青林書院



新・不正競争防止概説〔第3版〕上巻


新・不正競争防止概説〔第3版〕上巻
 
編・著者小野昌延・松村信夫 著
判 型A5判
ページ数424頁
税込価格5,720円(本体価格:5,200円)
発行年月2020年09月
ISBN978-4-417-01798-1
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■解説
平成30年法改正対応の【第3版】上・下巻の2分冊でリスタート!
■最新の法令や判例などに基づいて旧版を全面的にリニューアル!
■新設の「限定提供データ」についても紙幅を大きく割いて詳述!
■不正競争防止法を余すところなく解説した信頼と実績の概説書!


第3版はしがき
(小野昌延先生との思い出)
 本書の共著者である小野昌延弁護士(勝手ではあるが,以下「小野先生」と表記さ
せていただく)が逝去されて,はや2年近い歳月が流れた。
 小野先生とは,1984年(昭和59年)に,先輩の芹田幸子弁護士のご紹介で面識を得
て以来,同先生のご紹介で多数の知的財産関係の事件を共同受任し,あるいはその編
著にかかる著作等に関して共著あるいは共同執筆する機会を与えていただくなど,公
私にわたり様々な形でご指導ご鞭撻をいただいた。
 同先生との思い出は尽きないが,本書を再刊するにあたり,特に思い出に残るエピ
ソードを一つ紹介させていただく。
 それは,ちょうど時代が昭和から平成に変わろうとする頃,芹田幸子弁護士,三山
峻司弁護士とともに,小野先生が控訴審から受任された事件につきお手伝いをしたこ
とがあった(実際の訴訟は小野先生のご指導の下に3人が担当した)。
 事件の詳細は紹介できないが,海外のさる地方において民族衣装として着用される
商品に関して,わが国の製造販売事業者が国内で開発し輸出した斬新な模様や配色の
商品が同地方で好評を博していたところ,後発事業者が国内においてその模様や配色
と酷似した同種商品を製造し同地方に輸出したため,現地で混同が生じ,先行開発業
者の営業上の利益が侵害されたという事案であった。
 平成5年改正前の不正競争防止法1条1項1号の「本法施行の地域内において」と
の文言に関して,「日本国内」に限定されるとの当時の通説や判例の解釈を前提にす
ると,その商品表示(形態)の周知性の立証が困難な事案であり,やむなく,小野先
生のご示唆もあり,控訴審からは,他人の商品形態の酷似的な模倣は違法であるとの
理由で不法行為による損害賠償請求を追加して主張立証を行うことにした。そこで,
小野先生のご指導のもと,芹田弁護士や三山弁護士とともに海外文献や判例を翻訳し
て主張や立証をおこなったが,裁判所のご理解が得られず,逆に「控訴人はもう少し
他の主張立証に力を注いではどうか」とのご示唆を受ける始末であった。
 ちょうど別の用件で小野先生とお会いした折,この事件のことが話題になったので
,自らの努力不足をかえりみず,「先生,外国法の判例や文献を積み上げても,日本
の裁判所は簡単に説得できませんよ」と申し上げたところ,先生は叱るどころか温顔
で「確かに,新しい判例をつくることは簡単なことではないだろう。しかし,だれか
がその努力をしなければ,一歩も前に進まないのではなかろうか。それに,君はいま
,外国の判例はどうだとか,日本の裁判所はこうだとか言ったが,広い意味では,日
本もその外国の一部と違うの?」と諭され「まあ,君たちには荷が重いと思うが勉強
のつもりでしっかりやりなさい」と激励されたことが,30有余年が経過した今
でもありありと思いだされる。
 このように,小野先生は常に海外の判例や学説の動向に目を注ぐとともに,実務家
としての優れた感覚のもとにその成果を国内の事件解決に還元され,数々の著名な判
例を生み出される原動力となられたことは衆目の一致するところであろう。
 この度,青林書院から,本書の再刊のお話を受けたときには,正直,先生亡き後に
,その遺稿に手を加えて,これを公刊することの責任の重さに身がすくみ,お断りし
ようかと思い悩んだ。しかし,小野先生の書き残された本書旧版の成果が今後も長く
皆様の目に触れる一助となればと思いお引き受けした次第である。
 したがって,本書でも,小野先生のご遺志に反して,内容の補充や変更を行ったと
ころも多数存在しており,その誤りは一に本書執筆者である私の責任に帰する。
 また,本書第1章から第4章の不正競争防止法の歴史的な沿革や比較法的な検討部
分は小野先生が執筆されてから相当の日時が経過しているが,執筆者である私には,
小野先生の原著部分を生かしつつ,そのリニューアルを行う能力はないため,旧版の
記述をそのまま維持することにした。
 今後,若き研究者や実務家が,小野先生の原著部分の記述から何らかの示唆を受け
られることがあるとすれば,それこそが,本書を再刊する最大の意義かもしれない。
「(本書を再刊することは)君には荷が重すぎるかもしれないが,まあ勉強のつもり
でしっかりやりなさい」との小野先生の声が今もきこえてくるような気がする。
 あらためて,小野先生のご冥福をお祈りするとともに,そのご霊前に本書をささげ
たい。
  令和2年7月
松村 信夫 


