青林書院




新刊情報


下請法の法律相談


最新青林法律相談


下請法の法律相談
編・著者内田清人・石井崇・大東泰雄・池田毅・籔内俊輔 編
発行年月2022年02月
ISBN978-4-417-01828-5
税込価格6,930円(本体価格:6,300円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
下請契約・取引における手続・実務を詳説!
下請法の適用対象となる契約や取引,違反行為類型について平易解説!
公取委・中企庁による調査や違反発覚時の対応,コンプライアンス対策
についてもQ&A形式で具体的に言及!
「最低賃金の引上げ等に伴う不当なしわ寄せ防止に向けた中小事業者等取
引公正化推進アクションプラン」(令和3年9月)に対応!


 下請法は,下請取引を公正なものとし,下請事業者の利益を保護するために,昭和
31年に独占禁止法の補完法として成立しました。当初の適用対象取引は,製造委託と
修理委託でしたが,平成15年改正により情報成果物作成委託と役務提供委託が加わる
などして適用対象取引が拡がりました。
今日多く見られる流通・小売業者によるプライベートブランド商品の製造委託取引へ
の適用など,下請法は,業種を問わずに適用される法律です。知的財産権に関わる取
引に際しても,下請法が関係することは多いといえます。平成28年12月,公正取引委
員会は,下請法の運用基準を大きく改正しました。令和3年3月には,公正取引委員会
と中小企業庁が連名で,下請代金をできる限り現金により支払うこと,手形による場
合はそのサイトを60日以内とすることなどを要請し,経済界から大きな反響があった
ところです。
 公正取引委員会は,平成20年12月にいわゆる下請法リニエンシーの取扱いを公表し
ました。企業によるリニエンシー申出数は毎年度数十件に及ぶ状況が続くとともに,
令和2年6月には,中小企業庁が同様の取扱いを公表するに至りました。当局による行
政上の措置件数が,近時,右肩上がりの状況が続いていることにも注意が必要です。
令和3年9月には「最低賃金の引上げ等に伴う不当なしわ寄せ防止に向けた中小事業者
等取引公正化推進アクションプラン」が公表されています。
 下請法は,適用対象取引と違反行為類型を具体的に定めており,形式的判断により
,簡易迅速に法律の適用が行われるものであると強調されます。しかし,実際は,必
ずしもそう簡単ではなく,わずか12か条から成る法律であるにもかかわらず,分かり
難いとの声を聞くことが少なくありません。企業においては,管理部門では下請法の
重要性とその内容を把握していても,これをいかに購買・発注部門,営業部門に浸透
させるかが大きな課題であります。
本書は,「最新青林法律相談」シリーズの特長を活かし,Q&A形式で具体例を示し
つつ,適用対象,親事業者の義務・禁止事項,下請法の利用方法等に関する種々の疑
問に答えるようにしたものです。さらに,これまでに刊行されている書籍では触れら
れることの少なかった手続的な面や実務対応,すなわち,公正取引委員会や中小企業
庁による調査がどのように行われるのか,企業はその調査にどのように対応すべきか
,違反が発見された場合にどのように対応すべきか,コンプライアンス体制の構築・
維持・強化にいかに取り組むかについても,相当数のQ&Aを設けました。
執筆は,日々,企業から下請法の法律相談を多く受けるとともに,民事紛争の解決と
予防に携わっている弁護士が行いました。加えて,当局が行う調査の実際や近時の動
きについて,公正取引委員会事務総局において下請法実務に長年携わってきた担当官
が解説を行ったQ&Aもあります。編者5名は,いずれも弁護士であり,ほぼ同時期
に,公正取引委員会事務総局に特定任期付職員として勤務していた者です。現在は,
それぞれが法律事務所において,下請法,独占禁止法,景品表示法などの法律実務(
法律相談,行政調査・捜査への対応,民事紛争対応,セミナー・社内研修の講師,社
内調査対応,コンプライアンス対応等)に携わっています。従前,下請法については
,公正取引委員会と中小企業庁による解釈・運用を中心に実務が動いてきたといって
も過言ではありません。本書の各Q&Aにおいて,下請講習会テキストが随所で引
用されるのは,その表れといえるでしょう。下請法の基礎的な理解を得られるよう,
本書では,オーソドックスな解説を基本としています。他方で,実は,かなり踏み込
んだ解説もそれと分かるように行いました。当局による解釈・運用への問題提起,実
際に企業から相談のあった事柄をベースにした実務的な解決策,民事紛争をも見据え
た実務対応などです。もとより,そういった部分は執筆者と編者の見解にとどまるも
のではありますが,下請法の実務に携わってきた弁護士らの手によるものですから,
何らか参考にしていただけるのではないかと思っております。
青林書院編集部の森敦氏には,本書の企画から完成に至るまで,我々編者と執筆者に
対して粘り強く叱咤激励をいただきました。森氏の懇切丁寧な調整があったからこそ
,本書は公刊に至りました。記して厚く御礼申し上げます。
 令和3年11月
 編者一同


編  者
内田 清人:(弁護士 岡村綜合法律事務所)
石井  崇:(弁護士 弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所)
大東 泰雄:(弁護士 のぞみ総合法律事務所)
籔内 俊輔:(弁護士 弁護士法人北浜法律事務所東京事務所)
池田  毅:(弁護士 池田・染谷法律事務所)

執 筆 者
笹野  司:(弁護士 岡村綜合法律事務所)
石井  崇:(上掲)
鈴木 和生:(弁護士 のぞみ総合法律事務所〈本稿脱稿時〉)
若井 大輔:(弁護士 北浜法律事務所・外国法共同事業)
川崎 由理:(弁護士 池田・染谷法律事務所)
小田 勇一:(弁護士 弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所)
石井 林太郎:(弁護士 スプリング法律事務所)
菅野 みずき:(弁護士 弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所)
當舎  修:(弁護士 のぞみ総合法律事務所〈本稿脱稿時〉)
池田  毅:(上掲)
籔内 俊輔:(上掲)
澤田 孝悠:(弁護士 岡村綜合法律事務所)
清水 勇希:(弁護士 北浜法律事務所・外国法共同事業)
金森 四季:(弁護士 のぞみ総合法律事務所)
安田 栄哲:(弁護士 のぞみ総合法律事務所〈本稿脱稿時〉)
小原  啓:(弁護士 岡村綜合法律事務所)
小松原 崇史:(弁護士 北浜法律事務所・外国法共同事業)
吉田 倫子:(弁護士 岡村綜合法律事務所)
加藤 駿征:(弁護士 弁護士法人北浜法律事務所東京事務所)
多田  修:(公正取引委員会事務総局取引部取引企画課上席転嫁対策調査官)
藤原 成和:(弁護士 北浜法律事務所・外国法共同事業)
(執筆順,所属・肩書は本書刊行時)




労働関係訴訟飢訂版


リーガル・プログレッシブ


労働関係訴訟飢訂版
編・著者渡辺 弘 著
発行年月2021年12月
ISBN978-4-417-01826-1
税込価格3,960円(本体価格:3,600円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
ますます充実 労働関係訴訟の基本がわかる決定版!
●労働専門部に所属した元裁判官が,労働法上の論点に応じた,具体的な裁判例
 を題材にし た設例を用いて解説!
●設問事例を解析し,労働法上の問題点と紛争解決のための視点を提供し詳解!


