青林書院



プラクティス 労働法-労働時間、割増賃金、年休、休業-


プラクティス 労働法-労働時間、割増賃金、年休、休業-
 
編・著者梶村太市・井手良彦・増田輝夫[編]
判 型A5判
ページ数648頁
税込価格8,208円(本体価格:7,600円)
発行年月2019年02月
ISBN978-4-417-01757-8
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■解説
■訴訟代理人のための法律シリーズ!!
■「概説」と「Q&A」で裁判直結の知識・ノウハウを伝授!!
■「働き方改革法」によって何がどのように変わるのか!!


はしがき
 本書『プラクティス 労働法―労働時間・割増賃金・年休・休業』は,青
林書院プラクティス・シリーズの一環として,主として労働基準法に定める労
働法上の諸制度について,実務的観点から解説するものである。最初に各編章
の冒頭で「概説」により問題点を指摘した後,「Q&A」方式を採用して詳細
に分析するというスタイルである。労働事件に詳しい裁判官・弁護士が中心と
なって裁判実務を念頭に置きながら実務的観点から提起される各論点をわかり
やすく浮き彫りにしている。
 第1編「労働者の意義」では,本書の基礎的概念である「労働者」とは何か
を分析する。
 第2編「原則的な労働時間制度」は全4章にわたる。
 第1章は「労働時間制度」について,4節にわたり合計10個の「Q&A」
をもうける。第1節は「労働時間」,第2節は「労働時間と労使協定」,第3節
は「時間外労働義務」,第4節は「労働時間の適正な把握・管理」である。
 第2章は,「例外的な労働時間制度」について,4節にわたり9個の「Q&
A」をもうける。第1節は,「変形労働時間制」で4個の「Q&A」を,第2
節は「フレックスタイム制」で1個の「Q&A」を,第3節は「事業場外労働
のみなし労働時間制」で1個の「Q&A」,第4節は「裁量労働のみなし裁量
労働時間制」で3個の「Q&A」をもうける。
 第3章は,「労働時間規定の適用除外」は2個の「Q&A」を,第4章は第
1節「休憩」及び第2節「休日」について,いずれも1個の「Q&A」をもう
ける。
 第3編「時間外,休日,深夜労働の割増賃金」を分析する。第1章は「割増
賃金(時間外手当)について4個の「Q&A」を,第2章は「割増賃金請求訴
訟」について3個の「Q&A」をもうける。
 第4編「年次有給休暇」では,10個の「Q&A」をもうける。
 第5編「仕事と育児・介護の両立支援制度―育児休業・介護休業」を分析
する。第1章「仕事と育児・介護の両立支援制度と休業制度」について2個の
「Q&A」を,第2章「育児休業」について3個の「Q&A」を,第3章「介
護休業」について1個の「Q&A」をもうける。
 ご承知のとおり,平成30年6月29日にいわゆる「働き方改革法」が成立した。
これは,少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や,働く人のニーズの多様化,
高度化などに応じて,働く人々のそれぞれのニーズに応じた働き方を選択する
ことができるようにするための改革である。当然のことながら,本書の解説に
は,その改正法の内容を可能な限り織り込む工夫をしている。本書では,急遽
冒頭に「序編」としてその「働き方改革法」の解説を加え,読者の理解の増進
に配慮した。
 編者のうち,梶村は,過去に東京都労働委員会公益委員として数年間労働法
関係の紛争事件の解決に従事した。その頃でさえ,紛争の内容は集団的労使紛
争から個別的労使紛争への移行は顕著だったが,最近はますます個別的労働者
の個別的紛争の重要性が高まっている。裁判例や行政処分例も多様化・複雑化
を見せ,当該分野の最新の法情報の知見は欠かすことができない。
 本書は,働き方改革法ばかりでなく,その他民法債権法の改正など最新の法
情報を反映させており,その面からも利用価値は高いと思われる。広い読者に
読まれることを期待する。
 本書は毎度のことながら,青林書院編集部宮根茂樹氏の並々ならぬ支援を受
けた。感謝したい。
  
 平成31年1月
 編集者
 梶村 太市
 井手 良彦
 増田 輝夫


編 集 者
梶村 太市:(弁護士)
井手 良彦:(越谷簡易裁判所判事)
増田 輝夫:(大阪簡易裁判所判事)

執 筆 者(執筆順)
竹内 満彦:(大阪簡易裁判所判事)
宇都宮庫敏:(明石簡易裁判所判事)
丸尾 敏也:(横須賀簡易裁判所判事)
南  正一:(伊豆大島簡易裁判所判事)
加藤  優:(小浜簡易裁判所判事)
増田 輝夫:(上 掲)
山下 知樹:(大阪地方裁判所主任書記官)
熨斗 昌隆:(大阪簡易裁判所主任書記官)
小泉 孝博:(金沢簡易裁判所判事)
太田 和範:(弁護士)
堀田  隆:(東京簡易裁判所舎判事)
中林 清則:(東京簡易裁判所判事)
岡 昌吾:(立川簡易裁判所判事)
辰已  晃:(大阪簡易裁判所判事)
田村 幸彦:(東京簡易裁判所判事)
井手 良彦:(上 掲)
〔平成31年1月現在〕



■書籍内容
序 編 働き方改革法の概要
【概 説】働き方改革法とは
〔1〕はじめに
〔2〕労働時間法制の改正―「働き方改革法」の第1の柱
〔3〕高度プロフェッショナル制度―「働き方改革法」の第3の柱
〔4〕雇用形態に関わらない公正な待遇の確保を実現するための法改正
   ―「働き方改革法」の第2の柱
第1 編 労働者の意義
【概 説】労働者とは
〔1〕問題の所在
〔2〕「労働者性」の中核概念である「使用従属性」の判断基準
〔3〕「労働者性」の判断を補強する要素
Q 1 個人請負・委託型就業者の労働基準法上の労働者性
 労働基準法に基づく割増賃金を請求された者が,請求者との契約関係は請負契約
 であり,請求者は「労働者」ではないから,自分には割増賃金の支払義務がないと
 主張をすることがあるが,労働基準法上の「労働者」とはどのような者なのかにつ
 いて説明しなさい。
Q 2 個人請負・委託型就業者の労働基準法上の労働者性
 Yは,自転車,自動二輪車及び軽四輪車により荷物等を配送する運送業務を目的
 とする会社であり,自転車によるものを「メッセンジャー即配便」と称していた。
 Xは,平成〇年○月○日,Yと運送請負契約と題する契約(以下「本件メッセンジ
 ャー契約」という)を締結し,○○営業所に所属してメッセンジャー即配便の配送
 業務に従事していた者であるが,平成〇年○月○日,Yは,Xが競合関係に立つ会
 社を設立して代表取締役に就任したことを理由として,本件メッセンジャー契約を
 解除する旨の意思表示をした。Xは,労働基準法上の労働者に当たる者であり,解
 雇としての性質を有する本件メッセンジャー契約の解除は無効であると主張して
 (主張は「バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について」(平
 成19年9月27日付厚生労働省労働基準局長基発0927004号)に依拠したものである),
 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める訴えを提起した。
 以下の事実を前提として,Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
稼働日の決定
 稼働日は,契約その他の合意により一定の稼働日が定まっているものではなく,
 メッセンジャーは1週間前に申告する翌週の稼働予定に従って稼働していた。
 稼働日における営業所への来所
 ○○営業所においては,午前8時30分ころに来所し,携帯品の準備等をした上
