青林書院



Q&A 子どもをめぐる離婚事件実務 - 弁護士が知っておくべき基礎知識-


Q&A 子どもをめぐる離婚事件実務 - 弁護士が知っておくべき基礎知識-
 
編・著者相原佳子 編
判 型A5判
ページ数338頁
税込価格4,104円(本体価格:3,800円)
発行年月2015年08月
ISBN978-4-417-01664-9
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■解説
46のQ&Aでわかりやすく解説! 実務の全体像を短時間で把握できる!
豊富な実務経験から抽出された,子どもがいる夫婦の離婚事件の具体的な
「わかりにくい」「知っておくべき」を凝縮。入門書として最適!


はしがき

昭和22年の現行民法への改正から約70年が経過し,この間,わが国の家庭は大きな変貌を遂げています。家族のあり方は社会経済状況の変化に伴い,大家族から核家族へと移行するとともに子どもの数も減少し,現在,両親と子どもが一人ないし二人という家庭が圧倒的に多くなりました。また,家族の問題を規定している家族法においては,現憲法に定められた個人の尊重,両性の本質的平等の理念の下で,家庭裁判所が大きな役割を果たすことが期待されています。
この間,さらに,新しい家庭の姿や家庭観の変化を受け,民法は配偶者の相続分の引き上げ,成年後見制度の導入等の新しい改正が行われました。
ところが,上記のようなわが国の家族のあり方や家族間の問題の解決のための制度に変容がありながら,離婚時における子どもの問題というのは,意外なほど大きな動きのないまま来てしまったと言えるかと思います。
しかし,平成6年の子どもの権利条約の実施や,多くの研究者・実務家や,判例等からの指摘もあり,両親の離婚時において,その間の子どもも1人の人間としてその権利が尊重されるべきであり,そもそも,親権の概念について,子どもの利益を中心に考えるべきであるという考え方が明確になってきたと考えられます。
また,近時,人事訴訟法の制定(平成15年法律第109号・平成16年4月1日施行),民法の親権に関する規定の改正(平成23年法改正),家事事件手続法の制定(平成23年法律第52号・平成25年1月1日施行)等と実体法,手続法の制定や改正が相次いでなされました。
さらに,海外との関連でいいますとハーグ条約が締結され,同条約の実施法が制定され,平成26年4月には実施の運びとなりました。
このような状況下において,未成熟子がいる夫婦の離婚事件を担当する法律家が離婚事件において心に留めておくべきではないかと考えられることをまとめてみようと本書を企画いたしました。
本書では,離婚時の子どもの問題に関して理解しておいていただきたい事項を取り上げるとともに,そこでは,子どもはどういう権利を有する存在なのか,家庭裁判所に案件が持ち込まれた場合にどのような手続がとられ,その際何に配慮しなければならないか,そして,最近問題となっている,面会交流,養育費の定め方等を解説しています。
本書に取り上げた内容につきましては近時非常に動きのあるところでもあり,広い裁量権を持つ家庭裁判所に対して,より適切な判断を積極的に働きかけていただきたいと思います。一方,筆者らの経験では,離婚事件では,依頼者である父ないし母に対し,いかに子どもの利益を一番に考えるように説得するかが難しい仕事だと思います。依頼者の意向を汲みつつも,本書を参考に自ら権利主張できない子どもの利益を守る必要があることを説明していただければ幸いです。
本書では,離婚時の子どもの心理について村瀬嘉代子先生(大正大学名誉教授・客員教授)から貴重なご意見(コラム1参照)をいただきました。読者におかれては,是非,お読みいただきたいと存じます。
最後に,本書の刊行については,株式会社青林書院編集部加藤朋子さんには,多大なご尽力をいただきました。改めて感謝申し上げます。

平成27年7月
相原 佳子


編者
相原 佳子:野田記念法律事務所

執筆者
石黒 清子:野田記念法律事務所
佐野みゆき:野田記念法律事務所

松川 陽子:野田記念法律事務所
小池 知子:あたらし橋法律事務所

■書籍内容
目 次

第1 総   論
Q01 家事事件における親と子ども
   子どもは法的にはどのような権利主体として考えられているのでしょうか。民法における親の子どもに対する権利,義務については,どのような考え方の変遷があるのでしょうか。
Q02 子どもの権利条約
   国際的には,子どもにはどのような権利が認められているのでしょうか。子どもの権利条約の中で家事事件における子どもの問題に関わる内容にはどのようなものがあるのでしょうか。
   ●コラム1●親の離婚と子どもの心
   ●コラム2●離婚事件における子どもの問題の傾向