本書は,法曹実務家で, これまでに労働法をあまり勉強したことがない人を読者
として想定した労働事件の実務解説書である。この文章は,本書初版のはしがきの
書き出しである。このたび,改訂版を上梓するについて,この点は寸毫も変更はな
い。本書が想定する読者は,法科大学院の院生,司法修習生,若手の弁護士がメイ
ンである。つまり,実務家の立場から法律をある程度勉強し,要件事実論について
もその基本的知識は身に付けているが,これまで労働法についてまとまった勉強を
したことはなかったものの,現状として具体的な労働事件の事案を目の前にして,
労働法の基本から勉強する必要に迫られているという法律家を主な想定読者として
いるのである。この姿は,まさしく約20年前に,初めて東京地方裁判所の労働専門
部に配属された私自身にほかならない。筆者は,このような問題意識をもったうえ
で,初版執筆当時,派遣されていた東京大学法科大学院の教え子や,東京地方裁判
所に配属された司法修習生の希望により労働法の初心者を対象にした勉強会を実施
し,労働専門部に係属していた労働関係訴訟の事件をもとにして設例を創作し,そ
れを題材にして労働法の基本から説き起こす勉強会にしたのである。本書の初版は
,このときの説明用のレジュメと講義ノートをもとにして執筆した。その執筆方針
は,労働関係訴訟について初学者である法律実務家の立場に立って,事案の中から
労働法上の問題点を分析して抽出し,それに関する労働法の基本的知識を一から説
き起こして検討の視点を提供し,あわせて,労働関係訴訟の現状を説明し,また,
多くの裁判例の分析を通して,その問題点に向けての考え方の一端を解説しようと
いうものであった。
 このような執筆の考え方のもとに本書の初版を出版したところ,予想以上に,法
律家を中心として巷間に受け入れられ,刷数を重ねることとなり,私としては,望
外のことであった。そして,その後,本書の改訂版を出版するというお話をいただ
いた。私としては,初版で取り上げていた事例が,全体として労働関係訴訟の事件
としては古くなりつつあると感じており,改訂版出版の意味はあると考えていた。
もっとも,筆者は,初版発刊後,東京地方裁判所の労働専門部から転出しており,
その後も民事事件担当裁判官として,多くの民事事件の中の一部として労働事件
を担当する機会も少なくなかったものの,おのずから労働事件に関する情報量が,
労働専門部に在籍していた当時と比較して圧倒的に小さくなっていたため,いさ
さか逡巡していた。ところが,東京地方裁判所立川支部在籍当時,修習していた司
法修習生有志の希望もあって,労働事件の素材を使用した勉強会を行うこととなり
,その席には,当時の同僚裁判官の有志も参加してもらい,多角的に意見交換をす
ることができた。その意味で,初版を刊行した当時と同様のきっかけが生じたので
ある。
 以上のように,この改訂版は,上記の司法修習生有志による勉強会をきっかけに
して成立した。感謝の意を込めて,勉強会参加者を以下に掲げることとする。
現在は,判事補,検察官及び弁護士となって活躍しておられる諸氏のご協力をいた
だいて,本書の内容が形づくられているからである。 
内野真,沖佑里乃,木村航晟,小貫雄太郎,末永太郎,永井美羽,中島麻子,深澤
俊,本多浩史,水村優太 (五十音順)
 以上のように,この改訂版は,初版と同様のきっかけに始まり,基本的な執筆の
方針はまったく変更はない。それでも,執筆当時の筆者の置かれた状況から,初版
とはいささか変化した面がある。
 第1には,取り上げた事例についてである。本書は,具体的な事例を取り上げて,
その事例に含まれた労働法上の問題点を指摘し,労働法の基本に立ち帰って説明を
するというスタイルを採っている。筆者が初版を執筆した当時は,東京地方裁判所
の労働専門部で,周りには様々な類型の労働関係事件が,数限りなく存在していた
。そこで,どのような論点であれ,周りの事件を題材にして,論点を組み合わせて
事例を創作することができた。ところが,労働専門部を離れると,事件の絶対数も
少なくなり,係属する事件類型も限られたものになった。そこで,筆者としては,
次善の策として,説明する労働法上の論点に応じて,その頃に判例雑誌に掲載され
ていた労働関係訴訟の裁判例を題材に選び,その事例を適宜簡略化して設例を創作
し,論点を付加するために創作した部分も交えて題材を作成した。そして,可能な
限り裁判例の事例を簡略化したものの,取り上げた事例の処理のあり方に議論が及
ぶ場合が多かったことから,事例の簡略化に難渋した。そして,その分析結果を文
献として公刊することを意識すると,どうしても事案に沿った考え方に筆が進みが
ちになる(判例評釈のような側面をもってしまう。)ため,ある程度,事案の内容
を詳しく紹介する必要が生じた。そのため,設例の記載が全体に長いものになった。
 第2に,以上の点と関係するが,このように執筆した改訂版の解説部分を見れば,
初版の記載に比較して,一つ一つの記載が,事案の解析という観点からやや突っ込
んだ内容が多くなっていると思われる。そして,初版以来の本書の基本的方針から
,労働法の基本知識から解き起こし,どの点を押さえておけばよいのかを粘り強く
説明するという側面は,まったく変更がない。そのため,この改訂版は,全体とし
て大部となってしまい,上下巻の 2 分冊となってしまった。ご不便をおかけする
かもしれないが,この点は,切にご容赦願いたい。
 毎度のことながら,改訂版の出版が遅れたのは,筆者の怠慢な性格による。労働
専門部を離れてからは,改訂版の出版を断念せざるを得ないと何度考えたか分から
ないほどである。そして,その間に,平成29年法律第44号民法の一部を改正する法
律が成立し(原則的な施行日は,令和2年4月1日),本書の基本となる民法の改正
があったうえ,平成30年法律第71号働き方改革を推進するための関係法律の整備に
関する法律が成立し,やはり本書の基本となる労働基準法等が改正され(労働基準
法の原則的な施行日は,平成31年4月1日),大幅な加筆が必要となった。これらの
法律については,若手の裁判官や同僚から,様々な刺激を受けながら,自分なりに
勉強することができ,今となっては大変に助かったと考えている。そして,いささ
か負け惜しみのようであるが,これらの新しい法律をこの改訂版に盛り込むことが
できて,かえってよかったと思う。さらに,少なくとも第一稿は裁判官在職中に執
筆したのであるが,この間,筆者自身が裁判官を退職したこともあって,諸般の事
情から,出版がさらに遅れてしまった。それでも,筆者としては,この改訂版が,
文字どおりの「幻の本」にならなかったことをせめてもの救いと考えている。
 本書が成立するにつけて,引き続き,青林書院編集部の長島晴美氏には,文字ど
おり粘り強いご協力をいただいた。改めて,感謝申し上げる次第である。また,現
在,東京地方裁判所判事の池上裕康氏からは,最新の労働関係の法律をめぐる情報
の提供を受け,さらに最近の労働関係訴訟の経験を踏まえた助言をいただく等,ひ
とかたならないご協力を受けた。重ねてお礼を申し上げたい。
 現在は,労働契約関係を中心に,大きな変革のときであると思われる。そうする
と,今後,裁判所に持ち込まれる事件にも,大きな変化が表れる可能性が高いので
はないかと考えられる。本書が,これらの労働事件の紛争解決に,わずかでも寄与
するものになれば,筆者としては,この上ない幸せである。
  令和3年10月
  渡辺 弘


執筆者
渡辺 弘:東京法務局所属 公証人(勤務地 向島公証役場)




労働関係訴訟恐訂版


リーガル・プログレッシブ


労働関係訴訟恐訂版
編・著者渡辺 弘 著
発行年月2021年12月
ISBN978-4-417-01827-8
税込価格3,960円(本体価格:3,600円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
ますます充実 労働関係訴訟の基本がわかる決定版!
●労働専門部に所属した元裁判官が,労働法上の論点に応じた,具体的な裁判例
 を題材にし た設例を用いて解説!
●設問事例を解析し,労働法上の問題点と紛争解決のための視点を提供し詳解!


