近隣紛争の法律相談

近隣紛争の法律相談

最新青林法律相談

  • 編・著者荒井総合法律事務所 編
  • 判型A5判
  • ページ数334頁
  • 税込価格4,840円(本体価格:4,400円)
  • 発行年月2023年02月
  • ISBN978-4-417-01851-3
  • 在庫

    有り

■解説

近隣紛争処理に造詣の深い弁護士が実際の事件をもとに、解決策をわかりやすく解説!
●事件処理に役立つ知識を詳しく解説
●最新・重要な裁判例、書式例や文例を多数掲載
●和解条項の起案の参考となる実際の和解内容を紹介
  トラブル対応に即役立つ1冊!


はしがき
 世の中には多種多様な近隣紛争があります。親族,友人が紛争当事者にな
り,困っていたり相談を受けたことはありませんか。本書の目次を開いていた
だくと,40以上の紛争類型があります。この内のいくつかは,皆様の身近で発
生しているのではありませんか。円満に解決できましたか。
 私の実家が家を建て替え中に,隣家から「二階の屋根が越境していません
か。」と指摘され,私が呼ばれて大工さんと一緒に測ってみたところ5僂曚
の越境が確認されました。母は直ぐに屋根を削ってほしいと大工さんに頼みま
したが,屋根も外壁も工事が終わり,この段階で是正は難しいと大工さんが言
いました。隣家と話合いの結果,「母は越境の事実を確認して謝罪し,将来の
建替えの際に是正すること,その義務は相続人や売却するときの買主にも継承
する。」との内容の合意書を作成しました。30年以上仲良くしてきた隣家とは
その後も長く仲良くお付合いができました。
 私の家の北側の外壁は境界のフェンスから1mほど離れていますが,北側隣
家の庭木2本が茂り,小枝数本がフェンスの上からはみ出して,雨の日に傘を
差して通行しづらくなっていました。私が「枝を切っていただけませんか。」
とお願いしたところ,数日後に植木屋さんを呼んで切除してくれました。その
後菓子折を持参され,「気がつかなくてご免なさい。またはみ出したらいつで
も切ります。あるいは断りなく切ってくださっても結構です。」とのお話しで
した。それから,お隣への信頼がいっそう増しました。
 このように,お互いの信頼関係があれば,気づかなかった相手の立場が理解
でき,話合いで円満解決ができることも多いでしょう。あるいは弁護士に相談
すれば的確な助言が得られ,話合いで誤解を解消したり,譲り合うことも期待
できます。
 話合いがまとまらないときは,弁護士会のあっせん手続や裁判所の調停手続
を利用します。中立の立場の委員が,あなたの言い分を理解してくれた後に,
相手の言い分も説明してくれます。最初は感情的になっていた双方が,相手の
立場も理解できるようになることが期待されます。
 それでも,調停を含めた話合いでは解決できずに訴訟になる場合もありま
す。訴訟では事案の内容を分析検討して,解決に役立つ法令や裁判例にもとづ
き訴状に請求の趣旨,請求の原因を記載します。
 本書は,弁護士が自らの経験に基づいた設問を作成し,また法律実務家が問
題を検討する場合に参考になるような裁判例や書式例を多く紹介したり,和解
条項を起案する際に参考になる実際の和解の内容も紹介しています。頁数の枠
もあり十分とはいえませんが,参考にしていただければ幸いです。
 荒井総合法律事務所が編集者となっていますが,現在の所属弁護士の外に
OBの弁護士の方々にも執筆に参加してもらいました。心良く引き受けてくれ
たことに感謝します。
 最後になりましたが,青林書院編集部の高橋照明様をはじめ編集部の皆様に
ご尽力をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
  
  2023年1月
                    荒井総合法律事務所/弁護士
                         編集責任者 荒井 洋一



編者・執筆者紹介
編  者
荒井 洋一(あらい・よういち)
昭和43年 中央大学法学部卒業
昭和46年 弁護士登録(23期)
昭和52年 荒井洋一法律事務所(現: 荒井総合法律事務所)開設
昭和61年以降,東京弁護士会税務特別委員会副委員長,最高裁判所司
法研修所弁護教官(〜平成7年4月),東京弁護士会司法修習委員会委員
長,司法試験考査委員,日弁連司法修習委員会委員長等を歴任
東京弁護士会法律研究部会社法部・金融取引法部各会員,日本CSR 普
及協会理事,日本法律家協会会員。
【主な著書・論文】
『弁護士の知恵⇔戮蟠畚蠅遼[Я蠱漫戞碧ヽ惱餘 な埣者),『隣り近所
のトラブル解決Q&A』(法学書院,編著者)ほか。

