青林書院



新版 行政法総論 上巻


新版 行政法総論 上巻
 
編・著者藤田 宙靖 著
判 型A5判
ページ数440頁
税込価格6,160円(本体価格:5,600円)
発行年月2020年4月
ISBN978-4-417-01784-4
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■解説
信頼と実績に裏打ちされた藤田『行政法総論』の最新版!

■平成26年行政不服審査法,それに基づく行政関係各法の改正,その他最新の法令,
 判例等に対応した最新刊!
■内容の更なる充実に伴い,上巻(行政法通則),下巻(行政救済法)に分けて大幅
 なリニューアル。完熟した藤田行政法学へ向けてのリスタート! 


新版 はしがき
 本書は、平成二八年(二〇一六年)における(新)行政不服審査法(平成二六年に
旧法全面改正)の施行に対応するために、旧著『行政法総論』(青林書院、平成二五
年)の改訂を試みたものである。ただ、結果的にはそれに止まらず、それ以外の部分
についてもかなりの範囲にわたる加筆・補訂等を行うこととなったため、全体のペー
ジ数が増え、上巻(行政法通則)及び下巻(行政救済法)の二分冊とせざるを得なく
なった。しかし、全体としての結構及び本書執筆の趣旨・目的においては、基本的に
、旧版と変わるところはない。このあたりの詳細については、本書の冒頭においてと
いうよりも、むしろ、全巻を通読された上でこそ理解されやすかろうと思われるので
、この種の書物としては異例であるが、下巻の末尾に「あとがき」を付してその説明
を加えることとした。関心を持たれる向きにおかれては、そちらの方も御一読頂けれ
ば幸いである。
 改訂に当たっては、その企画当初から最終段階に至るまで、青林書院編集部の宮根
茂樹氏による献身的な御助力を頂いた。また、このような市場性の乏しい書物の発刊
を快諾して頂いた、同社逸見慎一社長に、厚く御礼を申し上げる次第である。
 なお、改訂作業に際し、必要な諸資料の入手や事項索引の作成などで、個人的に、
東北大学大学院助教高畑柊子氏の大なる助力を頂いた。また、東北大学教授飯島淳子
氏におかれては、公務甚だ御多忙であるにも拘らず、全く個人的な立場において、本
書再校の段階で全文に目を通し、重大な誤り等についてのチェックをするという労を
執って下さった。
 今回の改訂は、私が自らの傘寿を記念し、(旧版とは異なり)いわば「人手を借り
る」ことなく単独で企画・遂行したものであって、本書中の記載については、その内
容・表現等をふくめ、実質的にも形式的にも一切私が責任を負うものである。しかし
それにしても、上記の方々の御助力がなければ、到底ここまで辿り着くことはできな
かった。改めて、関係の方々に深く感謝申し上げるともに、本書の上梓を共に慶ばせ
て頂きたい。

令和二年(二〇二〇年)三月
藤田 宙靖


藤田宙靖(ふじた ときやす)
[略歴]
1940年 4月6日東京に生まれる
1963年 東京大学法学部卒業,東京大学法学部助手
1966年 東北大学法学部助教授
1977年 東北大学法学部教授
2000年 東北大学大学院法学研究科教授
2002年 東北大学名誉教授,最高裁判所判事
2010年 最高裁判所判事退官
2014年 日本学士院会員
     現在に至る




■書籍内容
序 論 行政法と行政法学
一 行政法とは何か──実定法律との関係
二 行政法とは何か──諸学説)
三 客観的な理論的「ものさし」の必要

第一編 行政及び行政法
第一章 行   政
第一節 概   説
一 「行政」とは何か
二 行政の活動目的と活動形式
三 行政の主体
第二節 行政主体の概念
一 「行政主体」と「私人」との二元的思考
二 二元的思考と現代の行政
三 行政法学の目的と「行政」
第三節 行政の活動形式──三段階構造モデル
一 行政の過程とその法的把握
二 行政法総論と行政の活動諸形式
三 「行政行為」の概念
四 第一章のまとめ

第二章 行 政 法
第一節 概   説
一 行政に固有の法
二 「公法」と「私法」の観念
三 公法と私法の区別についての諸説
第二節 公法と私法──わが国における学説の推移
一 わが国の伝統的通説──三分説
二 三分説の問題点
三 三分説の意義と限界
四 公法私法一元論の登場
五 公法私法二元論からの反論
第三節 公法と私法──問題の考え方
一 方法論上の整理の必要
二 公法私法二元論の実践的機能の限界
三 残された問題

第二編 行政の諸活動とその法的規制(その一)──法律による行政の原理
第一章 「法律による行政の原理」とは何か
第一節 概   説
一 法治主義の諸類型とわが国行政法
二 「法律による行政の原理」の背景)
三 「法律による行政の原理」の内容
第二節 「法律による行政の原理」の内容
一 法律の(専権的)法規創造力の原則
二 法律の優位の原則
三 法律の留保の原則
四 「法律による行政の原理」・「近代行政救済法の原理」・「近代法治国家の原理」

