青林書院



講座 現代の契約法 各論1


講座 現代の契約法 各論1
 
編・著者内田 貴・門口正人 編集代表
判 型A5判
ページ数468頁
税込価格6,156円(本体価格:5,700円)
発行年月2019年06月
ISBN978-4-417-01761-5
在庫有り
  
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■解説
「契約法における理論と実務の架橋」となる講座【各論58項目】刊行
◆現役裁判官と各専門分野の弁護士,各業界の一線で活躍する実務家が執筆。
◆改正民法の問題意識を背景に実務の現場で生じる課題に焦点を当て,
 現代の実務を総覧するテーマを幅広く選択,最新実務の状況を解説,今後の
 展望を示す契約法における実務の最新の到達点を示す。


はしがき
本講座は,その題名のとおり,現代の契約法の分野における実務の状況と学
問的業績を顕すもので,3つの特色を持つ企画である。
1つは,契約法の全般にわたる現代的課題を取り上げる。あたかも2017 年
には民法が改正され,その施行が2020 年に迫っている。改正法の制定過程に
おける問題意識を背景に実務の現場において生じている様々な課題に焦点を当
て,一般の契約はもとより,スポーツ・芸能,システム開発,国際売買から各
種企業活動における契約に至るまで,現代日本の契約実務を総覧するテーマを
選択した。
2つは,契約法の領域における理論と実務の架橋を目指す。民法の改正の過
程では,学界と実務界の間で,当初,学者グループより学問的観点から斬新な
改正案が提示されたのに対し,実務界から反発が巻き起こるなどせめぎ合いが
見られたが,ここで見られた対立は,120 年間の民法運用の過程で知らぬ間に
できた学界と実務界の間の溝の深さを感じさせた。本講座では,この溝に橋を
架け,相互理解を促進するための道をつけることを期した。
3つは,執筆者に人を得たことである。法曹界からは現役裁判官と各専門分
野の弁護士,各業界からは第一線で活躍する実務家,そして学者からは気鋭の
研究者が選抜された。各執筆者は,それぞれの分野で最新の情報を掌握し,卓
抜した専門的知見を有する方々である。
先行して刊行される各論3巻(実務編)では,現代日本の契約実務における
テーマごとに多角的な視点から最新の実務の状況を解説するとともに,今後の
展望を示す。実務編は,日本の実務の最新の到達点を示す実務的解説として幅
広く活用されるであろう。続いて刊行される総論(理論編)では,各論で示され
た日本の契約実務の実情を踏まえて,それを横断的に俯瞰することによって,
従来の理論が反省されるとともに,実務を踏まえた理論の再構築が試みられる。
理論編は,単に学問的に意味があるにとどまらず,現実に対応できる理論とし
て,実務,とりわけ裁判実務において有益であるに違いない。こうして理論と
実務のひとつの対話が実現され,この対話は,さらなる対話へのスタートとな
るものと確信する。
本書が,現代日本の契約法に関心のある実務家,研究者の双方にとって,有
用な講座となることを期待している。同時に,2017 年改正民法の施行に伴い,
改正法が実務にどのようなインパクトを与えるかについての充実した解説書と
しても有用性を見出していただけるであろう。
本書は,編集委員各位をはじめ,多忙な中,企画の趣旨に賛同して貴重な原
稿を寄せられた執筆者の方々の熱意の産物である。ご協力に感謝したい。ま
た,野心的な大型企画ゆえの困難も多かったが,担当編集者として獅子奮迅の
活躍をしてくださった長島晴美さんにも厚くお礼申し上げる。