執筆者
金 昌宏(こん・まさひろ)
昭和62年 中央大学法学部卒業
平成8年 司法研修所入所(50期)
平成10年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
平成15年〜 18年 長崎県島原ひまわり基金法律事務所開設(日弁連公
設事務所)
平成18年 旭川五条法律事務所開設
平成27年 旭川弁護士会会長(日弁連理事)
平成29年 日弁連消費者委員会(割販法・特商法部会)委員(〜現在)
各地の消費生活相談員向け研修も担当。
【主な著書・論文】
「《事件に学ぶ消費者法》最判平29・2・21(個別クレジット名義貸
し)−媒介者の法的位置づけがもたらすもの−」現代消費者法No. 41
ほか。

舘 彰男(たて・あきお)
平成8年 東京大学法学部卒業。司法研修所入所(50期)
平成10年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
平成24年〜平成26年 東京弁護士会税務特別委員会委員長
平成29年 日本弁護士連合会信託センター委員(〜現在)
租税法,倒産法,信託法,労働法等の分野の経験を多く有する。著
書・論文多数。
【主な著書・論文】
「幅のある真実−合法性の原則の超克による租税争訟における和解の許
容性−」判例時報(第3回判例時報賞奨励賞受賞論文),『相続法改正
後の弁護士実務』(第一法規,共著)ほか。
  
高原 わかな(たかはら・わかな)
平成8年 東京大学法学部卒業
平成11年 司法研修所入所(53期)
平成12年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
東京弁護士会法教育総合センター委員(令和3年〜同副本部長),法教
育委員会委員(平成30年同委員長)。
民事事件全般を取り扱い,特に企業法務,労働法,家族法等の分野の
経験を多く有する。
【主な著書・論文】
『離婚事件処理の実務』(新日本法規,共著)ほか。
  
井澤 慎次(いざわ しんじ)
平成7年 上智大学法学部卒業
平成13年 司法研修所入所(55期)
平成14年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
平成21年 野田信彦法律事務所(札幌弁護士会)へ移籍
平成22年〜平成24年 札幌簡易裁判所民事調停官
平成26年 ユナイテッド・コモンズ法律事務所 開所(札幌弁護士会)
企業顧問,会社法,労務管理,コンプライアンス調査等を主に取り扱う。
【主な著書・論文】
『おしえて弁護士さん職場の疑問48』(旬報社,共著),「労働基準広
報」(労働調査会)にて「裁判例から学ぶ予防法務」連載中。
西部 俊宏(にしべ・としひろ)
平成11年 早稲田大学法学部卒業
平成13年 司法研修所入所(55期)
平成14年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
平成30年 西部総合法律事務所開設
労働,家事,交通事故等の分野の経験を多く有する。
【主な著書・論文】
『労使双方の視点で考える 27のケースから学ぶ労働事件解決の実務』
(日本法令,共著),『M&A における労働法務DD のポイント〔第2版〕』
(商事法務,共著)ほか。
  
上田 瑞尊(うえだ・みずたか)
平成15年 中央大学法学部卒業
平成16年 司法研修所入所(58期)
平成17年 弁護士登録。荒井総合法律事務所入所
平成27年 リーガルキュレート総合法律事務所パートナー
令和3年 東京城南法律事務所開設
東京弁護士会消費者問題特別委員会委員(平成24〜26年副委員長),東
京投資被害弁護士研究会会員(平成27〜29年事務局長),東京地方裁判
所破産管財人等協議会協議員。
民事事件全般を取り扱い,不動産を巡る各種紛争,投資取引を巡る紛
争,倒産法の各分野の経験を多く有する。
【主な著書・論文】
『改訂版 交通事故実務マニュアル』(ぎょうせい,共著)ほか。
  