本書は,法曹実務家で, これまでに労働法をあまり勉強したことがない人を読者
として想定した労働事件の実務解説書である。この文章は,本書初版のはしがきの
書き出しである。このたび,改訂版を上梓するについて,この点は寸毫も変更はな
い。本書が想定する読者は,法科大学院の院生,司法修習生,若手の弁護士がメイ
ンである。つまり,実務家の立場から法律をある程度勉強し,要件事実論について
もその基本的知識は身に付けているが,これまで労働法についてまとまった勉強を
したことはなかったものの,現状として具体的な労働事件の事案を目の前にして,
労働法の基本から勉強する必要に迫られているという法律家を主な想定読者として
いるのである。この姿は,まさしく約20年前に,初めて東京地方裁判所の労働専門
部に配属された私自身にほかならない。筆者は,このような問題意識をもったうえ
で,初版執筆当時,派遣されていた東京大学法科大学院の教え子や,東京地方裁判
所に配属された司法修習生の希望により労働法の初心者を対象にした勉強会を実施
し,労働専門部に係属していた労働関係訴訟の事件をもとにして設例を創作し,そ
れを題材にして労働法の基本から説き起こす勉強会にしたのである。本書の初版は
,このときの説明用のレジュメと講義ノートをもとにして執筆した。その執筆方針
は,労働関係訴訟について初学者である法律実務家の立場に立って,事案の中から
労働法上の問題点を分析して抽出し,それに関する労働法の基本的知識を一から説
き起こして検討の視点を提供し,あわせて,労働関係訴訟の現状を説明し,また,
多くの裁判例の分析を通して,その問題点に向けての考え方の一端を解説しようと
いうものであった。
 このような執筆の考え方のもとに本書の初版を出版したところ,予想以上に,法
律家を中心として巷間に受け入れられ,刷数を重ねることとなり,私としては,望
外のことであった。そして,その後,本書の改訂版を出版するというお話をいただ
いた。私としては,初版で取り上げていた事例が,全体として労働関係訴訟の事件
としては古くなりつつあると感じており,改訂版出版の意味はあると考えていた。
もっとも,筆者は,初版発刊後,東京地方裁判所の労働専門部から転出しており,
その後も民事事件担当裁判官として,多くの民事事件の中の一部として労働事件
を担当する機会も少なくなかったものの,おのずから労働事件に関する情報量が,
労働専門部に在籍していた当時と比較して圧倒的に小さくなっていたため,いさ
さか逡巡していた。ところが,東京地方裁判所立川支部在籍当時,修習していた司
法修習生有志の希望もあって,労働事件の素材を使用した勉強会を行うこととなり
,その席には,当時の同僚裁判官の有志も参加してもらい,多角的に意見交換をす
ることができた。その意味で,初版を刊行した当時と同様のきっかけが生じたので
ある。
 以上のように,この改訂版は,上記の司法修習生有志による勉強会をきっかけに
して成立した。感謝の意を込めて,勉強会参加者を以下に掲げることとする。
現在は,判事補,検察官及び弁護士となって活躍しておられる諸氏のご協力をいた
だいて,本書の内容が形づくられているからである。 
内野真,沖佑里乃,木村航晟,小貫雄太郎,末永太郎,永井美羽,中島麻子,深澤
俊,本多浩史,水村優太 (五十音順)
 以上のように,この改訂版は,初版と同様のきっかけに始まり,基本的な執筆の
方針はまったく変更はない。それでも,執筆当時の筆者の置かれた状況から,初版
とはいささか変化した面がある。
 第1には,取り上げた事例についてである。本書は,具体的な事例を取り上げて,
その事例に含まれた労働法上の問題点を指摘し,労働法の基本に立ち帰って説明を
するというスタイルを採っている。筆者が初版を執筆した当時は,東京地方裁判所
の労働専門部で,周りには様々な類型の労働関係事件が,数限りなく存在していた
。そこで,どのような論点であれ,周りの事件を題材にして,論点を組み合わせて
事例を創作することができた。ところが,労働専門部を離れると,事件の絶対数も
少なくなり,係属する事件類型も限られたものになった。そこで,筆者としては,
次善の策として,説明する労働法上の論点に応じて,その頃に判例雑誌に掲載され
ていた労働関係訴訟の裁判例を題材に選び,その事例を適宜簡略化して設例を創作
し,論点を付加するために創作した部分も交えて題材を作成した。そして,可能な
限り裁判例の事例を簡略化したものの,取り上げた事例の処理のあり方に議論が及
ぶ場合が多かったことから,事例の簡略化に難渋した。そして,その分析結果を文
献として公刊することを意識すると,どうしても事案に沿った考え方に筆が進みが
ちになる(判例評釈のような側面をもってしまう。)ため,ある程度,事案の内容
を詳しく紹介する必要が生じた。そのため,設例の記載が全体に長いものになった。
 第2に,以上の点と関係するが,このように執筆した改訂版の解説部分を見れば,
初版の記載に比較して,一つ一つの記載が,事案の解析という観点からやや突っ込
んだ内容が多くなっていると思われる。そして,初版以来の本書の基本的方針から
,労働法の基本知識から解き起こし,どの点を押さえておけばよいのかを粘り強く
説明するという側面は,まったく変更がない。そのため,この改訂版は,全体とし
て大部となってしまい,上下巻の 2 分冊となってしまった。ご不便をおかけする
かもしれないが,この点は,切にご容赦願いたい。
 毎度のことながら,改訂版の出版が遅れたのは,筆者の怠慢な性格による。労働
専門部を離れてからは,改訂版の出版を断念せざるを得ないと何度考えたか分から
ないほどである。そして,その間に,平成29年法律第44号民法の一部を改正する法
律が成立し(原則的な施行日は,令和2年4月1日),本書の基本となる民法の改正
があったうえ,平成30年法律第71号働き方改革を推進するための関係法律の整備に
関する法律が成立し,やはり本書の基本となる労働基準法等が改正され(労働基準
法の原則的な施行日は,平成31年4月1日),大幅な加筆が必要となった。これらの
法律については,若手の裁判官や同僚から,様々な刺激を受けながら,自分なりに
勉強することができ,今となっては大変に助かったと考えている。そして,いささ
か負け惜しみのようであるが,これらの新しい法律をこの改訂版に盛り込むことが
できて,かえってよかったと思う。さらに,少なくとも第一稿は裁判官在職中に執
筆したのであるが,この間,筆者自身が裁判官を退職したこともあって,諸般の事
情から,出版がさらに遅れてしまった。それでも,筆者としては,この改訂版が,
文字どおりの「幻の本」にならなかったことをせめてもの救いと考えている。
 本書が成立するにつけて,引き続き,青林書院編集部の長島晴美氏には,文字ど
おり粘り強いご協力をいただいた。改めて,感謝申し上げる次第である。また,現
在,東京地方裁判所判事の池上裕康氏からは,最新の労働関係の法律をめぐる情報
の提供を受け,さらに最近の労働関係訴訟の経験を踏まえた助言をいただく等,ひ
とかたならないご協力を受けた。重ねてお礼を申し上げたい。
 現在は,労働契約関係を中心に,大きな変革のときであると思われる。そうする
と,今後,裁判所に持ち込まれる事件にも,大きな変化が表れる可能性が高いので
はないかと考えられる。本書が,これらの労働事件の紛争解決に,わずかでも寄与
するものになれば,筆者としては,この上ない幸せである。
  令和3年10月
  渡辺 弘


執筆者
渡辺 弘:東京法務局所属 公証人(勤務地 向島公証役場)


墓地・納骨堂、葬送の法律相談


最新青林法律相談


墓地・納骨堂、葬送の法律相談
編・著者小松初男 著
発行年月2021年12月
ISBN978-4-417-01825-4
税込価格4,840円(本体価格:4,400円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
墓地,葬送の法律問題を網羅的に解説!
墓地・納骨堂の経営・管理や使用契約,葬送の手続等をめぐる様々な問題について,
最新の法制や裁判例,行政資料に基づきわかりやすく解説!
実務に必要なエッセンスを凝縮した1冊!
「霊園」「葬送」に携わる事業者・法曹実務家必携!


はしがき
1980年代の後半,第二東京弁護士会紫水会の若手弁護士有志が高齢化社会に関する法
律問題研究会を立ち上げ,筆者は研究会の研究員兼事務局を担当した。研究会のメンバ
ーは,高齢化社会の進展を見据え,社会的需要が高まるであろう様々な法律問題を研究
テーマとして研鑽を重ねた結果,2つの成果が得られた。一つは有斐閣の実用法律雑誌
ジュリスト1994年11月1日号(1055号)101頁に掲載された「成年後見法制定要綱『私案
』」(執筆者額田洋一弁護士)の公表で,いち早く法定後見と任意後見の双方を認める
成年後見制度の導入を提唱したもので,後に民法改正による法定後見制度と任意後見法
の制定に結実している。
もう一つの成果が,「葬送法研究会」の発足であり,筆者を含めて6名の弁護士による
執筆により,1994年3月に有斐閣選書「お墓の法律Q&A」を出版している。それ以来,
墓地(納骨堂を含む,以下同じ。)や葬送の業務に携わる皆様とご縁ができ,本来は企
業法務や民事・刑事の法廷実務を主たる業務とする弁護士ではあるものの,いつの間に
か墓地,埋葬等に関する法律に関する原稿執筆や講演をすることが多くなった。とりわ
け,「月刊石材」(石文社発行)という雑誌で約10年間にわたり墓地や墓石に関する法
律相談を担当したことは,毎月締切りに苦しめられながらも,得難い勉強の機会を得た
。また,隣の頁でコラムを担当しておられたわが国唯一の墓地・火葬場の研究者という
べき横田睦氏(現公益社団法人全日本墓園協会理事・主管研究員)の知遇を得ることが
でき,今日まで,実務と法律問題の原状を知るこの専門家から大変有益な教示をいただ
いている。
初めての弁護士共著によるお墓の書籍の出版から約30年の時を経て,本書を上梓するこ
とができた。目次をご覧いただければお分かりのとおり,墓地の経営・管理に携わる方
,墓地使用者やこれから使用契約を締結しようとする方のため,現在生起し実務上関心
が寄せられている法律問題を網羅して取り上げている。解説では,これまでの実務上の
経験,最新の裁判例や資料に基づき,でき得る限り現在の実務に即した,平易かつ正確
で多くの人に役に立つ内容とすることを心がけた。また,誰しも避けることができない
葬送に関する法律問題をも取り上げることにより,より多くの皆様の参考になるような
書籍となるよう努めている。
自分にはこれまで墓地をテーマにした多数の原稿や講演レジュメ等があるため,それを
修正・加筆すれば出版までにはさほどの時間を要しないと思っていた。しかしながら,
墓地使用者の意識や使用形態,墓地の経営や葬送の方法は年々変化してきており実情に
即さなくなったものも多く,結局,ほとんどを最初から書き下ろすことになってしまっ
た。遡ること2017年4月,青林書院からお声掛けをいただき,初めての単著ということ
で意気込んでみたものの,日々の弁護士業務に追われて原稿作業は遅々として進まず,
約2年もの間,出版の目途は全く立たない状況であった。ところが,2019年暮れに中国
湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)は,またたく間にわが国に
も広がり,2020年4月7日の7都道府県における緊急事態宣言発出を契機として,不要不
急の外出を避け,リモートによる在宅勤務が奨励される社会が出現した。誠に不本意
ではあるが,このような社会の出現が,はからずも原稿執筆に従事できる時間を確保
する結果となった。とはいえ,このような災いが少しでも早く一掃され,活気にあふ
れた市民生活が送れる社会への回復を祈る次第である。
末筆ながら,執筆作業がなかなか進まない筆者に辛抱強くお付き合いいただいた青林
書院の担当者森敦氏,30年以上も事務所で弁護士業務を支えてくれている秘書の秋山
典子さん,この分野の一応の専門家にまで導いていただいたすべての皆様に感謝いた
します。
2021年11月
小松初男


著者紹介
小松 初男:弁護士(虎の門法律事務所)





倒産法


倒産法
編・著者野村剛司 著
発行年月2021年11月
ISBN978-4-417-01820-9
税込価格4,840円(本体価格:4,400円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
「基本」と「実務」両方わかる!
◆破産,民事再生を中心に倒産四法から私的整理まで網羅!
◆倒産・事業再生の世界を知り,学ぶのに最適の1冊! 


