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近刊情報


所有者不明の土地取得の手引 -売買・相続・登記手続


所有者不明の土地取得の手引 -売買・相続・登記手続
編・著者東京弁護士会法友会 [編]
発行年月2017年04月
ISBN978-4-417-01709-7
税込価格4,320円(本体価格:4,000円)
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■解説
●相続,売買,登記手続等の実務に役立つ書式・参考資料が充実!(68点)
●全国に点在する所有者不明土地。その取得手続上の諸問題につき,
 相続,売買,登記,税務等の実務上の論点を整理した手引の決定版!
●取得したい土地の所有者の相続人が多数の場合や相続人の中に外国
 人がいる場合の対策についても解説!


発刊にあたって
 法友会は,東京弁護士会所属の弁護士によって構成された任意団体
(会員数約2700名)であり,会員の研修や相互親睦,司法制度の調査
・研究,さらには市民のための司法を実現すべく様々な政策提言等の
活動に取り組んでいます。
 平成23年3月11日に東日本大震災が起き,被害の大きさが甚大なる
ものであることから,法友会では翌4月に東日本大震災復興支援特別
委員会を設置し,被災者・被災地の支援に取り組んできました。岩手
県,宮城県,福島県の被災地を今日まで14回にわたって訪問し,仮設
住宅住まいの皆様と懇談し,復旧・復興に取り組む自治体職員,被災
者の支援に取り組む社会福祉協議会の職員,NPOの代表者等との意見交
換を毎回行い,仮設商店街を訪れるなど,被災者や被災地の置かれ
た実情を認識して,立法提言に結びつけてきました。
 そうしたなか,平成28年4月に熊本地震が起き大きな被害が発生し
ました。東日本大震災における活動の経験を活かして,熊本地震によ
る被災からの復旧・復興のための提言も行いました。
 これまでの被災地支援の取り組みのなかで,防災集団移転用地の取
得にあたって所有者不明の土地を避けて用地を取得せざるを得なかっ
たなどの事例の存在を知り,かつ,自治体の職員の中には災害時にお
いては用地取得のための詳細な知識を身につける前にその職務を担当
しなければならない場面があるとの声を聞き,この「所有者不明の土
地取得の手引―売買・相続・登記手続」の編纂チームを作り,調査・
執筆にあたりました。
 本書は,被災地にとどまらず全国至るところにみられる土地所有者
の確定と土地取得をめぐる問題について検討したものです。全国の自
治体職員のみならず弁護士等土地取得にかかわる方々において利用し
ていただくことを目的としたものであり,広くご活用いただきたくこ
とを願っております。
 最後に,調査・執筆をした若手弁護士,執筆に加え編集を行った中
堅とベテランの弁護士に仙台高裁長官を務められた田中康久弁護士が
加わって本書をまとめました。多忙な中,編集・執筆にあたられた各
位に深く感謝いたします。
  
  平成29年3月
東京弁護士会 法友会 
平成28年度 幹事長 伊井 和彦 


推薦の辞
このたび,東京弁護士会に所属する弁護士の団体である法友会によっ
て『所有者不明の土地取得の手引―売買・相続・登記手続』が上梓さ
れることになりました。
 東日本大震災や熊本地震による被災地においては,移転先の用地の
取得や被災地一帯の復興の際に,土地の所有者の確定が難しい事案が
少なからずあったとのことです。また,登記簿上の名義人が古くに亡
くなっており,相続人を調査してみると,相続人が多数になり相続登
記手続がままならない事案,相続人のなかに所在が不明な方がいる事
案などがあって,用地の取得を断念した例もあったとのことです。
 上記の土地取得の際の問題は被災地に限ったことではありません。
全国各地においてみられます。そして,外国籍の方が相続の当事者に
なられる例が増えています。したがって,土地を取得しようとする際
には,我が国の相続法の変遷に関する知識,所有者の調査方法,登記
に関する知識,渉外相続に関する知識が必要となっています。
 本書は任意で土地を取得する際の様々な問題を検討し,土地売買と
いう典型的な土地取得の場面において,地方自治体の職員,弁護士,
その他土地取得に関わる方に必ずお役に立つものと確信します。
 東京弁護士会は,被災者・被災地の支援に取り組むだけでなく,市
民の皆様に寄り添い,法的サービスを拡充して,その期待に応えるべ
く活動を行っているところです。そのためにも,弁護士各位が,質の
高い法的サービスと市民のニーズの的確な把握にたゆまない努力と研
鑽が必要であることは申し上げるまでもありません。本書は,土地取
得をめぐる実務においてその一助となることを期待し,また,所有者
不明の土地の解消が求められている現在において発刊されたことは誠
に時宜を得たものと存じます。
 最後に,本書が,弁護士のみならず多くの実務家に広く活用され,
スムーズな土地取得に役立てられることを祈念し,推薦の言葉といた
します。
  