 で,朝礼において,所長から連絡事項,注意事項等の伝達を受けた後,各自の待
 機場所へ移動していたが,他の営業所においては,来所しないメッセンジャーも
 存在し,稼働日に所属営業所に来所することが一律に義務付けられていたもので
 は所属営業所に来所することが一律に義務付けられていたものではなかった。ま
 た,メッセンジャーは,1日の業務終了後,自らの判断で直帰することもでき,
 業務終了後に営業所に戻ることが一律に義務付けられてはいなかった。
 稼働中における業務従事の中断,終了
 メッセンジャーは,稼働開始後,営業時間中であっても,Yの承諾を得ること
 なく,配車係に連絡することによって,一時的に配送業務から外れること(中抜
 け)や配送業務を終了すること(上がり)が認められていた。
 配送業務に関する指示
 メッセンジャーは,待機場所に移動した後,配車係に「稼働@○○」(○○は
 場所を表す記号)のメールを送信し,Yのコールセンターにおいてメッセンジャ
 ー即配便の注文を受け付けた場合,配車係からメッセンジャーに対し,顧客から
 配送依頼のあった1件の配送品ごとに,荷受先,引取指定時刻,荷届先,依頼先,
 集金の有無及び集金先,配送距離,配送料金等の情報をメールで送信する方法で
 行われ,その受諾は,メッセンジャーから配車係に対し,「引中」のメールを送
 信することにより行われていた。
 個別の配送依頼に対する受諾
 配車係からメッセンジャーに対してされる個別の配送依頼につき,メッセンジ
 ャーにおいて断わることがあり,その場合には他のメッセンジャーに依頼されて
 いた。
 備品等諸費用の負担
 メッセンジャーは,Yから貸与を受けた配送業務に用いる配送用荷物袋(背負
 いタイプの荷物バッグで,「messenger」及び「Y」という文字が書かれてい
 る)以外,配送業務時に着る服,配送業務に使用する自転車及び携帯電話を自ら
 の負担で用意し,維持管理に要する費用も自ら負担していた。
 報  酬
 報酬は,配送業務に従事した時間や配送の具体的内容などの事情に対応して定
 まる体系にはなっておらず,引き受けた配送業務に係る各月の配送料金の合計額
 に歩合を乗じて定まり,メッセンジャーは,受け取った報酬は事業所得として確
 定申告しており,メッセンジャー即配便に従事するについて雇用保険及び労働者
 災害補償保険に加入していない。

第2 編 労働時間制度
第1 章 原則的な労働時間制度
第1節 労働時間
【概 説】労働時間とは [宇都宮 庫敏]
〔1〕はじめに
〔2〕労働時間の概念
〔3〕実労働時間該当性
Q 3 労働時間該当性?―不活動時間(警備員の仮眠・休憩時間)[宇都宮 庫敏]
 Xは,Y社に雇用され,Y社が警備業務を受託している甲県立A病院(以下「A
 病院」という)において勤務していた者であるが,労働契約上は仮眠時間又は休憩
 時間とされていた時間帯は,実際には労働基準法上の労働時間(労基32条)に該当
 するにもかかわらず,Y社からそれを踏まえた適正な賃金の支払がされていないと
 主張して,適正な賃金と実際に支払われた賃金との差額相当額の支払を請求した。
 以下の事実を前提として,Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
 XとY社間での労働契約の内容
 就業時間は,ローテーションにより変動し,日勤(午前8時30分〜午後5時30
 分),夜勤(午後5時30分〜翌日午前8時30分),当務(24時間勤務,午前8時
 30分〜翌日午前8時30分),駐車場勤務(午前8時30分〜午後0時00分)の4種
 類があり,勤務形態ごとに始業・終業時間,実働時間及び仮眠・休憩時間が定め
 られていた。
 Y社とA病院間の警備業務委託契約の内容
 求められる人員,態勢
 A病院の勤務時間中(平日の午前8時30分から午後5時15分まで)は5人以
 上,勤務時間外(平日の午後5時15分から翌日午前8時30分まで,土日を含む
 休日の午前8時30分から翌日午前8時30分まで)は4人以上を業務に充てる。
 警備員の業務内容
 警備員の業務は,主として,―箍鷏挌業務,監視警備等業務,K漂匐
 務(災害,事故等への対応),っ鷦崗豐浜業務,ソ鋲直業務(勤務時間外。
 地震その他の災害,火災,自動車事故等が発生した際の職員連絡業務等),
 その他の業務である。
 勤務ローテーション
 平日のうち駐車場管理業務(ぁ砲鰺廚垢觧間帯には5名,平日のそれ以外
 の時間帯及び休日には4名の警備員が配置されていた。配置された警備員のう
 ち,1名は守衛室で監視警備等業務(◆砲鮹甘し,その他の警備員は巡回警
 備業務( 砲筌戰奪疋瓮ぅ(Α謀の定期的な業務を担当するか,防災業務
 (),急患来院時のカルテ出し(Α法さ浚気留接(Α謀の突発的な業務に
 備えて守衛室で待機することとされていた。休憩時間は,昼と夜の時間帯に各
 1時間,仮眠時間は4時間が割り当てられていたが,休憩・仮眠時間とされて
 いる時間帯においても,最低2名の警備員が業務に従事し,うち1名が守衛室
 で監視警備等業務(◆砲暴昌し,もう1名が30分から1時間の予定で巡回警
 備業務( 砲謀たるほか,突発的業務に備えて守衛室で待機する態勢がとら
 れていた。
 仮眠・休憩時間の過ごし方
 仮眠をとる警備員は,シャワーを浴びた上で制服からパジャマやトレーナーに
 着替え,仮眠室に布団を敷いて就寝していた。仮眠・休憩時間中に突発的な業務
 に対応して実作業を行った場合は,時間外手当を請求するようにと指示されていた。
 仮眠・休憩時間における実作業の状況
 仮眠時間中の警備員が実作業に従事した事例は合計17件で,1人当たり平均す
 ると1年に1件に満たず,大半は仮眠時間の開始前から行っていた業務を仮眠時
 間帯に食い込んで継続したか,仮眠時間の終了に先立って既に勤務に就く準備が
 できていた警備員が,ほどなく仮眠時間に入る他の警備員に配慮して,早めに勤
 務に就いて対応した事例であり,作業の内容はカルテ出し(Α砲箋浚気留接
 (Α砲任△辰拭2礁欧鮹翆任靴銅尊邏箸暴昌したことが明らかな件数は4件で
 あり,そのうち3件は突発的な災害によるものであり,うち1件は時間外手当の
 請求があり支払がされた。休憩時間中の警備員が実作業に従事した事例は,11件
 であり,そのうち休憩を中断して実作業に従事したと認められる事例は2件であ
 った。
Q 4 労働時間該当性?―不活動時間(医師の宿日直時間・自宅待機時間)
 私立病院Yの産婦人科においては,Xを含む5名の医師が勤務しているが,所定
 就業時間以外に,交代で宿日直勤務(宿直は平日休日を問わず午後5時15分から翌
 日午前8時30分まで,日直が休日(土曜日,日曜日,祝日)の午前8時30分から午
 後5時15分まで)が命じられている。宿直医師は,入院患者及び救急外来患者に対
 する診察に当たるために,Y病院に宿泊して業務を行い,日直勤務においてもY病
 院で業務を行い,宿日直勤務中は勤務位置をできる限り明確にして常時ポケットベ
 ルを携帯し,呼出しに速やかに応答することが義務付けられている。その他,産婦
 人科の宿日直担当医師は1名しかいないため,産婦人科医5名は,宿日直勤務以外
 に,自主的に,同時に対応しなければならない患者が複数いる場合や,医師1名で
 は対応できない異常分娩,手術等の場合に,通常の勤務時間外に必ず自宅等に待機
 して連絡のとれる医師を宿日直担当医師のほかに毎日1名を確保し,これを「宅
 直」当番と称して,宿日直担当医師からの要請があればすぐにY病院に急行して,
 宿日直担当医師に協力して診察を行っていた。Xは,宿日直勤務及び宅直勤務は労