執筆者
野村剛司:弁護士(なのはな法律事務所)

 


不動産訴訟の実務から見た改正民法(債権法・相続法)POINT50


不動産訴訟の実務から見た改正民法(債権法・相続法)POINT50
編・著者澤野順彦 著
発行年月2021年11月
ISBN978-4-417-01824-7
税込価格5,500円(本体価格:5,000円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
不動産取引に関わる実務家必携!!
◆不動産法研究の第一人者である著者が不動産訴訟に欠くことのできない
 改正民法の重要事項を徹底解説!!
◆計50の各テーマごとに「Q」,「A」,「解説」,「改正民法との関係」
 と分けて,不動産に関わる改正民法(債権法・相続法)のポイントとなる
 真髄にせまる!!


はしがき
 平成29年5月,民法の債権関係の分野において,同法制定以来およそ120年
ぶりに全般的な見直しがなされ「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律
第44号)が「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関す
る法律」(平成29年法律第45号)とともに制定公布され,ごく一部の例外を除
き,令和2年(2020年)4月1日から施行されている。
 他方,平成30年7月には,民法の相続法の分野において,昭和55年の配偶者
の法定相続分の引き上げや寄与分制度の新設等の改正以来,約40年ぶりに,主
として少子高齢化社会の進展と相続を取り巻く社会経済情勢の変化等の観点か
らの見直しが進められ,「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」
(平成30年法律第72号)及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律」
(平成30年法律第73号)が成立し,いずれも順次施行され今日に至っている。
 債権法及び相続法両分野における改正内容は多岐にわたるものであり,法曹
関係者であってもそのすべてを正確に理解することは,かなり困難と思われ,
ましてや,一般の国民がこれらの新たに創設された制度(例えば,配偶者居住
権など)を正しく理解し,改正の内容に即した対応をとることは容易ではない。
 幸い両分野における解説書等については,立法担当者,研究者,日本弁護士
連合会等からわかりやすい多くの書籍が出版されており,詳細についてはこれ
らを参考とされるのがよい。
 しかし,これらの改正に直接関連する専門職業家や実務家(例えば,弁護士
その他法曹関係者,宅地建物取引業者等)にとって,それぞれの改正法分野に
ついてその大要を把握することは必要なことであろう。
 本書は,このような観点から,特に借地・借家や不動産訴訟の実務に携わる
者の立場から,日常的に生ずる問題点で改正法に関連すると思われる具体的問
題に即して改正法を顧みることにより,改正法の重要な内容を理解することを
目的として編纂したものである。ここに提供された具体的事案は,その多くは
最高裁判例に現れたもので,今回の法改正に直接,間接に影響があると思われ
る重要判例を題材としており,それ自体も紛争解決の指針とすることができる
ものであると同時に,改正の契機等も垣間見ることができるものである。本書
を『不動産訴訟の実務から見た改正民法(債権法・相続法)POINT50』とした
所以である。
(本書の構成)
 本書は,借地・借家及び不動産取引上比較的多く生ずる問題点について,
改正法各条に対応する最高裁の主要判例を参考にして設問の項(Q)が作成さ
れ,回答(A)の項において主として,当該裁判例における第一審,控訴審,
上告審の判断の内容,経緯等が把握できるよう各判例の主要説示部分を引用紹
介することとした。解説の項においては,当該事案及びこれに関連する論点等
について,解説するとともに,今後の検討課題等についても示唆できるよう試
みた。また,改正法との関連の項においては,当該事案に関連する改正前及び
改正後の条項を掲げ,改正前後の条項の確認を容易にできるよう工夫した。
 本文中,特に指定のない条項は,改正後の民法のものであり,改正前民法に
ついては「改正前〇〇条」又は「改正前」,改正後民法については「改正法〇
〇条」又は「改正法」と表した(なお,本文中で引用した判例及びその解説に
一条」おける条文の表記は,判例上の表記によった)。また,本文中,改正法
と二条」の関連で引用する条文は,改正前のものは破線,改正後のものについ
て三条」は実線で囲んだ。
 なお,判例の出典中,民集登載分については他の判例雑誌を引用せず(裁判
集民事登載分については以下による),それ以外の判例雑誌等に複数掲載され
たものについては「判時」のみを,判時に登載のない場合は,当該掲載誌の1
つを引用させて戴いた。  
 本書の刊行にあたり青林書院の宮根茂樹さんに多くのご助言,ご尽力を戴き
ました。ここに記して謝意を表します。
 令和3年9月
 澤野順彦


著者紹介
澤野順彦:弁護士(澤野法律不動産鑑定事務所)・不動産鑑定士




コンメンタール家事事件手続法


コンメンタール家事事件手続法
編・著者秋武憲一・片岡武 編著
発行年月2021年10月
ISBN978-4-417-01822-3
税込価格7,590円(本体価格:6,900円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
第鬼 第1条〜第158条
<家事事件の実務家による,家事事件の実務に携わる人たちのための解説書>
●家事事件を担当し家事法を適用した裁判実務家による逐条解説書
●条文の解釈だけではなく,実務で当面する課題や問題点についても明快に解説
●家事事件の実務に携わる者必携!


はしがき
 本書は,家事事件の実務家が家事事件手続法を逐条解説したもの(コンメンタール
)である。
 家事事件手続法の解説書には,すでに立法に携わった人たちによるもの,家事事件
の研究者を中心とした人たちによるものなどいろいろ公刊されている。
 本書の特色は,解説者が実際に家事事件を担当し,家事事件手続法を適用した裁判
官(現又は元)であること,想定する読者が家事事件の実務に携わる人たちであるこ
とにある。つまり,本書は,家事事件の実務家による,家事事件の実務に携わる人た
ちのための家事事件手続法の解説書である。
 法律の紛争解決機能は,具体的事件に法律を適用することでなしとげられる。法律
の適用は,その立法趣旨,つまり,どのような目的で立法されたのか,どのような制
度であるかを知らなければならない。そのためには,我が国のみならず,各国におけ
る同趣旨の制度とその来歴,解釈・運用の実際等を知る必要もある。
 他方,家事事件手続法は,民法等の実体法が定めた内容を実現するための手続を定
めた法律(手続法)であるから,これを適用するについては,実体法の立法や制度の
趣旨等をも理解しなければならない。
 本書の執筆者は,全員が家庭裁判所において,裁判官として家事事件を担当し,家
事事件手続法を適用している。実務家は,担当事件について,事案ごとに,事実を認
定し,適用する法律,適用した結果の具体的妥当性と一般的普遍性を検討する。これ
は容易ではない。そのため,ときに悩み,苦しむ。しかし,実務家がこうしたことを
繰り返すことで次第に実務ができあがるのである。
 本書においては,家事事件の実務家が,条文の解釈だけではなく,実務において当
面する課題や問題点をも含めて解説するようにした。家事事件の実務に携わる人たち
の解釈適用の一助にしてもらいたいからである。その目的が十分果たせたかは自信が
ないが,問題があるとすれば,それは,執筆担当者ではなく,編集担当者の力不足に
よるものである。
 執筆者は,その大半が東京家庭裁判所における執務をしながら執筆した。実務を担
当する者にとって最優先にすべきことは,担当する事件を迅速かつ的確に処理するこ
とである。本書は,こうした状況で,しかも,折からの新型コロナウイルス感染の蔓
延のさなかに執筆したものである。執筆者には,いろいろと苦労,苦心があったもの
と思われる。ここに編集者を代表して執筆者の皆様に感謝と敬意を表する次第である。
 なお,令和3年4月21日に民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)
が成立し,同月28日に公布された。これにより民法の一部が改正され,これにともな
って家事事件手続法のうち,相続人の不存在に関する審判事件,相続財産の保全に関
する処分の審判事件,遺産の分割の審判の申立て及び遺産の分割の調停の申立ての取
下げの制限等についての改正がされた。これらについては,改正された旨を明示した
が,詳細な解説はしていないことをお断りする。ちなみに,これに先立って平成30年
7月6日に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)
が成立し,令和元年7月1日から施行されている。本書において改正法と記載してい
るのは,この平成30年法律第72号による改正のことである。
 本書の編集は,東京家庭裁判所で一緒に仕事をして以来,公私ともどもに親しくし
ている片岡武弁護士(元東京家庭裁判所部総括裁判官)とともに行った。片岡武弁護
士は,多忙であるにもかかわらず,執筆担当者の選定,全体の構成及び内容等の検討
を担当してくれた。大いに助けられ,また,励まされた。心からの感謝を申し上げる。
 同じく,東京家庭裁判所以来,家事事件の実務についての相談相手となってくれて
いる七尾聡書記官(元東京家庭裁判所家事首席書記官)には,同裁判所の総務課の皆
さんととともに統計数値をまとめていただいた。大変な作業であったと思われる。感
謝申し上げる。
 最後になったが,本書ができあがるについては,株式会社青林書院の長島晴美氏に
多大なる尽力を賜り,苦労をおかけした。氏の励まし,尽力がなければ,執筆者が多
数であり,しかも,コロナ禍の下での本書の出版はできなかった。心から感謝申し上
げる次第である。
  令和3年7月
編集者代表   秋武 憲一


