
新実例刑法〔総論〕
刑法理論と実務を架橋する実例33問
- 編・著者池田 修・杉田宗久 編
- 判型A5判
- ページ数500頁
- 税込価格5,280円(本体価格:4,800円)
- 発行年月2014年12月
- ISBN978-4-417-01643-4
- 在庫
有り
■解説
裁判員裁判を担当する裁判官らが、その経験と研究の
成果を踏まえて、実定法とその基礎理論を解明する。
理論の体系的理解と実践的思考法を身につけるための一冊。
●最高裁判所等の判例を題材に重要論点33項目を選定
●近時の判例学説を踏まえ具体的事例の解決方法を考察
●裁判員制度の運用に関する事実上の論点にも随所で言及
●執筆陣は裁判員裁判を担当する経験豊富な裁判官ら33名
●新実例刑法[各論]【既刊】と併せて体系的理解を促す
はしがき
本書は,平成23(2011)年に刊行された新実例刑法各論の姉妹編であり,
また,平成13年に刊行された新実例刑法総論の設問や執筆者を変え,近時
の学説・判例を踏まえた内容に改めた全面的な新版である。特に,平成21
年から施行されている裁判員制度による影響とその可能性についても意識
したため,裁判員裁判を担当した経験のある,実務経験十数年以上の裁判
官の方々に執筆をお願いした。
実定法とその基礎理論を理解するためには,具体的事例を念頭に置いた
方がよいということも少なくないため,本書は,新実例刑法という名前の
とおり,具体的な事例を想定して設問を組み立て,それに関係する実定法
とその基礎理論を解明し,これを具体的な事実に当てはめて結論を導くと
いう構成をとっている。いわゆる体系書をより深く理解し,実践的な思考
方法を身に付けるのに役立つよう心掛け,基本書を習得している方を対象
に,社会に生起する様々な犯罪現象を念頭に置いて,最高裁判所等の判例
を題材とした実例33問を選定し,これまでの学説・判例を踏まえて具体的
事例の解決方法を考えていくという構成でまとめたものである。主要な読
者層としては,司法修習生,法科大学院生を考えているが,法学部のゼミ
の教材としての利用も想定しており,設問と格闘して生きた刑法の考え方
を体得されることを期待している。
平成21(2009)年5月から裁判員制度が施行され,一定の重大な刑事事件
については,一般の国民の中から選ばれた裁判員が裁判官とともに,事実
の認定,法令の適用,刑の量定に関与することとなった。そのため,裁判
員にとって難解な法概念については,公判前整理手続等の過程において,
裁判所と検察官・弁護人との間で,当該事案の争点に応じて,それを適切
に判断できるように,何らかの分かり易い用語に置き換えたり,あるいは
簡潔な形で争点を明確化することを合意するなどした上で,それに基づい
て審理し,評議するという取組が広く行われている。刑法の解釈論あるい
は判例理論のうちには,精緻なものや難解なものも少なからず存在するが,
その合理性等を考えると,裁判員裁判の対象事件で問題となる場合であっ
ても,多くは,以上のように対応することで適切な審理・評議・判断を行
うことができると思われる。とはいえ,このような作業を経ることにより,
従来の精緻あるいは難解な論点の中には,より簡明な内容のものとするこ
とで足りるとされるものも生ずる可能性がある。また,本書で取り上げた
論点の多くに見られるように,当事者間での法解釈の違いが犯罪の成否に
係る争点を形成することもあり得るが,そのような場合であっても,多く
は,裁判所が採用すべき解釈を示しながら適切な争点整理・審理・評議を
進めることにより,その解釈に従った判断に容易に到達するであろう。も
っとも,そのような論点のうちには社会通念を強く反映すべきものもあり,
そのような事案では,裁判官らも裁判員の意見を取り入れる余地がより大
きいことを考慮して,争点整理の段階からある程度幅のある法解釈を示す
など柔軟に対応することにより,裁判員の意見を取り入れた新たな法解釈
に基づく判断に達することになろう。さらに,法解釈の違いが犯罪の成否
を左右する場合において,裁判官らが採用する法解釈によって無罪の結論
に至るときは別として,有罪となるべきときには裁判員とともに法令の適
用(当てはめ)を行うことになるところ,その結論に裁判員全員が納得で
きないような場合も想定できないではない。裁判員は裁判官の示した法解
釈に従う義務があるとはいえ,論点によっては,裁判官らが裁判員の意見
を踏まえて再検討することにより,裁判員を含めた多数を構成できるよう