 働時間であると主張して,労働基準法37条の定める割増賃金を請求した。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
Q 5 労働時間該当性?―本務外活動(研修等への参加)
 Xは,○○県下で小中学生を対象とする学習塾を経営する会社であるYの文系講
 師であったが,経営会議や勉強会への参加に要した時間はいずれも使用者の指揮監
 督下にあった時間であると主張して,時間外労働手当を請求した。Xの主張によれば,
 Xは経営会議に参加していたが,Yにおいては,従業員のほとんどすべてが取締役
 になって経営会議に参加しており,取締役になった従業員のすべてがYの重要事項
 に関する決定権をもつことはなく,経営会議に参加したからといって直ちにYの経営
 に参画しているとはいい難い。XはYの取締役には就任したことはなく,あくまでY
 の労働者の地位にある者であり,労働者として使用者であるYから経営会議への出
 席を義務付けられていたのであるから,経営会議への出席時間は,Yの指揮命令に
 よって勤務していた時間であると評価することができ,労働時間である。Xが参加し
 ていた勉強会は,Yによって予め参加者が割り振られた上で日時及び場所が決められ,
 参加者にはレジュメ配付・検討課題の提起等がされ,後日,参加した勉強会の内容
 に沿った投稿(感想文のようなもの)を起案して提出する義務があり,勉強会に遅
 刻したり欠席すれば,上長から指導を受けていたのであるから,勉強会への出席時
 間は,従業員の自発性に委ねられた自主的なサークル活動ではなく,Yの指揮命令
 下において実施されており,勉強会に参加した時間は労働時間である,という。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
Q 6 労働時間該当性?―移動時間(出張の移動)
 Xは,平成〇年○月,高齢者を対象とした弁当の宅配事業及び店舗における弁当
 総菜の小売り事業についてのフランチャイズシステムの管理運営を業とするY社と
 の間で雇用契約を締結し(所定労働時間は午前9時00分から午後6時00分まで(休
 憩時間1時間を含む)),営業開発部営業開発2課に所属して,フランチャイズ契約
 を獲得する業務を行った。その後,平成〇年○月,店舗開発部開発課課長に就任し
 た。Xは,宿泊を伴う出張あるいは日帰りの出張をした際の移動時間及び出張前後
 の本社への立ち寄り時間は労働時間に当たると主張して,割増賃金を請求した。Y
 社においては,Xを含む営業職の従業員は,外に出て営業活動をすることが多く,
 その中には宿泊を伴う出張も多く,自宅から営業先に直行することや,営業先から
 自宅に直帰することが多かった。
 ところが,Xは,勤務していた本社から徒歩10分以内という近くに住居を借りて
 いたこともあって,他の従業員であれば直行直帰するところを,営業先に行く前に
 いったん本社に出たり,出張後,荷物を置きに自宅に戻る前にいったん本社に戻っ
 たりすることがよくあった。出張の際には電車,新幹線及び飛行機等の公共交通機
 関を使用していた。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。また,上記の移動が日曜日(休
 日)に行われた場合はどうかについても説明しなさい。
第2 節 労働時間と労使協定
【概 説】労使協定とは
〔1〕はじめに
〔2〕労使協定の意義
〔3〕労働基準法の労使協定
〔4〕育児・介護に関する労使協定
〔5〕労使協定の要件
〔6〕労使協定と労働協約の違い
〔7〕労使協定と就業規則の違い
Q 7 過半数代表
 本章第2節【概説】の「労使協定」における労働者側当事者,すなわち,「労働
 者の過半数で組織する労働組合」,また(そのような組合がない場合の)「労働者の
 過半数を代表する者」(労基36条。後者の者を「過半数代表者」という)につき,
 「過半数」の内容,過半数の代表者の選任・適格性・任期制などについて,説明し
 なさい。
Q 8 民事上の効力等[丸尾 敏也]
 A社の千葉工場(労働者数20名)は,労働者の過半数を代表する者と「労働時間
 の延長をすることができる時間を顳影=5時間,鬘吋月=45時間(起算日は毎
 月1日),鵤映=360時間(起算日は4月1日)とし,有効期間を1年間とする」
 という内容の労使協定(36協定)を平成29年1月に結んでいた(なお,所定労働時
 間は1日=8時間)。この場合に,。措劼蓮ぃ措劼寮虱婢場の従業員Bに対し,
 平成29年6月に1ヵ月合計40時間の時間外労働を命じて就労させた。A社は,労働
 基準法32条に違反しないか。■吋月合計60時間の時間外労働をさせた場合はどう
 か。A社は,この労使協定は自動更新されるものと考え,平成27年3月に,起算
 日が平成27年4月1 日のものを作成し労働基準監督署に届け出たが,その後は,作
 成も届出もしなかった。この場合はどうか。さらに,ぃ措劼蓮ぞ綉の労使協定を
 もとに,A社千葉工場の従業員に対し1ヵ月45時間までの時間外労働を命ずること
 はできるか。
第3 節 時間外労働義務
【概 説】時間外労働義務とは
〔1〕36協定
〔2〕労働者の時間外労働義務
〔3〕労働契約,労働協約,就業規則
Q 9 時間外労働義務(残業命令)
 Xは,Y社武蔵工場に勤務し,製造部低周波製作課においてトランジスターの特
 性管理(歩留の維持向上及び不良対策等)の業務に従事していた。平成○年○月○
 日,Xの算出した選別実績歩留よりも低い結果が出たため,甲主任が,歩留推定表
 の数値の算出方法を問い質すと,Xは手抜作業を行ったことを認めたため,Xに対
 して原因の追及と歩留推定をやり直すように命じたところ,Xは拒否して退社した。
 数日後,乙課長は,Xに対し,残業拒否の件で始末書を提出するように命じたが,
 Xは,就業規則に違反した覚えはないと主張して始末書の提出を拒否し,乙課長か
 らのさらなる始末書の提出要求に対してかえって挑発的な発言をするに至った。Y
 社は,Xの態度は過去3回の処分歴と相まって,就業規則所定の懲戒事由「しばし
 ば懲戒,訓戒を受けたにもかかわらず,なお悔悟の見込みがないとき」に該当する
 として,懲戒解雇の意思表示をした。Y社武蔵工場とその労働者の過半数で組織す
 る労働組合(Xの加入するもの)の上部団体との間で締結された労働協約及びY社
 武蔵工場の就業規則には,Y社は,業務上の都合によりやむを得ない場合には,組
 合との36協定により1日8 時間の実働時間を延長することがある旨定められ,Y社
 武蔵工場と組合との間では,「会社は,’軸に完納しないと重大な支障を起こす
 おそれのある場合,(◆き,い肋蔑),ダ源彩槁乎成のため必要がある場合,
 Χ般海瞭睛討砲茲蠅笋爐鯑世覆ぞ豺隋きГ修梁樵鯵胴罎暴爐困詬由のある場合は,
 実働時間を延長することがある。」旨の36協定が締結され,所轄の労働基準監督署
 長に届け出られている。Xは,労働基準法に定める労働時間を超える時間外労働に
 関する就業規則も労働協約も個々の労働者に対し時間外労働の義務を課すことはで
 きず,36協定が結ばれている場合,使用者は単に個々の労働者に対し合法的に時間
 外労働の申込みをなし得るにとどまるにすぎず,Xが残業命令を拒否したのは正当
 な行為であり,懲戒解雇は解雇権の濫用として無効であると主張して,雇用契約上
 の地位の確認と未払賃金の支払を求めて訴えを提起した。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
Q10 労働時間該当性?―残業禁止命令違反
 Yは音楽家を養成する専門学校○○の学院長として○○音楽院を個人経営してい