編著者
秋武憲一:山梨学院大学法学部客員教授(元仙台家庭裁判所長)
片岡 武:弁護士(元東京家庭裁判所判事)

執筆者
(執筆順)
蘯菴人子:千葉地方裁判所判事
近藤ルミ子:弁護士(元東京家庭裁判所所長代行)
平城 恭子:東京地方裁判所判事
草野 真人:仙台家庭裁判所長
國分 隆文:東京地方裁判所判事
下澤 良太:東京地方裁判所判事
細矢  郁:東京家庭裁判所判事
松谷 佳樹:静岡地方・家庭裁判所浜松支部長判事
浅岡千香子:宇都宮地方裁判所判事
村井みわ子:横浜地方・家庭裁判所川崎支部判事
島田壮一郎:熊本家庭裁判所八代支部判事補
眈譟‖臙蓮大阪地方裁判所岸和田支部判事
渡辺 健一:札幌高等裁判所判事
吉田純一郎:東京高等裁判所判事
大島 淳司:元東京家庭裁判所判事
藤枝 祐人:静岡家庭・地方裁判所判事補
中井 彩子:裁判所職員総合研修所教官
楠 真由子:松山地方裁判所判事補
小西 俊輔:札幌地方裁判所判事
香川 礼子:横浜地方裁判所判事
山田 一哉:東京地方裁判所判事
水野 有子:広島家庭裁判所長
田野倉真也:東京地方裁判所判事
數間  薫:水戸地方・家庭裁判所麻生支部判事
關 隆太郎:東京地方裁判所判事
神野 律子:東京高等裁判所判事
山城  司:長野地方・家庭裁判所松本支部長判事
寺田さや子:松山地方裁判所判事
(2021年6月末日現在)



コンメンタール家事事件手続法


コンメンタール家事事件手続法
編・著者秋武憲一・片岡武 編著
発行年月2021年10月
ISBN978-4-417-01823-0
税込価格8,250円(本体価格:7,500円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
第挟 第159条〜第293条
<家事事件の実務家による,家事事件の実務に携わる人たちのための解説書>
●家事事件を担当し家事法を適用した裁判実務家による逐条解説書
●条文の解釈だけではなく,実務で当面する課題や問題点についても明快に解説
●家事事件の実務に携わる者必携!


はしがき
 本書は,家事事件の実務家が家事事件手続法を逐条解説したもの(コンメンタール
)である。
 家事事件手続法の解説書には,すでに立法に携わった人たちによるもの,家事事件
の研究者を中心とした人たちによるものなどいろいろ公刊されている。
 本書の特色は,解説者が実際に家事事件を担当し,家事事件手続法を適用した裁判
官(現又は元)であること,想定する読者が家事事件の実務に携わる人たちであるこ
とにある。つまり,本書は,家事事件の実務家による,家事事件の実務に携わる人た
ちのための家事事件手続法の解説書である。
 法律の紛争解決機能は,具体的事件に法律を適用することでなしとげられる。法律
の適用は,その立法趣旨,つまり,どのような目的で立法されたのか,どのような制
度であるかを知らなければならない。そのためには,我が国のみならず,各国におけ
る同趣旨の制度とその来歴,解釈・運用の実際等を知る必要もある。
 他方,家事事件手続法は,民法等の実体法が定めた内容を実現するための手続を定
めた法律(手続法)であるから,これを適用するについては,実体法の立法や制度の
趣旨等をも理解しなければならない。
 本書の執筆者は,全員が家庭裁判所において,裁判官として家事事件を担当し,家
事事件手続法を適用している。実務家は,担当事件について,事案ごとに,事実を認
定し,適用する法律,適用した結果の具体的妥当性と一般的普遍性を検討する。これ
は容易ではない。そのため,ときに悩み,苦しむ。しかし,実務家がこうしたことを
繰り返すことで次第に実務ができあがるのである。
 本書においては,家事事件の実務家が,条文の解釈だけではなく,実務において当
面する課題や問題点をも含めて解説するようにした。家事事件の実務に携わる人たち
の解釈適用の一助にしてもらいたいからである。その目的が十分果たせたかは自信が
ないが,問題があるとすれば,それは,執筆担当者ではなく,編集担当者の力不足に
よるものである。
 執筆者は,その大半が東京家庭裁判所における執務をしながら執筆した。実務を担
当する者にとって最優先にすべきことは,担当する事件を迅速かつ的確に処理するこ
とである。本書は,こうした状況で,しかも,折からの新型コロナウイルス感染の蔓
延のさなかに執筆したものである。執筆者には,いろいろと苦労,苦心があったもの
と思われる。ここに編集者を代表して執筆者の皆様に感謝と敬意を表する次第である。
 なお,令和3年4月21日に民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)
が成立し,同月28日に公布された。これにより民法の一部が改正され,これにともな
って家事事件手続法のうち,相続人の不存在に関する審判事件,相続財産の保全に関
する処分の審判事件,遺産の分割の審判の申立て及び遺産の分割の調停の申立ての取
下げの制限等についての改正がされた。これらについては,改正された旨を明示した
が,詳細な解説はしていないことをお断りする。ちなみに,これに先立って平成30年
7月6日に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)
が成立し,令和元年7月1日から施行されている。本書において改正法と記載してい
るのは,この平成30年法律第72号による改正のことである。
 本書の編集は,東京家庭裁判所で一緒に仕事をして以来,公私ともどもに親しくし
ている片岡武弁護士(元東京家庭裁判所部総括裁判官)とともに行った。片岡武弁護
士は,多忙であるにもかかわらず,執筆担当者の選定,全体の構成及び内容等の検討
を担当してくれた。大いに助けられ,また,励まされた。心からの感謝を申し上げる
。同じく,東京家庭裁判所以来,家事事件の実務についての相談相手となってくれて
いる七尾聡書記官(元東京家庭裁判所家事首席書記官)には,同裁判所の総務課の皆
さんととともに統計数値をまとめていただいた。大変な作業であったと思われる。感
謝申し上げる。
 最後になったが,本書ができあがるについては,株式会社青林書院の長島晴美氏に
多大なる尽力を賜り,苦労をおかけした。氏の励まし,尽力がなければ,執筆者が多
数であり,しかも,コロナ禍の下での本書の出版はできなかった。心から感謝申し上
げる次第である。
  令和3年7月
編集者代表   秋武 憲一


編著者
秋武憲一:山梨学院大学法学部客員教授(元仙台家庭裁判所長)
片岡 武:弁護士(元東京家庭裁判所判事)

執筆者
(執筆順)
蘯菴人子:千葉地方裁判所判事
近藤ルミ子:弁護士(元東京家庭裁判所所長代行)
平城 恭子:東京地方裁判所判事
草野 真人:仙台家庭裁判所長
國分 隆文:東京地方裁判所判事
下澤 良太:東京地方裁判所判事
細矢  郁:東京家庭裁判所判事
松谷 佳樹:静岡地方・家庭裁判所浜松支部長判事
浅岡千香子:宇都宮地方裁判所判事
村井みわ子:横浜地方・家庭裁判所川崎支部判事
島田壮一郎:熊本家庭裁判所八代支部判事補
眈譟‖臙蓮大阪地方裁判所岸和田支部判事
渡辺 健一:札幌高等裁判所判事
吉田純一郎:東京高等裁判所判事
大島 淳司:元東京家庭裁判所判事
藤枝 祐人:静岡家庭・地方裁判所判事補
中井 彩子:裁判所職員総合研修所教官
楠 真由子:松山地方裁判所判事補
小西 俊輔:札幌地方裁判所判事
香川 礼子:横浜地方裁判所判事
山田 一哉:東京地方裁判所判事
水野 有子:広島家庭裁判所長
田野倉真也:東京地方裁判所判事
數間  薫:水戸地方・家庭裁判所麻生支部判事
關 隆太郎:東京地方裁判所判事
神野 律子:東京高等裁判所判事
山城  司:長野地方・家庭裁判所松本支部長判事
寺田さや子:松山地方裁判所判事
(2021年6月末日現在)



