
大コンメンタール刑事訴訟法〔第三版〕第8巻
待望の第三版刊行開始!
- 編・著者中山善房・古田佑紀・原田國男・河村博・川上拓一・田野尻猛 編
- 判型A5判
- ページ数704頁
- 税込価格9,900円(本体価格:9,000円)
- 発行年月2021年04月
- ISBN978-4-417-01810-0
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有り
■解説
待望の第三版刊行開始!
捜査・公判協力型協議・合意制度の導入をはじめ, 刑事司法における実務の変化に応える本格的注釈書!
●最新の法律及び規則の改正を盛り込むとともに,近時の判例・学説も取り入れて全11巻を全面的に改訂・増補。
●実務の動向を踏まえ,現行刑事訴訟法の客観 的な解釈・運用について詳細に解説し,利用価値の高いコンメンタールをめざす。
大コンメンタール刑事訴訟法〔第三版〕【全11巻】
第1巻〈第1条〜第56条〉
第2巻〈第57条〜第127条〉
第3巻〈第128条〜第188条の7〉
第4巻〈第189条〜第246条〉
第5巻〈第247条〜第281条の6〉
第6巻〈第282条〜第316条〉
第7巻〈第316条の2〜第328条〉
★第8巻〈第329条〜第350条の29〉
第9巻〈第351条〜第434条〉
第10巻〈第435条〜第507条〉
第11巻〈刑事訴訟特別法〉
第三版はしがき
本書の初版(全8巻)の第1回刊行から四半世紀が経過して,裁判員制度の導入などの刑事手続の大きな改正が相次ぎ,刑事司法の実務はその姿を大きく変えた。一部とはいえ,検察官と被疑者との間でいわゆる司法取引が行われ,また一般の国民から選任された裁判員が法壇に座って事前に整理された争点を中心とした集中審理が行われるという今日の捜査・公判の形は,初版刊行の当時においては到底現実感を持って想像できなかった姿と言っても過言ではないであろう。
そのような変化の中にあって,本コンメンタールは,刑事訴訟法の解釈・運用の状況を的確に示すものとして,幸いにも多くの実務家及び研究者の方々に参照され,支持されてきたものと自負している。
本コンメンタールは,第二版(全11巻)の刊行により,法律及び諸規則の改正や判例・学説の動きに合わせ,アップデートを行ったが,第二版の第1回刊行から10年が経過し,この間,実務においては裁判員裁判の定着と運用の改善が進められるとともに,立法においては,実体法の改正に伴うものを含め,累次にわたり注目すべき改正が行われてきた。中でも,協議・合意制度や取調べの録音・録画制度の導入など,法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の調査審議の結果に基づく刑事訴訟法等の改正(平成28年法律第54号)は,裁判員制度を導入するなどした司法制度改革以上に,より直接的に捜査実務に変化をもたらしており,この改正を機に,第二版の内容を全面的に見直して改訂を図り,最新の法令,判例,学説はもとより実務の動向をも織り込んで現行刑事訴訟法の客観的な解釈・運用状況を明確にし,利用価値の一層高いコンメンタールを目指し,第三版を刊行することとした。
第三版では,平成23年法律第74号以降の改正を取り扱っているが,同法は,サイバー犯罪その他の情報処理の高度化に伴う犯罪等に対処するための刑法及び刑事訴訟法の改正等を内容とするものであり,また,第二版刊行後の最重要判例の一つである最〔大〕判平29・3・15集71巻3号13頁も,GPS捜査を題材として,強制処分と任意処分の限界について,最高裁が判断を示したもので,刑事訴訟法及び刑事司法の実務も,情報通信技術の高度化,国際化など社会の変化に大きく影響を受けていることが特徴的である。
第三版の編集・解説の方針も,基本的に初版・第二版と同様であるが,実務に精通した第一線の執筆陣を新たに迎え,最新の法令,判例,学説,実務の動向を幅広く盛り込み,今日の刑事訴訟法の解釈・運用の到達点を的確に描出するようお願いした。
