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不動産相続の法律相談


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不動産相続の法律相談
 
編・著者吉田修平法律事務所 編
判 型A5判
ページ数416頁
税込価格5,720円(本体価格:5,200円)
発行年月2020年08月
ISBN978-4-417-01797-4
在庫有り
  
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■解説
◆不動産相続問題解決の指南書!
◆不動産と相続に関する解決困難事例を網羅!
◆Q&A形式で具体的な解決策や実務上の留意点を明示!
 さらに,不動産を対象とした多岐にわたる法律等についても丁寧に解説!
◆配偶者居住権等の不動産に関する相続法改正事項についても詳説!


はしがき
 本書は,重要かつ高額な資産である不動産に発生する様々な相続問題につい
て,具体的な解決策を示すとともに,関連する多くの基本的な法律上の概念に
ついても解説をするものです。
 不動産は,そこに居住したり,店舗やオフィス等として利用する等の重要な
資産であるとともに,一般的に国民が所有するものの中で最も高価な財産で
す。したがって,ある人が亡くなり相続が発生した場合,亡くなった人の所有
していた不動産についての熾烈な紛争が発生する可能性が高まります。
 不動産については,対象となる法律が,民法だけでなく借地借家法や不動産
登記法等の多岐にわたるため,不動産に関する問題の処理は複雑かつ難しいも
のとなりがちです。
 また,相続についても,2018年7月に民法(相続法)が改正され,配偶者居
住権等の新しい制度が創設されました。
 このようなことから,不動産に関して相続トラブルが発生すると,その解決
はますます難しくなっているとの現状があります。
 そこで,本書では,実務上よく生じ得る不動産と相続に関する解決困難な問
題をQ&A方式により網羅的に取り上げ,具体的な解決策を示すとともに,関
連する多くの基本的な問題についても丁寧な解説を試みています。
 全52問にわたるQ&Aにおいて,新たな制度の解説はもちろん,実際に実務
の現場で問題とされたケースについて,弁護士や司法書士という専門家が自ら
の経験を踏まえて解説しています。
 これらの内容について,実務経験の豊富な21人の執筆陣が解説を行っていま
すので,不動産と相続に関して生じ得る実務上の諸問題の多くが理解できるの
ではないかと自負しています。
 本書が,不動産についての相続問題で悩まれている方のお役に少しでも立て
ることを願っています。
最後に,本書の企画段階から完成に至るまで大変お世話になった青林書院の
森敦氏をはじめとする関係者の皆様と,ご多忙であるにもかかわらず快く本書
の執筆に協力していただいた執筆者の皆様に,厚く御礼申し上げます。
 また,解説する項目の決定,設問の作成及び全体の体系的整理等の難しい編
集作業に献身的に取り組んでくれた,吉田修平法律事務所の鈴木崇裕弁護士,
遠矢悟史弁護士にも,心より感謝いたします。
  
 2020年6月
編集代表 吉田 修平


■編集代表 
吉田 修平:弁護士 吉田修平法律事務所

■執筆者 
吉田 修平(上掲)
遠矢 悟史:弁護士 吉田修平法律事務所
竹内 裕詞:弁護士 さくら総合法律事務所
小池 知子:弁護士 あたらし橋法律事務所
永野 達也:弁護士 JAZY 総合法律事務所
片倉 秀次:弁護士 JAZY 総合法律事務所
茂野 大樹:弁護士・税理士 日本橋法律会計事務所
宮尾 耕平:司法書士 司法書士宮尾耕平事務所
上里 好平:弁護士 弁護士法人てぃだ法律事務所
赤堀 文信:弁護士 あたらし橋法律事務所
大野 健一:弁護士 小松・大野法律事務所
佐々木 好一:弁護士 田中・石原・佐々木法律事務所
西田  誠:司法書士 アーク&パートナーズ司法書士西田誠事務所
水上  卓:弁護士 日本橋法律会計事務所
北村 清孝:司法書士 司法書士法人おおさか法務事務所  
稲葉 光治:司法書士 司法書士法人おおさか法務事務所
水野 菜木:司法書士 司法書士法人おおさか法務事務所
森川 紀代:弁護士 森川法律事務所
鈴木 崇裕:弁護士 吉田修平法律事務所
岩永 隆之:弁護士 弁護士法人岩永・新富法律事務所
友田  順:弁護士・不動産鑑定士 ひかり総合法律事務所
(執筆順,所属・肩書は本書刊行時)







■書籍内容