 る者であり,XはYに○○音楽院の従業員として雇用されていた者である。X及び
 他数名の従業員は平成○年○月に労働組合を結成し,労働組合はYとの間で36協定
 の締結に向けた交渉を行った。Yは,同年○月○日の朝礼において,36協定が未締
 結の状態にあることを理由に,職員の時間外労働,休日労働を禁止し,残務がある
 場合には役職者が引き継ぐべきであるとの指示・命令(以下「本件残業禁止命令」
 という)をした。従前,○○音楽院においては,36協定の締結及び届出をせずに従
 業員の時間外労働及び休日労働が行われており,給与総額に対する時間外労働賃金
 の割合が高く,これが生活の糧として重要な部分を占めていたことから,本件残業
 禁止命令の後においても,Xは従前と同じく時間外労働を続けていた。Yと労働組
 合は平成○年○月○日に36協定を締結した。Xは,本件残業禁止命令は,Yが36協
 定の締結のために労働組合が要求する団体交渉を拒否し続ける一方,36協定の締結
 のための労働者の代表選出から労働組合を排除し,別の者を労働者の代表に選出さ
 せようとして圧力を加える支配介入行為であるから,公序良俗に反し無効であると
 主張して,36協定の締結までに行った時間外労働に対する割増賃金の支払を求めて
 訴えを提起した。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
第4節 労働時間の適正な把握・管理
【概 説】労働時間把握義務と労働時間の立証の問題
〔1〕基本概念
〔2〕平成29年ガイドライン
〔3〕実労働時間の主張立証責任等について
〔4〕実労働時間の主張立証の実際
〔5〕立証の程度
Q11 労働時間の立証?―タイムカードによる労働時間の認定
 Yは印刷業を主たる業務とする株式会社であり,XはYの作業部の従業員であっ
 たが,Xは,タイムカードの記録をもとに,現実の時間外労働と実際に支払われた
 賃金との差額の支払を求めて訴えを提起した。これに対し,Yは次のように主張を
 する。Yでは,従業員は出・退勤時にタイムカードを打刻することが義務付けられ
 ており,また,Yにおける個人別出勤表はタイムカードの記録を転写することで作
 成されているが,タイムカードは,従業員の出・退勤の状況を把握し,あるいは,
 勤怠管理の一助にするという目的で従業員に打刻させていたものであり,従業員の
 時間管理をしていた事実はないし,Xのタイムカードの記載から計算される労働時
 間はXの現実の労働時間ではなく,さらに,Xは,所定労働時間中,手待時間があ
 ったことはもとより,多々公私混同の行動があり,あるいはまったく業務を行うこ
 となく時間を徒過するなどしており,タイムカードの記載から計算される労働時間
 は現実の労働時間と大きく乖離したものである。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
Q12 労働時間の立証?―タイムカードによる時間管理があっても空白や書き
 込み等がある場合の労働時間の推定
 Yは,国際会議,学会,イベントの企画・運営を主たる業務とする会社であり,
 従業員であったXは,平成○年○月○日から退職するまで,Yの明示又は黙示の業
 務命令に基づいて,時間外労働に従事していたとして,割増賃金の支払を求めて訴
 えを提起した。Xは,Yにおいては従業員の勤務時間の管理をタイムカードによっ
 て行っていたから,Xのタイムカードに記載された時刻は,実際の業務の開始時刻
 及び終了時刻を正確に表すので,タイムカードによりXの時間外労働時間を算定す
 ることができる。もっとも,タイムカードが存在しない期間やタイムカードの記載
 が欠けている期間があるが,その部分は,同じ業務に従事した他の従業員の勤務時
 間を参考にしたり,Xのメモやスケジュールなどによって労働時間を算定すること
 ができる。Yでは時間外労働が常態化していたことは明らかであるから,タイムカ
 ードが存在しない期間や記載が欠けている期間においても,時間外労働がまったく
 されていないことは考えられず,全面的に割増賃金を否定するのは不公平であるか
 ら,少なくとも上記期間についても,Xが主張する時間外労働時間の2分の1につ
 いて労働したものと推定すべきである。なお,タイムカードに手書きの部分が存在
 するのは,Yでは平成○年○月以降タイムカードの管理が強化されたが,実際には,
 従業員は届出書に記載をして上長の承認を得て自らタイムカードに時刻を手書きし
 たり,上長の承認を得ることなく自ら手書きをし,後に上長がそれを承認すること
 も行われていたことによるものであり,事前・事後に上長の承認を得ているのであ
 るから,タイムレコーダーによる打刻と同様に扱うべきである旨を主張する。これ
 に対し,Yは,タイムカードの打刻は遅刻をチェックする意味しかなく,打刻され
 た時刻は出社時刻,退社時刻を意味するにすぎず,タイムカードから労働基準法上
 の労働時間を把握することはできず,また,タイムカードには空白やX自らの手書
 きの部分が存在することからして,タイムカードに記載された時刻をもってXの労
 働時間を算定することができない旨を主張する。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
第2 章 例外的な労働時間制度
第1節 変形労働時間制
【概 説】変形労働時間制とは
〔1〕変形労働時間制の概要
〔2〕各種の変形労働時間制
〔3〕変形労働時間制の適用制限
Q13 1 ヵ月単位の変形労働時間制
 1ヵ月単位の変形労働時間制について説明しなさい。
Q14 1 ヵ月単位の変形労働時間制
 Xは,レストランチェーンを経営するY社にアルバイト社員として入社し,甲店
 において接客や調理業務に従事してきたが,退社後,残業代があるとして未払時間
 外手当の支払を求めて訴えを提起した。
 以下の事実を前提として,Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
 Xが従事していた甲店では,店舗は11時から22時までの営業であり,したがって,
 10時から22時30分の間が労働時間の枠となるところ,毎月1日ころ及び16日ころに,
 アルバイト従業員各自に対し,およそ2週間後からの15日分について(1日ころの
 ときであればその月の16日から月末まで,16日ころのときであれば翌月の1日から
 15日まで),勤務する時間帯の希望を聴取し,Xを含むアルバイト従業員は,希望
 する日にち,時間の労働時間を申告し,そのまま労働時間として決定されることも
 あれば,正社員から「この時間,入れない。」と依頼されてアルバイト従業員がそ
 れを承諾することもあり,また,希望が競合して話し合いを行うこともあり,その
 ような経過を経て,正社員が最終的に決定した半月ごとのシフト表で割り当てられ
 た労働時間がアルバイト従業員の労働時間となっており,Xの労働時間もこのプロ
 セスを経て決定されていた。
 Y社は,アルバイト従業員について,16日から月末及び1日から15日までの期間の
 半月単位の変形労働時間制を採用しており,残業代未払いはない。就業規則上の変
 形期間は1ヵ月であったが,アルバイト従業員は学生主体であるため,1ヵ月単位の
 予定を定めることが困難であるという事情があり,所定労働時間の特定は半月単位
 となっており,1ヵ月単位の変形労働時間制の要件を満たしていないものの,半月単
 位の変形労働時間制の要件は充足しており,労働基準監督署の是正勧告を受け,就
 業規則上も半月を変形期間とする変形労働時間制に変更した旨を主張するのに対し,
