青林書院



時代と学問と人間と-追想のなかの恩師・知友たち


時代と学問と人間と-追想のなかの恩師・知友たち
 
編・著者樋口 陽一 著
判 型四六判
ページ数208頁
税込価格2,700円(本体価格:2,500円)
発行年月2017年05月
ISBN978-4-417-01711-0
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■解説
自己形成の道ゆきでの導き人との出会い。
憲法学者が回想する故人の群像。

まえがき
恩師・知友とのこの世のお別れに際し、あるいはそれらの方々との出会いを
あらためて回想して感謝の思いと感慨を文章にしたものをまとめて、この本に
しました。多くは求められて話をし、あるいは書く機会があったからのもので
すが、幾つかの新稿もあります。例外的に、お元気であったころの慶事によせ
て書いたものをも加えました。それぞれの機縁に由ってのことですから、長い
短いはさまざまです。あらためて読み返してみて、大学卒業から数えただけで
も六〇年の間、いかに多くのご恩を頂いてともかくも現在の自分自身があり得
ているのか、痛く身に沁みています。それにひきかえ私が己れの身の廻りの人
びとに少しでも意味ある何かをすることができているのか、ただ愧じ入るばか
りです。せめて、それも分に過ぎるとはいえ、能のワキ僧の役柄になってシテ
役の先人たちを呼び出し、次の世代と対話してもらえないだろうか――。それ
が、『時代と学問と人間と』という題名に託した私の思いです。それぞれの文
章が書かれたその時の「時代」といま現在の「時代」との激しい変りようのこ
とを含めて、読みとって下されば幸です。この本の章建ての区別に、特別の意
味はありません。書物としての体裁と、目を通して下さる読者の便宜を思った
からのものです。実際、それぞれの章に付けた見出しからすると、いくつかの
章にまたがって出てきて頂きたいシテ役者は少数の方に限りません。とは言え、
大づかみの流れからするとある程度、私自身の歳を追っての生活経歴に対応す
る順序にもなっているようです。
 仙台で生まれ、育ち、二〇歳代での外国留学を除いて四〇歳半ばまでをそこ
で過した私にとって、仙台は、言ってみれば私に養分をたっぷりと提供してく
れる腐葉土でした。第犠呂砲弔韻震勝宗宗崟臑罅宗宗區祐屐咾箸僚于颪い了
まり」――は、そうした思いを反映しています。第蕎楼焚爾砲出を願う方々
も、実はその大部分は仙台ゆかりの方々なのです。
第蕎呂痢岾慳笋旅發澆魍栖峺る」という表題は、研究者としての修業時代、
一本立ちしてからもまだ若かった頃、「垣間見る」が実感だったことを反映し
ています。フランス留学(第珪蓮砲鬚呂気鵑蚤茘絃楼焚爾砲覆蠅泙垢函△茲
麓に近づいて、さらには山道をのぼりながら、「高み」に近間で接することに
なる、と言ったらよいかもしれません。第珪呂痢屮侫薀鵐垢鯆未靴得こΔ砲
ながる」も、私には実感そのものです。そして、そのような進路をあゆむ私を
留学の前後から一貫して後押しして下さってきた小田滋先生を、九〇歳を過ぎ
られた今も折々にお訪ねすることができているのは、深いよろこびです。
「歴史家たちとの出会い」(第絃蓮砲蓮△佞衒屬辰胴佑┐討澆泙垢函∪の氷
志郎先生を中心にするM・ヴェーバー読書会に一〇年の間加わることができた
という前提あってのことでした。ヴェーバー、そしてマルクスへの関心という
下敷の上での組み立てであればこそ、歴史学の素人がともかくも歴史家たちと
「出会う」ことができたのではなかったでしょうか。第江蓮嵎法としての歴
史と法律学」は、歴史を学問上の認識対象とすることの訓練と法律技術の熟達
という、私自身にとっては遠く及ばないことですが、二刀流を磨くことの意味
にかかわって名づけました。第詐呂梁蠅砲蓮∋笋寮豺曲野の中でも多様な憲
法学に、そして隣接他分野の法学に接することによって得た学恩への感謝と、
日本国憲法の理念に沿った社会のあり方に近づくために尽された力への敬意と
がこめられています。
 私の主著のひとつ『比較憲法』(初版一九七七、全訂第三版一九九二)の発
行元・青林書院からこの本を出すことができ、感慨深いものがあります。何よ
り、長年にわたりおつき合い下さっていた先代社長、故・逸見俊吾さん(本文
四三頁以下)との思い出をこのような形にのこすことができたことを、うれし
く思います。最後になったが、現社長の慎一さん、今回の本づくりを入念にお
世話頂いた編集部の宮根茂樹さんに、有難うを申し上げます。
 二〇一七年春
 樋口 陽一