序 章 相続法の改正について
相続法の改正について
第 1章 相 続 人
Q 1 ■失踪宣告の必要性と手続
 私には叔父(亡父の弟)がおりますが,先日の台風の際の豪雨で川に流されてしま
ったらしく,豪雨の発生から数か月が経ちますが,叔父の遺体はいまだに見つかって
おりません。川が流れ込んでいる海が近い所にありますので,もしかすると,川から
海まで流されてしまったのかもしれません。
 数か月以上も生死不明ということになるのですが,叔父名義の土地・建物も残って
おり,建物の管理や相続のこともきちんとすることができずに困っております。今後
どうしたらよいのでしょうか。
 なお,叔父は独身でした。
Q 2 ■死後認知
 私は,10年余り同居していた男性(A)との間に子ども(C)をもうけましたが,
Aは昨年交通事故で亡くなってしまいました。私(B)は,Aと婚姻はしておりません。
 Aはかなりの資産家だったようで,現在の住まい(自宅)もAの所有です。生前
は,私とCも十分な生活費等をAからいただいていたのですが,亡くなった後は全く
収入がなくなってしまいました。
 Cは,間違いなくAの子どもですので,それなりの相続の権利があると思うのです
が,Aには認知をしてもらっていませんでした。どうしたらよいでしょうか。
Q 3 ■内縁関係者の相続
 私(A)は夫(B)と内縁関係にありますが,夫も60歳を超えましたので,夫の死
後のことも考えなければならないと思うようになりました。
一緒に住んでいる賃貸マンションは夫の名義で借りています。私はここが気に入っ
ているので,夫が亡くなった後も引き続き借りたいのですが,夫も私も以前に配偶者
を亡くしており,老後の共同生活ということで一緒になったので籍は入れておりません。
 私は夫の相続人ではないので賃貸マンションには住み続けられないと言う人がいる
のですが,本当でしょうか。もしそうだとすると,私はどうしたらよいのでしょうか。
第 2章 相 続 分
Q 4 ■非嫡出子の相続分
 私は夫と長い間別居しておりますが,いまだに戸籍上は妻です。
 夫名義の自宅と,賃貸マンション1棟と,貸駐車場がありますので,そこからの収
入等で,私と子ども2人の生活はなんとかなっています。
 ところが,最近,同棲している愛人との間に子どもが生まれたそうです。将来,愛
人の子どもと,私の2人の子どもとの間で,夫の相続について争いが起きるのではな
いかと心配です。相続における愛人の子どもと私の子どもの立場はどうなるのでしょうか。
Q 5 ■相続資格の重複
 Xが死亡しました。Xには,配偶者Yと子であるA及びBがいましたが,YとA
は,不慮の事故によりXの生前に死亡しています。また,Xは,生前にAの子である
Cと普通養子縁組をしていました。
 Xの死亡により開始した相続において,Xの相続人は誰であり,それぞれの相続分
はどのようになるのでしょうか。
Q 6 ■介護と寄与分
 私は永年母と同居し,母の介護をしてきました。母が亡くなり,遺産分割の話合い
を始めたのですが,これまで何もしてこなかった兄弟が,急に私と同等の権利を主張
し始めました。全然納得いかないのですが,どのように考えればよいのでしょうか。
Q 7 ■同居と特別受益
 私は母の持ち家に母と同居して住んでいますが,特に家賃は払っていません。母が
亡くなったときに,兄弟との間で遺産分割協議をするにあたって,不利になりますか。
 母と同居せず,私が1人で母の持ち家に住んでいた場合はどうでしょうか。
 母の所有する土地に,私が家を建てて所有していますが,特に地代は払っていない
場合はどうでしょうか。
第 3章 相続の承認・放棄
Q 8 ■相続放棄と登記
 私の母は大分前に亡くなっておりますが,先日,父が亡くなりました。父の遺産と
して多少の不動産と有価証券,預金等があります。相続人は,私(A)と弟(B)の
2人だけです。
 かつて父と同居していた私は,相続税対策を勧められたので,父にお願いをして,
父に借金をさせていくつか不動産を購入してもらいましたが,不動産はその後大きく
値下がりしてしまいました。
 不動産のうちいくつかは父の生前に処分しましたが,父には多額の借金が残りました。
 このまま借金を弟に相続させるのも申し訳ないので,先日,弟に対して,「自分が
責任をもって借金等を処理するから,お前は相続を放棄してくれ。」と話をして,遺
産分割協議書を渡し,署名・押印を頼みました。遺産分割協議書の内容は,私(A)
が父の遺産をすべて取得し借金も負担し,弟(B)は何も取得しないが借金も負わな
