実務解説 景品表示法〔第2版〕
平成26年11月改正法(平成28年4月1日施行)に完全対応
- 編・著者波光 巖・鈴木 恭蔵 著
- 判型A5判
- ページ数366頁
- 税込価格4,290円(本体価格:3,900円)
- 発行年月2016年03月
- ISBN978-4-417-01681-6
- 在庫
有り
■解説
●新しく導入された課徴金制度(不当表示に対する課徴金の賦課)の要点を実務に即して平易に解説。
●課徴金額の算定方法及び課徴金額の減額等に関する要件や手続など,法律実務家はもちろん企業担当者が押さえておくべき最新の法律知識を盛り込む。
●巻末付録には,景品表示法及び政省令の条文のほか,関連告示,ガイドライン(「不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方」など)も多数収録。
■著者紹介
波光 巖:弁護士
鈴木 恭蔵:東海大学法科大学院教授
第2版はしがき
平成25年秋以降,わが国では食品やメニュー等の不正表示が多発し,「国内外の消費者の『日本の食』に対する信頼が揺るぎかねない事態」(平成12年12月食品表示等問題関係府省庁等会議)が生じ,景品表示法は,平成26年6月及び同年11月の二度に亘る改正が行われた。
平成26年6月の改正においては,事業者のコンプライアンス体制の確立のために,内閣総理大臣が「事業者が講ずべき景品類及び表示の管理上の措置についての指針」を定め,各事業者はこれに準拠したガイドラインを制定するなど必要な措置を講ずることが義務付けられた。また,同法違反事件について緊急かつ重点的な調査を行うために必要があるときは,消費者庁長官は,事業所管大臣又は金融庁長官に調査権を委任することができるものとされ,さらに,都道府県知事に措置命令の権限を付与することが規定された。
平成26年11月の改正では,優良誤認表示及び有利誤認表示に対し新たに経済的制裁である課徴金を賦課することとされたものである(なお,自主申告及び一般消費者に対する返金措置によって課徴金額は減額される)。
これらの改正は,近年のわが国における全般的なコンプライアンス体制強化の要請及び法執行体制の強化の一環をなすものであり,改めて事業者の社会的責任の自覚が強く求められるものである。
本第2版においては,景品表示法の上記の改正内容について解説するとともに,近時の不当表示事件等を紹介するものである。少しでも読者諸兄の参考になればこれに増す喜びはない。
本書は,平成26年11月改正法の平成28年4月1日施行の前に出版することを目指したため,青林書院編集部の高橋広範氏には,文章の調整や文言の修正などを含め,多大なお世話になったことをここに記し,感謝する次第である。
平成28年3月
波光 巖
鈴木 恭蔵
■書籍内容
目 次
第1章 景品表示法の目的等
第1 景品表示法の目的
第2 景品表示法と独占禁止法との関係
第3 景品表示法の歴史
第2章 過大な景品付販売の規制
第1 過大な景品付販売規制の概要
第2 景品類の定義
1 規 定
2 景品類提供の方法について
3 「顧客を誘引するための手段として」
4 「事業者」
5 「自己の供給する商品又は役務の取引」
6 「取引に付随」
7 「物品,金銭その他の経済上の利益」
8 景品類と認められない経済上の利益
第3 景品類の価額
第4 総付景品の規制
1 総付景品規制の概要
2 景品類提供の態様と取引価額
⑴ 購入者を対象とし購入額に応じて提供する場合
⑵ 購入者を対象とするが購入額の多少を問わないで提供する場合
⑶ 購入を条件とせず店舗への入店者に提供する場合
⑷ 商品の容器包装に経済上の利益を提供する企画の内容を告知する方法の場合
⑸ 商品又は役務を購入することにより経済上の利益の提供を受けることが容易に
なる場合
⑹ 先着順に景品類を提供する場合
⑺ 取引の誘引に際して景品類を提供する場合
3 「取引価額」の算定
4 提供が許容される経済上の利益
⑴ 商品の販売・使用のため又は役務の提供のため必要な物品又はサービス
⑵ 見本その他宣伝用の物品又はサービス
⑶ 自己の供給する商品又は役務の取引において用いられる割引券等
⑷ 開店披露,創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービス
5 総付景品に関するQ&A
第5 懸賞景品の規制
1 懸賞景品規制の概要
2 懸賞とは
3 景品類提供の態様と取引価額
⑴ 購入者を対象とし購入額が一定に達した者に懸賞の機会を与える場合
