青林書院



貸金業と過払金の半世紀


貸金業と過払金の半世紀
 
編・著者阿部芳久・阿部高明 著
判 型A5判
ページ数304頁
税込価格3,780円(本体価格:3,500円)
発行年月2018年01月
ISBN978-4-417-01731-8
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■解説
消費者金融業転落の軌跡!!

消費者金融業者を「貸金専業者」と「貸金兼業者」に大別、
かれらが最終的にクレジットカード業に収束していった歴史的
背景と、それに決定的な働きをした最高裁及び種々の裁判所に
おける重要判決例の要点をそれぞれ詳細にまとめた稀覯書!!


まえがき
 本書の執筆に至った経緯(骨子)を述べ、まえがきとする。  
著者の法律事務所(以下「著者事務所」)は、約半世紀前に設立され、一般民事商
事のほか、専門分野の「独占禁止法」と「クレジットカード法」の実務を取り扱っ
ていたが、直近の四半世紀は後者にのみ特化した。その理由は、次のとおりである。
著者事務所の代表は、「独占禁止法」の専門書を公にし、その実務に従事していた
が、平成17年法改正により導入された「リニエンシーに基づく減免申請」は、まさ
に「密告」そのものであった。強烈な生理的嫌悪感を禁じ得ず、独占禁止法とその
実務に対する興味は全く消え失せた。
筆者事務所は、長年、クレジットカード業(以下「カード業」)の事業者団体及び
企業(以下「カード会社」)の法律顧問として、貸金業法と割賦販売法を主要根拠
法とする「クレジットカード法」についての法律相談や訴訟事件に従事してきた。
カード会社の担当者からは日々、カード業の現場で実際に発生した個別かつ微細な
質問や問合せがなされてきた。しかるにその際、弁護士実務の観点から見た場合、
参照する概説書は実際にほとんど役に立たなかった。このため著者事務所は、正確
かつ迅速な回答を可能とすべく、独自の調査や関係先に対する必要な照会等を日常
的に繰り返してきた。その結果、著者事務所には、クレジットカード法の実務的ノ
ウハウが蓄積された。そんな中で平成10年以降、あるカード会社の依頼に基づき、
いわゆる多重債務者からの過払金返還請求訴訟(以下「過払金訴訟」)に対処せざ
るを得なくなった。カード会社の代理人である以上、当然ながら、依頼者のカード
会社の正当な主張を貫徹し、多重債務者側の根拠のない請求を悉く排斥することに
傾注してきたが、その際、次の三つの視点を念頭に対処してきた。
 一つは、「倫理的価値判断」である。
多くの原告(ないし代理人)は、単純に善と悪を峻別し、債務者の原告は被害者で
すべて善人、被告の貸金業者は高利を得ていた悪人と断じ、過払金の返還請求は社
会正義の実現である、と考えていた様子である。その結果、被告の貸金業者の従業
員に罵詈雑言を浴びせる原告代理人もまま見受けられた。ちなみに、カード会社の
従業員の多くはそれなりの大学を卒業し、家族や親類に多重債務者など皆無の健全
な家庭を築き、真っ当な社会人として通常の市民生活を送っている。
しかしながら、この点は判決の是非とは無関係であり、単に当事者(ないしその代
理人)の人間性の問題に過ぎず、仮に議論しても、キリスト教徒とイスラム教徒間
の議論と同様、全く噛み合わず無意味なため、すべて黙殺してきた。
 二つは、「事実認定の正確性」である。
ほとんどの原告(ないし代理人)が、本書で識別しているサラ金業者を代表とする
「貸金専業者」と信販会社を代表とする「貸金兼業者」を一緒くたにし、両者の貸
金業務の内容がすべて同一であると誤認した上での各主張を繰り返してきた。
しかしながら、貸金の利率や取引開始時期が異なれば請求金額も当然、異なってく
るとおり、事実が異なれば結論も異なることはいうまでもない。この観点から、あ
らゆる貸金業者の社歴その他の歴史的事実、事業内容、貸金取引の実態等を全面的
に調査し、依頼者であるカード会社の貸金取引の内容との相違点を詳細に識別し、
有効な反論に努めてきた。
 三つは、「法的解釈論の見極め」である。
原告(ないし代理人)は、最高裁判例に限らず、単なる簡裁レヴェルの判決であっ
ても、それが債務者側に有利な判示であれば、直ちにそれに拡大解釈ないし類推解
釈を行い、他の訴訟に平然と援用してくることが多かった。
しかしながら、判示の意義、すなわち判決の有効射程は極めて限定的なものであり、
要件事実に限らず、たとえそれが間接事実であっても重要な点が異なれば、結論の
法的解釈も異なってくるのが自明の理である。このため、前記の事実認定と同様、
問題とされている判示の基礎となる要件事実ないし重要な間接事実の相違点を正確
かつ明確に識別する作業を幾度となく繰り返し、実施してきた。
以上述べた過払金訴訟への対応に基づき、著者事務所には、利息制限法・出資法・
貸金業法に対する実務知識のほか、これに関する最高裁判例及び高裁・地裁の生き
た判決例が順次、蓄えられていった。著者事務所の業務の変遷の過程で幸いだった
ことは、学生時代からクレジットカードに興味を抱いていた共同代表の阿部高明弁
護士が、クレジットカード法の根幹である貸金業法と割賦販売法の研究に多くの時
間を割き、その結果を相当量の未発表原稿として作成していたことである。当該研
究に基づく著者両名の協議の結果、「クレジットカード法の全貌を体系的に明確に
する著作物」を公にする企画が創出され、遂に平成28年9月から順次、その執筆に
取り掛かった。
 本書は、上記企画の第一弾であるが、消費者金融業者を貸金専業者と貸金兼業者
に大別し、その相違点を明確にし、平家物語の盛者必衰の理に従い消費者金融業の
巨人が劇的に転落し、最終的にはクレジットカード業に収束していった歴史的事実
と、それに決定的な働きをした最高裁判例の概要及び特定の貸金兼業者に対する判
決例の要点を明らかにしたものであるが、少なくとも国会図書館が存続する限り、
「資料」として永久に残存されてしかるべきものと確信している。
 本書は多くの方々の御助力の賜物であり、各人のお名前を個々に表記することは
割愛するが、各位への深甚の謝意を表してまえがきを締める。
  
