青林書院




新刊情報


類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕


類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕
編・著者佐々木 宗啓ほか 編著
発行年月2021年06月
ISBN978-4-417-01816-2
税込価格4,950円(本体価格:4,500円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
さらに充実,待望の改訂版!
わかりにくい労働関係紛争のルールを客観的にわかりやすく解説! 
個別的労働紛争に携わる者必携!

●東京地裁労働部に所属して労働関係事件を担当した裁判官が執筆
●働き方改革関連法等による改正をフォロー,新たな判例や裁判例を収録
●新章「非正規労働者の不合理な待遇差等を争う損害賠償請求」を掲載
●コンパクトかつ実務上必要なことを一通り記載,使いやすい仕様


改訂版はしがき
 『類型別 労働関係訴訟の実務』の初版は,平成29年8月に上梓された。
同書は,東京地裁労働部に所属していた裁判官の有志が,わかりにくい労働関
係紛争のルールを,できる限り整理して客観的に叙述することにより,世の人
の役に立つことを目指して刊行された。特に,これから個別的労働紛争の対処
の方法を学んでその解決に携わろうとする者にとって,役に立つものであるこ
とを目標としていた。
 以来,3年半余が経過した。この短い間にも,少なからぬ最高裁判例及び注
目すべき下級審裁判例が出現した。また,平成30年には,労働法の基幹をなす

働基準法,労働契約法などの8法律を改正するいわゆる働き方改革関連法(働
き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律〔平成30年法律第71
号〕)が成立し,労働関係法令に大きな変化が生じた。しかも,令和2年4月1
日からは新民法も施行され,賃金の時効期間や遅延損害金などの取扱いが変化し
た。そのため,これらの労働関係訴訟に影響する法改正を取り込み,最高裁判例
や下級審裁判例を補充する改訂が喫緊の課題となった。そこで,まず,いわゆる
働き方改革関連法による改正をフォローすべく,本書の目的に賛同する新たな執
筆者に加わってもらい,「非正規労働者の不合理な待遇差等を争う損害賠償請求」
を解説する新たな章を設け,従前の各章にも必要なQ&Aを追加した。また,新し
い最高裁判例や下級審裁判例を追加収録するとともに,基本書及び実務書等の法
律文献との繋がりが乏しかった部分を改め,本書の記載に対応する基本書及び実
務書等の引用を増やすことで,利便性をいっそう高めた。その一方で,コンパク
トでありながら実務上必要なことが一通り記載されている使いやすさという要請
にも,適合するよう配慮することにも努めた。
 本書の改訂版を執筆する際,執筆者一同は,本書の目的が,ルールの整理と客
観化にあるとする初版以来の使命を認識したうえで,執務外の時間を割いて草稿
を分担し,その草稿をもとに議論しながら推敲を重ねた。もとより各筆者の分担
部分における見解は,東京地裁労働部の統一的見解でも,筆者らに共通の見解で
もなく,執筆者それぞれが,議論の末に到達した個人的な見解であることは,初
版と変わりがない。しかし,執筆者は,いずれも東京地裁労働部(民事第11部,
第19部,第33部,第36部)に所属して,専門的に労働関係事件を担当してい
た裁判官の有志であり,改訂版は,本書の目的と使命に,よりいっそう沿うもの
となったと自負している。本書が,労働関係紛争に携わる裁判官,弁護士をはじ
め,労働法制を学習しようとする関係者にとって,少しでも役に立つものであれ
ば幸いである。
 最後に,本書の刊行にあたり,新型コロナウイルス感染症の影響で様々な障害
がある中,初版から引き続いて,甚大なるご尽力をいただいた青林書院の長島晴
美編集長に対し,厚くお礼を申し上げたい。
  令和3年4月20日
執筆者を代表して
佐々木 宗啓
伊藤 由紀子



編著者・執筆者紹介
編著者
佐々木 宗啓:盛岡地方・家庭裁判所長(元東京地方裁判所民事第11部部総括判事)
清水   響:大阪高等裁判所第2民事部部総括判事
       (元東京地方裁判所民事第19部部総括判事)
𠮷田   徹:東京地方・家庭裁判所立川支部長判事
       (元東京地方裁判所民事第36部部総括判事)
佐久間 健吉:函館地方・家庭裁判所長(前東京地方裁判所民事第11部部総括判事)
伊藤 由紀子:東京地方裁判所民事33部部総括判事(元東京地方裁判所民事第19部判事)
遠藤  東路:東京高等裁判所第24民事部判事(元東京地方裁判所民事第36部判事)
湯川  克彦:東京高等裁判所第2民事部判事(元東京地方裁判所民事第11部判事)
阿部  雅彦:水戸地方裁判所民事第1部部総括判事
       (前東京地方裁判所民事第11部判事)

執筆者
石田  明彦:東京地方裁判所民事第8部判事(元東京地方裁判所民事第36部判事)
五十嵐 浩介:東京地方裁判所民事第16部判事(元東京地方裁判所民事第11部判事)
鷹野   旭:最高裁判所調査官(元東京地方裁判所民事第11部判事)
宮川  広臣:札幌家庭裁判所判事(元東京地方裁判所民事第19部判事)
堀田  秀一:東京地方裁判所民事第23部判事(元東京地方裁判所民事第19部判事)
水倉  義貴:法務省訟務局訟務支援対策官(元東京地方裁判所民事第36部判事)
(肩書きは刊行当時)





類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕


類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕
編・著者佐々木 宗啓ほか 編著
発行年月2021年06月
ISBN978-4-417-01817-9
税込価格5,170円(本体価格:4,700円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
さらに充実,待望の改訂版!
わかりにくい労働関係紛争のルールを客観的にわかりやすく解説! 
個別的労働紛争に携わる者必携!