⑵ 購入者を対象とするが購入額の多少を問わないで懸賞の機会を与える場合
⑶ 購入を条件とせず店舗への入店者に懸賞の機会を与える場合
⑷ 商品の容器包装に景品類提供の企画を告知している場合あるいは商品・役務を 購入することにより景品類提供を受けることが容易になるような場合で,懸賞 により景品類を提供する場合
⑸ 取引の誘引に際して懸賞により景品類を提供する場合
⑹ 複数の懸賞の機会を与える場合の景品類の提供
4 「取引価額」の算定
5 懸賞に係る取引予定総額
6 懸賞企画に関する不当表示
7 共同懸賞
⑴ 共同懸賞の種類 ⑵ 「一定の地域」
⑶ 商店街の共同懸賞 ⑷ 「一定の種類の事業」
⑸ 「相当多数」⑹ 共同懸賞への参加の不当な制限
⑺ 共同懸賞の違反主体
8 懸賞景品に関するQ&A
第6 特定業種における景品類提供の制限
1 概 要
2 新聞業告示
3 雑誌業告示
4 不動産業告示
5 医療用医薬品業等告示
第3章 不当表示の規制
第1 概 説
第2 表示と表示の主体
1 表 示
2 表示主体
⑴ 表示に複数の事業者が関与した場合
⑵ 考え方と運用,判例 ⑶ 主な違反事例
3 不表示
第3 優良誤認表示
1 優良誤認表示
⑴ 概 説
⑵「商品又は役務の品質,規格その他の内容」
⑶ 「実際のものよりも著しく優良である」
⑷ 「他の事業者に係るものよりも著しく優良である」
⑸ 「一般消費者に対し」
⑹「自主的かつ合理的な選択を阻害する」
⑺ 主な違反事例
2 不実証広告規制
⑴ 概 説
⑵ 「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」
⑶ 不実証広告規制に関する事例
3 優良誤認表示・不実証広告に関するQ&A
第4 有利誤認表示
1 概 説
2 価格に関する有利誤認表示
⑴ 考え方 ⑵ 主な違反事例
3 二重価格表示に関する有利誤認表示
⑴ 考え方 ⑵ 主な違反事例
4 比較表示における有利誤認表示
5 その他の取引条件に係る有利誤認表示
⑴ 過大包装等 ⑵ 主な違反事例
6 有利誤認表示に関するQ&A
第5 不当な表示の指定
1 趣旨,指定の要件,指定の手続
⑴ 趣 旨 ⑵ 指定の要件 ⑶ 適用範囲
⑷ 指定手続 ⑸ 現行の指定告示
2 無果汁の清涼飲料水等についての表示
⑴ 対象商品 ⑵ 不当表示 ⑶ 主な違反事例
3 商品の原産国に関する不当な表示
⑴ 対象商品 ⑵ 不当表示 ⑶ 原産国の判定基準
⑷ 主な違反事例
4 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
⑴ 対象事業者 ⑵ 不当表示 ⑶ 主な違反事例
5 不動産のおとり広告に関する表示
⑴ 適用対象 ⑵ 不当表示 ⑶ 主な違反事例
6 おとり広告に関する表示
⑴ 適用対象 ⑵ 不当表示 ⑶ 主な違反事例
7 有料老人ホームに関する不当な表示
⑴ 適用対象 ⑵ 不当表示 ⑶ 主な違反事例
8 指定告示に関するQ&A
第6 表示の適正化
1 ガイドラインの作成による不当表示の明確化
2 比較広告ガイドライン(「比較広告に関する景品表示法上の考え方」)
⑴ はじめに ⑵ 比較広告ガイドラインの概要
⑶ 主な違反事例
3 インターネット消費者取引ガイドライン
(「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及
び留意事項」)
⑴ インターネット取引に関する表示規制の経緯
⑵ サービス類型ごとの検討 ⑶ 主な違反事例
4 料理メニュー表示ガイドライン
(「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」)
⑴ 経 緯 ⑵ 料理メニュー表示ガイドラインの概要
⑶ 料理メニュー表示のポイントについて
第4章 景品表示法遵守体制の確立
第1 概 説
第2 指針の概要
1 基本的な考え方
⑴ 必要な措置が求められる事業者
⑵ 事業者が講ずべき措置の規模や業態等による相違
2 用語の説明
⑴ 必要な措置 ⑵ 正当な理由
3 事業者が講ずべき表示等の管理上の措置の内容
⑴ 景品表示法の考え方の周知・啓発
⑵ 法令遵守の方針等の明確化
⑶ 表示等に関する情報の確認
⑷ 表示等に関する情報の共有
⑸ 表示等を管理するための担当者等を定めること
⑹ 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置をとること
⑺ 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
第3 指針に関するQ&A