  平成29年3月  
東京弁護士会 会長 小林 元治


はしがき
 東日本大震災によって自宅を喪失した住民の方々は避難所生活を送
り,その後仮設住宅が公立学校のグランドや公園等の公共用地に設置
・用意ができ次第に仮設住宅に移り住まれている。その後,被災地で
は,津波被害に2度と遭遇しないために防災集団移転促進事業の一環
として,地盤の嵩上げ,高いところでの住宅地造成,高層住宅の建設,
道路・鉄道の築替工事等の復興作業が精力的に行われている。震災発
生から丸6年を経過したが,いまだに仮設住宅暮らしを強いられてい
る被災者の方々が多数おられ,速やかに終の棲家の確保が待ち望まれ
ている。
 これらの復興作業のためには,土地の権利関係の確定が避けられな
い。特に,新たな土地での住宅地造成,道路・鉄道の拡幅・移転工事
関係では,移転先の土地の権利関係の確認が必要となる。
 東京弁護士会法友会では東日本大震災発生後から,年に2回から3
回,被災地支援目的の訪問を繰り返し,今までに訪問回数は合計14回
に及んでいる。この現地訪問の際に,被災地の市町村の担当者らから,
復興作業の苦労話をお聞きすることがあった。例えば,移転先用地を
調査するなかで,相続手続が済んでいない土地がかなり存在し,登記
の所有名義人の相続人の調査に時間がかかったもの,相続人が多数に
及び所有者の確定に時間を要したもの,戸籍上は相続人がいるが当該
相続人が所在不明となっているものなどの事案が存在しているため,
作業の遅れを避けるため,そのような土地を避けて用地取得を進める
こともあるということであった。
 用地取得にあたっては,目的の土地を速やかに,かつ,確実に取得
できること,そして,取得土地が用途に応じた利用ができるものであ
ることの確認が必要であることは言うまでもない。このような被災地
の置かれている現状に少しでも法律家として支援できることはないか
と考えて,法友会の一部のメンバーで被災地の土地問題についての勉
強会を開いていた。その成果が本手引きである。
 この手引きは,移転先用地の任意取得をする場合を想定し,場面ご
とに法律上の課題を整理しようとしたものである。例えば,登記名義
人が実在するかどうかの調査をどのように行うのか,すでに死亡して
いた場合に所有者を確定するにはどうするのか,共同相続人から特定
の相続人に権利を集中するにはどのような方法があるかなどについて
は,登記実務についての知識もないと円滑に手続を進めることができ
ないので,登記処理に至るまでの検討・調査すべき事項について,法
律家,登記専門家でなくても理解できるように説明することに努めた。
 もちろん,防集事業のため移転先用地を取得する方法として,土地
収用制度を利用することもできる。都道府県収用委員会による収用裁
決手続に,不明裁決制度が設けられており,起業者が真摯な努力をし
ても土地所有者等の氏名又は住所を知ることができない場合でも収用
裁決申請をすることを可能としている。国土交通省は防集事業の進展
のため,平成26年5月に「不明裁決申請に係る権利者調査のガイドラ
イン」をまとめている。この手引きは,用地の任意取得(購入)の際
に,土地所有名義人が所在不明の場合や生死不明の場合,相続があっ
たにもかかわらず名義人の変更がなされていない場合の対応について
整理したものであるが,土地収用の前提となる検討・調査も,任意取
得の際のものと重なる部分もあるため,土地収用の際にも利用価値が
あるものと思っている。
 この手引きは,もともと,用地の任意取得に関わった経験が少ない
市町村の用地担当者を想定して執筆したものである。したがって,経
験を積んだ方にとっては分かりきったことを記述した部分もあるが,
そうした方にとっても,改めて初歩的な部分を読むことにより忘れか
けていたことを思い出して,落ち度のない取引の実現に寄与すること
につながれば幸いである。
 また,本手引きは,被災地の土地問題に限らず,一般的な,相続登
記が未了の土地について所有者を特定して当該土地を取得する際にも
利用していただけるものとなるよう心掛けた。広く土地所有者の特定
と,円滑な所有権移転登記手続を進めていく際の参考になるならば幸
いである。
  
  平成29年春  
監修者  田中 康久
(元:仙台高等裁判所長官・法務省民事局
第2課長・同第3課長)       
編集者代表  皺 信男


《監修者・編集者・執筆者一覧》
  
監修者
田中 康久(弁護士 丸の内法律事務所)
  
編集者  
黒須 克佳(弁護士 黒須法律事務所)
小林 芳夫(弁護士 東京市ヶ谷法律事務所)
皺 信男(弁護士 皺綜合法律事務所)
高田 弘明(弁護士 暁総合法律事務所)
仲   隆(弁護士 東京不二法律事務所)
西中 克己(弁護士 西中・宮下法律事務所)
村林 俊行(弁護士 ロア・ユナイテッド法律事務所)
  
執筆者
池田 大介(弁護士 池田・高井法律事務所)
伊藤  献(弁護士 東京ブライト法律事務所)
植草 美穂(弁護士 東京四谷法律事務所)
上田 啓子(弁護士 梅本・栗原・上田法律事務所)
遠藤 啓之(弁護士 田島・寺西法律事務所)
大植 幸平(弁護士 鈴木武志法律事務所)
小野  傑(弁護士 西村あさひ法律事務所)
柿原 達哉(弁護士 司綜合法律事務所)
金山 裕亮(弁護士 国会通り法律事務所)
苅安 高明(弁護士 苅安総合法律事務所)
黒須 克佳(上掲)
後藤  大(弁護士 晴海パートナーズ法律事務所)
小林 芳夫(上掲)
高木理恵子(弁護士 弁護士法人多摩パブリック法律事務所)
高砂 太郎(弁護士 小野田高砂法律事務所)
皺 信男(上掲)
富澤 章司(弁護士 セントラル法律事務所)
仲   隆(上掲)
西中 克己(上掲)
長谷 正宏(弁護士 弁護士法人ATB)
濱田 六法(弁護士 まどか法律事務所)
水上  理(弁護士 水上法律事務所)
三原 利教(弁護士 若松総合法律事務所)
山内  隆(弁護士 セントラル法律事務所)
横山 宗祐(弁護士 横山山王法律事務所)
渡部 孝至(弁護士 はるかぜ総合法律事務所)
  
〔所属・肩書は本書刊行時〕






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