ソフトウェア取引の法律相談

ソフトウェア取引の法律相談

新・青林法律相談

  • 編・著者TMI 総合法律事務所 編
  • 判型A5判
  • ページ数500頁
  • 税込価格5,280円(本体価格:4,800円)
  • 発行年月2013年02月
  • ISBN978-4-417-01588-8
  • 在庫

    有り

■解説

■ソフトウェア取引に関する契約や法律問題について 
 知財のスペシャリストが詳解!
■ビジネスに必要な有形・無形のあらゆる「財」の開発・取引に関する契約に応用できる!

はしがき
我々の身の回りにはソフトウェア(プログラム)があふれている。インターネットの世界や,スマートフォンやタブレットや電子ブックといった最新の電子機器の世界だけではない。

 自宅には,デジタル時計,冷蔵庫,炊飯器,電子レンジ,洗濯機,風呂,エアコン,セキュリティシステム等々,プログラムで制御された製品があふれている。家を一歩でれば,銀行 ATM やクレジットカード決済,移動手段としての自動車,電車,航空機,エレベーターなど,例を挙げればキリがないほどあらゆる商品・製品にソフトウェアが使われている。にもかかわらず,法律実務家は,一部の専門家を除き,ソフトウェアをめぐる法律問題や契約については敬遠しがちなように思われる。理由は,ソフトウェアが目に見えない無形資産(intangible asset)であること,従って,そこに関わる権利が特許権や著作権といった知的財産権であること,目に見える形での表現がコンピュータの高等言語で表現されたソース・プログラムであったり,1と0の二進法で記述されるオブジェクト・プログラムであったりと,それ自体理解困難な表現形式であること,などにあると思われる。とはいえ,自動車やパソコンやインターネットの技術的な構造に必ずしも精通していなくても自動車事故や個人情報の流出問題に対応していかなければならないのと同様に,我々はソフトウェアが内在するものの契約や法律問題に対応していく必要がある。

 とくに近時,ネットワーク上にあふれる,商品・サービス等に対する評価やコメント, GPS による人や車の位置情報などの大量の情報の集積を「ビッグデータ」と呼び,そのビジネスへの活用が注目されているが,このビッグデータを処理し活用するためにはソフトウェアがキーとなることはいうまでもない。

 本書は,このようなニーズに応えるため,ソフトウェアの取引に関する契約や法律問題をできるだけわかりやすく説明することを目的として執筆した。同時に,本書は,ソフトウェアを題材としつつも,あらゆるビジネスにおいて必要な「契約」一般についての解説本になることも意識して執筆した。従って,ソフトウェアに限らず,有形・無形のあらゆる「財」の開発・取引に関する契約に応用可能な本を目指した。我々の意図どおり,本書を手に取られた方が,「一冊で二度オイシイ!」と感じていただける本になっていれば,著者一同,望外の喜びである。

 最後に,企画段階から全体の脱稿まで遅れに遅れてご迷惑をおかけしたにもかかわらず,辛抱強くお付き合いいただいた青林書院編集部の長島晴美さんと加藤朋子さんに著者一同を代表して,心からお礼を申し上げたい。ありがとうございました。
 
2013年1月

編集委員代表
水戸 重之


■編集者
TMI 総合法律事務所
 〔編集委員〕
  水戸重之(弁護士)
  折田忠仁(弁護士)
  押野雅史(弁護士)
  五十嵐敦(弁護士)
  渡辺伸行(弁護士)
  小泉直樹(慶應義塾大学法科大学院教授,弁護士)
 
 
■執筆者
岡田誠(弁護士)  
折田忠仁(上 掲) 
井上祐子(弁護士)
海野圭一朗(弁護士)
渡辺伸行(上 掲) 
新谷美保子(弁護士)
竹内信紀(弁護士) 
滝琢磨(弁護士) 
大江修子(弁護士) 
小川聡(弁護士) 
上山孝紀(弁護士) 
森山義子(弁護士) 
永田幸洋(弁護士) 
上野さやか(弁護士) 
五十嵐敦(上 掲) 
加藤恭子(弁護士)
加藤はるか(弁護士)
村上諭志(弁護士) 
鈴木優(弁護士) 
米山貴志(弁護士) 
波田野晴朗(弁護士) 
石原修(弁護士) 
中山茂(弁護士) 
小泉直樹(上 掲) 
松山智恵(弁護士) 
栗山陽一郎(弁護士) 
古西桜子(弁護士) 
荻田多恵(弁護士)
水戸重之(上 掲) 
樋口陽介(弁護士)
近藤圭介(弁護士)
吉田和雅(弁護士) 
吉野史紘(弁護士) 
山郷琢也(弁護士) 
土屋徹雄(弁理士) 
伊藤健太郎(弁理士) 

■書籍内容

目  次
序 章 総  論
Q1イントロ,総論・定義,用語等
第1章 開発契約
Q2開発委託契約
Q3クラウドサービスを開発環境として利用したソフトウェア開発
Q4契約当事者
Q5見積りとその変更
Q6共同開発・JV・コンソーシアム
Q7メールによる締結の有効性
Q8締結・終了の時期
Q9ソフトウェア開発における当事者の義務
Q10納品物の特定と仕様
Q11納品・検収の方法
Q12契約の無効・取消し
Q13権利保証・性能保証条項
Q14リバース・エンジニアリング
Q15モジュール/ルーチンの権利留保
Q16疵担保責任
Q17不履行による解除
Q18損害賠償
Q19違約金規定
Q20準拠法・管轄
Q21仲裁条項の当否
第2章 紛争と解決方法
Q22バグ・システムエラー
Q23セキュリティホール
Q24アクセス制御
Q25パスワード管理・流出
Q26ウイルス
Q27契約締結上の過失
Q28法人格否認の法理
Q29営業秘密・不正競争防止法
Q30訴訟手続・証拠保全・民事保全
Q31ソフト開発と刑事事件
第3章 権利帰属
32職務発明
Q33職務著作
Q34契約による権利帰属
Q35権利の共有と処分利用
Q36第三者の著作権侵害
Q37開発途中のベンダの倒産
Q38プログラムの登録制度
Q39ソフトウェア・エスクロウ
第4章 既存ソフトの利用
Q40開発時の権利処理
Q41パテントプール
Q42包括クロスライセンス
Q43強制許諾
Q44許諾不要の利用
Q45オープンソース・ソフトウェア,フリー・ソフトウェアの利用方法
Q46オープンソース・ソフトウェアを利用した新たなソフトウェアの作成
Q47ユーザによる複製・改変
第5章 関連契約・関連文書
Q48基本契約と個別契約
Q49下請法
Q50ソフトウェア開発における偽装請負
Q51請負・委任・雇用・派遣
Q52外注と再委託
Q53外国発注(オフショア開発)
Q54ベンダの変更
Q55バージョンアップ
Q56守秘義務契約
Q57LOI,MOU,覚書等
Q58受発注書・請求書
Q59守契約
Q60コンサルティング契約
Q61提案依頼書・提案書・システム仕様書・システム設計書・検査仕様書
Q62フローチャート,マニュアル
第6章 諸法
第1節 独占禁止法
Q63独占禁止法ガイドライン
第2節 知的財産法
Q64ソフトウェア特許,BIZ 特許
Q65ディスプレイインターフェイス

判例・審判審決索引
事項索引