い,というものでした。
 「これで自分は本当に借金を負担しないで済むのか。」と弟に尋ねられていますが,
この方法は弟にとって正しい相続放棄となるのでしょうか。正しい相続放棄をするに
はどうしたらよいのでしょうか。その場合,不動産についての登記はどうしたらよい
のでしょうか。
Q 9 ■相続財産に不動産が含まれる場合の単純承認事由
 母が亡くなり,私1人が相続人となりました。母と私が同居していたマンションは
母の財産なのですが,母には極めて多額の借金があったため,相続放棄を検討してい
ます。私はこのまま,このマンションに住んでいても大丈夫でしょうか。気をつけた
ほうがよいことはありますか。
Q 10 ■相続財産に不動産が含まれる場合の放棄者の注意義務
 遠い親戚が亡くなり,私が相続人であることがわかりました。ほかに相続人がいな
いとかで,私がすべての財産を相続できるという説明を受けたのですが,古い一戸建
て住宅(底地含む)の他に大した財産もなさそうですし,面倒なので相続を放棄する
ことにしました。裁判所で相続放棄の手続をすれば,私はもう何もしなくて構わない
のでしょうか。
第 4章 相続財産
Q 11 ■相続財産調査の方法
 長年疎遠にしていた父が亡くなりました。母は既に亡くなっていて,相続人は私ひ
とりです。相続放棄をするつもりはないものの,父がどのような財産を持っていたの
かが全然わからないのですが,どうしたらよいでしょうか。
Q 12 ■不動産評価の方法論
 親が亡くなり,兄弟間で遺産分割の話合いをしましたが,まとまりません。不動産
がいくつかと,預貯金があるのですが,不動産の価値をどのように評価すればよい
のかで意見が分かれています。不動産の価値はどのように評価するのでしょうか。ま
た,素人でも簡単に調べられる方法はありませんか。
Q 13 ■生前贈与財産の評価
 先日,父が亡くなり兄(A)と遺産分割の話合いをしております。母は前に亡くな
っており,相続人は,私(B)と兄の2人だけです。
 父は,かなりの土地を持っていたのですが,今回の話合いの中で,既に半分程の土
地が,父の亡くなる10年以上前に兄に贈与されていたことがわかりました。これは遺
産の前渡しだと思い,今回の遺産分割では,その点を兄には考慮してほしいですし,
兄も「考慮する。」とはいってくれています。
 ただ,それらの土地は,10年前は非常に安かったのですが,その後,近くに新駅が
でき,とても値段が上がっています。兄は,「当然,もらった時点の安い値段で評価
される。」と言っているのですが,そうなのでしょうか。
Q 14 ■遺産分割未了の不動産の管理義務
 アパート経営をしていた親が急に亡くなりました。小さなアパートなので,管理会
社も入れずに自主管理していたようなのですが,私も,私以外の相続人も,賃借人の
方々と面識はありません。今後どのように対応したらよいでしょうか。
Q 15 ■遺産分割前に不動産に関する義務を果たさなかった場合:賃借人として
 これまで疎遠だった父(X)が亡くなりました。Xは経済的に困窮していたよう
で,住んでいたアパートの家賃もかなりの期間にわたって滞納していたようです。
 法定相続人は,私(A)の他に兄(B)と弟(C)がいるのですが,滞納していた
家賃は誰が払うべきなのでしょうか。兄弟仲もそれほどよくないので,私は自分の法
定相続分に応じて支払ってしまえばよいのでしょうか。
Q 16 ■孤独死等で第三者に損害が発生した場合の損害賠償義務
 不動産管理会社に勤務しておりますが,高齢者が賃借していた建物で,賃借人が孤
独死していたのが発見されました。相続人がいるのかどうか,いるとしてもどこにい
るのかが全くわからないので,ご遺体は警察に引き取ってもらいましたが,今後はど
うしたらよいでしょうか。また,契約締結の時点で何か備えておくことはできないで
しょうか。
第 5章 遺産分割
Q 17 ■遺産分割協議への参加者
 父が亡くなり四十九日も過ぎましたので,「遺産をどのように分けるか,母と姉と
相談しなければいけないな。」と思っていた矢先,他人から,「自分も遺産分割協議
に参加する資格がある。」などという通知が届きました。その通知によると,差出人
は,姉から相続分を譲り受けたとのことでした。
 遺産分割協議には,どんな人が参加できるものなのですか。
Q 18 ■相続人が音信不通の場合
 父が亡くなり,遺産分割協議をしたいのですが,相続人の1人が海外に行ったきり
連絡がとれません。どうやら生きてはいるようなのですが,どのように対応したらよ
いでしょうか。