デジタルプラットフォームの法律問題と実務


デジタルプラットフォームの法律問題と実務
編・著者渡邊涼介・梅本大祐・今村敏 編著
発行年月2021年08月
ISBN978-4-417-01821-6
税込価格6,270円(本体価格:5,700円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
デジタル・プラットフォーム(PF)に関する最新法制解説書!!
●「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」を
 はじめ,消費者法,競争法,個人情報保護法などPFに関わる法律とそのポイン
 ト,紛争対策の実務について具体的に解説。
●PF事業者と取引企業・消費者の間の法律問題・トラブル対策の実務も収録。


はしがき
 Amazon.co.jpや楽天市場で買い物をする,App Storeからアプリケーションをダ
ウンロードする,Google検索をする,LINE・Facebookで友達とやりとりをする,メ
ルカリで買い物をするというように,デジタル・プラットフォーム(PF)の利用は
,多くの人の日常生活に組み込まれています。それぞれの利用時に,PFの利用規約
に同意していることになりますが,それぞれの規約の内容について,完全に理解し
ているという人は極めて稀です。
 企業が物品を販売する際も,Amazon.co.jpや楽天市場といったオンラインモール
を利用することが一般的であり,自社のホームページでしか販売をしていないとい
う事業者は例外的になっています。企業がオンラインモールを利用する場合も,Am
azon.co.jpや楽天市場の利用規約に従うことが一般的であり,これらのサービスの
運営事業者との間で,何らかの特約を締結するということは例外的です。
 このように,PFを運営するデジタル・プラットフォーム事業者(PF事業者)は,
自らが定める利用規約を通じて,個人や企業に対して,大きな影響力を及ぼしてい
ます。EUでは,影響力が大きすぎることが認識され,2010年代後半から,具体的な
対応が進められてきました。
 日本でも,近年になり,PF事業者への対応について,政府の研究会を中心に検討
がなされ,立法にも反映されています。 崙団螢妊献織襯廛薀奪肇侫ームの透明
性及び公正性の向上に関する法律」(取引透明化法)が成立して,2021年2月から
施行され,⊂暖饉坿愀犬砲いても同年4月に「取引デジタルプラットフォームを
利用する消費者の利益の保護に関する法律」が成立したほか,6チ菲ヾ愀犬任蓮
2019年12月に「デジタル・プラットフォーム事業者と個人情報等を提供する消費者
との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」が公表され,
2020年5月には,外国法人等に対する法執行の実効性強化を含む電気通信事業法
の一部を改正する法律が成立するなど,個人情報・プライバシー保護,インターネ
ット上の情報の取扱いなどについても,検討が進められています。
 さらに近時では,国家も,デジタル通貨の発行などにより,PF事業者に自らの役
割を奪われることに危機感を持っているように見受けられます。
 本書では,このような状況を踏まえ,PF事業者について(総論),PFに関係
する法律,PFと消費者関係,PFと取引透明化法,PFと競争法,PFと個人情
報・プライバシー保護という観点から,PF事業者及びPFとの関係で問題となるポイ
ントを整理し,分析を試みています。
 また,近年検討が非常に進んでいる上記の各問題について,最新の情報に基づき
,検討に必要となるPF事業者についての説明や,PF事業者に関連する規律・約款を
含めた説明をすることで,PF事業者の法律問題に関して網羅的に解説することとし
ています。さらに,PF事業者と取引をしている企業,消費者からの視点も取り入れ
ています。
 その上で,本書では,紛争事例や法的課題も取り上げ,設問形式で具体的に記述
しています。
 さらに,執筆者は執筆分野の専門家として執筆内容に精通しているとともに,全
員任期付公務員を経験しており,自らが関わった事案を踏まえ,政府の動きを的確
に把握して執筆しています。
 なお,本書に記載されているうち,意見にあたるものは,すべて執筆者の私見で
あることを念のため付言しておきます。
 PFについては,人々や企業を媒介する場を提供するという,社会インフラとして
評価される重要な役割を果たす反面,その運営主体であるPF事業者があまりにも強
大になっていることから弊害も大きくなってきています。日々,諸外国を含め,PF
事業者に関する多くの問題が報道されています。
 私自身は,GAFAと総称される4つの企業が日本を含めた国・地域でグローバルに
事業を展開する反面,現時点で日本企業がグローバルに展開することは限定的と考
えています。本書が日本企業の発展の一助となれば幸甚です。
 最後となりますが,本書の出版にあたり,コロナ禍にもかかわらず,企画段階か
ら積極的に各執筆者をサポートいただくなど献身的にご尽力いただいた青林書院編
集部の森敦氏に,厚く御礼申し上げます。
 令和3年6月
編者代表 渡邊 涼介


編集・執筆者
渡邊 涼介:弁護士 光和総合法律事務所
梅本 大祐:弁護士 ブレークモア法律事務所
今村  敏:弁護士 池田・染谷法律事務所

執筆者
石田  健:弁護士 アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
岡本 健太:弁護士 光和総合法律事務所


 


民事執行法〔改訂版〕


民事執行法〔改訂版〕
編・著者中野貞一郎・下村正明 著
発行年月2021年08月
ISBN978-4-417-01813-1
税込価格13,750円(本体価格:12,500円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
令和元年民事執行法・ハーグ条約実施法改正に対応した最新改訂版!!

名著・中野『民事執行法』の真髄を現代に継承する信頼の体系書!!
執行制度の理論と実務を令和新時代もリードし続ける!!


この数年の間に公表された民事執行法関連の裁判例おびただしく,また,令和元年
には民事執行法・ハーグ条約実施法の改正が成り,本書もそれらに合わせてアップデ
ートする必要を生じていたところ,読者諸賢のお支えをいただき,また,青林書院は
逸見慎一社長や同社編集部の宮根茂樹氏に督励いただき,改訂版の刊行にこぎつける
ことができた。まずもって,感謝を申し上げたい。
 本書に求められるのは,民事執行法の体系書としての記述のなかに中野説を明らか
にすることであろうから,今回の改訂に当たっても,前回の共著への移行時と同様,
中野説不変更主義を維持している。師自身,反対説に耳を傾けながらも,「中野説と
して流布しているものを簡単に変えることはできない」とおっしゃっられた教えが,
その基礎にある。その共著移行時に,権利能力なき社団に対する不動産執行手続の解
釈につき,改説があった(第6章第3節?参照)のは,師の指示に従って書き改め
た部分であって,私の恣意によるものではない。
 ところで,本来民法屋の端くれにすぎない私ごときが畏れ多くも本書の共著者とし
て名を連ねることに,ご不審を抱かれている向きも多いことと想像する。この際,そ
の経緯を説明しておきたい。師とのご縁は,私の大阪大学法学部・大学院法学研究科
在学時以来,不断のご指導を仰いできたことによる。実体法学と手続法学の間に垣根
があってはならないと教えてくださったのも,師である。私事にわたるけれども,妻
(下村眞美。裁判官を辞した後,大阪大学法科大学院教授を経て,令和2年4月より
関西学院大学法科大学院教授)も師の直接の弟子に当たるから,師は,私にとって,
公私にわたり到底頭のあがらない,大元帥陛下ともお呼びする存在であらせられた。
平成の某日,大阪市内某所に呼び出され,また校正を頼むとの趣旨でのお食事のお誘
いと思いきや,共著にする,とおっしゃられて困惑した。本書の唯一無二の存在価値
は,師がその研究の超絶豊富な蓄積の成果として単独執筆されたことに存するわけだ
から,かねてと同様に校正や下調べならいくらでもお手伝いするので共著というのは
ご勘弁願いたいと,固辞はした。しかしながら,「自分亡き後にも本書の生命を保た
せたい」との師の強い意向には執念というべきものがひしひしと感じられ,大命降下
したものとして,固辞ももはやこれまでと,お引き受けするのほかなきに至ったもの
である。それにしても,自分の浅学菲才はだれよりも自分がわかっているから,その
プレッシャーたるや,尋常ではない。前回の共著発刊時にD教授から「これは大変だ
ったと思います。緊張されたことと存じます。」と記されたお葉書を頂戴したときは
,心底救われる思いがした(私法学会の折にひとことご挨拶と御礼を申し上げたとこ
ろ,「そこが琴線に触れたか!」と一笑しておられた)。そのお葉書は,今も常時携
行して励みの糧としている。
 今回の改訂も,お前の筆のせいで水準が落ちたと言われることを恐れ,主観的には
懸命に努めたつもりであるが,客観的にはなお不十分にちがいないと思う。もしまた
許されるなら,次の機会に補うべく,諸賢のご叱正を賜っていきたい。
 株式会社青林書院,逸見慎一社長,編集部宮根茂樹氏には,原稿の遅れをご辛抱い
ただきつつ,脱稿まで温かく見守っていただいた。重ねて御礼申し上げる。
 また何よりも,中野俊一郎先生(神戸大学大学院法学研究科教授)はじめ中野家の
方からお許しをいただかずしては,本書改訂はそもそも成り得なかった。頭を垂れて
深甚の謝意を表したい。
 師と,先日ご逝去された奥方,周先生のご霊前に,本書を捧げさせていただこうと
思う。果たして報恩の一片とお受けとめいただけるであろうか。
 令和3年7月
妻と長男・次男・娘の応援に感謝しつつ     
 下村 正明 