●東京地裁労働部に所属して労働関係事件を担当した裁判官が執筆
●働き方改革関連法等による改正をフォロー,新たな判例や裁判例を収録
●新章「非正規労働者の不合理な待遇差等を争う損害賠償請求」を掲載
●コンパクトかつ実務上必要なことを一通り記載,使いやすい仕様


改訂版はしがき
 『類型別 労働関係訴訟の実務』の初版は,平成29年8月に上梓された。
同書は,東京地裁労働部に所属していた裁判官の有志が,わかりにくい労働関
係紛争のルールを,できる限り整理して客観的に叙述することにより,世の人
の役に立つことを目指して刊行された。特に,これから個別的労働紛争の対処
の方法を学んでその解決に携わろうとする者にとって,役に立つものであるこ
とを目標としていた。
 以来,3年半余が経過した。この短い間にも,少なからぬ最高裁判例及び注
目すべき下級審裁判例が出現した。また,平成30年には,労働法の基幹をなす

働基準法,労働契約法などの8法律を改正するいわゆる働き方改革関連法(働
き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律〔平成30年法律第71
号〕)が成立し,労働関係法令に大きな変化が生じた。しかも,令和2年4月1
日からは新民法も施行され,賃金の時効期間や遅延損害金などの取扱いが変化し
た。そのため,これらの労働関係訴訟に影響する法改正を取り込み,最高裁判例
や下級審裁判例を補充する改訂が喫緊の課題となった。そこで,まず,いわゆる
働き方改革関連法による改正をフォローすべく,本書の目的に賛同する新たな執
筆者に加わってもらい,「非正規労働者の不合理な待遇差等を争う損害賠償請求」
を解説する新たな章を設け,従前の各章にも必要なQ&Aを追加した。また,新し
い最高裁判例や下級審裁判例を追加収録するとともに,基本書及び実務書等の法
律文献との繋がりが乏しかった部分を改め,本書の記載に対応する基本書及び実
務書等の引用を増やすことで,利便性をいっそう高めた。その一方で,コンパク
トでありながら実務上必要なことが一通り記載されている使いやすさという要請
にも,適合するよう配慮することにも努めた。
 本書の改訂版を執筆する際,執筆者一同は,本書の目的が,ルールの整理と客
観化にあるとする初版以来の使命を認識したうえで,執務外の時間を割いて草稿
を分担し,その草稿をもとに議論しながら推敲を重ねた。もとより各筆者の分担
部分における見解は,東京地裁労働部の統一的見解でも,筆者らに共通の見解で
もなく,執筆者それぞれが,議論の末に到達した個人的な見解であることは,初
版と変わりがない。しかし,執筆者は,いずれも東京地裁労働部(民事第11部,
第19部,第33部,第36部)に所属して,専門的に労働関係事件を担当してい
た裁判官の有志であり,改訂版は,本書の目的と使命に,よりいっそう沿うもの
となったと自負している。本書が,労働関係紛争に携わる裁判官,弁護士をはじ
め,労働法制を学習しようとする関係者にとって,少しでも役に立つものであれ
ば幸いである。
 最後に,本書の刊行にあたり,新型コロナウイルス感染症の影響で様々な障害
がある中,初版から引き続いて,甚大なるご尽力をいただいた青林書院の長島晴
美編集長に対し,厚くお礼を申し上げたい。
  令和3年4月20日
執筆者を代表して
佐々木 宗啓
伊藤 由紀子



編著者・執筆者紹介
編著者
佐々木 宗啓:盛岡地方・家庭裁判所長(元東京地方裁判所民事第11部部総括判事)
清水   響:大阪高等裁判所第2民事部部総括判事
       (元東京地方裁判所民事第19部部総括判事)
𠮷田   徹:東京地方・家庭裁判所立川支部長判事
       (元東京地方裁判所民事第36部部総括判事)
佐久間 健吉:函館地方・家庭裁判所長(前東京地方裁判所民事第11部部総括判事)
伊藤 由紀子:東京地方裁判所民事33部部総括判事(元東京地方裁判所民事第19部判事)
遠藤  東路:東京高等裁判所第24民事部判事(元東京地方裁判所民事第36部判事)
湯川  克彦:東京高等裁判所第2民事部判事(元東京地方裁判所民事第11部判事)
阿部  雅彦:水戸地方裁判所民事第1部部総括判事(前東京地方裁判所民事第11部判事)

執筆者
石田  明彦:東京地方裁判所民事第8部判事(元東京地方裁判所民事第36部判事)
五十嵐 浩介:東京地方裁判所民事第16部判事(元東京地方裁判所民事第11部判事)
鷹野   旭:最高裁判所調査官(元東京地方裁判所民事第11部判事)
宮川  広臣:札幌家庭裁判所判事(元東京地方裁判所民事第19部判事)
堀田  秀一:東京地方裁判所民事第23部判事(元東京地方裁判所民事第19部判事)
水倉  義貴:法務省訟務局訟務支援対策官(元東京地方裁判所民事第36部判事)
(肩書きは刊行当時)







行政関係訴訟〔改訂版〕


リーガル・プログレッシブ


行政関係訴訟〔改訂版〕
編・著者西川 知一郎 編著
発行年月2021年05月
ISBN978-4-417-01814-8
税込価格5,390円(本体価格:4,900円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
 ますます充実!行政事件訴訟の実際を理解するための必携書!!
●行政事件訴訟の性格や特質の正しい理解,紛争の核心の的確な把握,関係法令や判例法
 理の正確な理解に資する解説
●改正法下の最高裁判例・下級審裁判例,現時点の制度,運用実務,議論状況を踏まえ
 た,体系的でわかりやすい解説
●行政事件訴訟実務の豊富な経験を有する裁判官による解説


