟
 
「概説」と「Q&A」で裁判直結の知識・ノウハウを伝授
編・著者梶村太市・西村博一・井手良彦 編
判 型A5判
ページ数540頁
税込価格6,480円(本体価格:6,000円)
発行年月2015年08月
ISBN978-4-417-01662-5
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■解説
はしがき

本書『プラクティス 金銭消費貸借訴訟』は,「青林プラクティス・シリーズ」の一環です。同シリーズは,訴訟代理人や当事者等が裁判を実践していく上で不可欠の法律知識やノウハウについて,訴訟事件数の多い事件類型ごとに実務的観点から解説するものです。
金銭消費貸借訴訟は,訴訟事件の中でも,その難易度といい問題点の多さといい,ある意味ではアルファでありオメガであるともいわれます。法科大学院や司法研修所では,最も基本的な事件類型の一つとして貸金返還請求訴訟を取り上げ,訴訟物論や要件事実論等について初歩的問題点から難易度の高い論点にわたって議論し尽くします。貸金返還請求訴訟は,準消費貸借を含めた訴訟物論や要件事実論をはじめ,利息・遅延損害金や利息制限法の問題,弁済や消滅時効に絡む諸問題,あるいは保証人と保証契約に絡む諸問題など,検討すべき課題は多数に上ります。
本書は,複数の章立てとし,その章ごとに「概説」欄を設け,その下に「Q&A」を配置します。解説の基本的方針として判例理論や裁判所の実際の見解や運用を中心に置いています。重要な学説は取り上げますが,学説はあくまで参考程度に留め,あくまで貸金返還請求訴訟の運用実務上参考になるかどうかの視点から分析することにします。
本書の構成は,第1編において金銭消費貸借における重要事項を説明し,その上で第2編及び第3編において掘り下げた論述を展開します。すなわち,第2編では,貸金返還請求訴訟について概説において総論部分を取り上げ,Q&Aにおいて紛争事例の設例について個別的に掘り下げた分析をします。第3編においては,関連訴訟として,保証債務履行請求訴訟・過払金返還請求訴訟・求償金請求訴訟等を取り上げます。これによって,貸金返還請求訴訟の実務的問題点は網羅的に検討できたと自負します。
本書の執筆陣は,簡易裁判所において実際に貸金返還請求訴訟を担当している裁判官が中心であり,貸金返還請求訴訟の実際の現場の雰囲気が具体的に伝わってきます。本書が貸金返還請求訴訟を担当される裁判官や裁判所書記官あるいは司法委員・調停委員を含め,訴訟担当者の弁護士や司法書士あるいは各種法律相談等の相談担当者その他市民一般の方々にも広く活用されることを期待します。
最後になりましたが,ご多忙中にもかかわらず執筆を担当された方々には大変お世話になり,深甚の謝意を表します。またいつものことながら編集の労を惜しまなかった青林書院編集部の宮根茂樹氏にも感謝します。
 
平成27年7月
編集者
梶村 太市 
西村 博一 
井手 良彦 


編集者
梶村 太市(常葉大学法学部教授・弁護士)
西村 博一(宇治簡易裁判所判事)
井手 良彦(東京簡易裁判所判事)

執筆者(執筆順)
梶村 太市(上 掲)
増田 輝夫(明石簡易裁判所判事)
中林 清則(富山簡易裁判所判事)
桐  忠裕(札幌簡易裁判所判事)
野藤 直文(四国中央簡易裁判所判事)
餅井 亨一(札幌地方裁判所刑事訟廷事件係長)
丸尾 敏也(福岡簡易裁判所判事)
堀田  隆(立川簡易裁判所判事)
脇山 靖幸(旭川簡易裁判所判事)
笹本  昇(東京簡易裁判所判事)
舘  敏郎(札幌簡易裁判所判事)
宇都宮庫敏(大阪簡易裁判所判事)
神谷 義彦(佐伯簡易裁判所判事)
辰已  晃(大阪簡易裁判所判事)
有田 麻理(旭川地方裁判所書記官)
千矢 邦夫(高松簡易裁判所判事)
中内  篤(大阪簡易裁判所判事)
井手 良彦(上 掲)
西村 博一(上 掲)
西村  彬(弁護士)
 〔平成27年7月現在〕
   