第二章 「法律による行政の原理」の例外と限界
第一節 概   説
一 「例外」と「限界」の区別
二 「例外」の諸類型
第二節 「法律による行政の原理」の例外(その一)──特別権力関係論
一 「特別権力関係」の概念
二 「特別権力関係」と法律による行政の原理
三 「包括的支配権」の制限の試み
四 特別権力関係論への諸批判
五 考え方の整理
六 「権力関係」概念の否定について
七 今日の問題状況
第三節 「法律による行政の原理」の例外(その二)──侵害留保理論
一 侵害留保理論とその批判
二 侵害留保理論をめぐるわが国の理論状況
三 考え方の整理
四 今後に残された問題
第四節 「法律による行政の原理」の例外(その三)──自由裁量論
第一款 自由裁量とは何か?──「法律による行政の原理」との関係
一 「裁量」と「覊束」
二 法規裁量(覊束裁量)の概念
第二款 自由裁量とは何か?──裁判審査との関係
一 自由裁量行為と裁判審査
二 自由裁量の「限界」
三 伝統的な自由裁量論の図式
第三款 伝統的図式の動揺
一 「法規裁量」と「便宜裁量」の相対化
二 「自由裁量行為」と「覊束行為」の相対化
三 処分の手続・過程のあり方を重視する傾向
四 手続法的自由裁量論と実体法的自由裁量論
第四款 覊束行為と裁量行為の判別の基準
一 問題の意義
二 学説の展開
三 「性質説」の限界
四 判例の状況 五 自由裁量論の諸相
第五節 「法律による行政の原理」の限界
一 「法律による行政の原理」の特徴
二 「法律による行政の原理」に対する批判とその意義
三 伝統的な理論の中での対処──行政行為の取消制限論
四 伝統的な理論の中での対処──損失補償論
五 新しい問題のタイプ
六 「行政過程論」の登場
七 「行政過程論」の意義と問題点

第三章 行政過程への私人の参加──新たな方向の模索
第一節 行政の事前手続
一 行政の事前手続とその意義
二 わが国行政法学と行政の事前手続
三 わが国制定法上の行政の事前手続──第二次大戦後の立法の経緯
四 判例の状況
五 行政の事前手続の代替物
六 行政の事前手続のあり方についての本書の基本的な考え方
七 行政手続法の意義
八 行政調査
第二節 情報公開制度
一 情報公開制度とその意義
二 情報公開制度とわが国実定法
三 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)の内容
四 情報公開法と地方公共団体の情報公開条例
五 情報公開制度と関連する諸制度

第三編 行政の諸活動とその法的規制(その二)──行政活動の諸形式
第一章 行政行為
第一節 概  説──「行政行為」の概念
一 オットー・マイヤーの「行政行為」概念
二 理論的概念としての「行政行為」
三 私人の権利義務に対する行政行為の関わり方──行政行為の分類
四 行政行為の公権力性
第二節 行政行為と「法律による行政の原理」──とりわけ行政行為の附款について 一 概  説
二 「附款」の概念
三 附款をめぐる法問題
四 「附款」の法的性質
第三節 行政行為の諸効力
一 「効力」の概念
二 (自力)執行力・不可争力(形式的確定力)
三 拘束力・公定力
四 不可変更力(確定力)・実質的確定力
第四節 行政行為の取消しと撤回
一 概念の整理
二 取消し及び撤回の制限
第五節 行政行為の瑕疵──とりわけ行政行為の「無効」について
第一款 「瑕疵ある行政行為」とその効果
一 「瑕疵ある行政行為」とは
二 「瑕疵ある行政行為」の種別
第二款 取り消し得べき行政行為と無効の行政行為の判別基準
一 「重大明白」説
二 取り消し得べき行政行為と無効の行政行為の具体的な判別

第二章 行政法上の義務の強制手段
第一節 行政上の強制執行
第一款 概   説
一 行政上の強制執行の意義と機能
二 行政上の強制執行と法律の根拠
第二款 わが国現行法上の強制執行制度
一 代執行手続・滞納処分手続
二 その他の強制執行手段
三 民事法上の手続による強制執行の可能性
第二節 間接的強制制度
第一款 行 政 罰
一 行政罰と強制効果
二 行政刑罰とその手続
三 過料(秩序罰)とその手続
第二款 公租・公課
一 延滞税・加算税
二 課 徴 金
第三款 公  表
一 現行法上の公表制度
二 公表の法的性質
第四款 諸手段の転用
一 具体的な転用例
二 諸手段の転用をめぐる法問題
第三節 「行政の実効性確保」という視角について

第三章 「三段階構造モデル」の例外
第一節 概   説
一 伝統的な活動諸形式
二 現代行政の諸形式
第二節 伝統的な活動諸形式
第一款 行政立法
一 行政立法の種別
二 行政立法の種別──「法規命令」と「行政規則」の区別
三 法規命令とその法的性質
四 法規命令をめぐる法的諸問題
五 行政規則とその法的性質
六 行政規則をめぐる諸問題の存在
第二款 行政契約
一 行政契約の概念
二 狭義の行政契約(公法契約)
三 行政契約をめぐる法問題
四 その他の行政契約(公法契約)
第三款 即時強制(即時執行)・強制調査
一 即時強制の概念
二 即時強制の要件
三 伝統的な即時強制理論への批判
四 即時強制・強制調査と令状主義の適用ほか
第三節 現代行政の諸形式
第一款 行政計画
一 行政計画の概念と意義
二 行政計画の特徴
三 具体的な法問題
第二款 行政指導
一 行政指導の概念
二 行政指導をめぐる問題の所在
三 行政法学からの対処
四 立法による対処

付 章 行政法学と行政の活動形式論
第一節 行政の活動形式論をめぐる諸問題
一 問題の所在
二 活動形式論の「形式性」について
三 活動形式論のあり方について
第二節 新たな動向とその検討
一 「行為」と「制度」ないし「仕組み」
二 「システム」の捉え方
  判例索引(上巻)/事項索引(上巻)

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