 平成29年(2017年)12月吉日
 代官山の自宅にて東京タワーとスカイツリーを眺めつつ
 著者代表 阿部 芳久

著 者
阿部 高明:弁護士(阿部東京法律事務所共同代表)
阿部 芳久:弁護士(阿部東京法律事務所)



■書籍内容
目 次
  
第1章 貸金業者の栄枯盛衰序
第1節 貸金業の開拓者(貸金専業者)
機‐暖饉垓睛察淵汽藏癲
供‐工ローン
掘 峺蓮衰」の原因
第2節 貸金業の追随者(貸金兼業者等)
機/販会社
供〃酩衂寛濺后雰酩蠑売業)
掘.レジットカード会社
検.レジットカード業への収束
第3節 貸金業の新規参入者――銀行
機ゞ箙圓搬澡盒伴圈紛伴錣諒粍枩)に対する法規制の峻別
供―樵阿梁澡盒函幣暖饉垓睛察砲涼瓦ぜ
掘ゞ箙圓梁澡盒函幣暖饉垓睛察砲悗凌塀
検‥垰垓箙圓斑羮・地方銀行

第2章 貸金規制の変遷
第1節 旧「利息制限法」等による規制(戦前・戦後〜昭和28年)
機‖澡盒伴圓竜制
供ゞ睛撒ヾ悄壁當牟箙圈砲竜制
第2節 「利息制限法」と「出資法」による規制(昭和29年〜昭和57年)
機‖澡盒伴圓竜制
供/販業者の規制
掘ゞ睛撒ヾ悄紛箙圈砲竜制
第3節 「貸金業規制法」と改正「出資法」による規制(昭和58年〜平成11年)
機 崑澡盒筏制法」の制定
  (昭和58年(1983年)5月13日法律第32号/同年11月1日施行)
供 崕仍駛 廚硫正
  (昭和58年(1983年)5月13日法律第32号・第33号/同年11月1日施行)
第4節 「利息制限法・出資法・貸金業規制法」による規制(平成12年〜18年)
機 崗工ローン問題」に対する平成11年法改正
  (平成11年(1999年)12月17日法律第155号/平成12年6月1日施行)
供 屮筌澡睫簑蝓廚紡个垢詈神15年法改正
  (平成15年(2003年)8月1日法律第136号/平成16年1月1日施行)
第5節 改正「利息制限法・出資法・貸金業法(名称変更)」
    による規制(平成19年以降)
機 嵳息制限法」の改正
供 崕仍駛 廚硫正
掘 崑澡盒繁 廚硫正(名称も変更)
第6節 貸金規制の今後の問題点
機ゞ箙團ードローンによる「高利貸し」の是正
供.筌澡睨侈任龍饌虜――「高利貸金業」の容認