 ※いくつかの項目の終りに、「*なお――」という形での書き添えがある。
その項目でとりあげた方に関して私が書いたものが他にある場合(対談の形の
ものを含む)、それが複数のときは一件だけであるが記しておいた次第である。


■著者
樋口 陽一
東北大学,東京大学,上智大学,早稲田大学の
法学部教授として憲法・比較憲法を担当,パリ
第2大学,フリブール大学(スイス),コレー
ジュ・ド・フランス(パリ)などで客員教授,
招聘教授を歴任.現在 日本学士院会員.

■書籍内容
目 次

第犠蓮\臑罔; 區祐屐咾箸僚于颪い了呂泙
1 「茶畑」四人組の出会い
[一] 井上ひさしの文学にとっての仙台
[二] 菅原文太──ゴム長靴で行動する知識人
[三] 一力英夫──四人組のフィクサー
2 加藤 周一──「人生の愉しみ」と「方法的思考」
3 山内東一郎、舘山甲午、日向康/仙台──私にとっての「それぞれの機会」
4 丸山  健──遊びごころまでを教わった出会いの幸せ
5 司馬遼太郎──「沿流而求源」
6 深谷 孝平──信濃追分の「塾頭」
7 日沼 鯢廨;¥菽な背骨の強さ
8 逸見 俊吾──茶人・凡庵さんとの思い出

第蕎蓮ヽ慳笋旅發澆魍栖峺る
9 中川善之助──または 教師と学生のウニヴェルシタス
10 清宮 四郎──または 「憲法問題調査委員会」から「憲法問題研究会」へ
11 宮沢 俊義──または 「イデオロギー」VS「理想」
12 丸山 眞男──または 二つの「自由」
13 世良晃志郎──または 実定法学にとっての基礎法科目
14 戒能 通孝──または 「エリート」としての「市民」
15 河村 又介──西欧ヒューマニズムの知の伝統
16 團藤 重光──後進への励ましの温容
17 伊藤 正己──「常識」を超えるボンサンス
18 碧海 純一──仙台・東京・ハーグでの対面

第珪蓮.侫薀鵐垢鯆未靴得こΔ砲弔覆る
19 石崎政一郎──フランスとの出会いの恩人
20 ルネ・カピタン──西欧知識人の「異議申立」精神
21 深瀬 忠一──「大学と社会と人間」にかかわる一貫した行動
22 星野 英一──フランス、そしてもう一つのこと
23 ジェラール・マルツェル──東北を愛した青い眼の西行

第絃蓮[鮖鵬箸燭舛箸僚于颪
24 岡田 与好──学問と大学と酒の兄貴分
25 吉岡 昭彦──『社会科学の方法』の充実した日々
26 遅塚 忠躬──「人間」を問う「科学としての歴史学」
27 二宮 宏之──文は人なり
28 加藤 榮一──仙台から東京への四〇年間を共にして
29 池田  清──私にとっての「日本海軍」

第江蓮(法としての歴史と法律学
30 祖川 武夫──学問の完璧主義と日常のゆとり
31 廣中 俊雄──学問と大学と人間を問いつづけて

第詐蓮‖人佑雰法学・隣接法学の交錯の中で
32 鈴木 安蔵──三つの出会いを通して
33 芦部 信喜──研究対象との距離、そして理念への誠実
34 奥平 康弘──「連戦連敗」、それでも「夢がある」
35 長谷川正安──一九六一年モンパルナスに始まって
36 渡辺 洋三──「三つの憲法」から営業の自由論争まで
37 山下 健次──“Vivre libres, vivre ivres”
38 大須賀 明──公・私を共にした思い出
39 土井たか子──戦後民主主義五〇年の到達点
40 星野安三郎──清宮憲法の九条観を継ぐ
41 齋藤 忠昭──「そう、条件ありませんネ……」のやさしさ
42 鴨  良弼──研究者であり教師であることの教え
43 石本 泰雄──論文作法の厳しさと人間の洒脱さ

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