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在庫:有り



■書籍内容
目 次

第1編 金銭消費貸借の基礎知識

第1章 金銭消費貸借の成立
Q1|金銭消費貸借の意義・成立要件
 金銭消費貸借の意義及び成立要件について説明しなさい。
Q2|金銭消費貸借の要物性
 金銭消費貸借の要物性(現金交付の変型,有価証券に関するもの)について説明しなさい。
Q3|借増し・借換え
 借増し・借換えについて説明しなさい。

第2章 利息・遅延損害金
Q4|利息債権
 利息債権について説明しなさい。
Q5|利息・遅延損害金に対する法的規制
 利息や遅延損害金に対する法的規制について説明しなさい。
Q6|利息計算の公式・計算方法
 利息計算の公式(年利・日歩・天引きなど)及び計算方法について,事例を設定した上で説明しなさい。
Q7|利息制限法に関する最高裁判所判例
 利息制限法の適用上,確立した最高裁判例について説明しなさい。
Q8|貸付初日・弁済日の利息処理,閏年の日数処理,金銭の端数処理
 貸付初日・弁済日の利息処理(借換えを含む),閏年の日数処理,金銭の端数処理について説明しなさい。

第3章 弁   済
Q9|代物弁済
 代物弁済について説明しなさい。
Q10|弁済期をめぐる諸問題
 弁済期をめぐる諸問題(土曜,日曜,祭日,期限の利益喪失など)について説明しなさい。

第4章 金銭消費貸借の終了
Q11|金銭消費貸借の終了事由
 金銭消費貸借の終了事由について説明するとともに,訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。

第5章 消 滅 時 効
Q12|貸金債権の消滅時効
 貸金債権の消滅時効について説明しなさい。

第6章 準消費貸借
Q13|準消費貸借の意義・成立要件
 準消費貸借の意義及び成立要件について説明しなさい。
Q14|準消費貸借成立の場合の旧債務における保証人の地位
 準消費貸借が成立した場合,旧債務における保証人の地位はどうなるか,説明しなさい。

第7章 保   証
Q15|保証契約に対する法規制
 保証契約に対する法規制について説明しなさい。
Q16|保証契約から派生する諸問題
 保証契約から派生する諸問題(無権代理,表見代理,日常家事債務など)について説明しなさい。
Q17|電磁的記録による保証契約
 電磁的記録による保証契約について説明しなさい。
Q18|保証契約の解約
 保証契約の解約について説明しなさい。


第2編 貸金返還請求訴訟

第1章 貸金返還請求訴訟の概要
〔1〕 概   説
〔2〕 金銭消費貸借に基づく請求
⑴ 訴訟物(訴訟上の請求)の特定  ⑵ 訴訟物の個数と異同  ⑶ 一部請求の訴訟物  ⑷ 貸金請求の請求原因――貸借型理論
〔3〕 利息・損害金の請求
⑴ 利息・利息債権・利息請求権  ⑵ 遅延損害金
〔4〕 準消費貸借に基づく請求
⑴ 訴訟物と要件事実  ⑵ 旧債務の主張立証責任に関する原告説と被告説  ⑶ 新旧債務の同一性  ⑷ 利息制限法違反との関係