小野 昌延

1953年 京都大学法学部卒業
1974年 特許庁・工業所有権審議会委員
1975年 日本工業所有権法学会常任理事
1978年 日本弁護士連合会・無体財産権制度委員会委員長
1982年 神戸大学法学部非常勤講師
1999年 日本商標協会会長
2018年 逝去
  

松村 信夫
1975年 同志社大学法学部法律学科卒業
2001年 日本弁護士連合会知的財産制度委員会(現知的財産センター)委員
2003年 特許庁工業所有権審議会臨時委員
2007年 日本弁護士連合会知的財産制度委員会(現知的財産センター)委員長
現 在 弁護士・弁理士
    大阪市立大学大学院法学研究科法曹養成専攻特任教授
    日本工業所有権法学会理事
  

■書籍内容
第1編 序    論

第1章 不正競業の概念
第1節 営業の自由
機 ̄超箸亮由
供 ̄超箸亮由とその限界
第2節 競   業
機ゞァ  〜
供ゞァ  ゞ
第3節 不 正 競 業
機ゞザ箸砲ける不正
供”埓偽ザ
1 不正競争とパッシング・オフ
2 不正競争と不公正取引方法
3 不正競業
掘”埓偽ザ塙坩戮領犒
1 不正競業行為の種類
2 不正競業の行為類型

第2章 不正競業法の成立と発展
第1節 不正競業法の沿革
機〜亜  〇
供.侫薀鵐
掘.ぅリス
検.▲瓮螢
后.鼻.ぁ.
第2節 わが国の不正競業法の沿革
機〜亜  〇
供”埓偽チ菲瓢瀚,寮定まで
掘”埓偽チ菲瓢瀚,寮定
検”埓偽チ菲瓢瀚,硫正
V 不正競業法の発展動向

