青林書院



行政関係訴訟〔改訂版〕


リーガル・プログレッシブ


行政関係訴訟〔改訂版〕
 
編・著者西川 知一郎 編著
判 型A5判
ページ数410頁
税込価格5,390円(本体価格:4,900円)
発行年月2021年05月
ISBN978-4-417-01814-8
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■解説
 ますます充実!行政事件訴訟の実際を理解するための必携書!!
●行政事件訴訟の性格や特質の正しい理解,紛争の核心の的確な把握,関係法令や判例法
 理の正確な理解に資する解説
●改正法下の最高裁判例・下級審裁判例,現時点の制度,運用実務,議論状況を踏まえ
 た,体系的でわかりやすい解説
●行政事件訴訟実務の豊富な経験を有する裁判官による解説


 本書の初版が出版されてから12年が経過した。その間,情報通信技術の急速な発展
と普及,グローバル化の一層の進展,昨今の感染症の拡大とそれに伴う生活様式の変
容等,社会経済が大きく変化する中で,行政作用の果たす機能,役割や日常生活,経
済社会に及ぼす影響は質,量ともに拡大,変化しつつあり,行政の適法性を確保し,
違法な行政作用から国民の権利,利益を救済するため,行政事件訴訟を通じて国民と
行政主体との間の紛争の実効的な解決を図ることの重要性は,益々増大しているよう
に思われる。他方で,平成16年法律第84号による行政事件訴訟法の改正が施行されて
16年が経過し,改正法の下での最高裁判例や下級審裁判例が改正法により新しく導入
された制度に関するものを含めて数多く蓄積され,判例法の分野に一層の厚みと深み
を与えるとともに,実務運用の面においても紛争の実効的な解決を目指して様々な工
夫が重ねられてきたところであり,今後も裁判手続のIT化の取組みの進展に伴って
行政事件訴訟についても斬新な視点を交えた更なる運用上の工夫が試みられることと
思われる。
 以上のような状況の下において,行政事件訴訟に携わる実務家にとって,行政事件
訴訟の性格や特質を正しく理解した上で,その法理や手続に十分習熟し,これを縦横
に使いこなすことのできる高度の資質と能力を備えることは,以前にも増して不可欠
なものとなっているということができる。変化の激しい経済社会の中で,裁判手続を
通じた紛争の実効的な解決を図るためには,適正な手続で充実した審理を迅速に遂げ
ることが必要であり,このことは,行政事件訴訟においても異なるところはなく,行
政事件訴訟を通じて国民の権利,利益の実効的な救済を図るためには,行政事件訴訟
に携わる実務家において,行政主体と国民との間で生じている紛争の核心を的確に把
握し,関係法令や判例法理の正確な知識と理解を踏まえた適切な主張,立証活動を適
時に行い,争点についての議論を深めていくことが必要であり,それに耐え得るだけ
の資質,能力を備えることが不可欠であるといえるのである。
 本書の初版は平成16年の改正行政法が施行されて間もない時期に刊行されたこと
もあって,その後,改正法の下での最高裁判例や下級審裁判例が数多く蓄積され,新
たな実務運用も生み出され,制度を取り巻く議論状況が深化する中で,これらを踏ま
えた本書の改訂を早急に施す必要性がかねてから指摘されていたところ,この度,各
執筆者の協力を得て,本書を改訂する運びとなった。本書の改訂に当たっては,リー
ガル・プログレッシブ・シリーズの編集方針にのっとり,行政事件訴訟をあくまでも
実務家の視点でとらえ,項目ごとにその概要をできる限り分かりやすく説明すること
を心がけるという,初版の執筆方針の基本を踏襲しつつ,単に初版以降に現れた最高
裁判例や裁判例を項目ごとに追補したり,法改正の内容を紹介したり,項目間の整合
性を補ったりするにとどめず,その間の最高裁判例や裁判例,関連する議論の積み重
ねによって発展的に形成された現時点における行政事件訴訟の法状態,議論状況を踏
まえ,その視点から初版を振り返り,必要と思われる改訂を行うことを心がけたつも
りである。そのため,改訂原稿の執筆は,可能な限り,初版の執筆者にお願いするこ
とにした。他方で,新たに加わった執筆者も含め,各執筆者がいずれも行政事件訴訟
実務の豊富な経験を有しておられることから,基本的に各執筆者の記述を尊重するこ
ととした。
 初版に引き続き,本書が行政事件訴訟の実務を学ぼうと志す読者諸兄の理解の一助
となれば幸いである。
 最後に,初版に引き続き今回の改訂版の刊行についても大いにご尽力いただいた青
林書院編集部の長島晴美さんに重ねて敬意を表する次第である。