 Xは,アルバイト従業員に変形労働時間制を採用すること自体,法の予定したもので
 はなく許されず,また,Y社が採用していた変形労働時間制においては,変形期間
 すべてにおける労働日及び労働時間等を事前に定めず,変形期間における期間の起
 算日を就業規則等の定めによって明らかにしておらず,無効である旨を主張する。
Q15 1 年単位の変形労働時間制
 1年単位の変形労働時間制について説明しなさい。
Q16 1 週間単位の非定型的変形労働時間制
 1週間単位の非定型的変形労働時間制について説明しなさい。
第2 節 フレックスタイム制
【概 説】フレックスタイム制とは
〔1〕概   要
〔2〕導入要件
〔3〕法的効果―1日の定型的労働時間制の排除,労働義務の発生
〔4〕フレックスタイム制における時間外労働時間
〔5〕途中適用者等の清算
〔6〕適用除外
Q17 フレックスタイム制
 フレックスタイム制に関する次の事項について説明しなさい。
 労働時間の過不足の繰越し― 労働時間の貸借
 清算期間内での労働者の実労働時間が,同期間の総労働時間を超過し又は不足
 した場合,その過不足分を次の清算期間に繰り越すことができるか。
 フレックスタイム制の臨時解除― 業務命令
 フレックスタイム制が適用されている労働者に対し,使用者が,業務上の必要
 に基づき,一定の時刻までの出勤や一定時刻までの居残りを命令することができ
 るか。業務命令を受けた時間に労働した場合,時間外労働になるか。
 変則的フレックスタイム制
  次のようなフレックスタイム制は認められるか。
  週に1日ないし数日は,始業時刻及び終業時刻のいずれか又は双方を固定さ
   せる方法
  同一職場内の労働者を班分けし,通常労働時間制とフレックスタイム制とを
   一定の期間ごとに交替する方法
第3 節 事業場外労働のみなし労働時間制
【概 説】事業場外労働のみなし労働時間制とは
〔1〕基本概念
〔2〕事業場外労働のみなし労働時間制
〔3〕事業場外労働のみなし労働時間制を導入するための要件
〔4〕事業場外労働のみなし労働時間の算定方法
〔5〕みなし労働時間制の適用の主張(抗弁)
〔6〕効   果
〔7〕みなし労働時間制の具体的内容
〔8〕主張立証上の留意点
Q18 事業場外労働のみなし労働時間制
 Xは,Y社に雇用され,同社が主催する募集型の企画旅行の添乗業務(以下「本
 件添乗業務」という)に従事していた者であったが,時間外割増賃金の支払を求め
 て訴えを提起した。これに対し,Y社は,従業員代表との間で事業場外労働のみな
 し労働時間制に関する協定書が作成されており,本件添乗業務については労働基準
 法38条の2第1 項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たり,同項所定の事業
 場外労働のみなし労働時間制が適用され,実際の労働時間にかかわらず所定労働時
 間労働したものとみなされるから,時間外割増賃金が発生する余地はないと主張し
 て,これを争っている。
 以下の事実を前提として,Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
 Y社が主催するツアーにおける旅行日程表は,ツアー参加者との間の契約内容
 となっており,本件添乗業務においては,その旅行日程の管理等を行うことが求
 められ,添乗員が自ら決定できる事項の範囲や決定に係る選択の幅は限られていた。
 ツアーの開始前には,Y社は,添乗員に対し,旅行日程表及びこれに沿った手
 配状況を示した添乗員用のアイテナリーにより,具体的な目的地及びその場所に
 おいて行うべき観光等の内容や手順等を示すとともに,添乗員用のマニュアルに
 より具体的な業務の内容を示し,それらに従った業務を行うことを命じている。
 ツアーの実施中においては,Y社は,添乗員に対し,携帯電話を所持して常時電
 源を入れておき,ツアー参加者との間で旅行日程の変更が必要となる場合には,
 Y社に報告して指示を受けることを求めている。ツアーの終了後においては,Y
 社は,添乗員に対し,ツアー中の各日について旅行日程表に沿った内容を正確か
 つ詳細に記載する添乗日報によって,業務の遂行状況等の詳細かつ正確な報告を
 求めているところ,その報告の内容については,ツアー参加者のアンケートや関
 係者に問い合わせをすることによってその正確性を確認することができるものに
 なっている。
第4 節 裁量労働のみなし労働時間制
【概 説】裁量労働のみなし労働時間制(裁量労働制)とは
〔1〕基本概念
〔2〕専門業務型裁量労働制の概要
〔3〕企画業務型裁量労働制の概要
〔4〕主張立証上の留意点
Q19 専門業務型裁量労働制
 専門業務型裁量労働制について説明しなさい。
 Xは,企業経営・情報システムのコンサルティング業務,情報システムの設計・
 開発等を業とする会社であるが,Yは,平成〇年〇月〇日にXに従業員として雇用
 され,その際,Xとの間で従業員の機密保持及び知的財産権に関する契約(以下
 「本件機密保持契約」という)を締結した。本件機密保持契約には,YはXの事業
 と競合又はXの利益と相反するいかなる事業活動にも従事,投資又は支援しない旨
 (以下「本件競業避止義務」という)規定されていた。Yは,平成〇年〇月〇日,
 コンピュータのソフトウェアの開発等を目的とする会社であり,X社との間でプロ
 ジェクトの業務の一部を受託するなどの取引を継続していた甲社に投資し,同年〇
 月〇日,同社の代表取締役に就任した。その後の平成〇年〇月〇日,Xは,本件競
 合避止義務違反を理由としてYを懲戒解雇するとともに,YはXのために労務を提
 供すべき時間中不就労部分の給与について不当利得としてその返還を求める訴えを
 提起した。Xは,社員の過半数を代表する者との間で,専門業務型裁量労働制に関
 する協定書を締結し,所轄の労働基準監督署長に届け出ており,Yは専門業務型裁
 量労働制が適用される労働者である。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
Q20 専門業務型裁量労働制? [山下 知樹]
 Xは,企業経営・情報システムのコンサルティング業務,情報システムの設計・
 開発等を業とする会社であるが,Yは,平成〇年〇月〇日にXに従業員として雇用
 され,その際,Xとの間で従業員の機密保持及び知的財産権に関する契約(以下
 「本件機密保持契約」という)を締結した。本件機密保持契約には,YはXの事業
 と競合又はXの利益と相反するいかなる事業活動にも従事,投資又は支援しない旨
 (以下「本件競業避止義務」という)規定されていた。Yは,平成〇年〇月〇日,
 コンピュータのソフトウェアの開発等を目的とする会社であり,X社との間でプロ
 ジェクトの業務の一部を受託するなどの取引を継続していた甲社に投資し,同年〇
 月〇日,同社の代表取締役に就任した。その後の平成〇年〇月〇日,Xは,本件競
 合避止義務違反を理由としてYを懲戒解雇するとともに,YはXのために労務を提
 供すべき時間中不就労部分の給与について不当利得としてその返還を求める訴えを
 提起した。Xは,社員の過半数を代表する者との間で,専門業務型裁量労働制に関
 する協定書を締結し,所轄の労働基準監督署長に届け出ており,Yは専門業務型裁
 量労働制が適用される労働者である。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
Q21 企画業務型裁量労働制
 企画業務型裁量労働制について説明しなさい。
第3 章 労働時間規定の適用除外