 本書の初版が出版されてから12年が経過した。その間,情報通信技術の急速な発展
と普及,グローバル化の一層の進展,昨今の感染症の拡大とそれに伴う生活様式の変
容等,社会経済が大きく変化する中で,行政作用の果たす機能,役割や日常生活,経
済社会に及ぼす影響は質,量ともに拡大,変化しつつあり,行政の適法性を確保し,
違法な行政作用から国民の権利,利益を救済するため,行政事件訴訟を通じて国民と
行政主体との間の紛争の実効的な解決を図ることの重要性は,益々増大しているよう
に思われる。他方で,平成16年法律第84号による行政事件訴訟法の改正が施行されて
16年が経過し,改正法の下での最高裁判例や下級審裁判例が改正法により新しく導入
された制度に関するものを含めて数多く蓄積され,判例法の分野に一層の厚みと深み
を与えるとともに,実務運用の面においても紛争の実効的な解決を目指して様々な工
夫が重ねられてきたところであり,今後も裁判手続のIT化の取組みの進展に伴って
行政事件訴訟についても斬新な視点を交えた更なる運用上の工夫が試みられることと
思われる。
 以上のような状況の下において,行政事件訴訟に携わる実務家にとって,行政事件
訴訟の性格や特質を正しく理解した上で,その法理や手続に十分習熟し,これを縦横
に使いこなすことのできる高度の資質と能力を備えることは,以前にも増して不可欠
なものとなっているということができる。変化の激しい経済社会の中で,裁判手続を
通じた紛争の実効的な解決を図るためには,適正な手続で充実した審理を迅速に遂げ
ることが必要であり,このことは,行政事件訴訟においても異なるところはなく,行
政事件訴訟を通じて国民の権利,利益の実効的な救済を図るためには,行政事件訴訟
に携わる実務家において,行政主体と国民との間で生じている紛争の核心を的確に把
握し,関係法令や判例法理の正確な知識と理解を踏まえた適切な主張,立証活動を適
時に行い,争点についての議論を深めていくことが必要であり,それに耐え得るだけ
の資質,能力を備えることが不可欠であるといえるのである。
 本書の初版は平成16年の改正行政法が施行されて間もない時期に刊行されたこと
もあって,その後,改正法の下での最高裁判例や下級審裁判例が数多く蓄積され,新
たな実務運用も生み出され,制度を取り巻く議論状況が深化する中で,これらを踏ま
えた本書の改訂を早急に施す必要性がかねてから指摘されていたところ,この度,各
執筆者の協力を得て,本書を改訂する運びとなった。本書の改訂に当たっては,リー
ガル・プログレッシブ・シリーズの編集方針にのっとり,行政事件訴訟をあくまでも
実務家の視点でとらえ,項目ごとにその概要をできる限り分かりやすく説明すること
を心がけるという,初版の執筆方針の基本を踏襲しつつ,単に初版以降に現れた最高
裁判例や裁判例を項目ごとに追補したり,法改正の内容を紹介したり,項目間の整合
性を補ったりするにとどめず,その間の最高裁判例や裁判例,関連する議論の積み重
ねによって発展的に形成された現時点における行政事件訴訟の法状態,議論状況を踏
まえ,その視点から初版を振り返り,必要と思われる改訂を行うことを心がけたつも
りである。そのため,改訂原稿の執筆は,可能な限り,初版の執筆者にお願いするこ
とにした。他方で,新たに加わった執筆者も含め,各執筆者がいずれも行政事件訴訟
実務の豊富な経験を有しておられることから,基本的に各執筆者の記述を尊重するこ
ととした。
 初版に引き続き,本書が行政事件訴訟の実務を学ぼうと志す読者諸兄の理解の一助
となれば幸いである。
 最後に,初版に引き続き今回の改訂版の刊行についても大いにご尽力いただいた青
林書院編集部の長島晴美さんに重ねて敬意を表する次第である。

令和3年3月
編集代表  西川 知一郎


編集者
西川 知一郎:大阪高等裁判所判事

執筆者
徳地  淳:福岡地方裁判所判事
廣谷 章雄:東京高等裁判所判事
直江 泰輝:最高裁判所総務局付
棚井  啓:東京地方裁判所判事
石田 明彦:東京地方裁判所判事
田中 健治:那覇地方裁判所長
和久 一彦:最高裁判所調査官
森田  亮:最高裁判所調査官
岡田 幸人:東京地方裁判所判事
森鍵  一:大阪地方裁判所判事
山田 亜湖:岐阜家庭裁判所多治見支部判事
釜村 健太:東京地方裁判所判事
仲井 葉月:岡山地方裁判所倉敷支部判事
(執筆順・肩書きは刊行時)




使用者のための解雇・雇止め・懲戒相談事例集


使用者のための解雇・雇止め・懲戒相談事例集
編・著者高井・岡芹法律事務所 編
発行年月2021年04月
ISBN978-4-417-01815-5
税込価格6,160円(本体価格:5,600円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
●弁護士をはじめとした実務家や企業の労務担当者のために具体的な相談事例66件を
 わかりやすく解説!
 法的に問題なく,確実に解雇等を行うための知識とノウハウを凝縮した相談事例集!


はしがき
解雇や雇止め,懲戒は,古くから訴訟等や議論がなされ,裁判例,文献の蓄積も多い
ですが,その相談,訴訟等はなくなりません。また,特に労働事件では,同種の解雇
事由,雇止め事由,懲戒事由に関する類似の案件であっても,使用者の必要性,労働
者の非違行為の程度や理由,使用者の態度等の具体的事実が異なれば,処分の可否や
程度が異なることや,結論が真逆になることさえ少なくありません。例えば,同じ無
断欠勤を理由とする懲戒処分でも,就業規則の規定が不十分であったり,労働者に出
勤できないやむを得ない事情があったり,業務への影響が小さい場合,欠勤がメンタ
ルヘルス不調に起因する場合,使用者の管理がずさんな場合,類似行為を黙認したり
,軽度の処分にとどめ,過去の処分との均衡を欠いている場合などには,重度の処分
を行うことが難しくなることがあります。さらに,懲戒処分については,けん責から
懲戒解雇まで処分の程度に幅があり,相場感を知りたいとのニーズも多いです。そし
て,昭和から平成になり,労働紛争が組織的紛争から個別的紛争に変化し,ハラスメ
ント事案やメンタルヘルス不調が増加し,ワークライフバランスやダイバーシティが
意識されるようになり,IT,SNSの発達やそれに伴う情報漏えいリスクの増大,令和に
入りCOVID-19禍によりテレワークや副業の拡大など働き方も急速に変化するなど,時
代の変化に合わせて非違行為やそれに対する企業の配慮,対応も変化しています。こ
のように,労働事件では企業の状況,スタンス,規定の定め方,時代の変化に則した
ケースバイケースの分析,検討が必要不可欠であり,その解決のためには,伝統的な
最高裁判例や新しい裁判例の分析,多くの企業からの相談を踏まえたノウハウの蓄積
によるところが大きくなります。
本書では,解雇,雇止め,懲戒それぞれについての総論的な解説に加え,伝統的な問
題意識や多くの企業から相談を受ける重要な問題を中心に解雇,雇止め,懲戒につい
て66のケースを設定し,各々について,回答,新しい問題意識や裁判例も踏まえ着目
すべき事実を説明する解説,プラスアルファのワンポイントアドバイスという構成で
解説を加えました。おそらく本書をお手に取っていただいたみなさまにとっても,一
度は直面したり,頭を悩ませたことのある問題が少なくないのではないでしょうか。
また,人事労務に関する案件を数多く扱ってきた高井・岡芹法律事務所とその出身者
で執筆を行い,そのノウハウを盛り込みました。本書が解雇,雇止め,懲戒に悩んで
いる企業担当者,弁護士や社会保険労務士,税理士等の専門家にとって,紛争予防や
紛争解決の一助になれば幸いです。
最後に,本書の刊行にあたっては,青林書院編集部の留守秀彦氏に企画のご提案から
執筆の打診,丁寧なご指摘も賜り,大変にお世話になりました。同氏とは15年以上に
わたりご縁を賜り,その間にお互いのライフステージや職場も変わりましたが,この
たび一緒に単行本を刊行できたことを大変うれしく思っています。ご縁とご尽力に感
謝申し上げます。
令和3年4月
弁護士 村田浩一