第2章 貸金返還請求訴訟に関するQ&A
Q19|貸金返還請求の要件事実
 Xは,平成16年5月1日,Yに対し,弁済期を同年6月1日と定め,100万円を貸し付けた。平成16年6月1日が到来したのに,Yが弁済しないため,Xは,Yに対し,貸金100万円の返還を求める訴訟を提起したいと考えている。この貸金返還請求の要件事実について説明するとともに,訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。
Q20|貸金返還請求に対する防御方法
 Q19を前提として,次の問題を説明しなさい。
⑴ Yのなしうる主張(典型的抗弁)について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。
⑵ Yの上記⑴の主張に対して,Xのなしうる主張(再抗弁)について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。
Q21|利息・遅延損害金請求の要件事実
 Q19の金銭消費貸借において,X・Y間に利息及び遅延損害金の合意があった場合,その利息及び遅延損害金の支払請求の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。
Q22|訴訟上の相殺の抗弁に対する訴訟上の相殺の再抗弁の許否
 貸金業者Xは,借主Yに対し,平成○○年○月○日付け貸金142万円の返還を求める訴訟を提起したところ,Yは,Xに対する162万円の過払金返還請求権と対当額で相殺するとの意思表示をした(抗弁)。そこで,Xは,Yに対し,平成○○年○月○日付け貸金98万円と対当額で相殺するとの意思表示をした(再抗弁)。
 Yの抗弁とXの再抗弁の帰趨について説明しなさい。
Q23|金銭消費貸借の成否
 Xは,伝言ダイヤルで知り合ったY女に対し,経済的援助をするために300万円を交付したが,その数年後,交付した現金は貸金の趣旨であったと主張して,Yに対し,その返還を求める訴訟を提起した。
 Yのなしうる主張について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。そのうえで,X主張の金銭消費貸借の成否について説明しなさい。
Q24|金銭消費貸借契約の貸主
 金銭消費貸借契約の貸主の認定をめぐる問題について,具体的な事例を設定したうえで説明しなさい。
Q25|金銭消費貸借の借主
 Xは,当時,Y会社の代表取締役であったAに対し,2回にわたって合計600万円を貸し付け,その際,Aは,Y会社の代表資格を明示した借用書を差し入れたものの,形式の整った契約書は作成されなかった。なお,600万円の交付はXの自宅で行われ,Aは,Xに対し,担保としてA振出しの約束手形を交付した。その弁済期が到来したのに弁済がないため,Xは,Y会社に対し,600万円の返還を求める訴訟を提起した。
 Y会社は,A個人が借主であると主張して,請求棄却の判決を求めている。Y会社の上記主張は認められるか,説明しなさい。
Q26|利息の天引き
 Xは,Yに対し,弁済期1年後とし,200万円を貸し付けるに際し,利息30万円を天引きして170万円を交付した。その弁済期が到来したのに,Yが弁済しない。Xは,Yに対し,貸金200万円の返還を求める訴訟を提起した。
 Yのなしうる主張について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。そのうえで,X・Y間の法律関係について説明しなさい。
Q27|期限の利益喪失の主張
 貸金業者Xが借主Yとの間で締結した金銭消費貸借契約の契約書面中には,期限の利益喪失特約の合意条項が存在していた。貸金業者Xは,Yに期限の利益喪失事由が生じても,直ちに残元金や遅延損害金の支払を請求することはせず,Yの支払が途絶えた段階になって初めて,貸金の返還を求める訴訟を提起するに至った。貸金業者Xは,その訴状において,Yが最初の支払遅滞の時点で期限の利益を喪失していたとして,その時点からの残元金について遅延損害金の支払を求めている。
 Yのなしうる主張について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。そのうえで,貸金業者Xの貸金返還請求の可否について説明しなさい。
Q28|約束手形等の交付による金銭消費貸借の成否
 Xは,Yに対し,100万円を貸し付けるにあたり,金銭交付の方法として,額面80万円の約束手形と額面20万円の小切手を振り出し交付した。Yは,小切手については直ちに銀行から支払を受けたが,約束手形についてはその満期前に割引を受けたため,割引料が控除され,全部で,額面100万円に満たない金額を取得したにすぎない。その弁済期が到来したのに,Yが弁済しないため,Xは,Yに対し,貸金100万円の返還を求める訴訟を提起した。