松木 裕(まつき・ひろし)
平成23年 早稲田大学法学部卒業
平成25年  東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了。司法
研修所入所(67期)
平成26年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
令和2年 井垣法律特許事務所入所
令和3年  東京弁護士会中小企業法律支援センター連携検討部会部会
長(〜現在)
企業法務全般,労働法務,医療法務,建築法務等の分野の経験を多く
有する。
【主な著書・論文】
『隣り近所のトラブル解決Q&A』(法学書院,共著)ほか。
山口 正貴(やまぐち・まさき)
平成26年 中央大学法学部卒業
平成28年  一橋大学大学院法学研究科法務専攻修了。司法研修所入所
(70期)
平成29年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
平成30年 紛争解決センター運営委員会(〜現在)
労働法務,一般企業法務,医事法務等の分野の経験を有する。
  
福原 勇太(ふくはら・ゆうた)
平成26年 中央大学法学部卒業
平成28年  中央大学大学院法務研究科法務専攻修了。司法研修所入所
(70期)
平成29年 弁護士登録(東京弁護士会)。荒井総合法律事務所入所
平成30年  東京弁護士会・第二東京弁護士会合同図書館委員会委員
(〜現在)
民事事件,労働事件,企業法務等をはじめ,様々な分野に対応してい
る。