な別の法解釈を採用するのが相当というように,裁判官らにおいて意見を
変える可能性も観念的には否定できない(もちろん,変えることとなった
場合には,先に述べたような合意をしていた当事者との関係で,不意打ち
防止等の何らかの手当てを要することもあろう)。このように考えると,
裁判員制度の導入は,実体法の解釈に変化をもたらす可能性を含むもので
ある。ただ,この制度の導入後5年余を経た現時点では,まだそのような
解釈の変化が明確に伺えるものは報告されておらず,本書でもそれを具体
的に予測させる記述は存在しないが,本書の執筆者らは,裁判員裁判に関
与したそれぞれの経験を踏まえ,そのような解釈の変化の可能性を念頭に
置いて各論点を検討している。今後の動向が一層注目されるところである。
共同編集者である杉田宗久君が編集段階の終盤になって急逝した。大変
残念に思っている。同君が常により良い法解釈とその実現を目指して精力
的に裁判実務や法科大学院での講義に打ち込んできたことを知る者として
は,同君のその姿勢を想い浮かべながら,その遺志を何とか引き継ぎたい
と考え,本書の編集作業に取り組んできたが,そのような想いは杉田君の
感化を受けた本書の執筆者らも同様に抱いていたことと思っている。本書
の出版に到達した現在は,同君の遺志に沿うことができたものと願いつつ,
ひたすらその冥福を祈るだけである。
平成26(2014)年11月
共同編集者 池田修
―――◆ 編 者 ◆―――
池 田 修:国家公務員倫理審査会会長・
元福岡高等裁判所長官
杉 田 宗 久:元同志社大学法科大学院教授・
元大阪高等裁判所判事
―――◆ 執筆者 ◆―――
近 藤 宏 子:横浜地方裁判所判事
小 倉 哲 浩:大阪地方裁判所判事
前 田 巌:東京地方裁判所判事
島 田 一:大阪地方裁判所判事
吉 村 典 晃:千葉地方裁判所判事
下 津 健 司:高松高等裁判所判事
山 田 耕 司:名古屋地方裁判所判事
松 田 俊 哉:名古屋地方裁判所判事
河 原 俊 也:名古屋高等裁判所判事
大 善 文 男:東京地方裁判所判事
増 田 啓 祐:津地方裁判所判事
遠 藤 邦 彦:大阪地方裁判所判事
稗 田 雅 洋:東京地方裁判所判事
安 東 章:東京地方裁判所判事
齋 藤 正 人:大阪地方裁判所判事
丸 田 顕:福岡地方裁判所判事
菊 池 則 明:東京地方裁判所立川支部判事
家 令 和 典:千葉地方裁判所判事
齊 藤 啓 昭:東京地方裁判所判事
西 野 吾 一:千葉地方裁判所判事
吉 井 隆 平:司法研修所教官・判事
中 川 綾 子:大阪高等裁判所判事
佐 伯 恒 治:札幌地方裁判所判事
川 田 宏 一:最高裁判所調査官・判事
長 瀬 敬 昭:大阪地方裁判所堺支部判事
板 津 正 道:東京地方裁判所判事
芦 澤 政 治:東京地方裁判所判事
村 越 一 浩:大阪地方裁判所判事
島 戸 純:司法研修所教官・判事
三 村 三 緒:司法研修所教官・判事
江 口 和 伸:司法研修所教官・判事
大 西 直 樹:岐阜地方裁判所判事
田 村 政 喜:大阪地方裁判所判事
(執筆順,所属・肩書は本書発行時)
■書籍内容
目 次
1 類推解釈の禁止
甲は,食用にする目的で狩猟鳥獣であるマガモをねらい洋弓銃(クロスボウ)
で矢を射かけたが,矢が外れたためマガモは逃げてしまった。甲の罪責はどう
か。
2 不真正不作為犯
甲は,医師ではないものの,手の平で患者の患部をたたくなどの独自の治療を
施す特別の能力を持つなどとして信奉者を集めていたが,ある日,信奉者の一
人であるBから,重篤な脳内出血の患者であって,やはり甲の信奉者でもあっ
た,Bの父Aの治療を委ねられた。甲は,脳内出血等の重篤な患者につき上記
治療を施したことはなかったが,Bの依頼を受け,Aを退院させることはしば
らく無理であるとする主治医の警告や,その許可を得てからAを甲の下に運ぼ
うとするBら家族の意図を知りながら,「点滴治療は危険である。今日,明日
が山場である。明日中にAを連れてくるように。」などとBらに指示して,A
を入院中の病院からホテルに運び出させた。甲は,ホテルまで運び込まれたA
に対する治療をBらから委ねられ,Aの容態を見て,そのままでは死亡する危
険があることを認識したが,ホテルへの移動指示の誤りが露呈することを避け
る必要などから,独自の治療をAに施すにとどまり,未必的な殺意をもって,
Aの生命維持のために必要な医療措置を受けさせないままAを約1日の間放置し