第3章 不正競争防止法の概念
第1節 不正競争防止法の概念
機ー村租意味における不正競争防止法
供〃措暗意味における不正競争防止法
第2節 不正競争防止法の性格

第4章 不正競争防止法の地位
第1節 不正競争防止法の社会的意義
第2節 不正競争防止法の法律的地位
機”埓偽チ菲瓢瀚,班塰々坩挧
1 権利侵害論と違法性論
2 不正競争防止法と不法行為法
(1) 両者の関係  (2) 非営利事業名称の冒用  (3) 営業秘密
(4) 隷属的模倣  (5) 著名表示の冒用 
(6) マーチャンダイジング問題
供”埓偽チ菲瓢瀚,半ι庫
1 不正競争防止法と商標法の各制度目的
2 不正競争防止法による規制と商標法による規制の対比
3 不正競争防止法と商標法の相互関連関係
4 不正競争防止法の権利行使と商標権
5 旧6条削除の影響
(1) 登録主義法制における未登録商標使用者の地位
(2) 商標権者に対する先使用者の地位 
(3) 旧6条の削除による影響
掘”埓偽チ菲瓢瀚,汎叛蟠愡瀚
1 独占禁止法と不公正な取引方法
2 不正競争と不公正な取引方法
3 不正競争防止法と独占禁止法の関係
検”埓偽チ菲瓢瀚,帆郎邯∨
1 不正競業法と特許法
2 工業所有権保護と不正競争防止法による保護の重複
3 不正競争防止法と未特許の商品形態などの保護
(1)はじめに  (2) 周知商品表示としての形態問題についての要約
4 不正競争防止法と著作権法
5 不正競争防止法とノウハウ及びトレード・シークレット
(1) ノウハウ  (2) 不正競争防止法によらないノウハウないし営業秘密の法的保護
(3) 営業秘密保護と刑事規制

第2編 本    論

第5章 不正競争行為
第1節 序   説
機”埓偽チ菲瓢瀚,旅柔
供”埓偽チ菲瓢瀚,膨蠅瓩蕕譴辛埓偽チ莵坩拯犒
1 何人の利益を害するかという観点から
2 内容の観点から
3 その他の観点から
第2節 不正競争行為の類型
第1款 商品主体等混同行為(2条1項1号)
機〜蹇  \
1 保護対象(商品等表示)
2 商品主体混同行為
3 営業主体混同行為
供‐ι壁充
1 商品の概念
2 表示の概念
(1) 識別性  (2) 識別性のない表示  (3) 識別性と類似性 
(4) 使用による識別性
3 表示としての商品の形態
(1) 意 義  (2) 裁判例の動向
4 商品の技術的機能と商品表示性
(1) 問題の所在  (2) 判例の動向  (3) 技術的機能論の再検討
5 商品等表示の拡大
(1) 映像・キャラクター  (2) 容器・包装 
(3) 複合的要素の結合から成る商品表示
(4) 書籍の題号  (5) スローガン・キャッチフレーズ
(6) 検索連動広告と商品等表示の使用
掘 ̄超班充
1 営業表示の意義
(1) 表 示  (2) フランチャイズ・特約店  (3) 商標の商号化
2 営業表示としてのサービス・マーク(役務商標)
3 ドメイン名・URLと商品表示又は営業表示
4 その他の営業表示
5 営  業
(1) 営業の意義 (2) 音曲,拳法,舞踊などの流派  
(3) 宗教団体  (4) その他の公益的組織  (5) 企業グループ・団体
6 店舗外観・商品の陳列方法
検ー 知 性
1 周知性の意義
2 周知性の内容
(1) 周知性の地理的範囲 (2) 周知性(広く認識されている)の意義 
(3) 周知性の地域的範囲
3 周知性の認定
(1) 認定の対象  (2) 取引者又は消費者  (3) 周知の程度と認識の浸透度 
(4) 周知性の認定時期
(5) 周知性の承継
后〆同行為
1 混同の意義
2 混同の具体性の意味
3 混同の構造
(1) 混同の種類(2) 狭義の混同と広義の混同  (3) フリーライドなどの相違
(4) 混同と混同のおそれ
4 表示の類似
(1) はじめに)  (2) 混同と類似の関係)  (3) 表示の類否の判断 
(4) 表示の使用
5 営業主体混同行為における混同の概念)
(1) 営業表示に関する広義の混同)  (2) 営業表示における広義の混同
(3) 商号の類似と混同  
(4) 広義の混同と表示の著名性 (5) 混同のおそれを否定する事情
6 混同をめぐるその余の問題
(1) 逆混同  (2) 購入後の混同
第2款 著名表示の冒用(2条1項2号)
機〜蹇  \
1 2条1項2号の趣旨
2 2条1項1号との相違点
供|名表示の冒用行為(2条1項2号)の意義
1 旧法における著名表示の保護の限界
(1) 広義の混同  (2) 広義の混同理論の限界
(3) 平成5年改正前の著名表示保護に対する認識
2 問題点とその解決
掘〕廖  〃
1 著名商品等表示
(1) 著名性  (2) 商品等表示
2 表示の類似
(1) 趣  旨 (2) 他の類否判断との相違  (3) 類否判断の方法
(4) 類似と原表示認識との関係
検\禅畍⊆
第3款 商品形態模倣行為(2条1項3号)
機〜蹇  \
1 2条1項3号の意義
2 規制の意義
供‐ι雰疎屬量亙錣紡个垢觸祥茲竜制
1 わが国における規制
(1) 不正競争防止法  (2) 意匠法による規制  (3) 著作権法による規制
(4) 不法行為法による救済
2 主要国の法制
3 規制の方法
掘〕廖  〃
1 法  文
2 要  旨
3 不正競争防止法2条1項3号の対象とする行為
4 「商品」の意義
5 形態の模倣
(1) 2条1項3号による模倣規制の趣旨(2) 商品の形態
6 模  倣
(1) 模倣の概念  (2) 模倣の要件 (3) 主観面の問題(依拠性)
(4) 客観面の問題(実質的同一性)
7 当該商品の機能を確保するために不可欠な形態
(1) 趣旨・沿革 
(2) 旧3号の除外規定である「同種の商品が通常有する形態」について 
(3) 「同種の商品が通常有する形態」に関する学説及び判例 
(4) 現行2条1項3号における「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」の意義
(5) 類似商品の通常有する形態
検。仮鬘厩爍街罎竜制期間の制限
1 保護期間の制限の趣旨
2 保護期間の開始及び終了
(1) 「最初に販売された日から起算して3年」の意味 
(2) 「日本国内において最初に販売された日」を起算点とすることの意義
(3) 保護期間経過後における他の規定による保護
3 起算日の主張及び立証
后ゞザ半紊領病に反しない商品形態の模倣
1 模倣商品の善意取得者の保護
2 旧3号の製作上回避不可能な形態や商品の本来的性格に伴う形態