この第三版が,初版及び第二版と同様,実務家及び研究者の方々に広く支持され,活用されることを切に願うものである。
2021年3月
中山 善房
古田 佑紀
原田 國男
河村 博
川上 拓一
田野尻 猛
編集者
中山 善房 元東京高等裁判所判事
古田 佑紀 弁護士・元最高裁判所判事
原田 國男 弁護士・元東京高等裁判所判事
河村 博 同志社大学法学部教授・元名古屋高等検察庁検事長
川上 拓一 弁護士・元東京高等裁判所判事
田野尻 猛 富山地方検察庁検事正
執筆者
中谷雄二郎 弁護士・元大阪高等裁判所判事
田口 守一 早稲田大学名誉教授
三好 幹夫 弁護士・元東京高等裁判所判事
河村 博 前掲
田野尻 猛 前掲
(伊藤 栄二〔第二版執筆〕)
(所属・肩書きは本書刊行時)
■書籍内容
第2編 第一審
第3章 公 判
第5節 公判の裁判
〔第329条─第350条 前注〕
第329条 〔管轄違いの判決〕
第330条 〔管轄違い言渡しの制限〕
第331条 〔同前〕
第332条 〔移送の決定〕
第333条 〔刑の言渡しの判決,刑の執行猶予の言渡し〕
第334条 〔刑の免除の判決〕
第335条 〔有罪判決に示すべき理由〕
第336条 〔無罪の判決〕
第337条 〔免訴の判決〕
第338条 〔公訴棄却の判決〕
第339条 〔公訴棄却の決定〕
第340条 〔公訴取消しによる公訴棄却と再起訴の要件〕
第341条 〔被告人の陳述を聴かない判決〕
第342条 〔判決の宣告〕
第343条 〔禁錮以上の刑の宣告と保釈等の失効〕
第344条 〔禁錮以上の刑の宣告後における勾留期間等〕
第345条 〔無罪等の宣告と勾留状の失効〕
第346条 〔没収の言渡しがない押収物〕
第347条 〔還付の言渡し〕
第348条 〔仮納付の裁判〕
第349条 〔刑の執行猶予取消しの手続〕
第349条の2 〔同前〕
第350条 〔併合罪中大赦を受けない罪の刑を定める手続〕
第4章 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意
第1節 合意及び協議の手続
〔第350条の2〜第350条の15 前注〕
第350条の2〔合意の要件及び内容・対象犯罪〕
第350条の3〔弁護人の同意及び合意の方式〕
第350条の4〔合意に向けた協議の主体〕
第350条の5〔協議における供述の聴取〕
第350条の6〔司法警察員の関与〕
第2節 公判手続の特例
第350条の7〔合意がある被告人の事件における合意内容書面等の取調べ請求〕
第350条の8〔他人の刑事事件における合意内容書面等の取調べ請求〕
第350条の9〔同前〕
第3節 合意の終了
第350条の10〔合意からの離脱事由及び離脱の方式〕
第350条の11〔不起訴合意の失効〕
第350条の12〔不起訴合意が失効した場合の証拠能力の制限〕
第4節 合意の履行の確保
第350条の13〔合意違反の場合の公訴棄却等〕
第350条の14〔合意違反の場合の証拠能力の制限〕
第350条の15〔虚偽供述の罪等〕
第5章 即決裁判手続
第1節 即決裁判手続の申立て
〔第350条の16―第350条の29 前注〕
第350条の16〔即決裁判手続の申立て〕
第350条の17〔同意確認のための弁護士の選任〕
第2節 公判準備及び公判手続の特例
第350条の18〔職権による弁護人の選任〕
第350条の19〔証拠開示〕
第350条の20〔弁護人に対する同意の確認〕
第350条の21〔公判期日の指定〕
第350条の22〔即決裁判手続による審判の決定〕
第350条の23〔必要的弁護〕
第350条の24〔手続の簡略化〕
第350条の25〔即決裁判手続による審判決定の取消し〕
第350条の26〔再起訴制限の例外〕
第3節 証拠の特例
第350条の27〔伝聞法則の不適用〕
第4節 公判の裁判の特例
第350条の28〔即日判決の言渡し〕
第350条の29〔執行猶予の言渡し〕
判例索引