※なお,今回の改訂に当たり,文中での混乱を避けるため,青林書院現代法律学全集
 23巻として刊行された増補新訂6版までの本書を,「本書原著」と称することとし
 た。


中野 貞一郎
東京大学法学部卒業
大阪大学名誉教授 日本学士院会員(平成29年逝去に伴い退任)

下村 正明
関西大学法科大学院教授



     


判例からひも解く 実務民法


判例からひも解く 実務民法
編・著者近藤 昌昭 著
発行年月2021年07月
ISBN978-4-417-01819-3
税込価格4,400円(本体価格:4,000円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
民法(財産法)の主要な論点について,元裁判官が,判例の立場を中心として,
設例を用いて,詳しく解説!
 ●元裁判官による簡明な解説
 ●民法(財産法)の主要な論点について,判例の立場を基本として,論点相互
  の関連も解説しているので,実務における民法(財産法)全体の基本的構造
  を体得できる。
 ●判例を素材とした設例を通して,紛争の実像を捉え,どのような権利関係に
  あるのかを理解できる。
 ●現在の実務において採用されている要件事実についても解説。


はしがき
民法を含め私法の存在意義について,兼子一博士は「訴訟制度が,社会に起こる無数
の種々雑多な事件を取上げ,そのために多くの裁判官が分担して裁判をしなければな
らないことになれば,当然に裁判の公正と統一が要求されるし,又当事者の期待に副
う納得の行く合理的な判断が考慮されなければならなくなる。人民としても国家の法
廷へ持ち出せばどんな規準方針で裁判されるかが予想できないようでは安心してこれ
に頼れない。特に取引界では,取引上の紛争が画一的に確実に裁判されることが,予
め勘定に入れられることを強く要求する。このために国家として,明確な体系と網羅
的な内容をもった私法を制定することによって,訴訟制度の機能を合理的効果的に発
揮させようとするのである。したがって,私法法規は,元来実体法として,民事裁判
による紛争解決の基準として生成し又存在するものである。」(兼子一『實體法と訴
訟法―民事訴訟の基礎理論』(有斐閣,1957年)42頁)と述べている。民法の解釈に
あたっても,この裁判規範としての民法の実像を明らかにすることが必要である。そ
のために法曹実務家及び法曹を目指す者にとっては,最高裁判所の判例(その中でも
法理判決を中心として)を素材として,社会に生起する紛争の実像を捉え,その中で
どのような権利関係として位置づけているのかを理解することが重要である。最高裁
判所の判例をひも解いて,実体法の有権解釈について理解することは法曹実務家とし
て必須条件と言っても過言ではないといえよう。ただ,裁判例は具体的な事件を前提
として,その事件を解決する限りで判断することを前提としており,紛争の実像に迫
ることはできるものの,判例相互の関係を理解することは必ずしも容易ではない。
そのような判例の特色を意識して本書を作成している。本書の特徴をいくつか挙げる
と,本書はいわゆる民法の基本書ではない。したがって,各条文や制度をすべてカバ
ーしているものではなく,初めて民法を学ぼうとする者に適した本とはいえないであ
ろう。しかしながら,ある程度の民法の知識がある者や民法の基本書の理解を深めた
いと思っている者には,民法(財産法)の主要な部分に関して,判例の立場を基本と
して論点相互の関連にも意識して解説をしているので,実務における民法全体の基本
的構造を体得できると思われる。例えば,物権変動の対抗問題と94条2項との関係は
一連の問題であり,民法の体系書では,「民法総則」と「物権法」とで別々に記述さ
れているが,一緒に検討しておく必要がある。債権法の構造についても,特定物債権
,契約の解除,債務不履行,担保責任,危険負担の相互の関係も債権総論,契約総論
,契約各論で各別の検討では理解しづらい。これらについて全体構造を理解しやすい
ように,相互の関連について理解する必要がある。また,不法行為法と債権法との関
係についても意を用いたつもりである(どこまでが債権法の問題かを意識する必要が
ある。)。他方,そのような構成をとっている関係で,多くの民法の体系書の構造を
採用しておらず,また,判例の立場を中心として解説を加えているため,学説上の諸
見解の紹介はほとんどしておらず,全体構造を理解するうえで有益な場面に限定して
いる。そのようにすることによって,理解がむしろ簡明になると思われるからである。
さらに,民法の基本的な事項だけでなく,実務家にとって教科書等ではわかりづらい
論点についても,筆者が考える判例の立場で整理し,新たな整理を提示している部分
もある。この関係では,不法行為法における要件の整理として,新たな法益を認める
ことの利害得失,受忍限度論をどのように位置づけるか,不当利得返還請求権と189
条等の規定の関係,被相続人のために事務管理として支出をした場合に703条の法律
上の原因の問題として処理してよいかなど極めて実務的な問題についても触れてい
る。
民法は裁判規範であるので,要件事実的な整理も必要不可欠である。そのため,現在
の実務において採用されている要件事実についても説明を加えている。
また,民法以外の周辺の法的知識についても,それらの知識があることで民法自体の
理解が深まると思われるものについては,コラムで簡単な解説を加えることとしてい
る。
若い法曹実務家が民法(財産法)全体の理解を深めることが訴訟における争点整理を
促進させる原動力になると思われるが,そのために本書が少しでも役に立ち,民事裁
判の発展の一助となることを願っている。
最後に,本書の原稿整理から最終校正に至るまで,私のわがままを聞いていただき,
尽力していただいた青林書院編集部の長島晴美氏に対し謝意を表するものである。
令和3年6月
近藤 昌昭


同一労働同一賃金の実務と書式


同一労働同一賃金の実務と書式
編・著者村田浩一 編
発行年月2021年07月
ISBN978-4-417-01818-6
税込価格4,620円(本体価格:4,200円)
在庫有り
  
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■解説
同一労働同一賃金問題に取り組む実務家必携の書
●同一労働同一賃金問題の考え方,対応例,書式例について,
 裁判例を踏まえ分かりやすく解説。
●基本給・賞与・退職金・私傷病休職等各種手当について,
 裁判例・ガイドラインの考え方,就業規則の改定例,正社員と
 非正規社員の待遇差を説明する際のヒントを示した。
●判例・裁判例を多数収録し,判断の要点を分かりやすく整理。