,痰による気道閉塞に基づく窒息によりAを死亡させた。甲の罪責はどうか。
3 間接正犯の限界
医師甲は,かねてから恨みを抱いていた患者Aを治療薬の投与を装って殺害し
ようと企て,事情を知らない看護師乙に対し,一般には治療薬として用いられ
ているがAの病状にとっては禁忌とされている薬の点滴を命じた。ところが,
乙は,たまたまその薬に関する情報を最近知ったため,甲のAに対する殺意を
認識したが,乙自身もAを嫌っていたことに加え,甲に対する恋情もあったた
め,そのまま知らぬふりを装ってAにその薬の点滴を行い,その結果,Aは死
亡した。甲と乙の罪責はどうか。
4 被害者の行為の介在と因果関係
暴力団組長甲は,自宅マンションにおいて,勝手に組を抜け出したAに対し,
深夜約5時間にわたり,断続的に極めて激しい暴行を繰り返していた。そのた
め,Aは,すきを見て,上記マンション居室から靴下履きのまま逃走したが,
甲に対し極度の恐怖感を抱き,逃走を開始してから約10分後,甲による追跡か
ら逃れるため,上記マンションから約800メートル離れた高速道路に進入し,
疾走してきた自動車に衝突され,後続の自動車にれき過されて,死亡した。
甲の罪責はどうか。
5 被告人の行為の介在と因果関係
甲は,熊うちに山に入った際,山小屋にいた狩猟仲間Aを,物音や黒い影の動
きなどから熊と誤認し,Aに猟銃を2発発射し,下腹部等に命中させ瀕死の重
傷を負わせた。甲は,すぐに誤射したことに気付いたが,とっさに,苦しむA
を見て早く楽にさせてやろうと考え,Aの心臓めがけて更に猟銃を1発発射し,
Aを即死させた。甲の罪責はどうか。
6 被害者の承諾
〔1〕甲は,乙と共謀の上,過失による自動車衝突事故であるかのように装い保険
金を騙し取ろうと企て,乙の承諾を得た上,その運転する自動車に自己の運転
する自動車を故意に追突させ,乙にむち打ち損傷の傷害を負わせた。甲に傷害
罪が成立するか。
〔2〕振り込め詐欺グループのいわゆる出し子をしている丙は,騙されて老女が振
り込んだ金を郵便局のATMで下ろそうと企て,郵便局内のATMコーナーに
入った上,機械を操作して200万円を引き出した。丙に建造物侵入罪は成立する
か。
7 尊厳死
医師甲は,ぜん息の重積発作等により昏睡状態が続く患者A(当時58歳)の主
治医を務めていたが,Aは,人工呼吸器も取り外され,気道確保のために鼻か
ら気管内に挿入されたチューブでかろうじて呼吸を行っている状態であった。
甲は,Aの意識の回復は難しく植物状態となる可能性が高いことなどを説明して
いたところ,その後,Aの回復をあきらめたその妻から,「みんなで考えたこと
なのでチューブを抜管してほしい。今日の夜に集まるので今日お願いします。」
などと要請されたことから,抜管を決意し,同日夕刻,Aの妻や子らが集まる病
室において,Aが死亡することを認識しながら,同チューブを抜き取るとともに
,呼吸確保の措置も採らず,その結果,Aは,窒息死した。
なお,甲は,患者の余命等を判断するために必要とされる脳波等の検査を実施し
ておらず,また,上記抜管行為は,発症から2週間の時点でもあり,客観的に見
れば,まだ回復可能性や余命について的確な判断を下せる状況にはなかった。
また,A自身の終末期における治療の受け方についての考え方は明らかでなく,
本件は,回復をあきらめた家族からの要請に基づき行われたものの,その要請は
上記のとおり病状等について適切な情報を伝えられた上でされたものではなかっ
た。甲の罪責はどうか。
8 急迫不正の侵害の終了時期
甲は,アパート2階の一室に居住し,日頃から同じ2階の別室に居住するAと折り
合いが悪かったところ,ある日,同アパート2階の共同便所で小用を足していた
際,突然背後からAに長さ約80センチメートル,重さ約2キログラムの鉄パイプ
で頭部を1回殴打され,更に鉄パイプを振りかぶったAともみ合いになって同ア
パート2階の通路に移動し,その間2回にわたり大声で助けを求めたが,誰も現れ
なかった。甲は,いったんAから鉄パイプを取り上げ,両手を前に出して向かっ
てくるAの頭部を鉄パイプで1回殴打したが,再度もみ合いになってAに鉄パイ
プを取り戻された。Aが更に鉄パイプを振り上げて甲を殴打しようとしたため,
甲は,1階に通じる階段の方へ向かって逃げ出したところ,背後で風を切る気配
がしたので振り返ると,Aが,通路の転落防止用手すりの外側に勢い余って上半
身を前のめりに乗り出した姿勢になっていた。そこで,甲は,Aがなおも鉄パイ