第2 離婚手続
Q03 離婚事件に適用される手続法
   離婚事件が司法判断される場合の手続法は,通常の私人間の事件に適用される手続法とは違うのですか。
Q04 家事事件手続法の概要と子どもの問題
   平成25年に施行された家事事件手続法は,どのような目的で制定された法律なのでしょうか。また,その中で,離婚時の子どもの問題については,どのような規定がなされたのでしょうか。
Q05 家事調停
   家事調停はどのように進行されているのでしょうか。
Q06 家事審判
   家庭裁判所における審判手続を説明してください。
Q07 審判前の保全処分
   審判前の保全処分とは何でしょうか。
Q08 離婚事件における職権探知主義と子どもの問題
   離婚事件における子どもの問題,特に,父母のいずれもが親権を主張した場合に,その判断をするための資料は,当事者の主張立証のみにゆだねられるのでしょうか。
   例えば,審判において裁判所が自ら子どもの問題を調査して判断するということは実施されているのでしょうか。
Q09 離婚事件における記録の閲覧及び開示について
   人事訴訟法や家事事件手続法の制定により,従来の書面の取扱いや記録の開示に変更があったとのことですが,子どもの問題を中心に,調停・審判・訴訟において書面の取扱い,記録の開示について,基本的な考え方と,気をつけるべき点を教えてください。
Q10 離婚事件における子どもの問題と附帯処分
   未成年の子どもがいる離婚訴訟において,被告が原告の離婚請求自体について離婚原因がないと争っていた場合,すなわち,子どもの親権者をいずれにすべきかについて被告からの主張がない場合に,原告被告のいずれを子どもの親権者とするかの判断はどの段階でなされるのでしょうか。
Q11 DV防止法(接近禁止命令)と子ども
   夫の暴力に耐えかねて子どもとともに別居している妻に対し,夫が妻の別居先の新住所をつきとめ「子を引き渡せ」と執拗に要求し,言動がエスカレートしてきています。夫が子の通園先に現れ,子を連れ去ることを防止する手段はないのでしょうか。
   ●コラム3●離婚事件における法テラスの利用1――立替え・償還(着手金について)
   ●コラム4●法テラスの利用2――具体的な報酬金
   ●コラム5●法テラスの利用3――DVで避難しており,婚姻時の住居とは異なる他の地域に居住しているときの離婚裁判と代理人の選任について
   ●コラム6●裁判所を利用して解決をするかどうかの見極めについて

第3 親権・監護権
Q12 総論(親権・監護権とは)
   離婚のときに,親のどちらかに親権者を決めなくてはいけないといいますが,親権者でなくなるということは親でなくなるということなのでしょうか。逆に子どもの扶養の義務を負わなくてもよいということなのでしょうか。
Q13 親権・監護権に関する民法改正
   平成23年民法等一部改正はどのような内容だったのでしょうか。
Q14 単独親権制度と共同親権制度
   親権制度には単独親権と共同親権があると聞きました。どのように異なるのでしょうか。
Q15 親権者を定める判断基準について
   離婚の裁判に際して親権者を定めるについて,どのような基準で決めることとなるのでしょうか。
Q16 親権と監護権の分属
   離婚をするにあたり,子どもを引き取って育てるのは母である私ですが,子どもの親権者は父親にするつもりです。私に監護権を付与してもらうことはできますか。
Q17 親権の変更
   離婚の際,未成年の子の親権者を父と決めましたが,母に変更することはできるのでしょうか。できる場合,その基準を教えてください。
Q18 親権・監護権と祖父母
   離婚した際,娘は孫の親権者となりました。それ以降,祖父母である私たちと娘と孫とで暮らしていましたが,娘が子どもをおいて出て行ってしまいました。祖父母である私たちがそのまま孫の監護を続けるにはどうしたらいいですか。
   ●コラム7●離婚調停・訴訟の代理人として受任している事件のなかで児童虐待が判明したとき
   ●コラム8●父子関係に関する最高裁判例
   ●コラム9●祖父母の役割

第4 子どもの意見表明権
Q19 子どもの手続関与
   親権者指定が必要な離婚調停や面会交流といった監護に関する処分調停・審判事件のなかで,子どもは,どのように自分の意向を手続に反映させることができるのでしょうか。
Q20 親の離婚と子どもの権利,子どもの意見表明権との関係
   親の離婚と子どもの権利の関係は? また,両親の離婚に巻き込まれた子どもには意見を表明する権利はあるのでしょうか。
Q21 子どもの手続代理人
   親権者指定が必要な離婚調停や面会交流といった監護に関する処分調停・審判事件の手続に,子どもが参加した場合,子どもに代理人をつける制度があると聞きましたが,どのように代理人が選任されるのでしょうか。
   また,選任された手続代理人はどのような活動を行うのでしょうか。
Q22 子どもの手続代理人制度の課題
   子どもの手続代理人制度は今後どのようになっていくのでしょうか。今後の課題はあるのでしょうか。