Q 19 ■不動産の遺産分割の方法
 親が亡くなり,遺産分割の話合いをしています。主な財産は実家の土地と建物で,
非常に価値が高いとのことです。相続人は兄弟3人ですが,いまさら同居するわけに
もいきませんし,売却するのも気が進みません。長男は「自分が長男だから家を相続
する。」といっていますが,他の兄弟は何ももらえないのでしょうか。
Q 20 ■遺産分割と賃貸借契約
 父が亡くなったので,兄2人(A・B)と末娘の私(C)とで,父の遺産について
の分割の話合いをしています。母は,父より前に亡くなっていますので,相続人は3
人だけです。
 遺産は,自宅と借家人が10人ほどの賃貸アパート,有価証券等ですが,父の死後,
長兄(A)がアパートの管理をしています。
 父が亡くなってから既に1年以上経ちますが,兄たちの話合いがなかなか進みません。
 私は,アパートの家賃を分けてほしいのですが,兄たちは,「誰がアパートを取得
することになるのかまだ決まっていないのだから,家賃を分けるのも遺産の分割が終わってからだ。」と言って全く応じてくれません。
 分割が終わるまでこれからどれだけかかるかわからないので,私は少しでも家賃を
分けてもらいたいのですが,分けてもらうことはできないのでしょうか。
Q 21 ■遺言執行と遺産分割の優劣
 先日,父が亡くなったので,相続人である私と母と妹で,不動産(自宅,賃貸アパ
ート,熱海のマンション)と多少の株と預金2,000万円についての遺産分割をしよう
としておりました。
 すると,数日前に,弁護士さんから手紙がきました。父の遺言書(公正証書)のコ
ピーが同封してあり,手紙には,…拘間にわたり亡父の愛人であったA子に熱海の
マンションと預金1,000万円を遺贈したこと,∧杆郢里気鵑遺言執行者となったこ
とが書いてありました。
 これを見て,母と妹は激怒しておりますし,私も腹が立っております。3人で,ど
んどん遺産分割を進めて預金は3人で分けてしまい,熱海のマンションは妹に取得さ
せる遺産分割協議書を作ってしまおうと思っておりますが,これでA子には何も渡さ
ずに済むでしょうか。
Q 22 ■遺言と異なる内容の遺産分割の可否
 先日,父が亡くなったのですが,公正証書遺言というものが出てきました。
 内容を見ると,長男である私に自宅と賃貸しているアパートと,熱海にあるマンシ
ョンの一室(別荘)を相続させ,妹には,預金を200万円相続させるというものでし
た。
 長男である私に不動産を全て相続させ,他家に嫁に行った妹には預金を少し相続さ
せるという亡父の気持ちもわかりますが,妹の取り分が少なすぎるように思います。
 妹は何も言わないのですが,小さい子どももいるので,熱海のマンションがあると
喜ぶと思います。妹さえよければ,熱海のマンションを妹にやりたいと思うのです
が,可能でしょうか。
 なお,この公正証書遺言には,遺言執行者に関する記載はなかったのですが,遺言
執行者の記載がある場合には,何か違いはあるのでしょうか。
Q 23 ■可分債権の遺産分割
 先日,母が亡くなりました。母の遺産は,亡父が残してくれた退職金等を積み立て
た預金があるだけです。預金は,定期預金が900万円と,普通預金が2,100万円です。
賃貸アパート住まいでしたので不動産はありませんし,ほかに株等もありません。
 相続人は,長男である私(A),弟(B),妹(C)の3人だけです。母は晩年,足
が不自由になり買い物等にも行けなくなり,また,両腕にしびれが出て料理もできな
くなりました。そのため,最後の10年程は,私の妻と妹が交代で母の家に行き,料理
や洗濯・掃除等を行っていました。
 亡き母の面倒は主として妹と私の妻がみており,弟とその妻はほとんど母の面倒をみたことがありませんでした。
 また,母はその後軽度の認知症にもなっていたようでしたが,子どもの頃からわが
ままでだらしのない弟(B)のことを甘やかして大変かわいがっており,亡くなる2
〜3年前には,「事業がうまくいかない」と泣きついた弟に強く要請されて,600万円
を弟に渡していました。
 私は,母の遺産である預金の取得分が兄弟3人で違うのではないかと思うのです
が,弟(B)は「兄弟が3人だから,当然平等に3分の1ずつ分けることになる。遺
産分割の手続もいらないはずだ。」と言っています。本当にそうなのでしょうか。
Q 24 ■遺産分割前の法定相続分による登記
 父が亡くなり,相続人である私と弟の間で遺産分割について話し合っています。し
かし,結論が出るまでにはまだ時間がかかりそうなので,とりあえず遺産である甲土