第3章 過払金訴訟の最高裁判決
第1節 利息制限法の解釈論
機_疂Ф發痢峺桔椶僚偲」の可否――「1最判・2最判」
供_疂Ф發諒峇埓禅瓩硫槌檗宗宗岫5最判・6最判」
掘〕率の特約がない場合(利息の利率の約定あり)の遅延損害
  金の利率――「3最判・4最判」
検´(杠兔偲の順序の特約がある場合の充当関係、
  ∀帯債務者による制限超過部分の求償の可否――「4最判」
后ー敍残高が増減した場合の利息制限法1条1項の「元本」の額
  ――「38最判・48最判」
此,澆覆畦息――「11最判・12最判・13最判」
察_疂Ф發痢崑召梁澡盧通海悗僚偲」
次‖澡盞戚鷯紊涼楼漫焚疂Ф睚峇垪通魁砲琉榲勝承継
第2節 不当利得(民法703条)
機_疂Ф發両談濃効
供〕息・損害賠償(民法704条)
掘^意の受益者の認定
第3節 不法行為(民法709条)
機‖濕腓らの訴訟の提起
供ー莪履歴の非開示
掘_疂Ф發了拱Ю禅瓠受領
第4節 貸金業規制法43条の「みなし弁済」
機)43条の趣旨
供 崘ぐ佞忙拱Г辰拭廚琉嫐
掘)17条書面
検)18条書面
后〆嚢盧曚砲茲襪澆覆景杠僂料竿歡蝓 

第4章 貸金兼業者に対する過払金訴訟の判決例

第1節 A社の主業
機.汽藏發箸龍搬屬料螳磧癖販先行・キャッシング兼業)
供(販債務と貸金債務の別についての立証責任
第2節 貸金業の内容
機‐口消費者ローンの開始
供。措劼肇汽藏盒伴圓箸料螳
掘‖澡發砲弔い討了実認定
第3節 発行カードの意義
機.ードの必要性
供.ードの機能
掘.ード発行と貸金取引の関係
第4節 取引履歴(業務帳簿)
機\定当初の「貸金業の規制等に関する法律」
  (以下「貸金業規制法」という)の規制
供(神11年改正貸金業規制法(平成12年施行)の規制
掘“酬茲了実認定
検‖澡盒繁,龍般劃∧蹐半Χ板∧蹇焚餬彡∧蹇
后ー損椶靴討た推定計算
第5節 不当利得⑴(民法703条)
機_疂Ф發亮臘ノ証責任
供〆拠のない過払金の算出手法
掘_疂Ф發諒販債務への非充当
第6節 不当利得⑵(民法704条)
機_疂利息(前段)
供‖山嫁綵(後段)――「弁護士費用」
第7節 不法行為(民法709条)
機 嵎神17年7月19日最高裁第三小法廷判決」の意義
供ー莪履歴
掘 峅誘請求」――不法行為の主張
検,修梁召梁山嫁綵請求
第8節 その他の判示
機_疂Ф發龍‖の有効性
供〔瓜調停法17条決定
第9節 文書提出命令申立事件の決定
第10節 訴訟審理上の問題点
機〜幣拇事者としての「調査義務」等の不履行
供ー疚生◆別瓜訴訟法149条)の誤解

巻末付録
資料機‖澡盒伴埒瑤猟拘的な推移
資料供‖濾嫋絽其睛と出資法上限金利の推移
資料掘.レジットカード会社収束一覧表
資料検.レジット関係団体の推移(螢掘次Ε▲ぁΕ掘失鄒)
資料后〆嚢盧枷酬莪賤表(1〜48)
資料此|郎曄高裁判決一覧表(1〜60)
資料察(現馗鷭侈仁畤塾事件の決定一覧表
  
事項索引

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