 Yは,100万円の金銭消費貸借は成立していないと主張して争っている。Yの上記主張は認められるか,説明しなさい。
Q29|手形割引による金銭消費貸借の成否
 Yから100万円の融資の申込みを受けたX銀行は,Zが振り出しYが所持する額面100万円の約束手形にYの裏書を受けたうえでその交付を受け,Yに対し,割引手数料を控除した金員を交付した。この場合,金銭消費貸借は成立するか。Xが銀行ではなく貸金業者であった場合はどうか,説明しなさい。
Q30|金貨売買に仮託した金銭消費貸借契約の成否
 金貨売買に仮託した金銭消費貸借契約の成否について説明しなさい。
Q31|準消費貸借の成否
 骨董屋Xは,Yに対し,安土桃山時代の抹茶碗を100万円で売った際に,Yとの間で,その売買代金を準消費貸借の目的として100万円の金銭消費貸借契約を締結した。その弁済期が到来したのに,Yが弁済しないため,Xは,Yに対し,貸金100万円の返還を求める訴訟を提起した。
 上記準消費貸借に基づく貸金返還請求の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。
 Xの請求に対して,Yが上記抹茶碗の引渡しを受けるまで100万円を支払わないと主張した。このYの主張(同時履行の抗弁権の行使)は認められるか,説明しなさい。
Q32|準消費貸借における旧債務の主張立証責任
⑴ Yは,都内で,洋装店と雑貨店を5店も展開し,個人で手広く商売をしていたが,平成2年1月ころからほぼ20年間にわたり,街の金融業者Xから,運転資金の名目で,年に2〜4回,利息・遅延損害金年20%,返済日は借入日の1ヵ月後という約定で,30万円から70万円を借り入れていた。
  Yは,当初は返済日に元利金をきちんと返済していたが,だんだんと返済が遅れたり,返済されなくなったりしたこともあった。しかし,Xは,Yが手広く商売を行っているためつぶれることはないと考え,Yに融資を続けていた。
⑵ 以上のような状況において,Xは,平成20年10月1日に,Yとの間で,平成20年4月1日の融資分70万円と同年6月1日の融資分60万円の合計130万円が返済されていないとして,この130万円を準消費貸借の目的として,返済日を平成21年10月1日,利息年15%,遅延損害金年20%とする金銭消費貸借契約を締結した。
⑶ しかし,Yは平成21年10月1日になってもXに対し返済しようとしない。そこで,Xが130万円とその利息の返還を請求したところ,Yは,平成20年4月1日の融資分と同年6月1日の融資分についてはまったく融資を受けた覚えがないので,Xがそのような融資をしたと主張するのならば,融資したことを証明すべきであると主張している。
  このようなYの主張は認められるか。
⑷ XがYの資産状況を調査したところ,平成20年2月にはYは多額の債務をかかえほぼ無資力になっており,同年8月には唯一の財産である自宅とその敷地を,妻のZに贈与(移転登記も済み)していることがわかった。Xは,そのようなZに対する贈与契約は上記⑵の準消費貸借契約に基づく債権に対する詐害行為に該当するとして取り消したいが,可能であろうか。
Q33|貸金返還請求訴訟における審理方法
 貸金返還請求訴訟における審理はどのように行われるか,下記事項ごとに説明しなさい。
⑴ 第1回口頭弁論期日前の準備・審理計画の策定の段階
⑵ 争点の整理・立証計画の決定の段階
⑶ 証拠調べの段階
⑷ 事件終了の段階
Q34|少額訴訟手続
 Xは,Yに対し,弁済期を定めずに50万円を貸し付けたが,その際,契約書や念書や借用書などを作成しなかった。その後,1年が経過したものの,Yには,50万円を弁済しようとする気配すら見受けられない。そこで,Xは,少額訴訟手続を利用してYから50万円を回収したいと考えている。
 Xが少額訴訟を提起する際に,留意すべきことは何か。また,少額訴訟手続における審理,判決及び執行などはどのように行われるのか,説明しなさい。
Q35|金銭債務不存在確認請求訴訟
 金銭消費貸借に基づく債務不存在確認請求の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。また,同請求に対する被告の防御方法について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。
Q36|金銭債権存在確認請求訴訟
 Xは,Yに対する債務名義(貸金の勝訴確定判決)を有しているが,強制執行をしないまま,その確定日から10年が経過しようとしている。この消滅時効を中断するためには,どのような訴訟を提起すべきかについて説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。