プを手に握っているのを見て,Aに近づき,その左足を持ち上げて手すりの外側
に追い落とすと,Aは,約4メートル下のコンクリート道路上に転落し,その結
果,甲の上記一連の暴行により,入院加療約3箇月間を要する傷害を負った。
甲の罪責はどうか。
9 正当防衛と第三者
甲は,自動車を止めて実兄Aとともに近くの飲食店に向かって歩き始めたところ,
かねて対立するグループの者数名からいきなり因縁を付けられ,Aが相手方グル
ープのBから近くに置かれていた木材(第三者所有のもの)で頭部を殴りかから
れたため,Aを助けて一緒に逃げ出そうと決意した。そこで,甲は,Bを追い払
うため,同人に当たっても構わないとの意思で,自動車に乗り込んで急に後退さ
せ,Bの手に当てて,同人が持っていた木材を真っ二つに破砕するとともに,た
またまその場にいたAを轢いて圧死させてしまった。甲の罪責はどうか。
10 正当防衛と共同正犯
甲は,深夜,友人乙の居室からスナックに電話をかけて女友達と話そうとしたと
ころ,同店店長のAに拒否された上侮辱的な言葉を浴びせられたため,いたく憤
激し,殺してやるなどと激しく怒号し,スナックに押しかけようと決意して,同
行を渋る乙を強く説得し,特殊警棒(延ばした場合の長さ約30センチメートル)
を持たせて一緒にタクシーで同店に向かった。甲は,タクシー内で,自分もAと
は面識がないのに,乙に対し,「おれは顔を知られているからお前先に行ってく
れ。けんかになったらお前をほうっておかない。」などと言い,さらに,Aに怪
我を負わせることもやむを得ないとの意思の下に,「やられたら特殊警棒を使え
。」と指示するなどして説得した。スナック到着後,甲は,乙を同店出入口付近
に行かせ,少し離れた場所で同店から出て来た女友達と話をしたりして待機して
いた。一方,乙は,内心ではAに対し自分から進んで暴行を加えるまでの意思は
なかったものの,Aとは面識がないからいきなり暴力を振るわれることもないだ
ろうなどと考え,スナック付近で甲の指示を待っていたところ,予想外にも,同
店から出て来たAに甲と取り違えられ,いきなりえり首をつかまれて引きずり回
された上,手拳で顔面を強打され,コンクリートの路上に転倒させられたばかり
か,更に頭部を数回足蹴にされた。そのため,乙は,殴り返すなどしたものの,
頼みとする甲の加勢も得られず,再び路上に殴り倒されたため,防衛の意思で,
とっさに特殊警棒を取り出し,怪我を負わせることもやむを得ないとの意思で,
甲との共謀の下,その特殊警棒でAの顔面・頭部を数回殴りつけたところ,Aは
頭部挫創の傷害を負い,翌日その傷害が基で死亡した。甲と乙の罪責はどうか。
11 自招侵害
甲(当時50歳)は,夜間,自転車で通行中脇見をしていたため,A(当時40歳)
が自転車にまたがったまま歩道脇のごみ集積所にごみを捨てているのを見落とし
てしまい,Aの自転車に接触して同人を転倒させてしまった。甲は,関わり合い
になるとやっかいだと思い,無言のままとっさに自転車を走らせてその場を立ち
去ったが,これに憤激したAは,「待て。」などと言いながら,自転車で甲を追
い掛け,上記現場から約30メートル先を左折して約60メートル進んだ歩道上で甲
に追い付き,自転車に乗ったまま,水平に伸ばした右腕で,後方から甲の背中の
上部又は首付近を強く殴打した。甲は,そのため前方に倒れたが,起き上がり,
護身用に携帯していた特殊警棒を取り出して,Aの顔面や防御しようとした左手
を数回殴打する暴行を加え,同人に加療約3週間を要する傷害を負わせた。甲の
罪責はどうか。
12 量的過剰防衛
甲(当時64歳)は,マンションの外側階段下で喫煙し,屋内に戻ろうとしたとこ
ろ,その場にいたA(当時76歳)から「ちょっと待て。話がある。」と呼び掛け
られた。甲は,以前にもAから因縁を付けられて暴行を加えられたことがあり,
今回も因縁を付けられて殴られるのではないかと考えたものの,その呼び掛けに
応じて,共に外階段西側へ移動した。そこで,甲は,Aからいきなり殴り掛から
れ,これをかわしたものの,その後もAが執拗にひざや足で甲の身体を数回蹴っ
てきたため,自らも蹴り返したり,Aの顔面を1回殴り返すなどした。すると,
Aはその場にあったアルミ製灰皿(直径20センチメートル,高さ60センチメート
ルの円柱形をしたもの)を持ち上げ,甲に向けて投げ付けたため,甲は,これを
避けながら,同灰皿を投げ付けた反動で体勢を崩したAの顔面を右手で殴打する