令和3年3月
編集代表  西川 知一郎


編集者
西川 知一郎:大阪高等裁判所判事

執筆者
徳地  淳:福岡地方裁判所判事
廣谷 章雄:東京高等裁判所判事
直江 泰輝:最高裁判所総務局付
棚井  啓:東京地方裁判所判事
石田 明彦:東京地方裁判所判事
田中 健治:那覇地方裁判所長
和久 一彦:最高裁判所調査官
森田  亮:最高裁判所調査官
岡田 幸人:東京地方裁判所判事
森鍵  一:大阪地方裁判所判事
山田 亜湖:岐阜家庭裁判所多治見支部判事
釜村 健太:東京地方裁判所判事
仲井 葉月:岡山地方裁判所倉敷支部判事
(執筆順・肩書きは刊行時)



■書籍内容
第1章 行政事件訴訟とは何か
機々埓事件訴訟の意義
1.はじめに1
2.行政事件訴訟と民事訴訟
3.行政事件訴訟の限界
⑴ 法律上の争訟  
⑵ 統治行為及び自律的な法規範を有する団体の内部規律  
供々埓事件訴訟の種類
1.はじめに
2.抗告訴訟
3.当事者訴訟
4.民衆訴訟
5.機関訴訟
掘々埓事件訴訟の手続の特色
1.管  轄
2.事件番号
3.訴えの併合
4.仮の救済制度
5.審理手続
6.判  決

第2章 抗告訴訟
機々街霑幣戮琉婬繊種類
1.はじめに
2.抗告訴訟の種類
⑴ 処分の取消しの訴え  
⑵ 裁決の取消しの訴え  
⑶ 無効等確認の訴え  
⑷ 不作為の違法確認の訴え  
⑸ 義務付けの訴え  
⑹ 差止めの訴え  
⑺ まとめ  
3.無名抗告訴訟(法定外抗告訴訟)
供〜覆┐猟鶺
1.処分性
⑴ はじめに  
⑵ 処分性の判断における留意点等  
⑶ 処分性の公式について  
⑷ 行為の公権力性  
⑸ 法律上の地位に対する影響  
⑹ 権力的事実行為  
2.原告適格
⑴ はじめに  
⑵ 処分の相手方以外の第三者の原告適格  
⑶ 平成16年改正前の代表的な判例  
⑷ 原告適格についての判例理論  
⑸ 行政事件訴訟法9条2項の趣旨  
⑹ 最大判平17・12・7(民集59巻10号2645頁)〔小田急判決〕  
⑺ 小田急判決について  
⑻ その後の判例について  
⑼ 実務上の留意点  
⑽ 無効等確認の訴えの原告適格  
3.被告適格
⑴ 被告適格  
⑵ 被告の変更  
4.管  轄
⑴ 事物管轄  
⑵ 土地管轄  
5.審査請求手続の前置
⑴ 自由選択主義の原則と例外としての裁決前置主義  
⑵ 自由選択主義を採る処分について審査請求がされた場合  
⑶ 裁決前置主義の採用されている処分  
⑷ 裁決前置主義の充足  
⑸ 裁決前置主義の緩和  
⑹ 教示制度との関係  
6.出訴期間
⑴ 出訴期間の必要性と概要  
⑵ 処分又は裁決が「あったことを知った日」の意義  
⑶ 出訴期間遵守の判断にあたっての訴訟の提起の意義  
⑷ 期間の経過の計算  
⑸ 出訴期限経過に「正当な理由」がある場合  
7.狭義の訴えの利益
⑴ 抗告訴訟における訴えの利益  
⑵ 取消訴訟における訴えの利益  
⑶ その余の抗告訴訟について  
8.訴状の記載事項
⑴ 当事者等  
⑵ 請求の趣旨  
⑶ 請求の原因  
⑷ その他の記載事項  
9.訴額の算定
⑴ 行政事件訴訟における訴額  
⑵ 訴額の算定が困難な場合  
⑶ 併合請求の場合  
⑷ 訴額の具体的な算定方法  
10.関連請求と請求の併合
⑴ 総説  
⑵ 関連請求の意義について  
⑶ 請求の併合について  
⑷ 弁論の併合・分離  
掘/獲
1.訴訟物
⑴ 抗告訴訟の訴訟物  
⑵ 抗告訴訟の訴訟物を論じる意義  
2.要件事実及び主張立証責任
⑴ 抗告訴訟の要件事実  
⑵ 抗告訴訟の主要事実と主張立証責任  
⑶ 抗告訴訟の各類型ごとの問題点等  
⑷ 抗告訴訟において立証責任が実際に果たす機能,役割の実情  
3.本案要件充足性の判断基準時
⑴ 取消訴訟  
⑵ 無効確認訴訟  
⑶ 義務付け訴訟  
⑷ 差止訴訟  
⑸ 不作為の違法確認訴訟  
4.違法性の承継
⑴ 違法性の承継の意義  
⑵ 違法性の承継の有無の判断基準  
⑶ 具体例  
5.自己の法律上の利益に関係のない違法
⑴ 行政訴訟における主張制限 
⑵ 自己の法律上の利益に関係のない違法の主張制限(行訴10条1項) 
⑶ 「自己の法律上の利益に関係のない違法」の意義と「違法」の内容 
⑷ 裁判例 
6.原処分主義と裁決主義
⑴ 原処分主義と裁決主義  
⑵ 「審査請求を棄却した裁決」の意味 
⑶ 原処分取消しの訴えと裁決取消しの訴えとの併合提起 
7.処分理由の差替え
⑴ はじめに 
⑵ 処分の同一性との関係  
⑶ 理由付記との関係について 
⑷ その他  
8.釈明処分の特則
⑴ 釈明処分の特則の趣旨 
⑵ 行政事件訴訟法23条の2第1項の釈明処分  
⑶ 行政事件訴訟法23条の2第2項の釈明処分 
9.証拠調べ
⑴ 行政訴訟における証拠調べ 
⑵ 職権証拠調べ 
⑶ 文書提出命令 
10.訴えの変更
⑴ 取消訴訟における訴えの変更 
⑵ 民事訴訟法143条の規定の準用による訴えの変更 
⑶ 国又は公共団体に対する訴えの変更 
11.訴訟参加
⑴ 取消訴訟における訴訟参加  
⑵ 第三者の訴訟参加 
⑶ 行政庁の訴訟参加 
⑷ 民事訴訟法上の補助参加 
検〜幣戮僚了
1.はじめに
2.請求認容の要件
⑴ 取消訴訟 
⑵ 無効等確認の訴え  
⑶ 義務付けの訴え 
⑷ 差止めの訴え 
3.終局判決の効力
⑴ はじめに 
⑵ 形成力
⑶ 既判力 
⑷ 拘束力 
4.中間判決
5.一部判決
6.事情判決
7.判決によらない訴訟の終了
后_召竜澪兩度
1.仮の救済制度の必要性
2.執行停止
⑴ 執行停止の実体的要件  
⑵ 執行停止の手続的要件と審理  
3.仮の義務付け・仮の差止め
⑴ 手続的要件  
⑵ 実体的要件  
⑶ 執行停止に関する規定の準用  