【概 説】労働時間規定の適用除外とは
〔1〕はじめに
〔2〕農業,畜産及び水産業に従事する者
〔3〕管理監督者
〔4〕機密事務取扱者
〔5〕監視・断続的労働従事者
〔6〕特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)
Q22 多店舗展開する小売業,飲食業の店長の管理監督者該当性
 多店舗展開する小売業,飲食業の店長の管理監督者該当性について説明しなさい。
Q23 管理監督者と深夜割増賃金 [宇都宮 庫敏]
 Xは,美容室及び理容室を経営するY社に平成○年○月○日に入社し,平成○年
 以降,Y社の総店長となったが,顧客に対する理美容業務にも従事していた。Xは,
 通常は,午前10時(平日)あるいは午前9時(土日)に出勤し,午後7時半に退社
 していたが,平成○年○月以降,毎月2回,原則として水曜日の夜,理美容業務を
 終えた後,午後9時ころから最低でも2時間,店長会議に出席していた。Xには,
 他の店長の3倍の店長手当を含め他の店長の約1.5倍程度の給与が支給されており,
 また,Y社の経営は代表取締役が最終的には決定していたが,Xは代表取締役と経
 営や売上げや人事異動等について打ち合わせをし,代表取締役に助言する立場にあ
 った。ところが,平成○年○月,Y社の売上げが芳しくないことを理由とする減給
 の要請を受けてXは応じたが,その後も基本給を元に戻す話がなく,次第にY社の
 待遇に不満をもつようになり,平成○年○月○日ころに体調不良を理由に退社した
 い旨を申し入れて同年○月末日で退社した。退社後,Xは時間外賃金(深夜割増賃
 金)の支払を求めて訴えを提起した。Xは,総店長の地位にはあったものの,その
 業務は顧客に対する理美容行為であって,他の従業員と何ら変わるところはなく,
 労働基準法41条2号の管理監督者には該当しないと主張し,Y社は,XはY社の経
 営や人事管理に実質的に関与していた者であり,他の店長の3倍の店長手当を含め
 他の店長の約1.5倍程度の給与の支給を受けており,管理監督者に該当するところ,
 管理監督者については,労働基準法の労働時間,休憩及び休日に関する規定は適用
 されないから(労基41条柱書・2号),これらの規定が適用されることを前提とす
 るXの深夜割増賃金の請求は理由がない旨を主張する。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
第4 章 休憩・休日
第1節 休   憩
【概 説】休憩とは
〔1〕概   要
〔2〕休憩時間の長さと時間帯
〔3〕休憩の一斉付与の原則
〔4〕休憩時間自由利用の原則
〔5〕休憩付与義務違反について
Q24 休憩時間該当性
 Xは,Yの経営するガソリンサービス・ステーションにおけるセルフスタンドの
 監視業務員として勤務していた者であるが,勤務実態から各勤務時間帯に設定され
 た休憩は現実にはとることができず,休憩時間は手待時間に当たると主張して,当
 該時間分の割増賃金の支払を求めて訴えを提起した。
 以下の事実を前提として,Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
 本件ガソリンサービス・ステーションは24時間営業であり,勤務形態は3交代制
 (午前7時から午後4時まで,午後3時から午後11時まで,午後10時から翌日午前
 8時まで)となっており,各日にちの各勤務形態の勤務者は,始業時と終業時の各
 1時間の重なり合いを除いて1人であった。休憩は,勤務形態ごとに,原則として
 1時間に10分ずつとることとし,休憩時間に顧客が来た場合などには勤務を優先し,
 適宜に休憩をとるよう指示されていた。Xが就いていた給油の監視業務においては,
 顧客が油種,給油量を設定し,現金又はキャッシュカードを投入して,所定ノズル
 を持ち上げて給油口にノズルを入れるのを確認してから,チャイムの音に合わせて
 監視員がボタンスイッチを押すことにより初めて給油が可能になるもので,セルフ
 スタンドとはいっても監視員が個別に対応しなければならない状態にあり,顧客が
 来ているときは上記のような業務に当たらなければならず,持ち場を離れることは
 できず,時間帯やタイミングによっては食事やトイレにも不便を来す状況にあった。
 顧客が途切れているときでも,セルフスタンドが危険物取扱施設であることから,
 消防法等によって厳格に規制され,常時1名以上の従業員が監視,管理に当たって
 いることが要求されており,休憩とされる時間中も敷地から出ることは許されてい
 なかった。Yは,各勤務形態ごとに全拘時間に対して1勤務当たりの日給を支給し
 ており,Xはこのような勤務形態をとることに合意している旨を主張する。
第2 節 休   日
【概 説】休日とは
〔1〕休日の概要
〔2〕週休制の原則・暦日休日制の原則
〔3〕暦日休日制の例外(交替制労働)
〔4〕週休制の例外(変形休日制)
〔5〕休日振替
〔6〕代  休
〔7〕時間単位,半日単位での休日振替,代休は可能か
Q25 振替休日
 XはY社の従業員であった。昭和○年○月11日(木曜日)と12日(金曜日)の両
 日は交通機関各社の交通ストが予定されていたが,交通ストが実施された場合,Y
 社の従業員のうち出勤可能な者は全体の30%程度と予想された。当時,Y社では膨
 大な注文を抱えて業務は多忙を極めており,従業員の時間外労働や外注加工等に依
 存せざるを得ない状況にあった。Y社では対策を検討した結果,13日(土曜日)及
 び14日(日曜日)は,就業規則○条所定の休日であったが,就業規則○条(「業務
 上必要がある場合は前条の休日を他の日に振り替えることがある。」)に基づいて,
 これらの休日を11日と12日に振り替え,13日と14日を就業日とすること,ただし,
 これを中止する場合にはその決定を10日(水曜日)に行うとの休日振替措置(以下
 「本件措置」という)を行うことにした。○月3日に人事課長通達で全従業員に対
 し本件措置を通知し,4日,5日,8日,9日には本件措置の内容を構内放送によ
 って伝達し,また,掲示板に掲示するなどして本件措置の周知徹底を図った。○月
 10日,交通ストが不可避であることが明らかとなったので,休日振替をすることを
 最終的に確認し,周知を図った上で,本件措置を実施したところ,Xはこれに反対
 して13日と14日に欠勤したので,Y社は欠勤分を賃金から控除した。Xは,休日振
 替は,労働義務のない日時に労働義務を発生させる点において休日労働や時間外労
 働と異なるところはなく,休日労働や時間外労働の場合に使用者が労働者の同意が
 ないのに一方的に労働義務を課することができないのと同様に,休日振替の場合も
 個々の労働者の同意が必要であるところ,本件措置についてはXら個々の労働者の
 同意がなかったのであるから,労働基準法35条に違反して無効であると主張して,
 控除された賃金の支払を請求して訴えを提起した。
 Xの請求は認められるかについて説明しなさい。
第3 編 時間外,休日,深夜労働の割増賃金
第1 章 割増賃金(時間外手当)
【概 説】時間外労働,休日労働,深夜労働とは
〔1〕意   義
〔2〕時間外労働等に対する主たる規制
〔3〕割増賃金支払義務について
〔4〕法外残業と法内残業の差異
〔5〕法定休日と所定休日(法定外休日)の差異
〔6〕法定休日の特定
Q26 割増賃金の計算方法
 時間外労働,休日労働及び深夜労働に対する割増賃金の計算方法について説明し
 なさい。
Q27 割増賃金の発生
 労働時間が9時から17時までで,休憩時間が12時から13時までの1時間と定め