地について法定相続分どおりの登記をしておこうと思います。
 自分の持分だけを先に登記することはできるでしょうか。
Q 25 ■遺産分割協議成立後の登記
 被相続人Xが死亡し,Xの子である相続人A及びBが遺産分割協議を行った結果,
Xの遺産である甲土地をAが単独で取得することになりました。
 次のそれぞれの場合に申請する登記手続について教えてください。
  々壇效呂僚衢権の登記名義がXのままになっている場合
   遺産分割協議の成立前に,Aの申請により,甲土地をA及びBの法定相続分に
応じた共有とする所有権移転登記がなされている場合
  遺産分割協議において,Aが甲土地を単独で取得する代償として,Aが所有す
る乙土地をBに贈与することとした場合
Q 26 ■相続分の譲渡全般と登記
⑴  私の父Xが死亡して,相続人は私A(長男),母Y,妹Bの3人です。遺産分割
協議をしようと思いましたが,私は母が長年苦労しているのをみてきましたので,
私の相続分を母に譲渡することとしました。妹も同様に考えていたようで,母と遺
産分割協議をして,母が土地を単独で相続することになりました。土地を母名義に
するためには,どのような登記手続をしたらよいでしょうか。
⑵  平成20年,私の祖父Xが死亡して,その相続人である私の父Aと叔父Bが相続し
ました。その後,AB 間で遺産分割協議をすることのないまま令和元年にAが死亡
し,私Z1と妹Z2が相続しました。土地の名義は,現在もXのままです。
   このたび,Bが私に相続分を譲渡してくれることになりました。土地は妹と共有
にするつもりなのですが,どのような登記手続をすればよいでしょうか。
Q 27 ■数次相続が生じた場合における遺産分割・相続分の譲渡と登記
 私の家では,母が幼い頃に病気で亡くなり,父1人で私たち3兄弟を育ててくれま
した。その父(被相続人X)が平成20年に死亡して,私A(長男),次男B,及び三
男Cが相続人になりました。その後,令和元年,Cが不慮の事故で死亡して,その息
子Z1と娘Z2がCを相続しました。
Xの名義である甲土地を,Z1とZ2のものにしたいと思いますが,
⑴  Xの死亡後,A,B及びCによる遺産分割協議に基づきCが甲土地を単独で取得
することとなったものの,Cが所有権移転登記手続を申請しないうちに死亡した場
合,甲土地をZ1とZ2の名義にするには,どのような登記手続をしたらよいでし
ょうか。
⑵  上記⑴の場合において,XからZ1とZ2に対し直接所有権移転登記をする方法
はあるのでしょうか。
⑶  Xの遺産に関する遺産分割協議がされないままCが死亡した場合,甲土地をZ1
とZ2の名義にするには,どのような登記手続をしたらよいでしょうか。
⑷  Xの遺産に関する遺産分割協議において,A及びCが甲土地を共有することとさ
れていた場合,Cの持分について,Z1及びZ2に直接所有権移転登記をする方法
はあるのでしょうか。
⑸  Xの遺産に関する遺産分割協議において,A及びCが甲土地を共有することとさ
れていた場合において,Z1とZ2が「不動産より現金がほしい」と言い出し,A
が同人らから相続分の譲渡を受けて甲土地の所有権全部を取得した場合,どのよう
に登記をすればよいのでしょうか。
Q 28 ■遺産分割協議書と署名押印等
⑴  亡Xの相続人であるA,B,C及びDの間において,Aが甲土地を単独で取得す
る遺産分割協議が成立しました。その日のうちに遺産分割協議書を作成しようとし
ましたが,Dが実印を持参していませんでしたので,後日,AがDの自宅を訪れる
際に署名及び押印をしてもらうこととして,その日は解散しました。
   ところが,約束の日に突如,Dが遺産分割協議書への押印を拒みはじめました。
この場合において,Aが甲土地の所有権移転登記手続を申請する方法はあるのでし
ょうか。
⑵  亡Xの相続人であるA,B,C及びDの間において,Aが甲土地を単独で取得す
る遺産分割協議が成立しました。その日のうちに遺産分割協議書を作成し,すべて
の相続人が署名押印しました。この日までにDが印鑑登録証明書を取得していませ
んでしたので,後日送付してもらうこととしたのですが,突如,Dが印鑑証明書の
交付を拒みはじめました。Aが自己への所有権移転登記手続を申請するためには,
どのような方法がありますか。
Q 29 ■共有物分割手続総論
 遺産分割協議がまとまらなかったので,不動産について相続人全員で共有の登記をしました。いつまでも共有のままでは困るのですが,今後どのような手続が考えられ
ますか。