2019 年4月3日
内田貴
門口正人



編集代表
内田 貴:早稲田大学特命教授,東京大学名誉教授,弁護士
門口正人:弁護士,元名古屋高等裁判所長官


編集委員
大村敦志:学習院大学法務研究科教授
岡 正晶:弁護士
近藤昌昭:東京高等裁判所部総括判事
中原利明:株式会社三菱UFJ銀行法務部部長


執筆者
柴田龍太郎:弁護士
和智洋子:弁護士
琴浦 諒:弁護士
牧野達彦:弁護士
堀田次郎:広島法務局訟務部長
堀  弘:弁護士
井上博史:株式会社三菱UFJ銀行法務部次長
寺岡洋和:高松高等裁判所判事
中原利明:上掲
堀 天子:弁護士
谷本大輔:弁護士
島田充生:弁護士
宮坂昌利:山口地方裁判所・家庭裁判所長
浅田 隆:株式会社三井住友フィナンシャルグループ監査委員会室長
      株式会社三井住友銀行監査役室長
小林明彦:中央大学法科大学院教授,弁護士
宮島哲也:弁護士
石田明彦:札幌高等裁判所判事
黒木和彰:弁護士

(執筆順,2019 年4月1日現在)
   
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■書籍内容
第1章売買交換

1 不動産売買契約
売買契約書の変遷
標準内容の売買契約書の浸透
不動産売買契約の成立時期
標準内容によらない売買契約書を使用したために発生したトラブル
1 解除の要件が不備な契約書
2 読み上げるのに時間がかかるとして危険負担の条項を削除して契約書を作成した
  ためトラブルになった事例
3 標準内容の売買契約書使用のすすめ
宅建業者売主用の売買契約書
宅建業者研修用テキストの普及
民法(債権関係)改正の影響
最近よく使用される特約事項・容認事項
1 はじめに
2 特約事項・容認事項の解説
高齢社会と意思能力の確認
改正民法(債権関係)施行後に問題となる契約条項
1 民法改正後の売買契約書改正試案
2 試案へのコメント
将 売主の告知書の重要性
将 増大する外国人との取引に向けた対応

2 クレジットカードによる取引と役務提供業者の破綻
はじめに
クレジットカード取引の契約関係
1 総論
2 抗弁権接続(支払停止の抗弁)
3 カード会社の販売業者に対する購入代金の支払義務の発生時期及び支払期限
4 抗弁権の接続(支払停止の抗弁)がなされた場合についての加盟店契約上の規定
5 カードによる販売が取消しないし解約等された場合についての加盟店契約上の規定
本件事例についての検討
1 ツアー料金を現金で支払っていた場合
2 ツアー料金をクレジットカードで支払っていた場合
3 ツアー料金をクレジットカードで支払っていたが支払方法につきマンスリークリア
  を選択していた場合

3 国際売買契約
はじめに
1 導入
2 法規範
国際売買契約の問題点,課題の概説
1 国際売買契約の締結にあたっての視点
2 ウィーン統一売買法条約の適用
3 契約書に通常盛り込まれる主要条項
主要な論点
1 商品(品名,品番等)(Products),数量(Volume),仕様(Specification)
2 対価(Consideration)
3 品質保証(Warranty)
4 引渡し(Delivery)・危険負担(Transfer of Risk)
5 所有権の移転(Transfer of Title)
6 支払(Payment)
7 損害賠償(Damage)や補償(Indemnity)
8 基本契約と個別契約の関係を規律する規定(基本契約+個別契約型のみ)
(Master Agreement and Individual Agreements)
9 準拠法(Governing Law)
10 紛争解決(Dispute Resolution)
11 一般条項(Miscellaneous)
12 その他
おわりに

第2章賃貸借・使用貸借

4 建物賃貸借契約
現在の建物賃貸借市場
賃貸業と宅建業法
「賃貸住宅標準契約書」について
建物賃貸借契約書の定めで事前に一切の紛争を防止できるか
建物賃貸借契約で効力が問題となる特約
原状回復義務に係る特約
1 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
2 事業用建物賃貸借の原状回復特約の危うさ7
消費者契約法で問題とされたその他の特約 関東でも使用され始めた敷引特約
 (敷金控除特約)
民法(債権関係)改正と「敷引特約」
最近問題となっている特約について
1 反社・ドラッグ・詐欺・民泊に関する表明文
2 事業用賃貸借で留意すべき最近のトラブル事例と特約例
3 民泊,シェアハウス,DIY等
将 まとめ