■書籍内容

第 1章 境界等をめぐる紛争
Q 1 ■ 土地の境界をめぐる紛争の解決手段
 私は新人弁護士です。近日中に,境界をめぐる法律相談を受けることになりまし
た。相談者へのアドバイスにあたり,そもそも境界をめぐる紛争にはどのような解決
手段があるのかを教えてください。
Q 2 ■ 筆界特定制度
 私は,所有している土地の隣地所有者との間で,境界を確認したいのですが,話合
いではまとまりませんでした。境界標は,昔の図面を見ると設置されたはずですが現
在は見当たりません。筆界特定制度を利用しようと思います。境界標も設置したいの
ですが,留意点を教えてください。
Q 3 ■ 分  筆
 親から相続した土地建物に居住しています。以前から隣地との間にブロック塀があ
りましたが調査したところブロック塀はすべて私の土地上にあることが判明しまし
た。隣人のAさんと協議してブロック塀のある土地の部分を分筆してAさんに売却す
ることにしました。分筆の手続はどのようにしたらよいでしょうか。
Q 4 ■ 隣家の建物(屋根,庇)の越境
 隣家の建物の屋根や庇(ひさし)が境界線を越えて,私の自宅の方に大きくせり出
しています。ところが,隣家の住人は,境界線を越えていないと主張して譲りませ
ん。裁判や民事調停等に備えて,私としては境界線の位置を裏づけるためにどのよう
な資料を準備すればよいでしょうか。
 また,裁判や民事調停等でどのような法的主張をすればよいでしょうか。さらに,
裁判や調停等で,話合いによる解決をする場合に,どのような取決めをすれば円満な
近隣関係を築けるでしょうか。和解条項作成にあたって注意すべき事項や盛り込んで
おくのが妥当な事項があれば教えてください。
Q 5 ■ 樹木の越境
〔1〕 私の家の隣地にある樹木の枝が繁茂して,塀を越えて私の土地に侵入してきて
います。圧迫感,落ち葉による清掃の負担,枝の落下や倒木による危険がありま
す。塀を越えた枝木を私が伐採して問題ありませんか。また,隣地所有者に対し,伐採
費用を請求できますか。
〔2〕 私の家の近くにある十字路にカーブミラーがありますが,十字路の角にある家
の樹木が繁茂して,カーブミラーが枝葉で隠れて見えません。十字路は車がよく通
り,子どもも横断しますので,危ないと思います。隣地ではなくても何かできる手
段はありませんか。
第 2章 プライバシー・日照・眺望・景観等をめぐる紛争
Q 6 ■ 目隠しの設置等
 私は,自宅建物を所有しているのですが,このたび,隣地に高層マンションが建築
されることになりました。
 私は女性ですので,自分の家の中がのぞき見られてしまうのではないかとても心配
です。
 また,隣地の敷地内の境界塀を作り直す予定らしいですが,境界塀として予定され
ている色合いなどの雰囲気が,自宅建物とまったくマッチしないものになってしまう
のではないか心配です。
 目隠しの設置を求めたり,境界塀の仕様について意見したりすることはできるでし
ょうか。
Q 7 ■ 監視のためのテレビカメラの撤去請求等
 私達夫婦は一戸建てに居住していますが,以前に近隣トラブルになった斜め向かい
の居宅に居住する近隣住民が,私達の家の玄関付近,前面道路等を監視するためのテ
レビカメラを設置して撮影しており,そのテレビカメラの撮影範囲には私達の家の玄
関,駐輪場,外に出るために必ず通る私道の一部も含まれることが判明しました。プ
ライバシーの侵害を理由に慰謝料の請求やテレビカメラの撤去の請求をすることはで
きるでしょうか。
Q 8 ■ 日照を阻害する建築の禁止――日照権侵害
 私は商業地域内の3階建てアパートの2階に居住していますが,隣地の駐車場に高
層マンションを建設する計画があることがわかりました。高層マンションは14階建て
を予定しているようなので,間違いなく日当たりが悪くなってしまいます。このよう
な場合,高層マンションの建築を中止させることはできるのでしょうか。
Q 9 ■ 眺望利益
 数年前に,著名な山並みを一望できる場所に土地を購入し,別荘を建築しました。
先日,久しぶりにその別荘を訪れたところ,別荘から100mほど離れた場所で建築工
事が行われ,どうやらリゾートマンションが建築予定とのことでした。このままリゾ
ートマンションの建築が進むと,私の別荘から山並みの景色が見えづらくなってしま
います。何か取り得る手段はありますか。
Q 10 ■ 弁護士会のADR
 社会福祉法人が,借地上に特別養護老人ホームを建設したところ,その隣地に居住
している地主から,当該建物による日照被害やプライバシー権侵害を主張され,弁護
士会の和解あっせん手続の申立てを受けました。この和解あっせん手続に臨むにあた
り,考慮すべきポイントや注意すべきポイントなどについて教えてください。
第 3章 建築をめぐる紛争
Q 11 ■ 長屋の取壊し
