青林書院



建築紛争 判例ハンドブック


建築紛争 判例ハンドブック
 
最新重要判例から紛争予防と問題解決の実務指針を探る。
編・著者犬塚 浩[編集代表] 編
判 型A5判
ページ数404頁
税込価格4,968円(本体価格:4,600円)
発行年月2016年07月
ISBN978-4-417-01688-5
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■解説
平成20年以降の判例・裁判例の中から,設計・監理を
めぐるトラブルや,建築工事の瑕疵に関する紛争を中心に,
実務上とくに押さえておきたい重要判例69を厳選。
法律実務家,住宅・建築分野関係者必携の一冊。


はしがき
今年3月に,今後10年の住宅政策の指針である「新たな住生活基本計画」
が国土交通省により策定されました。その内容は多岐にわたりますが,住宅
ストック活用型市場への転換に重点がおかれています。
その一方で新築住宅の着工件数は,今後減少傾向にあるとの分析がなされな
がらも,近年約90万戸前後で推移しています。かつての120万戸を超え
る時代の再到来はないものの,新築住宅に対する庶民の夢はおとろえておら
ず,今後も新築住宅の供給は堅調に進むものと思われます。
私は今年4月で弁護士登録24年目を迎え,その大部分を住宅紛争処理に費
やしてまいりました。
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平成12年4月に施行された住宅品質確保促進法の制定に携わる機会をいた
だき,その後住宅瑕疵担保履行法の制定にも携わりました。
その他,社会資本制度の審議会の住宅部会など公的な会議へも出席させてい
ただき,色々な観点から住宅業界を分析する機会を頂戴いたしました。そし
て,法曹の一員である自分が住宅業界の発展にどのように貢献することがで
きるのかを考えた時に,「紛争の予防と迅速な問題解決を実現すること」が
その使命であると痛感いたしました。
 この問題意識は欠陥住宅の事件を扱った登録2年目以降私の主要なテーマ
であり,その大きな解決策として,交通事故の分野において存在する赤い本
に象徴されるような綿密な判例分析が不可欠であると思いました。
そこで,財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの編集協力もいた
だいた上で,平成15年12月に『建築瑕疵紛争処理 損害賠償額算定事例
集』(ぎょうせい)を同僚・後輩弁護士4名と共に執筆しました。この分析
はその後も続け,本年5月に(裁判例調査協力を含む)若手弁護士7名を得
て『Q&A建築瑕疵損害賠償の実務』(創耕舎)において約230個の判例
を分析する作業を実施いたしました。
判例数には限界があることから,平成23年3月には,過去の保険事故事例
約5000件を整理した『住宅の保険事故事例集―住宅の欠陥に関する補修
費用の傾向―』(住宅の保険事故事例集検討委員会)(ぎょうせい)を主査
という立場において発刊しました。
 このように補修費用を中心とした金額の分析を進める一方で,それぞれの
判例の個性に着眼した判例集の存在の必要性を感じました。
損害賠償についてはそれぞれの事案により,担当する裁判官が多種多様な検
討を加えて判断いたします。その為,判例の事案一つ一つに詳細に着目した
文献の必要性を感じたのです。
ただしこの作業は私一人では行うことはもちろんできません。建築紛争に造
詣の深い訴訟の現場を熟知していると確信できる弁護士の協力を得る必要が
あります。幸い私は弁護士会の住宅紛争審査会の委員長等を担当することで
同様の問題意識を持った優秀な弁護士と出会うことができました。
そこで,睫攘亜さ榲諜噌犬粒栃杆郢里鯤埆鍵儖として,最近の重要判例を
ピックアップし,サンプルを作成した上で各担当者に分析を依頼しました。
各担当者は短期間で判例の分析,執筆を担当してくれました。
執筆準備可能な最も最近の判例までピックアップいたしましたのでその判例
の中身とその分析された内容は実務に大きな影響を与えるものと確信してお
ります。
 編集委員,執筆者の皆さんに心よりお礼を申し上げるとともに,読者の皆
さまの実務活動に貢献できることを心から願っております。
  
平成28年(2016年)7月
弁護士 犬 塚  浩 
▲たたむ



【編集代表】
犬塚  浩(弁護士 京橋法律事務所)
  
【編集委員】
睫據 〃亜癖杆郢痢●睫攘伊[Щ務所)
宮田 義晃(弁護士 京橋法律事務所)
  
【執筆者(執筆順)】
山田 敏章(弁護士 石井法律事務所)
楠   慶(弁護士 ひかり総合法律事務所)
稲垣  司(弁護士 石井法律事務所)
堀岡 咲子(弁護士 第一中央法律事務所)
大橋 正典(弁護士 愛宕山総合法律事務所)
宮田 義晃(上掲)
竹下 慎一(弁護士 竹下法律事務所)
南淵  聡(弁護士 九段北シティ法律事務所)
村井美樹子(弁護士 石井法律事務所)
石橋 京士(弁護士 津の守坂法律事務所)
吉田可保里(弁護士 T&Tパートナーズ法律事務所)
睫據 〃亜幣綏如
宗像  洸(弁護士 東京赤坂法律事務所・外国法共同事業)