 られ,休日が日曜日と土曜日の週休2日制が採用されている会社に関する次の事項
 について,説明しなさい。
 従業員が,平日の9時から18時まで勤務した場合(休憩は所定時間どおり取得
 したものとする),会社に割増賃金の支払義務はあるか。
 従業員が,午前半日休暇を取得し,13時から18時20分まで勤務した場合はど
 うか。
 従業員が,平日の9時から18時20分まで勤務した場合(休憩は所定時間どおり
 取得したものとする),会社が,当該月の割増賃金を算出するために労働時間を
 集計するに際して,1日につき30分未満の残業時間は切り捨てる旨の就業規則に
 基づいて,上記の労働時間中,20分の端数を切り捨てることは許されるか。
 会社が日曜日を法定休日であると定めていた場合において,従業員が,ある週
 の日曜日に出勤し,9時から17時まで勤務したが,その週の土曜日には出勤しな
 かったとき,会社は,休日労働に対する割増賃金の支払義務を負うか。
 上記において,会社が法定休日を特定していなかった場合には,休日労働に
 対する割増賃金の支払義務はどうなるか。また,この場合において,従業員が,
 土曜日にも出勤したときには,どうなるか。
 会社が法定休日を特定していなかった場合において,従業員が,日曜日に出勤
 し,8時間を超えて勤務したとき,会社は,時間外労働に対する割増賃金の支払
 義務を負うか。
Q28 固定残業代
 固定残業代制とはどのような制度であり,どのような場合に有効となるのかにつ
 いて説明しなさい。
Q29 遅延損害金,付加金,消滅時効
 使用者が割増賃金の支払義務を怠った場合の法的効果について説明しなさい。ま
 た,割増賃金支払請求権の期間制限についても説明しなさい。
第2 章 割増賃金請求訴訟
【概 説】割増賃金請求訴訟とは
〔1〕割増賃金制度の目的
〔2〕割増賃金請求の概説
〔3〕割増賃金請求訴訟の訴訟物
〔4〕要件事実(請求原因事実)
〔5〕証  拠
〔6〕消滅時効,遅延損害金,付加金
Q30 割増賃金請求訴訟?―請求原因
 割増賃金請求訴訟における要件事実を明らかにし,その要件事実を証明するため
 の証拠にはどのようなものがあるかについて説明しなさい。
Q31 割増賃金請求訴訟?―反論・抗弁
 割増賃金請求訴訟において考えられる被告(使用者)側の反論について説明しな
 さい。
Q32 割増賃金請求訴訟?―事例の検討と訴状の記載例
 次の設例をもとに,割増賃金(時間外手当)額を計算し,計算根拠について簡単
 に説明するとともに,この割増賃金を訴求する場合の訴状における請求の趣旨及び
 請求の原因を記載しなさい。
 A株式会社(資本金1億円,従業員約90人。以下「A」という)は衣料品の販
 売(卸売業)を行う会社である。BはAとの間で平成24年3月20日に雇用契約を
 締結し,同年4月1 日に入社した。雇用契約書及びAの就業規則によると,所定
 労働時間は午前9時〜午後5時(途中,午後0時〜午後1時は休憩時間)の1日
 7 時間(1週間35時間),休日は土曜日,日曜日(日曜日は法定休日)であり,
 時間外手当については,法定労働時間内については1割増,法定労働時間を超え
 る場合は法定の割増率による。ただし,法定外休日労働の場合の割増率は2割5
 分増とするとされている。なお,給料は,毎月末日締め,翌月5日払いである。
  Bは,基本給25万円,通勤手当(実費)2万円,住居手当(家賃の6割相当
 分)6万円,家族手当2万円(配偶者1万円,子ども5000円/人,Bは2人の子
 どもがいる)で合計35万円の支給を受けている。さらに,賞与として,6月と12
 月に基本給の3ヵ月分(75万円)の各支給を受けている。この場合に,Bは,平
 成29年11月に所定労働時間35時間のほかに,以下のように残業を55時間行った。
 しかし,Aは経営が苦しいことを理由に時間外手当をまったく支払ってくれない。
 Bは,毎月の給与の支払も遅延気味であるため,時間外手当の支払をしてくれる
 のか不安に思い,時間外手当の支払を求めて提訴しようと考えている。
 11/06(月)PM05:00〜PM09:00 4 時間
 11/11(土) AM09:00〜PM05:00
       (PM 0 :00〜PM 1 :00=休憩時間)7時間
 11/12(日)PM01:00〜PM11:00 10時間
 11/21(火)PM05:00〜PM11:00 6 時間
 11/22(水)PM05:00〜PM10:00 5 時間
 11/25(土)PM01:00〜PM07:00 6 時間
 11/26(日)AM09:00〜PM02:00 5 時間
 11/28(火) PM05:00〜翌日(11/29(水))AM06:00
       (AM 0 :00〜AM 1 :00=休憩時間) 12時間
 なお,就業規則で,住居手当は一律に定額5万円を支給し,家族手当は一律に
 定額2万円を支給するとなっていた場合はどうか。
 また,上記の残業のほかに,
 11/07(火)PM05:00〜PM11:00 6 時間
 11/08(水)PM05:00〜PM09:00 4 時間
       の残業(合計65時間)を行っていた場合はどうか。
第4 編 年次有給休暇
【概 説】年次有給休暇とは
 〔1〕はじめに
 〔2〕年休制度
 〔3〕時季指定権と時季変更権
 〔4〕未消化の年休処理
Q33 取得要件
 年休取得に関する以下の項目について説明しなさい。
 従業員が出勤日当日の始業時刻前に,電話で年休を申請した場合,会社は年休
 を認めなければならないか。
 上記の場合において,会社の就業規則において,年休申請は2日前までに書
 面で届け出なければならないと定められていたとしたら,どうか。
 従業員が欠勤や遅刻をした場合,欠勤日や遅れた時間につき,事後的に,年休
 を取得したものと扱うことができるか。
Q34 年休取得と不利益扱い
 年休を取得した日の賃金は,どのように処理されるのかについて説明しなさい。
 また,所定労働日すべてに出勤した従業員に皆勤手当を支給している会社の就業規
 則において,従業員が年休を取得した場合,皆勤手当を不支給とすることは許され
 るのかについて,説明しなさい。
Q35 半日単位・時間単位の年休
 半日単位及び時間単位の年次有給休暇付与の可否及びその場合の支払うべき賃金
 について説明しなさい。
Q36 年休基準日の統一と問題点
 使用者が全労働者についての年次有給休暇付与の統一基準日を設ける場合の問題
 点について説明しなさい。
Q37 年休の計画的付与
 年休の計画的付与の制度について説明しなさい。
Q38 派遣先の派遣労働者に対する年休の時季変更権
 労働者派遣における年次有給休暇の付与と使用者の時季変更権について説明しな
 さい。
Q39 年次有給休暇の付与日数
 Bは,A株式会社(以下「A社」という)に平成25年4月1 日に入社し,平成27
 年9月30日までの2年と半年の勤務をしたが,同年10月1日から平成28年9月30
 日までの1年間病気のために休職し,同年10月1日に復職した。それから1年間
 (平成29年9月30日まで)の年所定労働日数(245日)のうち実際に勤務をしたの
 が197日であった。
 この場合に,以下の各問について簡単な理由をつけて説明しなさい。
 復職した平成28年10月1日の時点での年次有給休暇の付与日数は何日になるか。
 復職後1年が経過した平成29年10月1日の時点での年次有給休暇の付与日数は
 何日になるか。また,実際に勤務をしたのが197日であったが,このうち15日間
 につき,遅刻や早退があった場合はどうか。さらに,実際に勤務をしたのが197