と,Aは,頭部から落ちるように転倒して,後頭部を地面に打ち付け,動かなく
なった(以下,ここまでの甲のAに対する暴行を「第1暴行」という)。
甲は,憤激の余り,意識を失ったように動かなくなって仰向けに倒れているAに
対し,その状況を十分に認識しながら,「おれを甘く見ているな。おれに勝てる
つもりでいるのか。」などと言い,その腹部等を足蹴にしたり,足で踏み付けた
りするなどの暴行を加えた(以下,この段階の甲のAに対する暴行を「第2暴行」
という)が,Aは,第2暴行により,肋骨骨折等の傷害を負った。
その後,Aは,病院に搬送されたものの,6時間余り後に,頭部打撲に基因する
クモ膜下出血によって死亡した。死因となる傷害は第1暴行によって生じたもの
であった。甲の罪責はどうか。
13 責任能力と精神鑑定
甲は,かねてより意味不明の独り言を繰り返すなど,周囲を困惑させていたが
(ただし,精神科を受診したことはなかった),ある日突然,隣家に押し入っ
て,在宅していた男性を刺殺した。甲は殺人罪で起訴され,捜査段階と公判前
整理手続段階で各1回精神鑑定が実施された。捜査段階の精神鑑定では,「甲は
,気分障害に罹患し,犯行当時,抑うつ状態にあり,是非弁識能力・行動統御
能力が若干減退した状態にはあったものの,大きく損なわれたことはなく,完
全責任能力が認められる。甲がさかんに訴える幻聴症状は詐病の疑いが強い。
」と鑑定されたのに対し,公判前整理手続段階の鑑定では,「甲は,犯行当時,
統合失調症に罹患し,隣家の男性がさかんに『あいつを殺せ。あいつを殺せ。』
と言っている幻聴を覚えたことから,このままでは殺されるのでその前に殺そう
と思い立ち本件犯行に及んだものである。」と鑑定している。裁判所は,両鑑定
を踏まえて甲の責任能力を判断するに当たり,両鑑定のどの部分について専門家
の判断を尊重してこれを行うべきか。また,両鑑定のそれぞれ一部のみを採用す
るような判断を行うことは可能か。
14 薬物輸入罪の故意,事実の錯誤
甲は,外国に旅行した際,たまたま知り合った日本人乙から,自分の代わりにバッ
グを日本に持って帰ってくれるように言われ,報酬目当てにこれを引き受けたが,
日本の空港の手荷物検査場でバッグの中に覚せい剤の入っていることが発覚した。
以下の各場合,甲の罪責はどうか。
〔1〕甲は,乙から「中には偽ブランド品の時計が入っている。税関で捕まったら,
税関の指示に従って全部捨ててくれていいから。」と言われ,そのとおり信じ
ていた場合
〔2〕甲は,乙から〔1〕と同様のことを言われたが,そのとおりかもしれないし,別
のもっとやばいものかもしれないと思っていた場合
〔3〕甲は,乙から〔1〕と同様のことを言われたが,ひょっとするとやばい薬かもし
れないと思っていた場合
〔4〕甲は,乙から「中には葉っぱが少し入っている。この程度だと,税関で捕まって
もどうせ執行猶予に終わるから。」と言われ,そのとおり信じていた場合
15 早すぎた結果の発生,遅すぎた結果の発生
〔1〕甲は,乙と共謀の上,Aを殺害しようと考え,クロロホルムを使ってAを失神さ
せ,Aを海辺まで運んで海中に沈め,でき死させるという計画を立てた。その後,
甲と乙は,これを実行に移し,Aを乙車の助手席に誘い入れて,甲が多量のクロ
ロホルムを染み込ませてあるタオルをAの鼻口部に押し当てて同人を昏倒させ,
計画どおり,海辺まで運んでAを運転席に移し替えた上,絶壁から車ごと海に転
落させて沈めた。ところが,司法解剖の結果,Aはクロロホルム摂取に基づく呼
吸停止により既にその時点で死亡していた可能性が大であることが判明した。甲
の罪責はどうか。
〔2〕丙は,丁と共謀の上,クロロホルムを使ってBを殺害し,その死体を崖から海に
投棄して処理するという計画を立てた。その後,丙と丁は,これを実行に移し,
Bを丁車の助手席に誘い入れて,丙が多量のクロロホルムを染み込ませてあるタ
オルをBの鼻口部に押し当てて同人を昏倒させ,計画どおり,海辺まで運んでB
を運転席に移し替えた上,絶壁から車ごと海に転落させて沈めた。ところが司法
解剖の結果,Bはクロロホルムを摂取した段階ではまだ死亡しておらず,海中投
棄によってでき死した可能性が大であることが判明した。丙の罪責はどうか。
16 意味の認識
甲は,午後7時ころ,外出先から妻と自動車で帰宅した際,妻から,近くに買物に
行きたいので,もう一度車を運転してほしいと頼まれたため,自動車を自宅車庫に