第3編 関 連 訴 訟

第1章 保証債務履行請求訴訟の概要
〔1〕 保証債務の意義と性質
⑴ 保証債務の意義  ⑵ 保証債務の性質
〔2〕 保証債務の成立と内容
⑴ 保証契約  ⑵ 保証債務の内容  ⑶ 主たる債務者又は保証人に生じた事由の効果
〔3〕 保証人の求償権
〔4〕 連帯保証
⑴ 連帯保証の意義  ⑵ 連帯保証の特徴
〔5〕 特殊な保証
⑴ 共同保証  ⑵ 根保証

第2章 保証債務履行請求訴訟に関するQ&A
Q37|保証債務履行請求の要件事実
 Xは,Yに対し,弁済期を平成26年5月8日と定めて100万円を貸し付けたが,その際,Zは,Xに対し,YのXに対する貸金債務を連帯保証する旨約した。その弁済期が到来したのに,Yが弁済しないため,Xは,Zに対し,保証債務の履行を求める訴訟を提起したいと考えている。この場合,保証債務履行請求の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。
Q38|保証債務履行請求に対する防御方法
 Q37を前提として,次の問題を説明しなさい。
⑴ Zのなしうる主張(典型的抗弁)について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。
⑵ Zの上記⑴における主張に対して,Xのなしうる主張(再抗弁)について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。
Q39|保証契約の錯誤無効
 A会社の名目的な代表取締役であったYは,A会社の実質的経営者であるBから,A会社が手形貸付けを業とするX会社から50万円を借りるにあたって連帯保証してほしいと頼まれ,X会社・A会社間の継続的手形貸付取引約定書の連帯保証人欄に署名押印したが,実はその約定書には極度額500万円の根保証をする旨の記載があった。その後,Yは,A会社の代表取締役を辞任し,代わってBが就任したが,Bは,依然として代表取締役Yの名義で手形を振り出し,X会社から新たな貸付けを受けるとともに,従前の貸付けの書替えをしていたが支払が滞りがちになった。そこで,X会社は,Yに対し,上記約定書に記載された根保証を根拠に,手形割引による貸金400万円の返還を求める訴訟を提起した。
 Yは,上記保証が根保証でなく,A会社がX会社から50万円を借り入れるための保証であると信じて保証したのであり,後になって,その保証が500万円を限度とする根保証であることが判明したのであるから,上記保証の意思表示は,重要な部分に錯誤があり,無効であると主張して争っている。
 Yの上記主張は認められるか,説明しなさい。
Q40|保証人が借主を代理した場合の金銭消費貸借の成否
 Xは,Aの代理人と称するYから,Yが連帯保証するのでAに100万円を貸してやってほしいと申し込まれたことから,Yを連帯保証人として,Aの代理人であるYに対し,100万円を交付した。その弁済期が到来したのに,Aから弁済がないため,Xは,連帯保証人Yを被告として,保証債務の履行を求める訴訟を提起した。これに対して,Yは,YにはAを代理する権限がなかったので,X・A間において金銭消費貸借は成立せず,これに附従する連帯保証も成立していないと主張して争っている。
 Yの上記主張は認められるか,説明しなさい。
Q41|附従性に基づく抗弁権
 X信用保証協会(以下「X」という)は,A会社との間の保証委託契約に基づいて,B銀行に対し,A会社の借入金債務を保証した。その際,Yは,Xに対し,A会社のXに対する債務を連帯保証した。しかし,A会社が破産手続開始決定を受けた後,Xは,A会社の借入金残を代位弁済したうえで,借入金の元本及び破産手続開始決定の日の前日までの利息を破産債権として届け出た。この破産債権は,債権調査期日において異議なく確定した。破産終結によって破産手続が終了した後も,Xは,約6年間にわたってYから弁済を受け(元本から充当),その結果,求償金債権元金は完済された。しかし,Yが求償債権の遅延損害金について支払をしないため,Xは,破産終結の約9年半後に,Yに対し,上記連帯保証契約に基づいて,求償債権の遅延損害金合計580万円余の支払を求める訴訟を提起した。これに対して,Yは,主債務の消滅時効を援用し,本件訴訟提起時までに主債務が時効消滅し,これに伴って保証債務も消滅したと主張した。この消滅時効援用の可否について説明しなさい。