編 者
高井・岡芹法律事務所

執筆者
岡芹 健夫:弁護士(高井・岡芹法律事務所)
帯刀 康一:弁護士(高井・岡芹法律事務所)
秋月 良子:弁護士(森・濱田松本法律事務所)
村田 浩一:弁護士(根本法律事務所)
渡辺 雪彦:弁護士(西村あさひ法律事務所)
若林 眞妃:弁護士(築地四丁目法律事務所)
宇井 一貴:弁護士(高井・岡芹法律事務所)
菅原 裕人:弁護士(三浦法律事務所)
福地 拓己:弁護士(岩田合同法律事務所)
清水 裕大:弁護士(三浦法律事務所)
櫛橋 建太:弁護士(高井・岡芹法律事務所)
八木 麻美:弁護士(高井・岡芹法律事務所)


大コンメンタール刑事訴訟法〔第三版〕第8巻


大コンメンタール刑事訴訟法〔第三版〕〔全11巻〕


大コンメンタール刑事訴訟法〔第三版〕第8巻 待望の第三版刊行開始!
編・著者中山善房・古田佑紀・原田國男・河村博・川上拓一・田野尻猛 編
発行年月2021年04月
ISBN978-4-417-01810-0
税込価格9,900円(本体価格:9,000円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
待望の第三版刊行開始!
捜査・公判協力型協議・合意制度の導入をはじめ, 刑事司法における実務の変化に応える本格的注釈書!

●最新の法律及び規則の改正を盛り込むとともに,近時の判例・学説も取り入れて全
 11巻を全面的に改訂・増補。
●実務の動向を踏まえ,現行刑事訴訟法の客観 的な解釈・運用について詳細に解説し,
 利用価値の高いコンメンタールをめざす。


大コンメンタール刑事訴訟法〔第三版〕【全11巻】
第1巻〈第1条〜第56条〉
第2巻〈第57条〜第127条〉
第3巻〈第128条〜第188条の7〉
第4巻〈第189条〜第246条〉
第5巻〈第247条〜第281条の6〉
第6巻〈第282条〜第316条〉
第7巻〈第316条の2〜第328条〉
★第8巻〈第329条〜第350条の29〉
第9巻〈第351条〜第434条〉
第10巻〈第435条〜第507条〉
第11巻〈刑事訴訟特別法〉


第三版はしがき
 本書の初版(全8巻)の第1回刊行から四半世紀が経過して,裁判員制度の
導入などの刑事手続の大きな改正が相次ぎ,刑事司法の実務はその姿を大きく
変えた。一部とはいえ,検察官と被疑者との間でいわゆる司法取引が行われ,
また一般の国民から選任された裁判員が法壇に座って事前に整理された争点を
中心とした集中審理が行われるという今日の捜査・公判の形は,初版刊行の当
時においては到底現実感を持って想像できなかった姿と言っても過言ではない
であろう。
 そのような変化の中にあって,本コンメンタールは,刑事訴訟法の解釈・運
用の状況を的確に示すものとして,幸いにも多くの実務家及び研究者の方々に
参照され,支持されてきたものと自負している。
 本コンメンタールは,第二版(全11巻)の刊行により,法律及び諸規則の改
正や判例・学説の動きに合わせ,アップデートを行ったが,第二版の第1回刊
行から10年が経過し,この間,実務においては裁判員裁判の定着と運用の改善
が進められるとともに,立法においては,実体法の改正に伴うものを含め,累
次にわたり注目すべき改正が行われてきた。中でも,協議・合意制度や取調べ
の録音・録画制度の導入など,法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」
の調査審議の結果に基づく刑事訴訟法等の改正(平成28年法律第54号)は,裁
判員制度を導入するなどした司法制度改革以上に,より直接的に捜査実務に変
化をもたらしており,この改正を機に,第二版の内容を全面的に見直して改訂
を図り,最新の法令,判例,学説はもとより実務の動向をも織り込んで現行刑
事訴訟法の客観的な解釈・運用状況を明確にし,利用価値の一層高いコンメン
タールを目指し,第三版を刊行することとした。
 第三版では,平成23年法律第74号以降の改正を取り扱っているが,同法は,
サイバー犯罪その他の情報処理の高度化に伴う犯罪等に対処するための刑法及
び刑事訴訟法の改正等を内容とするものであり,また,第二版刊行後の最重要
判例の一つである最〔大〕判平29・3・15集71巻3号13頁も,GPS捜査を題材
として,強制処分と任意処分の限界について,最高裁が判断を示したもので,
刑事訴訟法及び刑事司法の実務も,情報通信技術の高度化,国際化など社会の
変化に大きく影響を受けていることが特徴的である。
 第三版の編集・解説の方針も,基本的に初版・第二版と同様であるが,実務
に精通した第一線の執筆陣を新たに迎え,最新の法令,判例,学説,実務の動
向を幅広く盛り込み,今日の刑事訴訟法の解釈・運用の到達点を的確に描出す
るようお願いした。
 この第三版が,初版及び第二版と同様,実務家及び研究者の方々に広く支持
され,活用されることを切に願うものである。
 2021年3月
中山 善房 
古田 佑紀 
原田 國男 
河村  博 
川上 拓一 
田野尻 猛 


編集者 
中山 善房 元東京高等裁判所判事
古田 佑紀 弁護士・元最高裁判所判事
原田 國男 弁護士・元東京高等裁判所判事
河村  博 同志社大学法学部教授・元名古屋高等検察庁検事長
川上 拓一 弁護士・元東京高等裁判所判事
田野尻 猛 富山地方検察庁検事正

執筆者 
中谷雄二郎 弁護士・元大阪高等裁判所判事
田口 守一 早稲田大学名誉教授
三好 幹夫 弁護士・元東京高等裁判所判事
河村  博 前掲
田野尻 猛 前掲
  (伊藤 栄二〔第二版執筆〕)
(所属・肩書きは本書刊行時)






民事執行の法律相談


最新青林法律相談


民事執行の法律相談
編・著者盪蛙鯢Аθ藤正憲 編
発行年月2021年03月
ISBN978-4-417-01809-4
税込価格6,160円(本体価格:5,600円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
令和元年改正民事執行法
 改正概要:
〆通骸圓虜盪詐況の調査の実効性の向上,
不動産競売における暴力団員の買受け防止,
子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化及び国際的な子
 の返還の強制執行に関する規律の見直し、
ず慌ゞ愡澪銚△亡悗垢覽律及び債権執行事件の終了に関する規律の見直し
 下の運用実務を踏まえて,実務上重要な諸問題と手続を詳解! 全76問のQ&A!