入れず,そのシャッターを開けたまま,車庫前路上に駐車させた(なお,同道路は
駐停車禁止等に指定されていない)。その後午後8時ころ,妻に買物に行く旨声を
かけたところ,妻から今日はやめると言われたが,その際,甲は,自動車を道路上
に駐車させたままであることを失念し,自動車を車庫に入れず,そのまま翌朝まで
道路上に放置してしまった。なお,甲は,日ごろは毎晩自動車を車庫に格納してい
た。甲の罪責はどうか。
17 事実の錯誤と違法性の錯誤
甲は,知事から営業許可を受けて公衆浴場を経営していた実父の健康が悪化したこ
とから,同浴場につき甲が代表者を務める会社名義の営業許可を得ようと考え,県
議会議員を通じて県衛生部に陳情し,同部公衆衛生課長補佐から変更届及びこれに
添付する書類の書き方などの教示を受けてこれらを作成し,保健所に提出したが,
その受理前から,上記課長補佐及び上記保健所長らから県がこれを受理する方針で
ある旨を聞いており,受理後直ちにそのことが上記県議を通じて連絡されたので,
甲としては,この変更届受理により上記会社に対する営業許可がなされたものと認
識していた。そして,変更届受理の前後を問わず,甲ら会社関係者において,本件
浴場を経営しているのが会社であることを秘匿しようとしたことはなかったし,そ
の後も,本件浴場の定期的検査などを行ってきた保健所からはもちろん誰からも会
社の営業許可を問題とされたことがなかった。ところが,その後,約10年を経て,
県知事から上記会社に対し,変更届又はその受理が無効である旨の通知がなされた。
この間行ってきた公衆浴場の経営につき,甲の罪責はどうか。
18 過失犯における予見可能性
〔1〕寒冷地の燃料店店員甲は,住宅・店舗の密集地域において,路上の車から重油を
菓子店の店内に給油するに際し,店舗外壁に設けられた給油口を開弁せずにコン
プレッサーを作動させたため,給油口に連結したビニールホースが裂け,2リット
ル程度の重油が霧状になって飛散し,たまたま店舗内にあった燃焼中の暖房用ス
トーブに降りかかり,その火が引火して,店舗等が火災により焼損した。甲の罪
責はどうか。
〔2〕乙は,軽四輪貨物自動車を運転中,制限速度を守り,ハンドル,ブレーキなどを
的確に操作して進行すべき自動車の運転上必要な注意を怠り,最高速度が時速30
キロメートルに指定されている道路を時速約65キロメートルの高速度で進行し,
対向してきた車両を認めて狼狽の余り,左に急ハンドルを切った過失により,道
路左側のガードレールに衝突しそうになり,あわてて右に急ハンドルを切ったた
め,自車の走行の自由を失わせて暴走させ,道路左側に設置してある信号柱に自
車左側後部荷台を激突させ,その衝撃により,たまたま乙が知らない間に後部荷
台に乗り込んでいたAを脳挫傷等により死亡するに至らせた。乙の罪責はどうか。
19 信頼の原則
甲は,普通乗用自動車を運転し,交差点を右折するため,同交差点手前の片側2車
線の幹線道路中央線寄り車線を進行中,対面する同交差点の信号が青色表示から黄
色表示に変わるのを認め,さらに,自車の前輪が同交差点の停止線を越えた辺りで
同信号が赤色表示に変わるのを認めるとともに,対向車線上を時速約70ないし80キ
ロメートルで進行してくるA運転の自動二輪車のライトを,前方50メートル余りの
地点に一瞬だけ見たが,対向車線の対面信号も赤色表示に変わっており同車がこれ
に従って停止するものと即断し,同車の動静に注意することなく右折進行したため,
対面する青色信号に従って進行してきた同車と衝突し,同車を転倒させて,Aを脳
挫傷等により死亡するに至らせた。なお,本件交差点に設置されていた信号機はい
わゆる時差式信号機であったが,その旨の標示がなかったため,甲は,その対面信
号と同時にA車の対面信号も赤色表示に変わり,同車がこれに従って停止するもの
と思って右折進行したという事情がある。甲の罪責はどうか。
20 管理・監督過失
甲は,大規模ホテルを経営する会社の代表取締役社長である。本件ホテルは,消防
法等の法令などによりほぼ全館にスプリンクラー設備等を設置すべきものとされて
いたにもかかわらず,客室や廊下の壁面・天井にはベニヤ板や可燃性のクロスが使
用されるなど燃えやすい状況にあった。防火戸や非常放送設備についても,定期点
検等がされなかったため,防火戸は火災時に自動的に閉鎖しないものが多く,非常
放送設備も故障等により一部使用不能の状態にあって,消防訓練についてもほとん