第3章 過払金返還請求訴訟の概要
〔1〕 はじめに
〔2〕 期限の利益喪失特約の下における支払の任意性
〔3〕 過払金の元本充当
〔4〕 悪意の受益者の推定
過払金返還請求訴訟に関する最高裁判所主要判例一覧

第4章 過払金返還請求訴訟に関するQ&A
Q42|過払金返還請求の要件事実
 過払金返還請求の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。
Q43|旧利息制限法1条1項にいう元本の額
 基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において,平成8年8月26日時点で過払金2万円が発生している。同年9月1日に100万円の新たな借入れをした場合,利息制限法1条1項(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。なお,同改正後の利息制限法は「改正利息制限法」という)にいう「元本」の額及び以降の取引に適用される制限利率はどうなるか,計算例を示しながら説明しなさい。
Q44|過払金返還債務発生後の債権譲渡
 過払金返還債務の発生後に当該貸金業者A会社が,別会社Y会社に対し,営業譲渡又は債権譲渡をしたところ,債務者Xは,Y会社に対し,A会社の過払金返還債務をY会社が承継したと主張して,譲渡前にすでに発生していた過払金の返還を求める訴訟を提起した。
 Y会社のなしうる主張及びXの反論について説明しなさい。そのうえで,上記過払金返還債務の承継の可否について説明しなさい。
Q45|質契約における過払金返還請求の可否
 Xは,Y(質屋)に対し,平成22年2月1日から同年5月10日までの間5回にわたり,ロレックスの腕時計及びルイヴィトンのバッグを質入れするとともに,質屋Yとの間で金銭消費貸借を締結して金銭を借り入れ,流質期限前にその弁済を終えた。その後,Xは,Yに対し,利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,その過払金の返還を求める訴訟を提起した。
 質店Yのなしうる主張について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。そのうえで,Xの過払金返還請求の可否について説明しなさい。
Q46|破産免責者の過払金返還請求
 Xは,自己破産手続において免責を得た後,貸金業者Y(同破産手続の債権者一覧表に掲記済み)に対し,過払金の返還を求める訴訟を提起した。
 Yのなしうる主張について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。そのうえで,Xの過払金返還請求の可否について説明しなさい。
Q47|連帯保証人による過払金返還請求の要件事実
 連帯保証人が行う過払金返還請求の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。
Q48|時効消滅している過払金返還請求権による相殺の可否
⑴ Xは,平成6年から平成8年まで,貸金業者Yとの間で,利息制限法の制限利率を超える利息の約定で継続的金銭消費貸借取引を行い,その取引によって,取引終了の時点(平成8年1月)で,20万円の過払金が生じていた(XのYに対する過払金返還請求権を,以下「本件過払金債権」という。なお,本件過払金債権については,平成18年1月に消滅時効期間が経過している)。
⑵ そして,Xは,平成15年1月に,貸金業者Yから新規に180万円を借り入れ,この金銭消費貸借契約(以下「本件貸金契約」という)には,平成25年まで毎月1日に約定の元利金を分割返済し,その返済を1回でも怠れば期限の利息を失うと定められていた。Xは,平成22年6月1日の返済を怠ったため,期限の利益を失った。この時点でのXのYに対する貸金債務は50万円であった。
⑶ Yは上記⑵の貸金について返還請求をしたが,Xは,平成23年6月に,Yに対して本件過払金債権(利息を含む)27万円を自働債権とし本件貸金契約の残債務を受働債権とする相殺を行い,相殺後の残債務につき返済すると主張した。
  このようなXの相殺の主張は認められるか。

