青林書院



白熱・刑事事実認定 -冤罪防止のハンドブック-


白熱・刑事事実認定 -冤罪防止のハンドブック-
 
編・著者門野 博 著
判 型A5判
ページ数280
税込価格3,888円(本体価格:3,600円)
発行年月2017年9月
ISBN978-4-417-01720-2
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■解説
難解な“刑事事実認定”を分かりやすく伝える1冊!
冤罪の絶滅を願うすべての人の必読書!


門野 博: 弁護士(弁護士法人 りべるて・えがりて法律事務所)


はしがき
刑事事実認定は難しいといわれますが,若手の弁護士をはじめ,刑事事件
に意欲を持って取り組もうとされている法曹の皆様に,それを分かりやすく
伝えたいと願い本書を著しました。刑事事実認定に関しては,いろいろなタ
イプの書物が出されています。
 しかし,専門分野の先生方の書かれた論文はかなりの知識を持った方々で
も,読みこなすのは容易ではないように感じられます。具体的な事件のレポ
ートも大いに有用なのですが基礎的な知識がないと十分な理解にはなかなか
いたりません。また,あまりにも,まっとうすぎて,一から読み進めるには,
かなりの忍耐力を要するものもあります。そこで,事実認定に興味を持ち,
それを実践に役立てようとしている方々に,わくわくするような新鮮な気持
ちで読み進んでいただき,読み終えたときには,オールラウンドの基礎知識
が身につき,知らず知らずに,事実認定の何たるか,真髄みたいなものが伝
わっているようなそんな本が書けないかと考えました。私の,力の限界もあ
り,とても看板どおりのものができているとはいえませんが,どこまで成功
しているか,その最終結論はこの本を手に取ってくださった皆様のご判断に
お任せするほかありません。
 本書の副題(サブタイトル)を,「冤罪防止のハンドブック」としました。
言わずもがなですが,冤罪防止は刑事司法・刑事裁判の最重要の課題と言っ
ても決して言い過ぎではありません。今日,冤罪防止のためにいろいろな方
策が考えられてきています。
 しかし,私がこの本で,めざしたのは,本書を読んでくださった皆様に,
冤罪防止のための法律知識をより豊富に,そしてより確実にしていただいて,
それを,実際の実務でしっかりと活用していただきたいということに尽きま
す。冤罪発生の原因が分かり,それを防ぐための諸方策をいくら理解したと
しても,その実践の場において,それに立ち向かうときに,法律知識が不十
分であれば,それはとうていかないません。地道ではありますが,基礎知識
の重要性を大いに強調したいと思います。本書は,事実認定に関する
ものであり,基礎知識といっても事実認定に関係するものにとどまりますが,
少しでも,冤罪防止という大目標に貢献できれば,それに勝る喜びはありま
せん。
 以上のような本書の目的から,その構成には,多少の工夫を凝らしていま
す。その点に関しては,次頁の「本書の構成と活用法」で説明していますの
で,これを最初にお目とおしいただければと思います。それでは,皆様のご
奮闘をお祈りいたします。
 
 平成29年9月
 門野 博 
 

■書籍内容
第1講 有罪認定の基準
──合理的な疑いとは 
高松郵便爆弾事件
研究ノート
◆適正な事実認定
⑴あるべき事実認定とは――キーワードは何か
⑵自由心証主義の抑制 
⑶自由心証主義の抑制の諸相
⑷自由心証主義と経験則との新たな関係

第2講 情況証拠(その1)
──最高裁が示した有罪認定のルール
大阪母子殺害事件
研究ノート◆情況証拠による事実認定
⑴最高裁はいかなる基準を設定したのか
⑵「情況証拠による事実認定」をめぐる諸問題

第3講 情況証拠(その2)
──総合的事実認定の在り方を考える 
糸島放火事件
研究ノート
◆総合的事実認定の在り方について
──分析的評価の重要性
⑴2つの認定方式 
⑵チャート図のすすめ
⑶大阪母子殺害事件最高裁判決との関係
[補講1]控訴審における事実誤認の意義とその審査

第4講 科学的証拠
──DNA型鑑定を等身大に見る
東電女性社員殺害事件
研究ノート
◆等身大に見るDNA型鑑定
⑴DNA型鑑定の証拠能力
⑵DNA型鑑定の証明力 
[クローズアップ 蓮DNA型鑑定の魔力は克服されたか
──鹿児島・強姦事件逆転無罪判決

第5講 黙秘権の行使
──黙秘権行使は被告人に不利か
札幌児童殺害事件
研究ノート
◆黙秘権の行使と事実認定──新しい展開とは
⑴問題点は何か
⑵黙秘権保障のための課題
⑶近時の裁判例と今後の展望

第6講 類似事実による認定
──「予断」と「偏見」を排除する 
カレー毒物混入事件
研究ノート
◆類似事実による犯罪立証はどこまで許されるか
⑴悪性格の立証
⑵「24年判例」「25年判例」について
⑶その他の推認について
⑷情状立証の問題(手続二分論)

第7講 被害者の供述
──信用性吟味の困難性 
小田急線痴漢事件
研究ノート
◆判決が問いかけるもの
⑴上告審の審査方法
⑵「那須裁判官補足意見」の意義と射程
⑶被害者供述の信用性に関するもう1つの最高裁判決
[補講2]経験則と事実認定

第8講 自白の信用性(その1)
──信用性判断の注意則とは何か 
布川事件
研究ノート
◆自白の信用性判断
⑴木谷・石井論争の第二幕
⑵「注意則研究」の有効性とその限界
[クローズアップ◆倭蠎,虻匿崖始

第9講 自白の信用性(その2)
──信用性判断の新たな展開
広島保険金目的3人殺害事件
研究ノート
◆自白の信用性判断の将来
⑴注意則の復権
⑵供述心理学的分析
[補講3]可視化の実現と新たな問題──今市事件の波紋

第10講 共犯者の自白
──危険な証拠にいかに対処するか
ゴルフ場支配人襲撃事件
研究ノート
◆補強証拠を必要とする範囲
⑴問題の所在
⑵「犯人性に関する補強証拠の要否」についての学説・判例の状況
⑶検討
⑷共犯者の自白

判例索引/事項索引

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