ど行われていなかった。甲は,上記のような状態を認識し,また,消防当局から再
三にわたり改善要求が行われていることを把握していたにもかかわらず,営利の追
求を重視するあまり,防火管理には消極的な姿勢に終始し,資金的にもその実施が
十分可能であったスプリンクラー設備等の設置工事を行わなかった上,上記のよう
な防火管理体制の不備も放置していた。
このような状態の中で,未明に宿泊客のたばこの不始末により客室ベッドから出火
し,フラッシュオーバー現象を繰り返しながら,火煙が急速に伝走して延焼が拡大
したが,当直従業員らは,日頃防火訓練等が行われていなかったこともあって,本
件火災の拡大防止,被災者の救出のための効果的な行動を取ることができず,その
ため,逃げ遅れた多数の客が火傷,一酸化炭素中毒等により死亡し又は傷害を負っ
た。
なお,本件建物に消防法令上の基準に従ってスプリンクラー設備等の設置に加えて,
防火用・消防用設備等の点検,維持管理が適切に行われ,消防計画が作成され,こ
れが従業員らに周知徹底されるとともに,上記消防計画に基づく消防訓練が十分に
行われていれば,従業員らによる適切な初期消火活動や宿泊客らに対する通報,避
難誘導等の措置が容易となり,本件死傷の結果の発生を避けることができた蓋然性
が高い。甲の罪責はどうか。
21 実行の着手
甲は,窃盗の目的で,深夜,A方酒店に侵入した後,懐中電灯を照らして店内を見
ると高級な酒類が並べてあったが,なるべくなら現金を盗みたいと思い,同店舗奥
のレジスターの置かれた帳場に近づこうとした。その時,帰宅したAに発見された
ため,逮捕を免れようとして,持っていたナイフでAを突き刺し,Aを失血死させ
た。甲の罪責はどうか。
22 不能犯
甲は,生命保険をかけた娘Aを殺害して保険金を取得しようと考え,Aの静脈内に
空気を注射していわゆる空気塞栓を起こして殺害することを計画し,Aを騙してA
の両腕の静脈内に1回ずつ蒸留水5ccとともに空気合計30ないし40ccを注射したが,
致死量に至らなかったため,その目的を遂げなかった。甲の罪責はどうか。
23 中止犯
甲は,飲食店経営者Aから店への出入りを断られたことなどに憤慨し,自宅から牛
刀を持ち出して店に赴き,殺意をもってAに切りつけたが,左腕でこれを防いだA
から「命だけは助けてくれ」などと哀願されたため,それ以上切りつけるのを止め,
Aをタクシーで病院に運んだ。Aは全治約2週間の左腕切傷を負った。甲の罪責は
どうか。
24 共謀共同正犯の成否
暴力団組長甲は,対立する暴力団との抗争が熾烈なものとなったころから,甲の警
護を担当する組員乙が常に実弾の装填されたけん銃を携行して甲と行動をともにし
ていることを認識していた。甲は,遊興目的で旅行する際,警護を担当する乙に特
段の指示はしなかったが,乙は,従来どおり,実弾の装填されたけん銃を携行して
甲と行動をともにした。乙に対しては,適合実包の装填されたけん銃を所持したこ
とで,けん銃加重所持罪(銃砲刀剣類所持等取締法31条の3第1項・2項)の罪が成立
するところ(火薬類取締法違反の点は考慮しなくてよい),甲の罪責はどうか。
25 教唆犯と共同正犯
甲は,生活費に窮したため,近所に一人住まいしているA方からの強盗を計画し,
中学1年生になる長男乙(12歳)に対し,A方に行き,覆面をしモデルガンを突き付
けて脅迫するなどの方法で金品を奪い取ってくるよう指示命令した。乙は,これを承
諾し,甲から渡されたモデルガンを携えてA方に赴き,覆面をし,モデルガンを用い
てAを脅迫し,その反抗を抑圧して,現金20万円を強取した。甲は,自宅に戻ってき
た乙から現金を受け取り,生活費等に費消した。甲の罪責はどうか。
26 過失の共同正犯
鉄工所の溶接工である甲と乙は,旅館建物の増築現場で電気溶接機を用いて鋼材の溶
接作業に従事することになった。溶接現場には木の梁やベニヤ,フェルト等が露出し,
木屑等の積もった凹みなどもあったが,両名は,溶接作業を交代して行い,その際に
他方が監視し,作業後にばけつ1杯の水を掛ければ足りると考え,薄鉄板等の不燃物で
周囲を遮蔽するなどの十分な防火措置を講じなかった。そのため,両名が溶接作業を
終えた後,溶接時に発生した火花や輻射熱で周囲の可燃物が発火し,旅館建物を焼損
させた。出火原因を調査したところ,火花によって凹みに積もっていた木屑等が発火
したものと判明したが,甲・乙いずれの作業時に生じた火花によるものか特定できな
かった。甲・乙両名の罪責はどうか。