Q 30 ■遺産分割未了の不動産の共有物分割
 昨年,父(X)が亡くなりました。相続人は,母(Y)と長男である私(A)と妹
(B)の3人です。
 父の遺産として,自宅と賃貸アパートと熱海にマンション一室(別荘)がありま
す。
 私は商売をやっていて,最近,資金繰りが厳しいので早く遺産を売却して、その代
金を分けてもらいたいのですが,母も妹も父の遺産分割には全く協力的ではなく,い
たずらに時間が過ぎています。
 現在,不動産は3人の共有になっていると思いますが,それを分けるために「共有
物分割訴訟手続」というものがあると聞きました。
 この裁判を起こしたいのですが,どのようにしたらよいのでしょうか。
 また,私の権利を買ってくれるという人(Z)がいるので,場合によりZに売って
しまおうと思っているのですが,Zからは,「俺が買った後で,どうやって分けるん
だ」と聞かれています。この点についても教えてください。
第 6章 遺  言
Q 31 ■遺言作成総論
 私も今年で80歳になりますし,多少の財産もありますので子ども2人に残してやり
たいのですが,後日の紛争を避けるために遺言書を書いておこうと思うに至りまし
た。
 ところで,遺言書を書いても,ちゃんと法律に従っていないと後で無効になってし
まうと聞きました。後で無効にならないようにするために,どういうところに気をつ
ければよいでしょうか。
Q 32 ■遺言の撤回方法
 私は,曾祖父の代からわが家で所有していた土地を10箇所程単独で所有しており,
他人に貸したり駐車場を運営したりして,いわゆる地主業を家業として営んでおりま
す。
 私には息子が2人おり,近くに住んでいる長男を跡継ぎとして不動産をすべて相続
させようと考え,十数年前にその旨の遺言書を書きました。長男もそれを望んでいま
したので,書いた遺言書は長男夫婦にも見せてあります。
 ところが,長男はそれで安心してしまったのか毎日遊び暮らしており,私が「貸地
や駐車場の管理をしろ。」と言っても全くやる気がありません。長男の嫁さんも,最近は私に対する態度が優しくありません。それでは長男夫婦に不動産を相続させる意
味がないと最近思うようになりました。
 これに対して,次男は嫁さんも含めて真面目ですし,私にもとても優しくしてくれ
ます。思い切って,跡継ぎを次男にしたいと思います。そのために,遺言書を書き換
えようと思っているのですが,何に気をつけてどのようにしたらよいでしょうか。
Q 33 ■遺言者より先に相続人が死亡した場合
 Xは,「全財産をAに相続させる」という遺言を作成しました。そうしたところ,
Xより先にAが死亡しました。その後,Xが特に遺言書を再作成することなどせずに
死亡した場合,Xの財産がどのように相続されるのか教えてください。なお,Xの妻
Yは数年前に死亡しており,Xには,子であるA(既に死亡),B,Cがおり,Aに
は子Dがいます。
 また,Xが,「全財産を(Xの相続人ではない)Zに遺贈する」という遺言書を作
成していたところ,ZがXより先に死亡した場合とで結論は変わるでしょうか。
Q 34 ■遺言の軽微な間違いと遺言の効力
 親が,亡くなる前に自筆証書遺言を書いていたのですが,歳をとって頭も身体も弱
っていたせいか,相続人の名前が違っていたり,相続財産の土地の地番や銀行口座の
番号が不正確でした。この遺言は有効でしょうか。また,作成された日付がまだ来て
いない日付だったような場合は,どうでしょうか。
Q 35 ■遺言書の文言と登記原因
⑴  先月,父(X)が永眠しました。父の遺言書には,「私の全ての財産をAに委ね
る。」と記載されています。私(A)は,生前に父の世話を全て行っていたので,
父は私に対し全財産を譲るつもりで遺言書を書いたのだと思います。
   父の財産は甲土地と乙建物だけなのですが,私がこれらの不動産を相続すること
になるのでしょうか。
⑵  父の遺言書の記載が次のようなものであった場合,所有権移転登記手続における
登記原因はどのようになるのでしょうか。なお,母は既に他界しており,父の相続
人はA,B及びCのみです。
   孱舛冒敢盪困鯀蠡海気擦襦
 ◆ 孱舛冒敢盪困魄簑する」
  「Aに全財産を包括遺贈する」
 ぁ 孱繊ぃ臓ぃ辰冒敢盪困鯤餝膂簑する」
 ァ 屐柄蠡蛙唯舛了劼任△襦烹弔冒敢盪困鯀蠡海気擦襦
Q 36 ■死因贈与
 私は,父の死後において,父が所有する甲土地を譲り受けることになっています。
父の生前に私の権利を保全する方法があると聞いたので,父との間で死因贈与の契約をしておきたいと思うのですが,契約にあたってどのような点に注意すればよいでし