 私は,いわゆる棟割り長屋の一室に居住しています。このたび,同じ長屋の隣人
が,隣人居住部分を取り壊して(切り離して),新しく自分の家を建てたいので,隣
人居住部分の取壊しを承諾してほしいと言ってきました。
 私だけが工事を承諾すれば取壊しをしてもよいでしょうか。また,取壊しによっ
て,壊れる私の家の柱や壁の補修はどうなるのでしょうか。
 その他,承諾にあたって注意することはありますか。
Q 12 ■ 建替えの際の隣地所有者との関係
 私は,借地の上に建物を建てて住んでいますが,建物が古くなったため建て替える
ことにしました。建替え工事にあたって,足場を組むために隣地所有者にその使用を
承諾するよう求めましたが,返事がありません。また,隣地所有者は,私が使用を求
めた隣地と借地との間に柵を設置したりしています。建替え工事を行うには,隣地の
使用が必要なので,どのようにしたらよいでしょうか。
Q 13 ■ 境界に近接した建築
 隣の人が新築工事を始めましたが,外壁が境界から15cm しか離れていないことを
知りました。わが家の外壁は境界から30cm の距離をとっているので,同じくらいの
距離をとってほしいと思い,隣人にその旨を申し入れたところ,隣人は,私の要請に
応じてくれるような態度をとっていたので,安心していました。ところが,基礎工事
が終わると急に態度を変え,当初の予定どおり建築を終えてしまいました。隣人に対
して,境界から30cm 以内の建物部分について撤去してほしいと思いますが,認めら
れますか。
Q 14 ■ 建築協定
 私は,不動産販売業者が造成・販売していた分譲住宅地を,知人から購入して3階
建ての建物を建築することにしました。建物の建築工事に着手したところ,当該不動
産販売業者から,協定区域内の建物の地上部分は2階建てまでとする建築協定がある
ため,工事を中止するように申入れがありました。私は,このような建築協定がある
ことを知らなかったのですが,従う必要はあるのでしょうか。
第 4章 私道・通行権等をめぐる紛争
Q 15 ■ 私道の損壊
 私Aは,先日亡くなった親の名義となっている私道を管理しています。
先日,その私道の隣の敷地で建築工事を行っている建設会社が私道の一部を損壊し
てしまったようです。建設会社からは「請求をいただければ誠実に対応します。」と
言ってもらえていますので,補修を求めようと思います。
 しかし,私には兄Bと弟Cがおり,親の遺産の分割をまだ終えていないため私道は
3兄弟の遺産共有になっており,Cについては連絡がつき,補修してもよいと言って
くれていますが,Bは数年前から連絡もつかず,住所もわからない状態です。Bに無
断で私道の補修をお願いしてもよいのでしょうか。
 また,以前から私道をより使いやすいものにするために,現在のような砂利ではな
くアスファルト舗装をすることを考えているのですが,この工事もBに無断で行って
も問題ないでしょうか。
Q 16 ■ 公衆用道路と通行妨害
 私はご近所と公衆用道路(土地1)を共有し利用していますが,土地1に含まれる
はずのA地B地を土地2の所有者が自分の土地だと主張して,ペンキで白線を引き工
事用コーンを置きました。そのため,車で市道に出られません。また,隣人はB地の
上にあるブロック塀が,土地1との境界に沿って設置してあると主張するのですが,
私は,ブロック塀が本当の境界線から1m越境していると思っています。通行妨害を
やめ,ブロック塀を撤去してほしいです。
Q 17 ■ 囲繞地通行権
 亡き父の相続に際して,父が所有していた土地を私と弟が相続し,その後の共有物
分割の結果,私が公道に接する部分の土地を取得し,弟が公道に接しない袋地を取得
しました。私と弟が取得した土地の上にはそれぞれ建物があり,弟は,私の取得した
土地の庭の隅を通って公道に出ていました。
 その後,弟が取得した土地建物は不動産業者に売却されましたが,その業者から,
建物を建て替えるので,自動車が通れるよう,幅4mの通路を作ることを認めるよう
申入れがありました。
 私は,この申入れに応じなければならないのでしょうか。また,通路を作ることを
認めた場合に,通行料をもらうことはできますか。
第 5 章 漏水・水道管をめぐる紛争
Q 18 ■ マンションにおける漏水
 私が区分所有して居住するマンションの一室の天井から水漏れが発生し,絨毯等の
家財が汚れてしまい,一部は使えなくなってしまいました。上階の居住者の許可を得
て漏水の原因を調査したところ,上階の排水を流す排水管からの漏水であることが判
明しました。私の費用で補修をしましたが,補修費用等の損害を誰かに請求すること
はできますか。
Q 19 ■ 水道管の撤去
 所有地を売却しようと思っています。買手もつきそうだったのですが,自分の土地