・手続の流れを理解しつつ,実務上しばしば直面する個別具体的な問題への対応策
 を知ることができる
・実際の法律相談及び手続の利用において活用しやすいように体系的に整理,実務
 対応の指針を示しつつわかりやすく解説


編 者
 盪魁/鯢А (杆郢
 尾藤 正憲  弁護士

執筆者(執筆順)
 尾藤 正憲  弁護士
 森安 博行  弁護士
 川中 啓由  弁護士
 三田村大介  弁護士
 花渕 悠果  弁護士
 笹川 大智  弁護士
 長澤 淳哉  弁護士
 山田 皓介  弁護士
 内野 寛信  弁護士
 南   悠樹  弁護士
 佐々木政明  弁護士
 小古山和弘  弁護士
 合田 顕宏  弁護士
 岩田 幸剛  弁護士
 井上 卓士  弁護士
 井坂和香子  弁護士
上記編者・執筆者の所属(令和3年2月現在)

 TMI総合法律事務所
  〒106-6123 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー23階
            (東京オフィス) URL:http://www.tmi.gr.jp/


はしがき
 民事執行手続は,国家権力を利用して私法上の権利を強制的に実現する重要な手続
であり,債務者の財産の差押え,換価,配当により債権の回収を図ることができます
。このような権利の実現はできるだけ簡易・迅速に行われる必要があり,そのために
は,民事執行実務を円滑に利用すべく,手続全体の流れを理解しつつ,実務上しばし
ば直面する個別具体的な問題への対応策を知ることが不可欠であるといえます。
 令和元年5月10日に,「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する
条約の実施に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第2号)が成立し,
同月17日に公布されました。また,これに対応して,同年11月27日に,「民事執行規
則等の一部を改正する規則」(令和元年最高裁判所規則第5号)が公布されました。
いずれも,一部の規定を除き,令和2年4月1日から施行されています。民事執行法に
関しては,平成15年における「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一
部を改正する法律」(平成15年法律第134号)による改正以来の大規模な改正となり
ます。また,「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」
(ハーグ条約実施法)に関しては,平成25年の制定後最初の大改正となります。
 主な改正の目的は,〆通骸圓虜盪詐況の調査の実効性の向上,不動産競売にお
ける暴力団員の買受け防止,子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化及び国際
的な子の返還の強制執行に関する規律の見直し,ず慌ゞ愡澪銚△亡悗垢覽律及び債
権執行事件の終了に関する規律の見直しという点にあります。これらは,民事執行を
めぐる最近の情勢に鑑み,養育費の履行確保や市民生活の平穏確保等を含む喫緊の個
別的な課題に対応したもので,とりわけ,第三者からの情報取得手続の新設は,債権
回収業務に影響を与えています。
 本書は,このような改正後の民事執行実務の運用状況を踏まえ,民事執行法上重要
な諸問題と手続について,弁護士等の法律実務家が,実際の法律相談及び手続の利用
にあたって活用しやすいように,体系立てて整理し,具体的な法律実務対応の指針を
示す内容として,Q&Aでわかりやすく解説をすることを目指して執筆したものです。
 本書が皆様の民事執行法制への実務対応の一助となれば幸いです。
 最後になりましたが,本書の企画・提案から出版まで長期間にわたるご尽力をいた
だいた青林書院編集部の長島晴美氏に心より御礼申し上げます。

令和3年2月
TMI総合法律事務所
弁護士 盪蛙鯢
 同  尾藤正憲





感染症と憲法


感染症と憲法
編・著者大林 啓吾 編
発行年月2021年03月
ISBN978-4-417-01808-7
税込価格3,850円(本体価格:3,500円)
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■解説
コロナ禍を素材に憲法の視点から感染症問題を考察!

●リスク社会の立憲主義を念頭に,国家と公衆衛生の関係を探り,自由と安全のバラン
 スのとれた感染症対策のあり方を検討。感染症法制を考える際の基盤となる研究書!