第5 子どもの連れ去りと引渡し
Q23 子どもの引渡しを求める方法
   配偶者が,子ども(未成熟子)を連れて,出て行ってしまいました。子の引渡しを求める手続としては,どのようなものがありますか。
Q24 家事事件手続法による子どもの引渡し
   家事事件手続法に定められた子の引渡しについて説明してください。
Q25 子どもの引渡しと人身保護法
   実力行使による子どもの奪取の問題等において,人身保護法を根拠として子どもの引渡しを求めることができるでしょうか。
Q26 子どもの連れ去りと刑事事件
   離婚事件の渦中にある親や他の親族が実力行使して子どもを他の親から奪取したケースに関して刑事処罰がなされることはあるのでしょうか。
Q27 子どもの引渡方法(執行について)
   裁判所において「子を引き渡せ」という判決や決定等が出された後,同判決等の執行として,「子どもの引渡し」はどのような方法がとられているのでしょうか。
Q28 国境を越える子の連れ去り事案(ハーグ条約等について)
    国境を越える子の奪取に関して,ハーグ条約を締結した場合には,どのように取り扱われるのでしょうか。国際間の子の奪取の問題の考え方を教えてください。
   また,ハーグ条約で子どもを返還することになった場合の親権や監護権等を判断するのはどの国になるのかについて,どのようなルールがあるのでしょうか。
Q29 子の返還の執行手続(ハーグ案件ケース)
   子の引渡しを求める手続としては,ハーグ案件の場合には,どのような執行手続が規定されていますか。

第6 離婚後の子ども
Q30 子の姓と戸籍
   私は夫と離婚をしました。子どもの姓や戸籍はどうなりますか。
Q31 連れ子養子の問題
   私は,娘が8歳のときに,夫と離婚しました。現在娘は10歳ですが,私には,幸い,新たに出会いがあり,今,再婚を考えています。
   元夫と娘は,月1回の面会交流をしており,養育費も一応支払われています。
   姓が私と同一になった方が生活をする上でも好ましいため,夫には私の娘と養子縁組をしてもらおうと考えています。そして,できれば,元夫には,再婚相手への配慮も必要なので,娘とのかかわりを控えてほしいと思っています。
   何か支障があるでしょうか。

第7 面会交流
Q32 面会交流の法的性質
   10年間連れ添った妻との間に,7歳と3歳の子どもがいましたが,半年前に協議離婚しました。子どもたちがまだ小さいことや妻の強い希望もあって,父親である私は,時々子どもたちと会って交流をもちながら,その成長を見守ることができればよいと思い,親権者は妻にすることに同意しました。ところが,離婚が成立してしまうと,妻は,私が,再三にわたり,子どもたちに会いたいと頼んでも,いっこうに聞き入れてくれません。私の親も,「孫に会えないのは辛い」と,嘆いています。親権がないと,実の親や祖父母であっても,子どもや孫に会うことはできないのでしょうか。
Q33 面会交流を求める方法
   私には2人の子どもがいますが,妻と離婚した後,親権者として子どもを監護している妻に,子どもとの面会を求めても拒否され,困っています。家庭裁判所に申し立てるとよいともといわれましたが,どのような手続でなされるのでしょうか。家庭裁判所以外での手続はできるのでしょうか。
Q34 家庭裁判所における面会交流許否の判断
   家庭裁判所における面会交流許否の判断はどのようになされるのでしょうか。
   あわせて,面会交流を支援する機関を教えてください。
Q35 面会交流時に代理人として配慮すべき事項
   面会交流を困難にする要因としてはどのようなものがあるでしょうか。
   こうした要因があるケースで当事者代理人弁護士としては,どのような点に留意すべきでしょうか。
Q36 面会交流の強制的実現
   調停や審判において面会交流の取決めがなされたにもかかわらず,監護親がそれを履行しない場合,強制的に面会交流を実現させる方法はあるのでしょうか。
Q37 面会交流不履行への間接強制の適用
   最高裁で面会交流の間接強制が認められた決定と認められなかった決定があったと聞きました。どういうことですか。
   ●コラム10●試行的面会交流
   ●コラム11●FPIC

第8 養育費
Q38 養育費算定の実務
   協議離婚に際しても,子の監護に要する費用の分担,すなわち養育費につき,協議で定めることが明文化されたと聞いていますが,実際に,養育費は,どのように決めるべきなのでしょうか。
   また,その始期,終期はどのように定められるのでしょうか。
Q39 養育費決定上の課題
   算定表によって養育費が決定されているのが現在の実務ということでしたが,個別の事情は考慮されないのでしょうか。また,算定表による算定額はそもそも適正といえるものなのでしょうか。
Q40 養育費履行確保への課題
   調停離婚する際,子の養育費額を定め,調停調書を作成しました。1年ほどは支払がなされていたものの,その後支払がなされなくなりました。
   払ってもらうにはどのような手段があるのでしょうか。
   また,所在や勤務先が不明な場合にはどうしたらよいのでしょうか。
   ●コラム12●各種手当等
   ●コラム13●養育費相談支援センターとは

第9 海外の制度(面会交流,養育費)
Q41 ドイツ
   ドイツにおける面会交流と養育費などについて教えてください。
Q42 フランス
   フランスにおける面会交流や養育費などの制度を教えてください。
Q43 イギリス
   イギリスにおける面会交流・養育費の制度を教えてください。
Q44 韓国
   韓国での面会交流・養育費の制度を教えてください。
Q45 オーストラリア
   アメリカにおける面会交流と養育費などについて教えてください。

   事項索引

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