の地下に隣家のための上水道管が敷かれていることがわかりました。
 隣人に上水道管の撤去を求めたところ,隣人は「自分はそんなことを知らずに土地
を取得したので応じるつもりはない」として対応してくれません。せっかくついた買
い手もトラブルに巻き込まれたくないとして売買契約締結には及び腰です。どうした
らよいでしょうか。
第 6章 騒音・振動をめぐる紛争 
Q 20 ■ 車両等の騒音
 深夜にどこからともなくバイクの集団が集まって自宅の近くでたむろすることがあ
りました。あまりにうるさかったので直接注意したところ,その後,嫌がらせのよう
に自宅前近くで毎日たむろするようになりました。話し声に加えて,改造しているの
かわかりませんが,バイクの音もかなりうるさいです。治安の問題もありますし,家
族が夜眠れなくなっているため,何とかして状況を改善したいのですが,何か対応策
があるのでしょうか。
Q 21 ■ 空調設備等の騒音
 私どもは医療施設を開設運営していますが,近隣住民の方が,私どもの医療施設か
ら断続的に騒音が発生しているため夜も眠れず,頭痛に悩まされていることなどを理
由として,その騒音の差止めを求めてきました。その音はどうやら医療施設外に設置
されている空調設備等が稼働している音のようですが,空調設備等は医療施設の運営
上必要不可欠なものであるため,私どもとしては近隣住民の方と円満な関係性を築き
たい気持ちはあるものの,使用を継続したいと思っています。果たして空調設備等の
使用を継続することは可能でしょうか。
Q 22 ■ 工事の騒音・振動
 建設会社がマンションの建設工事を行っていたところ,その工事現場に隣接するア
パートの住人から工事による騒音や振動を理由とした損害賠償請求訴訟を提起されま
した。
 このような工事の騒音や振動をめぐる紛争に直面した場合,考慮すべき問題点や注
意すべきポイントなどについて教えてください。
Q 23 ■ 嫌がらせ(騒音,振動,異臭)
 私が郊外に住宅を新築し生活を開始したところ,隣家の住人から執拗な嫌がらせを
受けるようになりました。具体的には,夜間・深夜の車両等のエンジン音,堆肥等の
異臭,砂埃をわざと発生させるなどの行為が続いています。嫌がらせ行為をやめさせ
るために,また,これまでの被害回復を求めるために法的な対応策があれば教えてく
ださい。
第 7 章 臭気等をめぐる紛争 
Q 24 ■ ごみ集積場
 私の自宅の前の公道上にごみ集積場があります。私と家族は,自宅を購入したとき
から,長期間,ごみの悪臭,カラスの食い散らかしによるごみの散乱,不潔な景観に
悩まされてきました。私は,この集積場を利用している近隣住民に,輪番制にすべき
と何度も話合いを申し入れましたが,拒絶されています。どうしたらよいでしょうか。
Q 25 ■ 料理店の出店
 私の家の隣に,最近話題のイタリア料理店の支店が出店しました。そのお店はどう
やらニンニクをたっぷり使用した料理を出すことを売りにしているようで,お店の営
業時間中は特に,ニンニクの嫌なにおいが立ちこめています。
 洗濯物ににおいがついてしまっていますし,家の中にまでにおいが入ってきて,住
環境が悪化しています。今後この状況が続けば,健康にも悪影響が出てしまう気がし
ます。
 イタリア料理店に対して,何かにおい対策を求めたり,損害賠償を求めたりするこ
とはできるのでしょうか。
Q 26 ■ 香  害
 私は個人で理容室を営んでいます。お客様の顔を拭くなど頻繁にタオル類を使って
おり,使用済みタオルは柔軟剤で洗い,その後外に干しています。ところが,近隣住
民の方から,柔軟剤が原因で化学物質過敏症に罹患したため,生じた損害を賠償する
よう苦情が寄せられました。柔軟剤は少量しか利用していませんし,近隣住民の方は
理容室の先隣の方で,日中は仕事でいないようなのですが,それでもこの苦情に理由
はあるのでしょうか。
Q 27 ■ 遺体の腐敗による損害賠償請求
 疎遠で遠方に居住していた独身・子なしの兄Aが,居住していたマンション自室の
浴室内で自殺し,両親も他界しているので私が唯一の相続人となりました。遺体は自
殺から約2か月後に発見されたのですが,同マンションは外部に面していない内廊下
であるEV ホールで各居室がつながっているため,住居の扉を開けたことにより死臭
が内廊下に充満し,隣の住民の居室内にも入ってきたとして,隣の住民が,私に対し,
死臭に起因する損害賠償請求訴訟を提起してきました。私は損害賠償義務を負う
のでしょうか。
第 8章 動物をめぐる紛争
Q 28 ■ 野良猫被害
 隣人が,隣地に集まってくる野良猫に餌を与えているようで,周辺に野良猫が大量
に住み着いてしまっています。夜中に鳴き声がうるさかったり,私の自宅の庭にも糞
尿をするなど,困っています。
 隣人に餌やりを止めてほしいとお願いしましたが,「餌をあげないと猫がかわいそ