ょうか。
Q 37 ■ 被相続人の死亡後,遺言執行者が遺贈を原因とする所有権移転登記手
続申請をしない場合の対処方法
 亡Xの遺言書には,「A(私)に甲土地を遺贈する」「Zを遺言執行者とする」とい
う記載があります。ところが,Zは,遺言執行者に就任することを了承したにもかか
わらず,私を所有者とする所有権移転登記手続を申請しようとしません。私は,Zに
対し,所有権移転登記手続を申請するよう要求しましたが,Zは,「Xの他の相続人
であるBとCにやらせればいい。」といっています。私は,誰に登記手続を申請する
よう求めればよいのでしょうか。
 また,亡Xの遺言書に,「A(私)に甲土地を相続させる」との記載があった場合
との違いはありますか。
第 7章 遺 留 分
Q 38 ■遺留分侵害額請求権
 Xの推定相続人は長男Aと長女Bの2人です。Xは,Aに事業を承継させるため,
3年前にAへ会社の株式全部と土地(甲)を贈与しました。甲土地は,会社へ貸して
おり,会社は甲土地に店舗を建てて商売をしています。Aに贈与した財産は贈与前の
全財産の8割に相当し,贈与後に残った財産は,自宅の土地建物と預貯金のみです。
Xは,遺言により,残った全財産をBに相続させようと考えていますが,それでもB
が不満を持った場合,Bはどのようなことができるでしょうか。Xは,Bが甲土地を
取得してしまうと,賃料を請求するなどして会社の運営の支障となることを心配して
います。
Q 39 ■遺留分侵害額請求権行使の相手
 父Xが亡くなり,公正証書遺言があることがわかりました。Xの相続人は私Aと私
の妹B,弟Cの3人ですが,遺言書は,自宅不動産を含む財産のすべてをC1人が相
続する内容になっており,遺言執行者として弁護士が指定されています。遺留分侵害
額を請求したいのですが,どのようにすればよいでしょうか。
Q 40 ■生前の遺留分放棄
 私の家は先祖代々の地主で,私も父から10箇所の土地を相続し,貸ビルや駐車場の
経営等をしております。
 私には子どもが3人(長男,長女,次男)おりますが,同居して仕事も手伝ってく
れている長男に跡を継がせるような遺言書を作りたいと考えております。
 私も今年で80歳になりますので,そろそろ準備を始めたいのですが,遺言で長男に土地をすべて相続させると,長女や次男に遺留分という権利があるので後で紛争になると聞きました。
 長女は他家に嫁に行っており,次男は会社勤めのサラリーマンですので,多少の預
金や有価証券等を遺してやって,後で長男との間で紛争が起きないようにしてやりた
いのですが,どのようにしたらよいのでしょうか。また,何か注意すべき点はあるで
しょうか。
Q 41 ■遺言無効確認と遺留分侵害額請求権行使の関係
 私の父が亡くなり,遺言が発見されました。子である私には財産を一切相続させな
いという内容です。しかし,父がこんな遺言を書くはずはないし,筆跡が父のものと
全く違いますので,遺言は無効であると考えました。弁護士に相談して遺言無効確認
請求訴訟を起こすことになりましたが,調べてみたところ,私に不利な遺言なので,
法律で定められた期限内に遺留分侵害額請求をしたほうがよいということもわかりま
した。遺留分侵害額請求は,遺言が有効であることを前提として行うものだと思いま
すので,遺言が無効であるという主張と矛盾しませんでしょうか。遺言無効確認請求
訴訟の結果,遺言が有効であることがもし確定するようなら,それから,遺留分侵害
額請求をしたいのですが,大丈夫でしょうか。
第 8章 新しい制度
Q 42 ■配偶者居住権総論
 夫が亡くなり,私と長男とが相続人となりました。遺産は私が居住している自宅
(時価2,000万円)と預貯金(3,000万円)であり,現在,遺産分割協議中です。
 私は自宅に居住し続けたいのですが,自宅を取得した場合,預貯金を取得できず,
老後の生活費に窮するのではないかと心配しています。何かよい方法はないでしょうか。
Q 43 ■配偶者居住権各論
⑴  夫が亡くなり,私(70歳)と長男とが相続人になりました。遺産は,自宅(固定
資産税評価額は,土地が4,000万円で建物(鉄筋コンクリート造,築10年)が2,000
万円)と預貯金2,000万円です。遺産分割協議において私は終身の配偶者居住権を
取得したいと思います。具体的な遺産分割額を算出するにあたって,配偶者居住権
の財産評価はどのようにするのでしょうか。
⑵  将来,私が介護施設に入所した場合,配偶者居住権は消滅するのでしょうか。ま