 日であったが,このうちの3日間は休日労働であった場合はどうか(代休はなか
 った)。
 平成28年10月1日(復職日)から平成29年9月30日までに,実際に勤務をし
 たのが186日であった場合はどうか。さらに,実際に勤務をしたのが186日であ
 ったが,勤務をしない日のうち10日間については年次有給休暇を取得していた場
 合はどうか。
 平成28年10月1日(復職日)から平成29年9月30日までに,実際に勤務をし
 たのが193日であったが,勤務をしない日のうち5日間については実母のための
 介護休業を取得していた場合はどうか。
 平成28年10月1日(復職日)から平成29年9月30日までに,実際に勤務をし
 たのが193日であったが,勤務をしない日のうち3日間については実父死亡のた
 めの特別休暇(いわゆる忌引き休暇)を取得していた場合,あるいは生理休暇を
 取得していた場合はどうか(A社では,就業規則で上記の特別休暇や生理休暇に
 ついて年次有給休暇と同様に取り扱う旨が規定されている)。もし,A社の就業
 規則で上記の特別休暇や生理休暇については欠勤と同様に取り扱う旨が規定され
 ていた場合はどうか。
 平成28年10月1日(復職日)から平成29年9月30日までに,実際に勤務をし
 たのが193日であったが,勤務をしない日のうち5日間については,A社にある
 労働組合のストライキによる不就労日であった場合はどうか。
Q40 年次有給休暇の付与日数
 Q39の設例において,Cは,A社の経営するスーパーマーケット甲店にパートタ
 イマーとして働いており,その勤務形態は,週3日間(月,水,金の各曜日),1
 日当たり4時間(午後1時から午後5時まで)の勤務であって,平成28年4月1日
 から平成29年9月30日までの1年と半年の期間勤めている。このCにつき,平成29
 年10月1日の時点での年次有給休暇の付与日数は何日になるか。
Q41 年次有給休暇と時季変更
 A株式会社(以下「A社」という)は,○○市内でドラッグストア3店舗(甲店,
 乙店,丙店)を経営しており,社長以下管理職3人(取締役専務,取締役総務部長,
 会計課長各1人),本社従業員1人及び店舗従業員7人(甲店−3人,乙店−2人,
 丙店−2人)の合計12人の会社である。A社では,年休について,就業規則に「年
 休取得のためには事前に書面で申請し使用者の許可を受けなければならない」と規
 定していた。
 平成29年12月24日(日)に,甲店従業員のBと乙店従業員のC,Dが,全店一
 斉の年末大売出しが開始される翌25日(月)に有給休暇をとりたいと申請してきた。
 Bの申請理由には「発熱した子どもを病院に連れて行くため」と,Cの申請理由に
 は「葬儀参加のため」とそれぞれ記載されていた。しかし,Dの申請理由には何も
 書かれていなかった。本社の総務部長が携帯電話でDの申請理由を尋ねたが,Dは
 「年休の申請理由を記載させるのは違法で,答える必要はない」との返事で申請理
 由はわからなかった。
 この場合に,A社はDの有給休暇を許可しないことはできるか。あるいは,A社
 は有給休暇理由不記載を理由にDの有給休暇を承認しないとすることはできるか。
 また,A社は,Dの有給休暇を別の日に変更することはできるか。
Q42 解雇・退職予定者に対する年休の時季変更権
 A自動車販売会社(以下「A社」という)の社員Bは,営業部に所属し自動車の
 セールスを担当していたが,営業成績が低調で,遅刻も多く,また無断欠勤もあっ
 たため,A社は30日間の解雇予告のもとBを解雇することにした。Bも自分には自
 動車のセールスは向かないと考え,この解雇を受け入れることにした。そして,B
 は,年次有給休暇が35日残っているとして,解雇予告があった日の翌日から解雇の
 日までの年次有給休暇を申請した。
 この場合に,A社としては引継ぎのためせめて2日間はBに出社をしてほしい
 と考えているが,A社はBの年次有給休暇を認めるしかないか。A社のとり得る
 方法にどのようなものがあるか。
 また,上記?において,A社はBを戒告処分にするにとどめたが,Bは自分に
 は自動車のセールスは向かないと考え,1ヵ月後に退職する旨の退職届を提出し,
 その翌日から退職までの年次有給休暇を申請した。この場合はどうか。
第5 編 仕事と育児・介護の両立支援制度―育児休業,介護休業
第1 章 仕事と育児・介護の両立支援制度と休業制度
【概 説】仕事と育児・介護の両立支援制度
〔1〕はじめに
〔2〕仕事と育児の両立支援の制度
〔3〕仕事と介護の両立支援の制度
〔4〕仕事と育児・介護の両立支援の制度
〔5〕子の看護休暇制度
〔6〕介護休暇制度
〔7〕不利益取扱いの禁止
Q43 休業制度の周知義務
 事業主の休業制度の周知義務について,周知制度の趣旨,周知事項,また周知方
 法などについて説明しなさい。
Q44 育児介護休業法
 育児介護休業法は,平成28年と平成29年にそれぞれ改正されたが,両者の改正内
 容について簡単に説明しなさい。
第2 章 育児休業
【概 説】育児休業とは
〔1〕はじめに
〔2〕産前産後休業(労基65条)
〔3〕育児休業
〔4〕育児時間(労基67条)
Q45 育児休業?―取得
 Aは,その夫Bとともに,C社に勤めているが,妊娠したため,子どもが生まれ
 たら,産後休業の後に,育児休業を取得しようと考えている。どのようにすればよ
 いか。出産の日が当初予定日から変わった場合にはどうすればよいか。いつまで取
 得し得るか。また,夫のBも取得し得るか。
Q46 育児休業?―延長・短縮
 Aは子どもが満1歳になるまで育児休業を取得することにし,現在育児休業中
 であるが,満1歳になった時点で預けることを予定していた託児所から定員一杯
 で受け入れることができなくなったとの連絡があり,さらに,他の託児所にも預
 けられそうにもないということで,育児休業を延長しようと考えているが,可能か。
 一方,Aは子どもが満1歳になるまで育児休業を取得することにし,現在育児
 休業中であるが,10ヵ月になろうとする時に,満1歳になった時点で預けること
 を予定していた託児所から「急に辞退者が出たので定員が空いた。今なら受け入
 れることができる。しかし,これが埋まってしまうと,Aの子どもが満1歳にな
 った時点で受け入れることは困難であろう。」と言われた。そこで,Aは育児休
 業を10ヵ月で打ち切り,託児所に預け,仕事に復帰したいが,このようなことは
 可能か。
Q47 育児休業?―申出の撤回,申出の消滅,終了予定日前の終了
 Aは,育児休業を取得するつもりで,育児休業の申出をしていたが,産後休業
 期間中に,近くに住む実母や実父が育児を手伝ってくれることに話が決まり,そ
 のため,育児休業の申出を撤回しようと考えているが,このようなことは可能か。
 併せて,育児休業申出の消滅や終了予定日前の休業終了についても,説明しなさい。
第3 章 介護休業
【概 説】介護休業とは
〔1〕はじめに
〔2〕介護休業と企業
〔3〕介護休業の対象者
〔4〕介護休業の期間・取得方法
〔5〕労働者の申出による介護休業の変更・撤回等
〔6〕介護休業の終了
〔7〕介護に関する企業の雇用管理における措置等
Q48 介護を理由とした配置換えの拒否
 Aは現在B社の東京本社に勤めているが,B社は大阪工場に配置換えを企画した。
 ところが,Aは要介護2の認定を受けた母親を介護しており,またその妻も精神病
 で治療を受けている状態であって,そのためこの配置換えを断った。
 B社はこのような配置換えを行うことができるか。
 
 事項索引



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