うだ。」と聞き入れてくれません。どうすればよいでしょうか。
Q 29 ■ 飼い犬問題について
 私(A)はペンション経営をしており,庭に大型犬(甲)を飼っているのですが,
ペンションのお客さん(B)に咬みついて顔に怪我をさせてしまいました。犬には3
メートルのリードをしていましたが,柵囲いまではしていませんでした。犬は老犬で
耳も目も悪く,昼寝をしているときにお客さんが犬に寄って顔を近づけたために,驚
いて飛び起きて反射的に咬みついてしまったようです。私が飼い主として負う民事上
の責任はどのようなものになりますか。
第 9 章 妨害排除・損害賠償等をめぐる紛争
Q 30 ■ 立入禁止等請求事件
 近隣に住む弟は,亡母の遺産をすべて単独相続したと主張して,居宅や農地に勝手
に立ち入り,休耕地に農機具を入れて耕作の準備を開始しました。しかし,母は長男の
私に「すべての財産を相続させる」との遺言を残してくれており,先般,遺言に基づき
不動産所有権の移転登記手続を完了しました。不動産への立入禁止や無断利用の禁止
を求めることはできないのでしょうか。不動産が都心の宅地の場合はどうでしょうか。
Q 31 ■ 土砂の流入
 私(A)は,自分の庭で農作物を育てる生活がしたいと思い,地方に転居して甲土
地を購入しました。いざ畑のための庭を耕そうと思ったところ,隣の乙土地から雨水
や雪解け水が流れてくるせいで地盤が緩んでしまい,耕地ができないことがわかりま
した。水たまりができたりゴミがたまり,畑どころか,日常生活にも支障が出ていま
す。隣人(B)に対してどのような要求ができますか。例えば,自分で盛土をして流
水を防ぐことはしてもよいのでしょうか。
Q 32 ■ 無断駐車等
〔1〕 私の家の庭に,隣に住む子どものボールが投げ込まれてきました。
  以前も同じことが何度もあり,取りに来るたびに注意をしていたのですが,私を
恐れてか,今回はボールを取りに来ません。ボールを処分しても問題ないでしょうか。
〔2〕 私が外部で賃借している月極駐車場に,見知らぬ車が勝手に駐車されている
レッカーを呼んで,車を移動しても問題ないと思いますが,いかがでしょうか。
Q 33 ■ 台風による被害
 先日,非常に強力な台風が私の自宅付近を直撃しました。台風が過ぎ去ったあと,
月極駐車場に駐めてある私の自動車の様子を見たところ,フロントガラスが割れてい
ました。どうやら近所の建物のトタン屋根が強風で飛ばされてフロントガラスに衝突
したようです。
 このような場合,私は,誰にどのような請求をすることができるか教えてください。
Q 34 ■ 塀の損壊
 私が所有する自宅不動産の隣地には店舗の駐車場があり,不特定多数の車両が日常
的に出入りをしています。境界線に沿った当方土地内には,私が設置したフェンスが
ありますが,今般,フェンスが破損しました。破損箇所や,破損箇所に近い駐車区画
の車止めが破損していた状況に照らせば,隣地駐車場を利用する車両が,誤ってフェ
ンスに衝突したものと考えられます。私は誰にどのような請求をすることが可能でし
ょうか。
Q 35 ■ 火災による被害
 ビルのワンフロアを賃借して店舗を経営していますが,店内のコンセント付近から
出火し,賃借部分が全焼しました。また,この火災により,上階にも煙や煤(すす)
が立ち込め,その清掃(ビルの所有者である賃貸人が費用負担)のため,上階の賃借
店舗もしばらくの期間,休業を余儀なくされたようです。
 消防の調査結果によりますと,店舗内で長期間コードを挿したままにしていたた
め,コンセントの周囲にほこりが溜まり,コンセントの接触不良によりほこりに引火
したことが出火原因であるとのことでした。
 上階の店舗の賃借人と,賃貸人からそれぞれ損害賠償請求を受けましたが,どのよ
うに対応すればよいでしょうか。
Q 36 ■ 不法投棄,不法占拠
〔1〕閑静な住宅街の一戸建てに居住しています。突然,隣家の敷地内に廃棄物
(古タイヤ,建築廃材,中古車など)が次々と不法投棄され始めました。搬入業者は
「家のオーナーとの契約に基づいて置かせてもらっている」と説明するだけです。
敷地一杯に廃棄物が積み重なっており,異様な光景です。隣人として,どのような
対応をとればよいでしょうか。
〔2〕 しばらく不在にしていた私の所有地上に,政治団体の街宣車(政治結社Aと
表示)が何台も放置されていて,そのうちの1台には,電柱から電気が引かれ,Bと
いう人物が居住しています。土地上に次々と中古自動車,廃材,クズ鉄などを搬入
しては放置し,また昼夜を問わず,タイヤを燃やすなどして近隣に迷惑をかけてい
ます。これらを止めさせることはできないのでしょうか。
Q 37 ■ 慰謝料額
 近隣紛争の訴訟で認容される慰謝料額は,紛争類型ごとにおおむねどのくらいでし