27 承継的共犯
乙は,通行人Aから金品を奪い取ろうと企て,Aを殴ったり蹴ったりする暴行を加え,
その反抗を抑圧して,Aの持っていたバッグを奪い取った。付近にいた甲は,乙の犯
行を見ていてこれに加担しようと考え,バッグを取られまいとするAを殴りつけ,A
のズボンのポケットから財布を奪い取った。Aは負傷したが,それが乙の暴行による
ものか甲の暴行によるものか明らかでない。甲の罪責はどうか。
28 不作為の共同正犯・幇助
甲(女性)は,先夫との子A(男児,2歳)を連れて,乙(男性)と同棲するように
なったが,その後,乙がAにせっかんを繰り返すようになったにもかかわらず,甲自
身もやんちゃなAに手を焼いていたことから,乙のせっかんについても,日頃から見
て見ぬふりをしていた。事件当日も,乙は,酒に酔ってAの顔面,頭部を平手や拳で
叩いたりし始めたため,甲は,せっかん場面をあまり見たくなかったことからすぐに
外出し,Aが救急車で運ばれるまで戻ってこなかった。
他方,当日は,たまたま乙の妹丙が遊びに来ており,せっかんの場面にも居合わせた
が,「世話の焼けるガキねえ。」と言うだけで,乙のせっかんを止めたり,救急車を
呼んだりすることはなかった。
Aは,乙の上記暴行の結果,くも膜下出血等の傷害により死亡した。甲と丙の罪責は
どうか。
29 幇助の因果性
甲は,乙がAを殺害してAから預かり保管中の貴金属の返還を免れようとして,会社
事務所のあるビルの地下室でAを射殺しようと計画しているのを知り,けん銃の音が
外部に漏れないように地下室入口の戸の周囲の隙間をガムテープで目張りしたり,換
気口を毛布で塞ぐなどした。その後,乙が自動車内で射殺するように計画を変更した
のを知り,乙から暗に同行を求められると,何らかの形で乙の犯行を手助けすること
になると認識しながら,乙の自動車に追従して殺害現場に至った。乙は,走行中の自
動車内でAを射殺し,貴金属の返還を免れるとともに,Aの携帯していた現金40万円
を抜き取った。甲の罪責はどうか(銃砲刀剣類所持等取締法等の特別法は考慮しなく
てよい)。
30 共犯からの離脱
甲は,乙・丙とともに,A方家屋に侵入して家人に暴行を加え,金品を強奪すること
を計画し,深夜,3名でA方付近に赴き,付近の下見などをした。乙と丙がA方の施錠
されていない窓から屋内に侵入し,甲はA方前に止めた自動車内で見張りをしていた
ところ,付近に人が集まってきたため,甲は,犯行の発覚をおそれ,屋内にいる乙に
電話をかけ,「人が集まっている。早くやめて出てきた方がいい。」と話したが,乙
から「もう少し待って。」などと言われたので,「危ないから待てない。先に帰る。
」と一方的に伝えて電話を切り,自動車でその場から立ち去った。乙と丙は,いった
んA方を出て,甲が立ち去ったことを知ったが,A方に戻って強盗を実行し,その際
に加えた暴行によってAを負傷させた。甲の罪責はどうか。
31 共犯と身分
甲は,ゲームソフト等も販売している書店で友人乙と待ち合わせる約束をしていたた
め,同店に赴いたところ,先に来ていた乙がゲームソフト1個を万引きするのを見掛け
た。乙に声を掛けるのを控えていると,乙は,そのまま店外に出ようとしたが,店の
前の駐車場で警備員Aに呼び止められ,逮捕されそうになったため,逮捕を免れる目
的でAに殴りかかった。甲は,乙が逃げようとしているのを知って,それを援護しよ
うと考え,近づいて乙とともにAの腕を引っ張ったり,足蹴にしたりして,Aの追跡
を振り切り,乙とともに逃走した。甲の罪責はどうか。
32 自首の成否
暴力団組員甲は,同組員乙とともに,対立する暴力団組長Aを殺害しようと企て,両
名で通行中のAを自動車内に連れ込み,金属バット等でその身体を多数回殴るなどの
暴力を加えた。甲は,通行人に対し,警察に通報するよう求め,到着した警察官に対
して,けんかをして相手を怪我させた旨を述べたが,共犯者がいることは隠し,自ら
の単独犯行であると一貫して主張した。Aは病院に運ばれたが,外傷性ショックによ
り間もなく死亡した。甲につき,自首は成立するか。
33 執行猶予の判断基準
懲役刑の執行を猶予するか否かを判断する際,どのような要素が考慮されるか。
また,それらの要素の軽重はどのように考えるか。保護観察に付するか否かを判断す
るには,どのような事情が考慮されるか。
判例索引/事項索引
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