はしがき
 2020年3月11日にWHO が新型コロナウイルスのパンデミックを宣言して
から約1年が経つ。今後は,ワクチン接種により,多少なりとも改善するので
はないかという期待が寄せられている状況にある。
 もっとも,ここまでの道のりは平たんではなかった。日本では,2020年4月
に新型インフルエンザ等特別措置法上の緊急事態宣言を出すか否かで,発令に慎
重な国(政府)と発令を求める地方自治体との間で見解が分かれ,しびれを切ら
した一部の地方自治体が独自の緊急事態宣言を発令するに至った。4月7日の国
の緊急事態宣言発令後,外出自粛や営業自粛などの要請が相当の効果をあげたが
,一部に従わない者がいたことから,同調圧力の問題が生じたり,強制力を付与
するように法改正すべきとの声が上がったりした。その後,いったん状況が改善
され,5月には緊急事態宣言が解除されたものの,第2波や第3波により,一進
一退の状況が続いた。政府はGo ToTravel やGo To Eat などのGo To キャンペ
ーンを推進していたが,これを停止するかどうかについても物議をかもした。
10月には感染者数が10万人を突破し,日本医師会はGo To キャンペーンの停
止を求め,世論も停止に傾いていたが,政府はGo To キャンペーンと感染増加
との因果関係が定かではないとし,地方自治体の判断に委ねる姿勢を示した。
これに対して地方自治体は責任を押し付けられることを嫌い,国が判断すべきと
して反発した。
最終的には両者の協議によって一時的に停止するに至ったが,医療がひっ迫し,
再び緊急事態宣言を発令すべきではないかという声も上がった。一方,12月に
入るとイギリスやアメリカでワクチン接種が始まり,日本も2021年の前半には
ワクチン接種が始まる見通しになっている。
 以上は一部をかいつまんでコロナ禍の流れを振り返っただけであるが,それだ
けでも新型コロナ対策が難しい問題であることがわかる。そしてそれは諸々の憲
法問題をはらんでいる。すなわち,国家の公衆衛生維持の責務の問題,緊急事態
宣言発令の問題,規制態様と権利の問題,国と地方の関係の問題など,様々な憲
法問題を惹起しているのである。
 マクロ的視点からみれば,感染症が惹起する憲法問題は自由と安全の一断面と
いえる。すなわち,生命や身体の安全を目指す感染症対策とそれによって制約さ
れる自由との関係をどのように考えるかという問題である。ただし,コロナ禍は
従来の自由と安全の対立構図とはいささか異なる様相を呈している側面がある。
 それは,自由と安全を追求する主体において顕著である。日本では,政府が厳
しい新型コロナ対策には消極的であり,むしろ経済活動や人の移動を重視し,
強制力を加える法改正には慎重な姿勢を示してきた。それは結果として営業の
自由や外出の自由を重視することになり,安全よりも自由を優先するスタンスを
とったといえる。一方,地方自治体や世論は新型コロナ対策の厳格化に肯定的
であり,強制力を辞さない態度であったように思える。
 かかる状況は日本だけでなく,一見するとアメリカなどにおいても似たような
状況が創出されていた。トランプ大統領は新型コロナ対策よりも経済重視の姿勢
を崩さなかったのに対し,人口が多い州や地方自治体はロックダウンに踏み切り
,それに賛同する市民も少なくなかったからである。自由と安全という観点から
みた場合,これは従来とは異なる構造になっているようにみえる。戦争やテロと
いった問題に直面したとき,これまでは政府が安全対策を積極的に行い,それに
よって自由を制限される市民が反発するという構図が一般的であったからである
。もっとも,アメリカの場合は保守とリベラルというイデオロギーの違い,州の
役割,ロックダウンの実施という側面からみれば,一応の説明がつく。たしかに
,緊急時において安全を重視する保守派と緊急時においても一定の自由を確保し
ようとするリベラル派という構図からすると,今回の状況は異例のようにみえる。
しかし,保守派はもともと小さな政府を標榜し,リベラル派が大きな政府を目指
すという点に着目すると,前者が新型コロナ対策に消極的で,後者が積極的であ
ってもおかしくない。また,連邦制をとるアメリカでは州が感染症対策に関する
権限を持つ。そのため,州が積極的に感染対策を行うのは当然のことであり,複
数の州がロックダウンを行うなど,強制的に営業,外出,集会などを規制した。
そのため,結果的には公権力(州)が安全のために自由を制限したという点では
従来と変わらない。実際,アメリカでは市民がロックダウンに対して訴訟を提起し
ており,古典的な自由と安全の対立の構造を創出している。
 一方,日本はこれとはやや異なる状況にある。政府は緊急事態宣言の発令に消
極的で,また2020年の間は強制的措置を含めた法改正にも慎重であり,実際に行
った新型コロナ対策も自粛要請というソフトな手法だったのに対し,地方自治体
や市民からはより厳しい措置を求める声が上がり続け,古典的な自由と安全の対
立とは異なる様相を呈している。
 安全保障が国の責務であることからすれば,それが不十分な場合に,市民が適
切な対応を求めるのは自然なことである。しかし,ここでは市民自らが強制力の
行使による自由の制約を望んでいるような形になっており,国家権力に対して懐
疑的姿勢を貫いてきた立憲主義にはそれに対する応答が迫られることになる。
こうした状況につき,公権力に対峙する強い個人像から外れるとしてそれを問題
視するか,政府の誘導に慣れきった現代社会の弱い個人を想定して強制的介入を
も積極的に受容するか,個人やコミュニティによる自主的な公共秩序を形成すべ
きという観点から公権力の介入に否定的なスタンスをとるか,市民自らが望む場
合に限り国家の強制力発動を肯定していくか,それともやはり現代における立憲
主義像をあらためて模索するかなどいくつかの回答が考えられるが,現時点にお
いて確かな答えが提示されているわけではない。
 リスク社会を迎えた現代においては自由と安全の両方が必要であることからす
れば,近代立憲主義のように常に権力統制のみに焦点を絞るのではなく,自由と
安全の調整をはかることが必要である。つまり,自由と安全の関係をトレードオ
フで捉えるということである。これについては安全の利益が大きくなるがゆえに
自由が優先される可能性が低くなるのではないか,さらにはゼロサムの結果とな
るがゆえに安全が優越した場合には自由が回復不可能なダメージを被るのではな
いかという点が懸念される。しかし,トレードオフで考えるからといって,その
得失の対比や計算が必ずしも安全優位になるわけではない。得失の対比は新型コ
ロナ対策による生命の安全とそれによって制約される自由との対立という形にな
るが,しかし,その調整は両者の利益を生のまま天秤に乗せて判断するわけでは
ない。そこにはリスク計算が必要である。すなわち,〈損害発生確率×損害の大き
さ〉である。そのため,安全の利益が大きくなる傾向があっても,損害の発生確
率が低ければ優先される可能性は低くなり,また損害の大きさについても長期的
視点からみた利益を含めれば自由が被る損害の程度は必ずしも常に小さいわけで
はない。ただし,緊急時においてはやはり安全の利益が高まることが予測される
ことから,たとえその問題については安全を優先する形になっても―その意味で
はゼロサムである―統治プロセスの維持などについては墨守する必要がある。
 また,リスク社会はリスクの循環に耐えうる憲法秩序を要請することから,三
権のいずれもがリスク対応の責務とそれによって生じるリスクの責任を負うこと
になり,近代立憲主義が憲法保障のコアと位置付けてきた司法審査のみならず,
全体的な視野から統治構造を見つめ直す必要がある。そのため,コロナ禍の問題
については,感染症対策に関する法制度のあり方や対策によって被った損害に対
する救済のあり方を検討することが不可欠となり,またコロナ禍において実際に
生じた憲法問題を考察する必要がある。
 そこで本書では,コロナ禍を素材にして,憲法の観点から感染症問題を考察す
る。第1章は,リスク社会における憲法秩序のあり方など総論的なテーマを扱い
ながら,歴史的に公衆衛生がどのように維持されてきたのかを振り返り,国家が
公衆衛生維持の責務を負っていることを明らかにし,それに関する法学的分析と
して公衆衛生法学の必要性を提示する。第2章では,日本の新型コロナ対策を概
観しつつ,制度上の課題や緊急事態宣言の問題を取り上げる。第3章では,アメ
リカとフランスの感染症予防モデルを考察し,その意義と課題を考える。第4章
は,隔離制度について歴史的展開を踏まえながらその連続する面と転換した面を
明らかにし,現行制度の特徴を描き出す。第5章は,緊急時の流言やデマについ
て法制度や調査など法社会学的アプローチを用いながら,その実態を考察する。
第6章は,パンデミック時における選挙の問題を取り上げ,選挙日の延期,郵便
投票への転換,郵便投票期日の延長などの問題を考える。第7章では,コロナ禍で
話題になったマスク着用の問題を取り上げ,マスクの機能を考察しながら,その着
脱規制の是非について検討する。第8章では,コロナ禍の際に憲法改正による緊急
事態条項の創設を求める声があったことから,その必要性について検討する。第9
章では,日本の新型コロナ対策をもとに,憲法の観点からそれを考察し,その意義
と課題を考える。
 本書はコロナ禍を素材に検討するものであることから,その内容は試論的側面が
強く,なお検討の余地がある点も少なくない。他面,これまで十分に検討されてこ
なかった領域であるがゆえに,従来の枠に捉われずに考察を試みるべく,憲法のみ
ならず,英米法,法社会学,法哲学の先生方にも本書に加わっていただいた。
本書が今後の感染症対策を考える上でわずかにでも貢献できる部分があれば幸甚で
ある。
 なお,コロナ禍をめぐる状況は日々変化しており,国や地方自治体の対応にも変
化がみられる。本書でも可能な限り新しい情報を反映させようと試みたが,どこか
で線を引かなければ章ごとに内容や情報にズレが生じてしまうおそれがある。そこ
で,本書で扱う対象範囲は,原稿の締切であった2020年10月末までを基本とし,
章によってはその後の校正作業において2020年12月末までの情報を取り込むこと
にした。そのため,本書は2021年以降の状況を対象に入れていない。この「はしが
き」を書いている2021年1月の時点で2回目の緊急事態宣言が発令され,また法改
正が進められている状況にあり,これらについても検討対象に含めたいところであっ
たが,今回はそれらを対象に含めていないことを断っておく。
 本書を編むにあたり,青林書院の留守秀彦氏には企画,編集,校正のすべての点に
おいて大変お世話になった。コロナ禍の中,感染症対策に留意しながら何度か打合を
行ったのは忘れられない思い出になりそうである。また,こうした中,本書の刊行に
快く応じてくださった逸見慎一社長にも厚く御礼を申し上げたい。
  