 2条1項3号違反の行為に対して差止請求・損害賠償請求等の主体となりうる者
1 商品の開発を行った者
2 独占的販売業者
3 他人の商品形態の模倣者
第4款 営業秘密に係る不正行為(2条1項4号?10号)
機〜蹇  \
供 ̄超犯詭
1 秘密の意義
2 不正競争防止法における営業秘密の意義
3 秘密管理性
(1) 管理要件の必要性  (2) 秘密管理の内容 
(3) 「秘密管理性」をめぐる判例
(4) 経済産業省による「営業秘密管理指針」の公表
4 生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報
(1) 「技術上又は営業上の情報」  (2) 事業活動に有用なる情報
5 公然と知られていないもの
(1) 相対的秘密  (2) 公知と開示  (3) 営業秘密と特許権の関係
6 秘密開示・使用は不正行為であること
(1) 秘密として保護されるに値する利益  (2) 一般的知識・情報に関する問題
(3) 法律や道徳に違反する営業秘密
7 保有する事業者(保有者)
掘 ̄超犯詭に係る不正競争行為
1 営業秘密の不正取得行為(2条1項4号)
(1) 意 義 (2) その他の不正手段 (3) 使用と開示
(4) 2条1項4号の差止請求
2 悪意者の営業秘密不正取得行為(2条1項5号)
3 不正取得秘密の事後的使用等の行為(2条1項6号)
4 保有営業秘密の不正使用・開示行為(2条1項7号)
(1) 意 義  (2) 保有者より示された営業秘密
(3) 不正利益を図る行為・損害を加える目的
(4) 行為者  (5) 使用と開示
5 不正開示行為の悪意者の使用・開示行為(2条1項8号)
6 不正開示行為を事後的に知った者の使用・開示行為(2条1項9号)
7 技術上の営業秘密に関する不正使用行為によって生じた物の譲渡等(2条1項10号)
8 技術上の営業秘密の使用による生産等の推定(5条の2)

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