同一労働同一賃金問題について,令和2年10月に5件の最高裁判決が出され,
令和3年4月から中小企業にも同一労働同一賃金に関するパートタイム・有期
雇用労働法が施行され,いよいよ各企業で同一労働同一賃金問題への対応が急
務となりました。
この問題は,一言でいうと,通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の
労働条件の相違が不合理といえる状況にないかを労働条件ごとに個別に分析し
,不合理といえる状況がある場合には,これを是正するということです。ただ
,よりかみ砕いて考えると,本書181頁以下で解説したとおり,比較対照する
[1]自社の通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者それぞれの区分,/
務の内容,⊃雄牾萢僂了伝函きその他の事情の状況を確認,整理する必要が
ありますし,[2]各労働条件の相違,趣旨を確認,言語化し,さらには労働
条件の相違が不合理かどうかを裁判例等に照らし分析し,不合理と思われるも
のについては是正する必要があります。この作業は,非常にオーダーメイド色
が強く,言語化にも難しさがあります。例えば,一言で契約社員といっても,
期間の定めがある以外,業務内容,異動,役職就任などにおいて正社員とまっ
たく相違がない企業もあれば,3年ないし5年といった更新の上限を定め,長
期雇用を予定していない企業もあります。/μ海瞭睛董き⊃雄牾萢僂了伝函
その他の事情についても,本書181頁から183頁で示したとおり,採用,教育
・研修,評価制度,キャリア,業績目標の有無など視点は多岐にわたり,人事
担当者でも状況を理解していなかったり,同じ企業の中でも部門によって状況
が異なることもあります。労働条件の趣旨についても,実態に合っている必要
があるものや,会社固有のものもあり,例えば同じ慶弔金でも,一般的には親
族等の慶弔につき金銭を支給するもので役職や企業への貢献度は関係ないです
が,役職に応じて慶弔金の金額が異なり企業への貢献度に応じた手当となって
いたこともあります。さらに,有期雇用労働者を雇用する意義についても,単
に安くて雇止めできる労働力と考えるだけでは,採用に苦戦するケースもあり
ますし,通常の労働者との間の労働条件の相違が不合理と判断される懸念もあ
り,臨時的な雇用と整理するのか,限定正社員,正社員への登用を前提とする
のかなど,見直しの時期が来ているといえます。このように,同一労働同一賃
金問題は,企業の働き方の抜本的な見直しの問題でもあるといえます。他方で
,ダイバーシティ(多様性)の広がりの中で家族の在り方が変化したり,ジョ
ブ型雇用の広がりもみられ,家族手当,子供手当,住宅手当といった属人的な
手当を見直す動きもみられます。また,COVID-19禍以降,休業やオンライン化
,テレワークの急速な普及を経て,改めて企業は人であるとの実感を得,有為
な人材を確保・定着するための労働条件の改革に取り組む企業もみられます。
そのため,今まさに,同一労働同一賃金問題を契機として,各企業で働き方を
抜本的かつ前向きに見直す良いタイミングともいえます。
このように,同一労働同一賃金問題は,対応を間違えれば紛争の火種になりま
すが,この問題の検討を通じて,社員の区分,労働条件を見直したり,労働条
件に対する納得感や長く働いてもらうための制度作りの契機,短時間・有期契
約労働者を雇用する意義を考え直す契機になり,前向きに捉えることもできま
す。私が関与した企業でも,契約社員の大規模な正社員化に踏み切った企業や
,手当類を整理し,一部の手当は廃止したものの,別の手当は短時間・有期雇
用労働者にも支給するようにし,納得感のある整理をするなど,前向きな取り
組みの契機になったと捉えています。
本書では,このような分析,規定化,前向きな取り組みの指針を提供できれば
と思い,労働法を専門とする法律事務所で経験を積んだ執筆陣とともに,同一
労働同一賃金問題の考え方の解説,労働条件ごとの一般的な知識,考え方,裁
判例,実務対応・規程改定例,待遇差の説明のヒントを示し,同一労働同一賃
金問題に関するノウハウ,書式をちりばめました。本書が同一労働同一賃金問
題に悩んでいる企業担当者,弁護士や社会保険労務士,税理士等の専門家にと
って,紛争予防や紛争解決の一助になれば幸いです。
最後に,青林書院編集部の留守秀彦氏には,本書の刊行にあたり都度丁寧なご
意見やご提案をいただき,おかげさまで本書がより読者にとって懇切丁寧な書
籍になったと考えております。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
令和3年6月
弁護士 村田 浩一


編者
村田 浩一:弁護士(根本法律事務所)

執筆者
村田 浩一(上掲)
瀬戸 賀司:弁護士(杜若経営法律事務所)
鈴木 芳信:弁護士(熊隼人法律事務所)
下平  学:弁護士(恵比寿パートナーズ法律事務所)
梅本茉里子:弁護士(杜若経営法律事務所)





新・商標法概説〔第3版〕


新・商標法概説〔第3版〕
編・著者小野昌延・三山峻司 著
発行年月2021年07月
ISBN978-4-417-01811-7
税込価格9,460円(本体価格:8,600円)
在庫有り
  
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■解説
令和3年改正と最新の裁判例に対応した信頼と実績の「第3版」
●令和3年改正商標法にも対応し、過去の度重なる法改正前後の
 仕組みや内容にも随所で詳解。商標法実務書の最新決定版
●商標法に関する重要判例を広範囲に取り入れ、第3版で新たに
 設けた「脚注」に一挙掲載。令和3年の主要裁判例まで解説


『新・商標法概説〔第2版〕』の刊行からすでに8年余り(「補遺」を付して
から6年余り)が経過した。この間に「新しい商標」を取り入れた平成26年改
正をはじめとする平成27年,平成30年,令和元年,令和3年の各改正があった。
 これら法律の改正やこの間の審査基準の改定を取り込みつつ,最高裁判所の
判例や重要な知的高等裁判所の裁判例も出ており,はやくから品薄になり,品
切れとなっていた『新・商標法概説〔第2版〕』の改訂を行い現在の役に立つ
ようにリニューアルすべく出版を促されてきた。小野昌延先生もそのご準備に
取り掛かられようとしていた矢先に,体調を崩され平成30年8月に不帰の人と
なられた。
 そのような中,小野先生のご遺族のご了解のもと熱心に改訂の刊行をお勧め
いただいたものの,限られた実務経験に影響を受け事例にこだわった狭い視野
しか持たない浅学な一実務家にすぎぬ私がその役目を果たし得るか疑問であり,
改訂とは名ばかりの恥しい結果になりはしないかと危惧しためらって,ご辞退
することを何度となく真剣に考えた。
 しかし他方で,これまで一方ならずお世話になり育てていただいた小野先生
のご恩に何とかお応えし何程かのものでもお返しできればという思いは強かっ
た。そして,「中間作業的なもの」とおっしゃっていた第2版の改訂作業を続
けることは小野先生のお考えに添いお許しいただける作業ではないかと考える
ようになっていった。
 改訂にあたっては,「訴訟実務のために役立つ概説書」という本書の基本ス
タイルを堅持した。そして「できるだけ異説はとらず判例中心・通説中心に改
訂を行い」「つとめて平凡な基本的ないし客観的記述に努める」との第2版の
方針を変えることなく,そのもとで改正,審査基準等を取り入れる一方で,で
きるだけ参考となる最近の新しい裁判例を取り込むように努めた。記載の形式
は,本文の叙述を読者にとって読み易くするために,本文中の裁判例などの記
載は原則的に各頁下の注記に移動させた。その過程で新旧の裁判例や参考文献
の入れ替えにも努めたが未だ十分とはいえないままに残された箇所も少なから
ずある。
 巨人の肩の上に立つこともできない小人は小人として自覚しつつ歩むしか術
はなく,小人としての務めを力不足でも果たすしかない。初版の改訂,第2版
の改訂作業の過程で小野先生をお伺いした際に,お話が先生のこれまでの歩み
のご経験にしばしば及んだ。その折のお姿が今も彷彿としてくる。先生は,「
吉田恒」のペンネームでブッダに関する本を出されている。法然院で寄宿され
たご経験もあり,弁護士になってから仏教書に興味をもち始めたとその著書に
は書かれているが,「すべてのものは変化する」「日々努力しなければならな
い」と静かに励まし続けていただいている思いがしてならない。「形質は草露
の如く運命は電光に似たり」だ,「復び還し得ない一日一日を大切にしなさい
よ」とおっしゃられているに違いない。この改訂の作業の中で先生に幾度とな
く心の中でお会いできたように思う。遇い難きご縁の巡り会わせに深く感謝申
し上げたい。
 小野先生のお考えを直接に伺いつつ今回の改訂の作業をお手伝いし,ご一緒
できないのが本当に残念でならない。しかし,こうして本書を刊行することが
できたのは,過去そして現在においてもなお多くの教えを与え続けてくださる
小野先生のご指導とご縁を頂けたればこそであり,そのご恩に改めて感謝申し
上げるとともに,本書の内容に大変有意義な示唆を頂き広く引用させていただ
いた多くの著者の方々に厚くお礼申し上げたい。
 そしてご多忙にもかかわらず,海外の知財情報を提供して下さった竹内耕三
先生に感謝したい。なおまた,しばしば遅れを重ねたにもかかわらず,初版,
第2版に引き続き第3版の刊行まで,終始好意を持って丁寧にお世話下さった
青林書院の宮根茂樹氏にもこの場をかりてあらためて御礼をのべさせていただ
くことにしたい。
 2021年5月
三山 峻司


小野 昌延
1953年 京都大学法学部卒業
1974年 特許庁・工業所有権審議会委員
1975年 日本工業所有権法学会常任理事
1978年 日弁連・無体財産権制度委員会委員長
1999年 日本商標協会会長
2018年 逝去
〔主要著書〕
『註解不正競争防止法』(有信堂,1961年)
『営業秘密の保護』(有信堂,1968年)
『商標法概説』(有斐閣,1988年)
『注解商標法〔新版〕上・下巻』(編著)(青林書院,2005年)
『新・注解不正競争防止法〔第3版〕上・下巻』(編著)(青林書院,2012年)など


三山 峻司
1975年 中央大学法学部法律学科卒業
2004年 京都産業大学大学院法務研究科教授
2008年 大阪弁護士会・知的財産委員会委員長
2010年 芦屋大学経営教育学部客員教授
2012年 特許庁・工業所有権審議会委員
現 在 弁護士・弁理士・社会福祉士,日本商標協会理事
〔主要著書〕
『知財実務ガイドブック─知財の活用とトラブル対策』(編著)(青林書院,2017年)
『事例から考える特許法』(編著)(法学書院,2013年)
『著作権法要説〔第2版〕実務と理論』(共著)(世界思想社,2013年)
『新・注解不正競争防止法〔第3版〕上・下巻』(共著)(青林書院,2012年)
『ロースクール演習 知的財産法』(共著)(法学書院,2009年)
『知的財産契約の理論と実務』(共著)(商事法務,2007年)
『注解商標法〔新版〕上・下巻』(編著)(青林書院,2005年)など







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