■書籍内容
第1章 瑕疵担保責任
  
第1 瑕疵の認定
1 大量の産業廃棄物が埋設されている土地の売主の瑕疵担保責任
2 後の法改正により使用禁止となった床材の使用と瑕疵担保責任
3 土地の地盤に関する瑕疵担保責任の成否
4 雨漏りと新築住宅の瑕疵
5 傾斜建物における売買契約解除の成否
6 通常の方法でピアノを搬入できない施工の瑕疵該当性
7 ガケ条例に基づく擁壁設置義務と隠れた瑕疵
8 専門委員の説明と瑕疵の認定
9 品確法94条1項の瑕疵該当性
10 コンクリート杭と六価クロムの存在する土地の売買契約における瑕疵
  の有無
11 マンションの共用部分の瑕疵(否定)
12 行政による建築基準法の解釈の変遷・違いと法律上の瑕疵
13 大雨洪水警報発令時の雨水の浸入による損害と瑕疵担保責任
14 老朽化設備による瑕疵担保責任
15 契約と異なる材料の混入と瑕疵
16 設計図書と異なる施工と瑕疵

第2 契約の有効性・仕事の完成をめぐる紛争

17 建物建築請負契約における工事完成の有無
18 地下横断歩道タイル張工事の瑕疵及び瑕疵担保責任の期間
19 建築基準法違反の建物の請負工事契約の有効性
20 建設業許可不取得と請負契約の成立
21 監理契約,工事請負契約の成否と設計の瑕疵の存否
22 請負代金請求・瑕疵修補に代わる損害賠償請求
23 請負契約の一部解除の可否

第3 建替えの要否をめぐる紛争
24 住宅の不同沈下と建替えの要否

第4 請負代金をめぐる紛争
25 注文と異なるリフォームの場合の請負代金請求の可否
26 建築予算規模の増額と設計者の債務不履行責任

第5 責任主体
27 建築確認申請書の工事監理者欄に自己の名前を記載することを許容し
  た建築士の不法行為責任
28 建物の設計監理者の不法行為責任
29 耐震強度偽装がされた建築確認申請につき,建築確認を行った建築主
  事の注意義務違反
30 建替えが必要な瑕疵がある場合の売主,施工者等の責任
31 建物の設計監理者の第三者に対する不法行為責任
32 請負契約書上の監理者の責任
33 新築住宅の瑕疵に関する住宅瑕疵担保責任保険法人の責任
34 構造計算書・構図の誤りに基づく設計会社及び建築確認をした市の責
  任
35 建築主事の建築主に対する注意義務
36 建築確認に関する建築主事の法的義務

第6 損害の認定
37 建替費用相当額の損害賠償請求における居住利益の控除の可否
38 補修費用が建替費用を上回る場合の損害額
39 フローリングの修補の範囲

第7 時効・除斥期間
40 瑕疵ある建物建築から20年以上経過後に損害が生じた場合の不法行
  為に基づく損害賠償請求権の除斥期間の起算点

第2章 不法行為責任・説明義務違反
第1 建物の基本的安全性
41 設計施工を行った会社の不法行為責任
42 不法行為が成立する建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵の意義

第2 シックハウス・アスベスト
43 シックハウス症候群等とマンション開発業者の不法行為責任
44 アスベスト露出が通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになっ
  た時期及び建物所有者兼賃貸人の民法717条1項にいう「占有者」該
  当性
   
第3 耐震偽装
45 耐震偽装に関する設計者の責任
46 耐震強度偽装に関する関係者らの責任

第4 説明義務違反
47 宅建業法における建築基準法・都市計画法に基づく調査義務違反
48 自殺物件における宅建業者の調査義務と説明義務

第5 その他
49 建築業者による違法建築行為の,建物所有者に対する不法行為該当性
50 マンション建設中の死亡事故を理由とする信義則違反に基づく契約解
  除
     
第3章 区分所有建物関係
51 区分所有法62条2項4号「再建建物の区分所有権の帰属に関する事
  項」の趣旨
52 区分所有建物の建替え決議の無効確認
53 国土交通省が作成した「マンションの建替えに向けた合意形成に関す
  るマニュアル」によらない建替決議の適法性
54 区分所有法31条1項違反を理由とする決議無効確認訴訟における確
  認の利益の有無
55 マンション管理組合による内装工事中止要求の不法行為該当性
56 マンション管理費に関する決議の有効性と管理費等の消滅時効
57 区分所有者の管理組合に対する大規模排水管更新工事差止請求
    
第4章 環境・景観
58 近隣住民の景観利益の侵害とマンションの一部除却・損害賠償請求の
  可否
59 建物解体工事による騒音被害と工事会社の不法行為責任
60 景観,平穏生活侵害を理由とする建物外壁撤去請求の可否
61 マンション建築による風害に対する人格権に基づくフェンス設置の請
  求,損害賠償の可否
62 建物に基本的安全性を損なう瑕疵があることを理由とする人格権に基
  づく妨害予防請求の可否
63 下水道工事と住宅の不同沈下との間の不法行為における因果関係の有
  無
64 共用部分の改修工事に対する反対区分所有者の協力義務
  
第5章 その他  
第1 労務関係
65 転落事故と安全配慮義務違反

第2 行政関係
66 総合設計許可における行政庁の裁量

第3 震災関係
67 地震免責条項適用の可否
68 売買契約後に天災地変によって生じた建物傾斜に関する仲介業者の調
  査義務
69 東日本大震災液状化に関する売主の責任

《判例索引》

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