2021年1月22日   感染症法等の改正案が国会に提出された状況を注視しながら
編者 大林 啓吾


〔編 者〕
大 林 啓 吾(千葉大学大学院専門法務研究科教授)
  
〔執筆者(執筆順)〕
大 林 啓 吾(上掲)
西 迫 大 祐(沖縄国際大学法学部准教授)
溜 箭 将 之(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
森   大 輔(熊本大学法学部准教授)



大コンメンタール刑法〔第三版〕10巻


大コンメンタール刑法【第三版】〔全13巻〕


大コンメンタール刑法〔第三版〕10巻
編・著者大塚 仁・河上和雄・中山善房・古田佑紀 編
発行年月2021年02月
ISBN978-4-417-01807-0
税込価格13,200円(本体価格:12,000円)
在庫有り
  
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■解説
全巻(13巻)完結!

◆全13巻に改訂・増補を施し,現行刑法典の全容を解明する!
◆精鋭執筆陣が進展する学説と蓄積する判例を網羅的に検討し,関連諸法令の
 動向も踏まえ,実務と理論研究の架橋をめざす!  

(第13回配本)

◎大コンメンタール刑法〔第三版〕【全13巻】構成表
第1巻〔序論・第1条〜第34条の2〕      第8巻〔第148条〜第173条〕
第2巻〔第35条〜第37条〕          第9巻〔第174条〜第192条〕
第3巻〔第38条〜第42条〕          第10巻〔第193条〜第208条の3〕
第4巻〔第43条〜第59条〕          第11巻〔第209条〜第229条〕
第5巻〔第60条〜第72条〕          第12巻〔第230条〜第245条〕
第6巻〔第73条〜第107条〕          第13巻〔第246条〜第264条〕
第7巻〔第108条〜第147条〕


はしがき(第三版)
 本書の第二版全13巻は,平成11年(1999年)から同18年(2006年)
にわたって刊行された.その最初の年から既に20年が過ぎており,その
間に,刑法典の部分的改正は19回に及び,また,刑法典と関連の深い諸
法令の改正や新規の制定も少なくない.そして,刑法に関する新判例の数
は相当数に達しており,学説にも種々の見解が見受けられる.
 第三版は,このような諸事情を踏まえて,初版以来の出版意図,すなわ
ち,「刑法に関する諸判例を網羅的に取り上げ,それぞれに対する学説に
も十分な意を用いつつ,整理,検討を加えることによって,現実的かつ具
体的な刑法解釈論としての判例の意義を明らかにし,我が国の刑事司法実
務に便益を供するとともに,学問的にも価値のある大コンメンタールとす
る」という意図の下に(第二版はしがき1頁〔第三版はしがき3頁〕,な
お,初版はしがき1頁〔第三版はしがき5頁〕参照),新たな社会事情に対
応し,諸般の要請に,より適切に対処し得るものとするべく,第二版を改
訂するものである.
 すなわち,第二版作成以後に出現した法令,判例および学説を広範に取
り入れて従前の記述を補充,改変し,本書の実質的な存在性をより向上さ
せることが新第三版の目標なのである.
 ただ,第三版の叙述の要領は,基本的に,初版,第二版と異ならない.
初版のはしがき(2頁〔第三版はしがき6頁〕)に・〜・として掲げたとこ
ろも踏襲している.そして,記述の分量は各巻につき前の巻よりもかなり
増加したものの,巻数は同じく全13巻に収められている.
 第三版の執筆者も,原則として,第二版の執筆を担当して下さった方々
に,同一の項目について引き続き作業をお願いした.ただ,残念ながら物
故者もおられ,また,やむを得ない事情によって辞退された方もあり,そ
れらの項目は,新しい方々に交替していただいた.そして,各執筆者には
,上述した第三版刊行の意図,叙述の要領を十分にご理解の上作業をご依
頼したこともあり,それぞれに充実した内容の玉稿をお寄せいただくこと
ができた.こうして,第三版は,第二版を十分に越えた実体を持ち得たと
思われる.執筆者各位に心からの御礼を申し上げる.
 なお,本書の企画者であり,初版,第二版刊行の責任者でもあられた青
林書院前社長逸見俊吾氏が平成14年(2002年)に他界され,また,初版
,第二版の編集者の一人であられた佐藤文哉氏が平成18年(2006年)に
永眠された.本書作成へのお二人のご貢献に改めて感謝したい.そして,
初版,第二版の各項目を分担ご執筆下さった方々中の物故者にも,それ
ぞれの分野についての多大なご協力に深謝申し上げる.各位のご冥福を衷
心よりお祈りする次第である.
 本第三版の編集者には,中山善房が新たに加わり,前任者の意図を継承
して努めている.
 編集委員は,河村博,中谷雄二郎両氏にご担当いただいている.
 そして,青林書院の社長には,前社長の令息逸見慎一氏が就任して,第
三版の刊行作業を統轄され,また,編集部からは,加藤朋子,森敦両氏が
全体的な作業の遂行に当たられている.
 第三版の立派な完成を祈りつつ,以上の皆様のご尽力にお礼を申し上げ
る次第である.
 
