青林書院



民事執行法 


民事執行法 
 
編・著者中野貞一郎・下村正明 著  
判 型A5判
ページ数928頁
税込価格10,584円(本体価格:9,800円)
発行年月2016年01月
ISBN978-4-417-01671-7
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■解説
中野『民事執行法』が新たな進化を遂げて執行制度の理論と実務をリードし続ける!

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はしがき
このたび,私と下村正明教授が,連名の執筆のもとに「民事執行法」と題して,本書を刊行する運びとなった。
古くから「強制執行は法の究極」といわれてきたが,法学の世界では,研究者も学術資料も寥寥たるもので,なにかを考えるには母法ドイツの文献に頼らないわけにはゆかず,執行制度としても,一般の経済社会から機能的に隔絶され,執行実務に光があたることも絶えない,という状況が長く続いたのである。やがて,新たな民事執行法(昭和54年法律4号)の施行に従うことができた。それが,われわれの必要な活動であり,私にも,1983(昭和58)年に青林書院・現代法律学全集23として「民事執行法」を刊行する機会を得,その後長い間,広い世界を見ながら次々に扱うことができた。今日,それを見上げて,今後も継続しながら,独立に,「民事執行法」の全てを追求してゆかなければならない。いま,われわれに,新たな道が待っている。同友の下村正明教授も,この「民事執行法」に諸般の新たな信望を重ねつつある。
ご承知のとおり,民事執行法では,強制執行,担保権実行としての競売および形式競売の3種類の手続を一つの法律で規律し,さらに,平成15年の改正により金銭執行の準備のための手続である財産開示手続を加えている。この4種類の手続を総称する概念が「民事執行」である(民執1条)。
民事執行のなかの強制執行手続には,金銭執行と非金銭執行がある。金銭執行には,「不動産執行―動産執行―債権その他の財産権に対する執行」があり,非金銭執行には,実現すべき請求権の内容の手続として,「不動産の引渡し・明渡し―動産の引渡し―代替的作為―非代替的作為―不作為―意思表示」という種類がある。このような強制執行も,債務者への強制の態様によれば,「直接強制―代替執行―間接強制」の種類がある。そのような執行であっても,その執行の対象となる財産の性質に応じて手続方式に異同があるし,非金銭執行で金銭の支払を目的としない請求権の満足のための執行では,請求権の目的の差異に応じて,それらの多様な執行手続の間にも共通性がないのではないか。多様な問題が生ずるであろう。
民事執行についての法規整は,民事執行法(昭和54年法律4号)および民事執行規則(昭和54年最裁規5号)を中心として,多数の法律・規則等のなかに存在し,それらの規定のほとんどは強行法規なのであるが,近時に至って,執行機関の裁量的な規制によって衡平・妥当な権利の実現を図らなければならない局面が増え,民事執行についても,利害関係人の基本的人権の保護が問題となっている等,今後の展開を検討しなければならない。 
さらに,民事執行は,正規の執行機関が行う公正な手続による債権回収として注目され,枢要な地歩を固めている。民事執行事件の増加や運営改善,立法による手続改革なども相次いで実施され,なおも今後の動向への期待は大きい。それを別として,執行の国際化がある。国際取引が著しく緊密化して国際的な貸付や投資が盛んに行われ,資産の国際的分散が進む現在,国際民事執行の問題も,ますますクローズ・アップされつつある。そのなかで,最近,国連国家免除条約(2004年)に準拠したわが国の対外国民事裁判権法が成立したことなどが,重要なインパクトを与えることになろう。
 その他の法改正により,仮差押え・仮処分に関する部分は1989(平成元)年に民事保全法が,仲裁手続に関する部分は2003(平成15)年に仲裁法が,公示催告手続に関する部分は2011(平成23)年に非訟事件手続法第4編が,それぞれ変更されている。
 長期に亘って本書にかわらぬ支援を頂いている青林書院の逸見慎一社長およびこれまで幾たびも版を重ね,長く編集を担当して頂いている同社編集部の宮根茂樹氏には,心より厚く御礼を申し上げる。