た,入所費用に充てるために,配偶者居住権を第三者又は居住建物の所有者である
長男に売却することはできますか。
Q 44 ■共同相続における権利の承継の対抗要件
亡くなった父が,私に「全ての相続財産を相続させる」という内容の遺言書を遺し
ており,私は父が所有していたマンションを相続しました。
 仕事が忙しかったことや登記に費用がかかることもあり,マンションの所有権を取
得したことについて登記をしていなかったところ,先日,兄が借入れをしていた消費
者金融が,マンションについて「私1/ 2,兄1/ 2」とする法定相続分による相続
登記を行い,兄の持分部分を差し押さえてきました。
 確かに登記は移転していませんでしたが,遺言書で私が全ての権利を取得していま
すし,差押えは認められないのではないでしょうか。
第 9章 そ の 他
Q 45 ■不動産に付着する権利の処理
 Yは,W銀行との間において,「銀行取引」「手形債権」「小切手債権」「電子記録債
権」を債権の範囲とする根抵当権設定契約を締結し,融資を受けて商店を経営してい
ました。Xは,その所有する土地に対し,Yの債務を担保するための根抵当権を設定
しています。
⑴  自然人であるYが死亡し,子の一人であるAが後を継ぐことになりました。A
は,このまま営業を続けるため,W銀行との取引を継続して引き続き融資等を受け
たいと考えています。どのような手続が必要となるのでしょうか。
⑵  Yが法人である場合において,根抵当権の元本確定前にYが他の会社と合併して
消滅したときは,どのような手続が必要になるのでしょうか。
⑶  根抵当権の元本確定前にW銀行が他の銀行と合併して消滅したときは,どのよう
な手続が必要になるのでしょうか。
⑷  根抵当権者が自然人である場合において,根抵当権の元本確定前に根抵当権者が
死亡したときは,どのような手続が必要になるのでしょうか。
Q 46 ■不動産に付着する権利の処理
 亡父Xの相続財産である甲土地には,父を所有者とする順位4番の所有権移転登記
がなされています。父は,順位3番で所有者として登記されたWから40年程前に甲土
地を買ったようなのですが,よく見ると,順位2番にはZを権利者とする所有権移転
請求権仮登記があり,これは今から65年も前に登記されたものでした。
 私は,Zという人物のことは全く知りませんし,この人が生きているのかもわかり
ません。もちろん,既に死亡している場合,その相続人の存否もわかりません。
 なお,司法書士によれば,登記の目的が「所有権移転請求権仮登記」となっている
場合,登記原因としては「売買予約」「代物弁済予約」等,「〇〇予約」などと登記さ
れることが多いそうです。ところが,この順位2番の登記原因は「売買」となっています。
 この順位2番の仮登記を抹消するには,どうすればよいですか。
Q 47 ■賃貸借契約の当然終了条項の有効性
 私はアパートを建てて人に貸しています。このところトラブル続きで,特にもとも
との契約者が亡くなった後,相続人との間で揉めることが多いので,契約者が亡くな
ったら契約は当然に終了させることにしたいと考えています。このような契約はでき
ますか。
Q 48 ■終身借家契約
 私も妻も70歳を越えたので,「終(つい)の住家(すみか)」を探しております。と
いいますのも,自宅は都心まで出るのに2時間近くかかりますので,老後を楽しく過
ごすために古くなった自宅を売って都心に移りたいのです。
 そう思って探していたところ,賃貸マンションでも,死ぬまで住み続けられる「終
身借家契約」というものがあると聞きました。初めて聞くものなので,その内容を教
えてください。
 また,「サービス付き高齢者向け住宅」というのもあるそうですが,これについて
も教えてください。
Q 49 ■経営承継円滑化法と不動産相続
 平成31年(2019年)改正で創設された個人版事業承継税制について,教えてください。
Q 50 ■不動産鑑定評価基準概論
 不動産の評価額を決定するための不動産鑑定評価基準について,特に実務上重要に
なる部分を中心に,簡潔に教えてください。
Q 51 ■相続財産管理制度総論
 相続人がいない人が亡くなった場合,相続財産はどうなりますか。
Q 52 ■国庫帰属手続概要
 相続財産管理人が管理する財産を換価等する際に注意すべき事項はありますか。ま
た,相続財産を国庫に帰属させる際に必要となる手続や資料等について教えてくださ
い。
  
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