類型別 慰謝料算定の実務

類型別 慰謝料算定の実務

  • 編・著者平田 厚著
  • 判型A5判
  • ページ数390頁
  • 税込価格5,610円(本体価格:5,100円)
  • 発行年月2024年06月
  • ISBN978-4-417-01878-0
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    有り

■解説

損害賠償請求訴訟において、【非財産的損害の賠償、特に精神的損害である慰謝料を認めてもらえるのか?】【認めてもらえるとしてどの程度の金額を認めてもらえるのか?】ーー弁護士等の法律実務家にとっての実務上の大きな悩みに寄り添う1冊!
●2008年から2022年までの実に15年間の判例・裁判例を分析!
●事件類型別に、慰謝料に関する裁判例等の認定・算定の判断基準(慰謝料額の決定に考慮される要素,算定の傾向等)を分析・検討!!
●裁判例等における類型別の慰謝料がどのような金銭分布を示しているのかを探り、法律実務家が、本書掲載の裁判例等と「具体的な事案」とを照らし合わせて、慰謝料の近似値を検討できるように工夫!
●法律実務家や研究者,企業の法務担当者必携!


はしがき
 本書は,2008年1月1日から2022年12月31日までの15年間の裁判例を中心に取り上げ,近年における事件類型別の慰謝料に関する裁判例の傾向を明らかにしようとしたものである。
 損害賠償請求訴訟において,財産的損害の賠償だけでなく,非財産的損害の賠償,特に精神的損害である慰謝料を認めてもらえるのか,認めてもらえるとしてもどの程度の金額を認めてもらえるのかについては,実務上,いつも非常に悩むところである。慰謝料の算定に関しては,各裁判官の裁量に委ねられているのではあるが,同種類型の事案において,裁判官によって慰謝料の判断に差異が生ずるのは好ましいことではないと思われる。
 類型別慰謝料については,それぞれの基準額というべき金額を明らかにし,基準額に対する金額の増減要素を示すことができればよいのであるが,現実の裁判例は必ずしもそのような基準額を明らかにしてはいないし,認定額の幅は常に変動している。したがって,現実の裁判例における類型別慰謝料がどのような金額分布を示しているのかを探り,裁判例として掲げた事案と照らし合わせて,具体的な事案との近似値を検討できるような記述にしたつもりである。
 本書で利用させていただいた判例データベースは,TKCローライブラリーのLEX/DBインターネットと第一法規D1-Law.comの判例体系である。これらのデータベース作成者に感謝する。データベースを使用するに当たっては,データベースごとにアップされている裁判例が異なっており,また,キーワード検索の方法によってヒットする裁判例は異なってくる。しかも,事件類型によっては,関連裁判例数があまりに多く,すべての裁判例を読み込むことは不可能に近い。したがって,本書で取り上げている裁判例は,網羅的なものではないが,ランダムに複数のキーワード検索を行っているため,近年における一定の傾向は示せているのではないかと考えている。
 ただし,上記2つのデータベースだけで検索すると,東京地方裁判所における裁判例が多くなってしまうため,東京中心主義との批判を免れないかもしれない。そこで,本書で具体的な裁判例を取り上げるに当たっては,各事件類型における特徴的な裁判例に関しては,どの裁判所における判断なのか無視して取り上げることとしたが,それ以外の近年の傾向を示している裁判例に関しては,東京地方裁判所の裁判例でないものを優先して取り上げている部分もあるので,その点はご了承いただきたい。
 本書で取り上げている事件類型については,従来から示されてきた事件類型に基本的には準拠しているのであるが,従来はあまり取り上げられてこなかった事件類型における慰謝料に関する裁判例の傾向もできるだけ明らかにしたいと考えて本書の章立てを行っている。したがって,全体的に見慣れない事件類型もあると思われるが,このような事件類型の設定で十分であったかどうかについては,ご批判いただいて,改めて事件類型を検討してみたい。
 そのように設定した事件類型については,あまりに広範囲に及んでいるため,筆者が一人で執筆することには当初躊躇したところである。しかし,事件類型ごとに視点がぶれないようにするためには,筆者が一人で執筆に挑んでみることにも意義があるだろう。そのように考えて執筆を開始したのであるが,個々の裁判例を調べていくと,筆者がこの三十数年の間にさまざまな形で事件処理したり,法律相談に応じて調査したり,著書や論文などを執筆したりした分野も相当多く,全く未知の領域にわたるものはほとんどなかったことがかえって意外であった。
 そのような意味で,筆者を信頼して,事件や相談を依頼してくれたクライアント,著書や論文の執筆を依頼してくれた出版各社の方々のおかげにほかならない。改めて感謝するとともに,筆者が一人で執筆したからこそ,見落としや勘違いもあるだろうと思われる。それらに関しても,ご批判いただければ幸いである。
 本書が出来上がるにあたっては,『介護事故の法律相談』(2019年),『子の親権・監護・面会交流の法律相談』(2019年),『婚姻費用・養育費・財産分与の法律相談』2020年),『終活と相続・財産管理の法律相談』(2022年)に引き続いて,株式会社青林書院編集部の長島晴美氏のお世話になった。昨年の執筆途中で筆者が体調を崩してしまい,原稿にかなり多くのミスを遺してしまったため,長島氏には本書の不十分な点を細かくチェック・修正していただいた。感謝申し上げる。

2024年4月
平 田  厚


著者紹介
平田 厚(ひらた あつし):明治大学専門職大学院法務研究科教授・弁護士

■書籍内容

序 章 慰謝料概説
1 慰謝料の概念/2 慰謝料算定の基準と考慮要素/3 慰謝料の機能/4 死亡慰謝料の請求権者/5 死亡以外の慰謝料の請求権者/6 慰謝料請求の訴訟法的側面