第5章 求償金請求訴訟の概要
〔1〕 連帯債務者の求償金請求訴訟
⑴ 連帯債務における求償権と負担部分  ⑵ 連帯債務における求償権の成立  ⑶ 連帯債務における求償権の行使  ⑷ 連帯債務者の弁済と法定代位
〔2〕 保証人の求償金請求訴訟
⑴ 保証人の求償権  ⑵ 委託を受けた保証人(受託保証人)の求償金請求  ⑶ 委託を受けない保証人の求償金請求  ⑷ 主たる債務者が複数いる場合の求償権  ⑸ 保証人が複数いる場合(共同保証)の求償権

第6章 求償金請求訴訟に関するQ&A
Q49|求償金請求の要件事実
 保証債務を履行した連帯保証人が行う主債務者に対する求償金請求の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。
Q50|代位弁済者による原債権・連帯保証債権についての給付請求訴訟
 代位弁済者が弁済により取得する求償権と弁済による代位により取得する原債権及び担保権との関係を説明するとともに,代位弁済者による原債権又は連帯保証債権についての給付請求訴訟において,請求が認容された場合の判決主文の記載例を示しなさい。
Q51|連帯債務者が利息制限法を超える利息を弁済した場合の求償額
 連帯債務者が利息制限法を超える利息を弁済した場合,他の連帯債務者に対して求償しうる金額はどうなるか,説明しなさい。
Q52|事後求償権の消滅時効
 Aは,Yに対し,100万円を貸し付けた。Xは,Yとの間の保証委託契約による委託を受け,YのAに対する貸金債務を連帯保証した。
 しかし,Yの振り出した約束手形が不渡りとなったため,上記保証委託契約における合意(契約書面中には,手形が下渡りになったとき,Xが事前求償権を取得するとの条項がある)によって,Xは,Yに対する事前求償権を取得したものの,Aに対し,連帯保証債務を履行したため,Yに対する事後求償権をも取得した。
 この場合,事後求償権の消滅時効はいつの時点から進行を開始するのか,説明しなさい。

第7章 その他の訴訟
Q53|請求異議訴訟の要件事実と防御方法
 貸金請求訴訟の確定判決や,債務弁済契約公正証書(強制執行認諾条項あり)に基づく強制執行に対する請求異議訴訟(民執35条)の要件事実について説明するとともに,その訴状(請求の趣旨及び原因)の起案例を示しなさい。また,被告の防御方法について説明するとともに,その主張書面の起案例を示しなさい。
Q54|不当利得保全のための債権者代位訴訟
 Aは,Bから出資金として300万円を詐取されるという不法行為に基づいて,Bに対し,出資金の一部である100万円の損害賠償債権とこれに対する平成17年3月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金債権を有していた(確定給付判決あり)。
 後日,Aは,Xに対し,上記損害賠償請求債権と遅延損害金債権(以下「本件代位原因債権」という)を譲渡した。
 Cは,平成15年6月13日,Bとの間で,弁済期同月30日,利息として10万円を支払う旨合意した上で,Bに対し,50万円を貸し付けた(以下「本件合意」という)。Bは,平成15年6月30日,Cに対し,元利金60万円を弁済した。
 Xは,)楫鏐膂佞蓮で405%を超える利息の利率が合意されているから公序良俗に違反して無効である,■辰Bから受領した60万円は不当利得となり,その受領についてCは悪意の受益者である,Bには上記不当利得債権及び法定利息債権以外に本件代位原因債権を満足にさせるに足りる財産はないと主張して,Bに代位して,Cに対し,60万円及びこれに対する利得の日の翌日である平成15年7月1日から支払済みまで年5分の割合による利息の支払を求める訴訟を提起した。
 Cは,10万円は利息ではなく,50万円の弁済を受けた後に,D(Cの知人であって,融資を必要とするBへの貸付けを頼んだ者)から,謝礼として受け取ったものであると主張した。
 上記債権者代位訴訟の帰趨について説明しなさい。

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