企業のための労働契約の法律相談

企業のための労働契約の法律相談

新・青林法律相談

  • 編・著者下井隆史・松下守男・渡邊 徹・木村一成 [編]
  • 判型A5
  • ページ数762
  • 税込価格6,600円(本体価格:6,000円)
  • 発行年月2011年11月
  • ISBN978-4-417-01547-5
  • 在庫

    有り

■解説

◆下井隆史先生(神戸大学名誉教授)の指導を受けた研究会のメンバーが
 未曾有の不況下に直面するナマの労働問題を130問精選し解説する。
◆企業と労働者の安定的契約関係の構築を追及する第一級の指南書!!


■目次
 第1章 労働契約の当事者
 第2章 労働契約の成立――募集・採用,内定,試用期間
 第3章 就業規則
 第4章 賃金,賞与,退職金
 第5章 労働時間,休日,休暇
 第6章 人事権の行使――昇格,昇進,配転,出向,転籍,その他
 第7章 懲戒処分
 第8章 非正規労働者,女性労働者
 第9章 労働組合
 第10章 労働契約の終了――退職,解雇
 第11章 M&Aと労働契約
 第12章 紛争解決手続
 判例等索引
 事項索引


■編集者
 下井 隆史(神戸大学名誉教授)
 松下 守男(弁護士)
 渡邊   徹(弁護士)
 木村 一成(弁護士)

■執筆者(執筆順)
 渡邊  徹(弁護士)
 白石 浩亮(弁護士)
 中井  崇(弁護士)
 種村 泰一(弁護士)
 松下 守男(弁護士)
 竹林竜太郎(弁護士)
 原  英彰(弁護士)
 山浦 美卯(弁護士)
 牟禮 大介(弁護士)
 魚住 泰宏(弁護士)
 清水 英昭(弁護士)
 浜本 光浩(弁護士)
 鈴木 蔵人(弁護士)
 田辺 陽一(弁護士)
 田中 崇公(弁護士)
 勝井 良光(弁護士)
 吉田  豪(弁護士)
 木村 一成(弁護士)
 村本  浩(弁護士)
 山田 長正(弁護士)
 仲井 敏治(弁護士)
 野口  大(弁護士)
 黒田 清行(弁護士)
 猿木 秀和(弁護士)


ISBN978-4-417-01547-5

■書籍内容

「まえがき」 より


 本書は,「企業のための労働契約の法律相談」という表題を持っています。

 ところで,「法律相談」とは一体どのような営みをさすのでしょうか。
弁護士である私たちにもそれは簡単な問いではありません。かつて法律相談は,
クイズのようなものであったような気がします。相談者から提起された問題に
適用される法律を探し出し,その内容を多少わかりやすく解説すれば,それが
立派な「法律相談」でした。しかし,今日では,私たちの前に来られる相談者
は,その程度のクイズであれば,インターネットにあふれる情報を渉猟して
既に答えをお持ちの場合がほとんどです。それでもなお弁護士に求められるのが
今日的意義の「法律相談」ではないでしょうか。これに応えることができるか
どうかは,私たち弁護士の存在意義に関わる問題です。

 かつて弁護士会に講演に来られたある講師の方が「本当に理解している人で
あれば大抵のことはわかりやすく説明できる」と言われていたことを印象深く
覚えています。私たち弁護士は,問題を単なる問いかけと答えの情報の結びつ
き,すなわちクイズの答えを解説するのではなく,問題に深く分け入り,問題
を解りやすくできる存在でありたいと願っています。また,決まった回答がな
い問いについても,どうすれば良いかを考えなければなりません。正解が見つ
からなくとも走りながら考えることが時に求められるのが実務です。

 本書は,それぞれの執筆担当の弁護士が問題と格闘しながら,仮想の依頼人
である読者の方々にしたためた「語り」を集めたものです。普通とは違う説明
をしているな,とお感じになられましたら,そこに執筆者の工夫と情熱をお酌
み取り頂ければ幸いです。

 また,本書は「労働契約」の法律相談です。編集者として関わってあらため
て驚いたのはその内容の豊富さ多様さです。今日,企業が労働に関して直面す
る問題のほとんどが対象となっていると思われます。言及されていないのは,
派遣労働と労働組合との交渉に関わるわずかな問題にすぎません。

 次に,本書は「企業のための」法律相談です。しかし,「企業のための」法
律相談は,決して,労働者に勝つための法律相談ではありません。それは,企
業が労働者と安定的な関係を結ぶための法律相談です。真の知恵に基づく交渉
は,ウィン・アンド・ルーズではなく,ウィン・ウィンであると信じます。

 本書は,下井隆史先生(神戸大学名誉教授)のご指導のもと10年近く行って
きた研究会の成果でもあります。先生には回を重ねた編集会議にも欠かさずご
出席を頂き,原稿の最初の読者として貴重なご意見を頂戴しました。
感謝の念に耐えません。

平成23年9月

編集者・執筆者を代表して  
        松下守男