ょうか。また,金額の算定にあたりどのような要素が重視されますか。
第 10章 マンションをめぐる紛争
Q 38 ■ マンション上階住戸からの騒音
 私は分譲型の集合住宅に住んでいますが,上階に住む住人の居室からと思われる騒
音に悩まされています。私の住戸以外では特に問題になっていないようですが,私は
気になるので騒音を止めてほしいと思っています。なるべく上階の住民との関係が悪
くならないようにしたいのですが,改善がなければ法的手続をとることもやむを得な
いと考えています。どのように進めればよいでしょうか。
Q 39 ■ マンション内の名誉毀損
 私が居住するマンションの1階下の居室の住人Yが,そのような事実はないにもか
かわらず,私が夜間にゴルフのパター練習による騒音を出していると主張していま
す。一度,Yが深夜に訪ねてきた際,私が実際にゴルフ練習機を使用してみせたとこ
ろ,Yはこの騒音ではないと一度は納得しました。しかし,その後も3年間,Yは,
管理組合の総会では私から騒音被害を受けているとほのめかして騒音防止のための方
策実施を求め,理事長,理事数名,管理会社の従業員も出席している理事会では私の
実名を出し,あたかも私が騒音を出しているかのような発言をしてきました。
 そこで,私は名誉毀損を理由に管理事務所の掲示板への謝罪広告の掲示と損害賠償
を求めてYを提訴しました。すると,Yは,私が騒音の発生源であると特定していな
いし,総会等における発言には公然性もないとして責任を争うだけではなく,私が騒
音を発生させているとして,夜間のゴルフ練習音の発生差止め及び損害賠償を求める
反訴を提起してきました。私とYの主張のどちらが認められるのでしょうか。
Q 40 ■ マンション居室の目的外利用
 私は分譲マンションに住んでいますが,隣の部屋の住人が最近書道教室を始めたよ
うです。生徒がエントランスやロビーにたむろしていたり,来客用の駐輪場を無断で
利用していたりして迷惑を感じていたため,そのことを伝えたところ,「他にも事務
所として使用している人がいるし,友人や知人に対する内輪の教室なので問題ないと
考えている。」と言われました。
 書道教室をやめてもらうには,どうしたらよいでしょうか。
第 11章 最近の紛争類型
Q 41 ■ 反射光トラブル
 私は,マンションに住んでいるのですが,最近,わが家のバルコニー側の隣地に新
築の分譲マンションが建ちました。そのマンションはいわゆるデザイナーズマンショ
ンのようで凝った造りになっており,屋根の部分に特殊な塗装が施されていました。
 その屋根は太陽光を反射するため,眼がくらむほどの反射光がわが家のバルコニー
や室内を直撃するようになり,昼間でもカーテンを閉める必要があるなどの不便を強
いられています。このような場合,法的な対応策があれば教えてください。
Q 42 ■ ゴミ屋敷 宗縦詑瀛件の場合
 私は所有するアパートと駐車場を複数の賃借人に賃貸しています。賃借人のうちの
1人の利用状況がひどく,室内に大量のゴミをため込み,悪臭で隣室の住民も非常に
迷惑しています。どのような手段をとったらよいですか。
Q 43 ■ ゴミ屋敷◆宗集遊住宅の場合
 私の居住する地区にゴミ屋敷があります。屋内には大量のゴミがあり,屋外にもあ
ふれ出していて,美観を損ね,通行を妨げ,悪臭もあり,近隣はみな迷惑していま
す。ゴミ屋敷撤去を含めてゴミ屋敷対策のよい方法を教えてください。
Q 44 ■ 空き家
 私宛てにA市から郵便物が届いたので中身を確認すると,私がBの相続人合計30名
のうちの1名であること,B名義の土地建物があること,その建物の老朽化が進んで
いて倒壊のおそれがあること,万が一建物を原因として近隣に損害が生じた場合は責
任が発生し得ることなどが記載されていました。私はBという人をまったく知りませ
んし,その建物は私の暮らす場所から遠いため管理することもできません。もっとも,
何かあった場合に責任を負うということも困るのですが,A市のいうとおり,建物を
原因として第三者に損害が生じた場合にその責任が発生することはあるのでしょうか。
Q 45 ■ 民  泊
 私の住むマンションの隣の部屋に,隣人ではない方が出入りしているのをよく見か
けるようになりました。海外の方がよく出入りしており,騒音やゴミの出し方も気に
なります。持ち物や身なりからすると,どうやら旅行者が民泊として隣室を使用して
いるように思われます。
 隣人が部屋を民泊として使用しているのかどうかを調べることはできるでしょう
か。また,仮に違法な民泊営業がなされていた場合,それをやめさせることはできる
のでしょうか。どこにどのように通報すべきなのでしょうか。
  
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