平成27年12月12日
中野 貞一郎 



著者紹介
中野 貞一郎:東京大学法学部卒業大阪大学名誉教授
       日本学士院会員

下村 正明:大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学
      関西大学法科大学院教授

■書籍内容
目 次
序章 民事執行の世界
機ー更圓繁
供ー更圓反祐
掘ー更圓鳩从兌匆
検ー更圓旅餾櫺

第1編 民事執行通論

第1章 民事執行の基本構造
 第1節 民事執行の実体面と手続面──執行債権・民事執行権・民事執行請求権
 第2節 執行名義と反対名義──提出責任の分配
 第3節 手続としての民事執行──差押え・換価・満足

第2章 民事執行の機関
 第1節 執行機関の構成
 第2節 執行裁判所
 第3節 執行官
 第4節 執行共助機関

第3章 民事執行の規律と法的性質
 第1節 民事執行法規
 第2節 民事執行における訴訟的要素と非訟的要素

第4章 執行抗告と執行異議──その他の手続通則
 第1節 執行機関の処分に対する不服申立て
 第2節 執行抗告
 第3節 執行異議 
 第4節 その他の手続通則

第2編 強制執行総論

第5章 執行債権

第6章 執行当事者
 第1節 執行債権者・執行債務者
 第2節 執行当事者の能力
 第3節 執行当事者の適格
 第4節 執行適格の変動と当事者の地位

第7章 強制執行の要件(その1)──債務名義その他
 第1節 執行要件の構成
 第2節 債務名義──総説
 第3節 各種の債務名義──判決・決定・命令・調書等
 第4節 各種の債務名義──執行判決付外国判決・執行決定付仲裁判断
 第5節 各種の債務名義──執行証書

第8章 請求異議の訴え
 第1節 総 説
 第2節 請求異議の事由
 第3節 訴訟手続

第9章 強制執行の要件(その2)──執行文
 第1節 総 説
 第2節 執行文付与の要件
 第3節 執行文付与の手続
 第4節 執行文付与に関する救済

第10章 強制執行の対象──第三者異議の訴え
 第1節 責任財産
 第2節 第三者異議の訴え

第11章 強制執行の開始・停止・終了
 第1節 執行手続の職権進行
 第2節 強制執行の開始
 第3節 強制執行の停止
 第4節 強制執行の終了

第3編 担保執行総論

第12章 担保執行の基礎
 第1節 担保執行の方法
 第2節 担保権と換価権

第13章 担保執行の要件
 第1節 総 説
 第2節 担保権存在の法定証拠

第14章 担保執行の構造
 第1節 執行当事者
 第2節 担保執行の手続
 第3節 抵当権消滅請求と抵当権実行
 第4節 担保執行に関する救済
 第5節 競売等の公信的効果

第4編 強制執行各論・担保執行各論

第15章 不動産の強制競売・担保競売
 第1節 総 説
 第2節 不動産競売の開始 ── 差押え
 第3節 売却条件
 第4節 売却の準備
 第5節 売 却
 第6節 執行競合・配当要求
 第7節 配 当
 第8節 引渡命令

第16章 不動産の強制管理・担保収益執行
 第1節 総 説
 第2節 管理・収益執行の手続
 第3節 執行競合・配当要求
 第4節 配当──管理・収益執行の終了

第17章 準不動産執行
 第1節 船舶執行
 第2節 航空機執行・自動車執行・建設機械執行・小型船舶執行

第18章 動産執行
 第1節 総 説
 第2節 差押えと換価
 第3節 執行競合・配当要求
 第4節 配 当
 
第19章 権利執行
 第1節 総  説
 第2節 権利の被差押適格──差押禁止債権
 第3節 金銭債権の差押え
 第4節 金銭債権の換価
 第5節 執行競合・配当要求
 第6節 配 当
 第7節 少額訴訟債権執行
 第8節 電子記録債権に対する強制執行
 第9節 物引渡請求権に対する執行
 第10節 各種財産権執行

第20章 扶養料等債権についての間接強制執行

第21章 形式競売および非典型担保権の実行
 第1節 形式競売
 第2節 非典型担保権の実行

第22章 非金銭執行
 第1節 物引渡義務の強制執行
 第2節 作為・不作為義務の強制執行
 第3節 意思表示義務の強制執行

第5編 準備執行論

第23章 財産開示執行
 第1節 総 説
 第2節 財産開示執行の要件
 第3節 財産開示執行の手続
 第4節 財産開示執行の終了
  
判例索引/事項索引

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