第1章 不法行為に基づく慰謝料
機仝鯆婿故の慰謝料
 1 交通事故における損害賠償請求/2 不法行為(民法709条)に基づく慰謝料請求/3 自賠法に基づく慰謝料請求/4 赤い本による慰謝料の算定基準と増減要素/5 死亡慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−1】〜【1−5】●/6 傷害慰謝料(入通院慰謝料)の裁判例●判例・ 裁判例【1−6】●/7 後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)の裁判例●判例・裁判例【1−7】〜【1−29】●
供〔祥脊迷擦琉崋嬶
 1 名誉毀損の保護法益/2 名誉毀損に対する損害賠償請求/3 名誉毀損の慰謝料/4 名誉毀損の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−30】〜【1−46】●
掘.廛薀ぅ丱掘漆害の慰謝料
1 プライバシーとは/2 肖像権・パブリシティ権/3 プライバシー侵害の慰謝料/4 プライバシー侵害の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−47】〜【1−51】●/5 肖像権侵害の慰謝料/6 肖像権侵害の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−52】〜【1−55】●
検仝朕余霾麒欷酲^稟燭琉崋嬶
1 個人情報とプライバシー情報/2 2020(令和2)年の個人情報保護法改正/3 2021(令和3)年の個人情報保護法改正/4 個人情報保護法違反の慰謝料/5 個人情報保護法違反の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−56】〜【1−60】●
后ゝ埖圓琉崋嬶
1 虐待防止法制の展開/2 虐待の定義の問題/3 虐待に対する慰謝料/4 虐待の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−61】〜【1−65】
此,い犬瓩琉崋嬶
1 いじめ防止対策推進法/2 学校における体罰の禁止/3 いじめに対する慰謝料請求/4 体罰に対する慰謝料請求/5 いじめと体罰の慰謝料請求の裁判例●判例・裁判例【1−66】〜【1−82】●
察.魯薀好瓮鵐箸琉崋嬶
1 ハラスメントの概念/2 セクシュアル・ハラスメント/3 セクシュアル・ハラスメントの裁判例●判例・裁判例【1−83】〜【1−86】●/4 パワー・ハラスメント/5 パワー・ハラスメントの裁判例●判例・裁判例【1−87】〜【1−90】●/6 マタニティ・ハラスメント/7 マタニティ・ハラスメントの裁判例●判例・裁判例【1−91】【1−92】●/8 アカデミック・ハラスメント/9 アカデミック・ハラスメントの裁判例●判例・裁判例【1−93】【1−94】●/10 カスタマー・ハラスメント
次\験茣超侵害(公害・騒音・日照阻害等)の慰謝料
1 生活環境侵害と人格権侵害/2 公害に対する慰謝料/3 騒音に対する慰謝料
●判例・裁判例【1−95】〜【1−97】●/4 振動に対する慰謝料/5 悪臭に対する慰謝料●判例・裁判例【1−98】〜【1−100】●/6 日照阻害の慰謝料●判例・裁判例【1−101】●/7 景観・眺望の侵害に対する慰謝料●判例・裁判例【1−102】【1−103】●
宗|療財産権侵害の慰謝料
1 知的財産権と不法行為/2 知的財産権侵害と慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−104】〜【1−108】●
勝‥效蝋作物の瑕疵の慰謝料
1 民法717条1項の土地工作物責任/2 国家賠償法の公の営造物責任/3 土地工作物の裁判例/4 公の営造物の裁判例/5 土地工作物・公の営造物の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−109】〜【1−124】●
Ⅺ 違法な行政処分による慰謝料
1 行政処分の概念/2 違法な行政処分による慰謝料の裁判例●判例・裁判例【1−125】〜【1−128】●

第2章 家族に関わる慰謝料
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1 離婚自体慰謝料と離婚原因慰謝料/2 離婚慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−1】〜【2−7】●
供”堋膵坩戮料蠎衒に対する慰謝料
1 不貞行為慰謝料の保護法益/2 不貞行為慰謝料の分析/3 不貞行為慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−8】〜【2−26】●
掘〆約の不当破棄の慰謝料
1 婚約の不当破棄と慰謝料/2 婚約不当破棄の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−27】〜【2−34】●
検‘皹錙事実婚の不当解消の慰謝料
1 内縁・事実婚の不当解消と慰謝料/2 内縁・事実婚の不当解消慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−35】〜【2−42】●
后〇劼力△豕遒蝓粉童邯⊃害)の慰謝料
1 監護権の意義と子の連れ去り事件/2 監護権侵害の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−43】〜【2−46】●
此〔眠餮鯲拒否の慰謝料
1 面会交流権とその拒否の慰謝料/2 面会交流拒否の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−47】〜【2−53】●
察_板軻盖埖圓琉崋嬶
1 家庭内虐待の規律/2 懲戒権規定と家庭内虐待/3 懲戒権規定の削除と体罰の禁止/4 家庭内虐待に対する慰謝料/5 家庭内虐待の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−54】〜【2−57】●
次DV被害の慰謝料
1 DVの意味/2 保護命令制度/3 DV被害の慰謝料/4 DV被害慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−58】〜【2−71】●
宗.好函璽ー被害の慰謝料
1 ストーカー規制法の禁止行為/2 ストーカー規制法による禁止命令等/3 ストーカー被害の慰謝料/4 ストーカー被害の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−72】〜【2−77】●
勝.撻奪箸亡悗垢覦崋嬶
1 ペットに関する慰謝料/2 ペットに関する慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−78】〜【2−92】●
Ⅺ 相続事件に関する慰謝料
1 相続に関する不法行為/2 相続事件に関する慰謝料請求/3 相続事件の慰謝料の裁判例●判例・裁判例【2−93】〜【2−96】●

事項索引
判例索引