5 不動産媒介契約
媒介契約の歴史
当初の宅建業法と改正経過
仲介(媒介)契約の現状
インスペクションと媒介業者の責任範囲の純化
1 意義
2 中古物件の活用と流通の促進に関する国の施策の転換
3 インスペクションと瑕疵担保保険制度
4 民法(債権関係)の改正による「契約不適合責任」の導入とインスペクション
5 アメリカとの2国間貿易協定(FTA)とインスペクション
6 エスクローで重要なタイトルインシュアランスとは何か
7 インスペクションの今後について
媒介契約の内容の純化と法的性質の明瞭化
消費者契約法における媒介の位置づけ1
平成28 年の宅建業法改正による標準媒介契約書の追加事項のまとめ

6 レンタル契約とリース契約
レンタル契約及びリース契約の意義
1 レンタル契約とは
2 リース契約とは
3 レンタル契約とリース契約との異同1
レンタル契約について
1 賃貸借契約(典型契約)としてのレンタル契約
2 レンタル契約の内容
リース契約について
1 リース契約の仕組みと特徴
2 ユーザーの法的倒産手続とリース契約
最後に

7 ファイナンス・リース契約122
ファイナンス・リース契約の意義・特徴
リース契約の沿革
ファイナンス・リース契約を利用するメリット
リース料債権の流動化・証券化
ファイナンス・リース契約の締結及び規定内容
1 ファイナンス・リース契約の締結
2 ファイナンス・リース契約における規定内容

第3章消費貸借等

8 預金契約
はじめに
1 預金契約.とは
2 預金契約の特色
預金取引規定の全体像
1 普通預金取引規定の構成
2 定期預金取引規定の構成
3 預金取引規定の内容,規定趣旨と関連する諸問題
個別の文言例
1 預金契約の特性を示した条項
2 印鑑照合等
3 自動継続
4 証券類の受入れと受入証券類の決済,不渡り
5 振込金の受入れ
6 譲渡,質入れ等の禁止
7 反社会的勢力との取引拒絶,取引停止・解約
8 規定の変更等
おわりに

9 預金契約
預金の概要
1 預金と預金契約
2 預金契約の性質等に関する議論の深化
平成29年改正の概要
1 消費寄託契約における改正の概要
2 預貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力
3 預貯金口座に対する払込みによる弁済
民法(債権関係)改正と預金債権をめぐる裁判実務の交錯
1 従来から存在する紛争事例
2 今回の民法改正が影響を与える紛争事例
執行実務との観点――相続預貯金の差押え等に関する規律
1 相続預貯金の差押え
2 本件最高裁判例の概要――分割債権から準共有へ
3 強制執行の方法
4 差押えの効力が及ぶ範囲
5 換価方法
相続法改正に関する預金債権の規律
1 保全処分の要件緩和
2 家庭裁判所の判断を経ずに払戻しが得られる制度の創設
まとめ

10 銀行取引約定書
銀行取引約定書の意義
1 銀行取引約定書の締結理由
2 銀行取引約定書の法的性質
銀行取引約定書(全銀協ひな型)の制改定,廃止
銀行取引約定書の条項の概説
1 銀行取引約定書の利用範囲
2 銀行取引約定書の適用範囲

11 銀行代理業と電子決済等代行業
銀行業務の意義
銀行業務の担い手に関する規制
銀行代理業
顧客のために営む業務
電子決済等代行業
API 利用契約とAPI 利用規定
1 契約関係
2 API利用契約
3 API利用規定

12 デリバティブ契約
はじめに
1 「デリバティブ契約」とは
2 ドキュメンテーションの現状
ISDA MASTER AGREEMENT
1 構成
2 ISDA MASTER AGREEMENT 及びCSAについて
3 デリバティブ取引に係る裁判例
4 近時の規制動向