第3章 公法上の当事者訴訟
機ー村租当事者訴訟
1.はじめに
2.実質的当事者訴訟活用論
3.平成16年改正の下での実質的当事者訴訟
供〃措暗当事者訴訟
1.はじめに
2.損失補償額の立証責任
⑴ 問題の所在  
⑵ 実務の対応 

第4章 住民訴訟
機―嗣荏幣拈度の意義
1.住民訴訟制度の目的と法的性格
⑴ はじめに 
⑵ 住民訴訟制度の目的 
⑶ 住民訴訟制度の法的性格 
2.住民訴訟の類型
⑴ はじめに  
⑵ 住民訴訟の類型  
⑶ 実務上みられる住民訴訟のいくつかのタイプ 
供〜覆┐猟鶺
1.原告適格
⑴ 原告適格の2要件  
⑵ 普通地方公共団体の住民 
⑶ 特別地方公共団体の住民 
⑷ 住民たる資格の喪失 
⑸ 住民監査請求の前置 
⑹ 複数の原告が提起した住民訴訟  
⑺ 別訴禁止  
⑻ 訴訟参加  
2.被告適格
⑴ 2号訴訟  
⑵ 1号訴訟  
⑶ 3号訴訟  
⑷ 4号訴訟  
⑹ 委任又は専決がされている場合の被告適格 
⑺ 被告を誤った場合の措置  
3.管  轄
4.住民訴訟の対象
⑴ 財務会計上の行為又は怠る事実  
⑵ 公金の支出  
⑶ 財産の取得・管理・処分  
⑷ 公金の賦課,徴収もしくは財産の管理を怠る事実  
⑸ その他  
5.住民監査請求の前置
⑴ 監査請求の対象の特定  
⑵ 監査請求期間の制限  
⑶ 適法な監査請求が不適法なものとして却下された場合,不適法な監査請求が適法なものとして実体判断された場合  
⑷ 住民監査請求と住民訴訟の同一性  
6.出訴期間
⑴ 出訴期間  
⑵ 請求の追加的併合,訴えの変更と出訴期間  
7.請求の趣旨及び原因
⑴ 1号訴訟 
⑵ 2号訴訟  
⑶ 3号訴訟  
⑷ 4号訴訟  
⑸ 4号訴訟の判決前の権利変動等  
8.訴  額
掘/魁 〕
1.違法の意味
⑴ 財務会計行為の違法性  
⑵ 原因行為の違法と財務会計行為の違法との関係  
⑶ 瑕疵の治癒  
2.訴訟手続各論
⑴ 1号訴訟  
⑵ 2号訴訟  
⑶ 3号訴訟  
⑷ 4号訴訟  
検〜幣戮僚了
1.判決による訴訟の終了
⑴ 判決の効力  
⑵ 住民の一部が上訴した場合の上訴審の判決の効力  
⑶ 原告住民の弁護士費用  
2.判決によらない訴訟の終了
⑴ 和解  
⑵ 請求の放棄・認諾  
⑶ 訴えの取下げ  
⑷ その他の終了原因  

事項索引
判例索引

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