第5章 違反行為に対する措置
第1 概 説
第2 消費者庁による執行
1 調 査
2 措 置
⑴ 措置命令 ⑵ 措置命令以外の措置
第3 都道府県による執行
1 概 説
2 平成26年6月の改正(都道府県への権限委任)
第4 不当表示に対する課徴金の賦課
1 課徴金対象行為
2 課徴金額の算定
3 主観的要素
4 規模基準
5 課徴金の違反行為申告による減額
6 課徴金の被害回復による減額
7 課徴金納付命令の対象事業者
8 課徴金納付命令に関する手続
⑴ 弁明の機会 ⑵ 課徴金賦課手続 ⑶ 不服申立手続
第6章 公正競争規約制度
第1 公正競争規約制度の趣旨
第2 公正競争規約の特徴
第3 公正競争規約の設定当事者
第4 公正競争規約の内容
1 実体的規定
⑴ 景品類に関するもの ⑵ 表示に関するもの
2 手続的規定
⑴ 実施機関に関する規定 ⑵ 取締手続に関する規定
第5 公正競争規約の認定
1 認定の手続
2 認定要件
3 これまでに認定された公正競争規約
⑴ 景品類に関するもの ⑵ 表示に関するもの
第6 公正競争規約違反に対する自主規制
第7 公正競争規約認定の効果
1 独占禁止法の適用除外
2 景品表示法の解釈基準
第8 公正競争規約認定に対する不服申立て
1 認定及び認定の取消し
2 不服申立て
⑴ 不服申立ての手続 ⑵ 不服申立ての資格について
第7章 民事的執行・差止請求及び損害賠償請求
第1 適格消費者団体による差止請求
1 差止請求権を認める趣旨
2 差止請求権の内容
⑴ 差止請求権の行使者 ⑵ 差止請求権の対象
3 差止請求の手続
⑴ 書面による事前の請求 ⑵ 訴訟の目的の価額
⑶ 管轄及び移送等
第2 損害賠償請求
1 概 説
2 主な違反事例
巻末付録──資料集
資料1不当景品類及び不当表示防止法
資料2不当景品類及び不当表示防止法施行令資料
資料3不当景品類及び不当表示防止法施行規則
資料4不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件
資料5景品類等の指定の告示の運用基準について
資料6一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限
資料7「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準について
資料8懸賞による景品類の提供に関する事項の制限
資料9「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準
資料10景品類の価額の算定基準について
資料11新聞業における景品類の提供に関する事項の制限
資料12雑誌業における景品類の提供に関する事項の制限
資料13不動産業における一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限
資料14医療用医薬品業,医療機器業及び衛生検査所業における景品類の提供に関する事
項の制限
資料15商品の原産国に関する不当な表示
資料16「商品の原産国に関する不当な表示」の運用基準について
資料17「商品の原産国に関する不当な表示」の原産国の定義に関する運用細則
資料18「商品の原産国に関する不当な表示」の衣料品の表示に関する運用細則
資料19無果汁の清涼飲料水等についての表示
資料20「無果汁の清涼飲料水等についての表示」に関する運用基準について
資料21消費者信用の融資費用に関する不当な表示
資料22「消費者信用の融資費用に関する不当な表示」の運用基準
資料23おとり広告に関する表示
資料24「おとり広告に関する表示」等の運用基準
資料25不動産のおとり広告に関する表示
資料26「不動産のおとり広告に関する表示」等の運用基準
資料27有料老人ホームに関する不当な表示
資料28「有料老人ホームに関する不当な表示」の運用基準
資料29事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針
資料30不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針─不実証広告規制に関す
る指針─
資料31不当な価格表示についての景品表示法上の考え方
資料32不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する
考え方
事項索引
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