13 デリバティブ取引関係訴訟
デリバティブの意義
1 デリバティブの本質
2 デリバティブ取引の目的
デリバティブ取引に係る規制
1 商品先物取引と金融デリバティブ
2 金商法による規制
最近のデリバティブ関係訴訟の主な類型
1 概観
2 最近の訴訟に現れた主な紛争類型
デリバティブ関係訴訟における実体法上の諸問題
1 最近の訴訟の特徴
2 説明義務違反をめぐる議論の整理と展望
3 適合性原則違反をめぐる議論の整理と展望

14 シンジケートローンにおける約定内容と契約法の機能285
はじめに
シンジケートローンの概要
1 基本的な仕組み
2 経済的意義
3 契約書上の特徴とその法的意義(総論)
資金供与に関する契約
1 シンジケートローン約定内容と特徴
2 貸付契約
3 コミットメントライン契約
4 我が国にない概念を用いた貸付関連条項
5 各参加金融機関の関係(個別独立性)
契約による平等性・団体性の設計
1 総論
2 平等性を確保する条項
3 団体性を確保する条項(意思結集条項)
4 平等性・団体性条項の維持
シ団の組成・管理に係る役務契約
1 アレンジメント契約
2 エージェントに係る契約
貸付債権売買取引
1 譲渡性向上への指向
2 シンジケートローン契約上の仕組み
3 貸付債権売買等に係る契約書
4 改正民法の影響
まとめ
1 契約としての特徴
2 改正民法の影響

15 ファクタリング契約
ファクタリングとは
一括ファクタリング(支払企業主導型ファクタリング)
1 経緯
2 一括ファクタリングの仕組み
3 将来債権譲渡型一括ファクタリングにおける留意点
4 その他の一括決済方式
納入企業主導型ファクタリング
1 基本的な仕組み
2 買取代金の一部留保
3 診療報酬・介護報酬など

第4章雇用・労働

16 有期労働契約――平成24年労働契約法改正以降の状況を踏まえた実務的対応369
平成24 年労働契約法改正
無期労働契約への転換制度に対する各社の対応
無期転換後の処遇・労働条件に関する留意事項
1 既存の就業規則との関係
2 「別段の定め」において検討すべき事項
3 無期転換にあたっての労働条件の明示
「通算5 年を超えないように運用する」場合の留意事項
1 当初の有期労働契約の締結時から更新限度を明示する方法
2 就業規則を変更し更新限度を設ける方法
3 不更新(更新限度)条項を記載した個別の労働契約を締結する方法
有期労働契約と無期労働契約との間に労働条件の相違を設けるにあたっての留意点
1 基本給
2 賞与
3 手当
4 福利厚生
民法(債権関係)改正法と有期労働契約
1 民法の雇用の節の改正に関する事項
2 民法のその他の箇所の改正に関する事項―
  ―定型約款(改正民法548条の2ないし同条の4 関係)

17 雇用労働
はじめに
1 労働契約の定義
2 労働契約関係の特色とこれに対する法的規制のあり方
3 裁判所の対応
契約ないし合意の認定について
1 近時の最高裁判決
2 平成28年判決が示す法理
3 平成28年判決の法理の適用範囲
契約内容の解釈について
1 労働関係における契約内容の解釈
2 問題となる例その1――固定時間外手当
3 問題となる例その2――私傷病休職
契約の有効性の検討について
おわりに

第5章保証契約

18 個人保証
はじめに
1 個人保証の問題点
2 平成16年の民法改正
3 民法(債権関係)の改正に関する中間試案
4 民法の一部を改正する法律における個人保証制度の概要
すべての保証人に適用される保証人保護の制度
1 一般的な保証人保護制度
2 主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
3 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務
個人根保証契約
1 個人根保証契約の定義
2 個人根保証契約の存続期間と元本確定事由
3 主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれる場合
事業に係る債務についての保証契約の特則
1 事業のために負担した(負担する)貸金等債務の意味
2 保証意思宣明公正証書
3 公正証書の適用除外の対象者
4 契約締結時の情報提供義務
連帯保証と請求
その他の論点
1 根保証契約の譲渡
2 保証人の責任制限(経営者保証のガイドライン)

事項索引・判例索引

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