  令和3年(2021年)1月
  大塚  仁
  河上 和雄
  中山 善房
  古田 佑紀


■編 集 者
  大塚  仁 名古屋大学名誉教授
  河上 和雄 元最高検察庁公判部長
  中山 善房 元東京高等裁判所判事
  古田 佑紀 元最高裁判所判事

■編集委員
  河村  博 同志社大学法学部教授・元名古屋高等検察庁検事長
  中谷雄二郎 元大阪高等裁判所判事

■執 筆 者
  佐藤  淳 出入国在留管理庁審議官
   (河上 和雄〔第二版執筆〕)
   (小川 新二〔第二版執筆〕)
  古田 佑紀 (前掲)
  渡辺 咲子 明治学院大学名誉教授
   (五十嵐さおり〔第二版執筆〕)
  金築 誠志 元最高裁判所判事
  古川原明子 龍谷大学法学部准教授
  中村 芳生 弁護士
   (野々上 尚〔第二版執筆〕)
(執筆順・肩書は刊行時)



意匠・デザインの法律相談


最新青林法律相談


意匠・デザインの法律相談
編・著者小谷 悦司・小松 陽一郎・伊原 友己 編
発行年月2021年02月
ISBN978-4-417-01805-6
税込価格7,920円(本体価格:7,200円)
在庫有り
  
在庫があります

■解説
新時代のデザイン知財法制を完全解説
◆令和2年改正意匠法までの知財法改正に完全準拠!!     
◆経験豊富な実務家,知財法学者による最新の裁判例も踏まえた最先端の解説!!
◆デザイナーやデザインを学ぶ方々の理解に資する平易な解説!!

      
はしがき
 『意匠・デザインの法律相談』(新・青林法律相談)は2004年6月に初版が,
2006年3月には増刷本(第2刷)が刊行されましたが,初版刊行から16年近く
が経過しました。
 この間,産業界を含む社会が大きく変化しました。今日では,デジタル革命,
AI,IoT,第4次産業革命,5G等の言葉が巷にも溢れ,デザインをコアとした
企業戦略の必要性がますます高まってきています。
 特許庁の「特許行政年次報告書2019年版」をみると,意匠・商標制度につい
て,「優良な顧客体験が競争力の源泉として重要性を高める中,デジタル技術を
活用したデザイン等の保護や,ブランド構築のため,意匠制度等を強化する。」
とされ,また,「製品の同質化(コモディティ化)が急速に進み,機能や品質の
みで,他者製品を凌駕するだけの差別化を図ることが困難な今日,米アップル
社や英ダイソン社をはじめとする欧米企業は,デザインによって新しい価値を
創造し,イノベーションを創出するとともに,自社独自の強みや技術,イメー
ジをブランド・アイデンティティとしてデザインによって表現することで,製
品の価値を高め,世界的な市場拡大に結び付けている。」と紹介しています(
同報告書117頁等)。
 さて,令和元年改正意匠法(令和2年4月からその多くの改正項目が施行さ
れています)は,「モノについてのデザインのみならず,コト(経験)のデザイ
ンを重視する」という観点から「空間デザイン」も保護しようとするなど,そ
の保護対象の拡大や保護強化等には目を見張るものがあり,10ヵ所もの極めて
重要な改正がなされ,これにより,ようやく世界的水準に達したといわれてい
ます。
この改正法の内容を十分に理解して有効利用し,ビジネスに反映させることが
喫緊の課題といえましょう。特許庁の「特許行政年次報告書2020年版」でも,
「使いやすい意匠制度の実現に向けた取組」として,意匠審査基準の改訂など
をアピールしています(同報告書125頁以下)。
 また,デザイン保護という観点からは,著作権法も非常に重要な知的財産法
ですが,この30年間でも,インターネットやデジタル技術対応ともいえる種々
の法改正が重ねられてきており,柔軟な権利制限規定も導入され,また応用美
術についての判例や学説も,かなり深化してきています。
 さらに,より広くデザインを保護・活用するためには,意匠法や著作権法の
みならず,商標法や不正競争防止法,特許法,実用新案法など知的財産法全般
の総合的な理解が必要であることはいうまでもありません。
 そこで,本書では,改正意匠法や著作権法プロパーの内容のみならず,意
匠・デザインという客体で括って広く知的財産法全体の視座からも検討する設
問をできるだけ増やしております。
 設問は,なるべく具体化し,また回答も客観的で平易であり,最新の判例な
どもふんだんに取り入れる,というコンセプトで編集にあたりました。
 また,広く意匠やデザインに関する仕事をされている各種デザイナーや,芸
術・建築分野の大学や専門学校などで勉強をしておられる方々にもご利用頂き
たいという思いから,執筆者各位には,難関な法律用語を多用するような解説
を控えて頂き,またなるべくビジュアルな資料も添えて頂くようにもお願いし
ました。
 本書の各設問の解説については,意匠・デザイン分野の知的財産法制を研究
されている学者の先生方,弁護士資格をお持ちで,かつ経済産業省(知的財産
政策室)や特許庁の法制専門官として各所管法令を普段から手掛けておられる
方々,さらには在野において実際にクライアントから,あるいは企業内で法律
相談やデザイン戦略の立案等に対応している法律実務家(弁護士,弁理士〔イ
ンハウスを含みます〕)にお願いしました。
 そして,設問も旧版を大きくブラッシュ・アップし,今日的なものを多く加
えて1.5倍に増やし,2分冊で出版することとしました。なお,複数の異なる
設問で講学上は同一の論点に属することについて記述されているところもあり
ますが,設問単位である程度,完結する解説となっていたほうが利便性が高い
と思われ,その利用しやすさを優先しましたのでご了承願います(関連する他
の設問番号も多く引用されていますので,適宜そちらと併せてご参照頂ければ
幸いです)。
 ご多忙の中,本書の趣旨にご賛同いただき,また令和の意匠法大改正が動き
始めた時機に後れることがないようにという思いから,編集者がタイトな出版
スケジュールを設定したにもかかわらず,快く執筆をお引き受けくださった執
筆者各位には心よりお礼申し上げます。
 また,設問の改訂・追加から出版に至るまで事務局として多大なサポートを
頂きました川瀬幹生先生,早稲田祐美子先生,服部誠先生,黒田薫先生,及び
大住洋先生には感謝申し上げます。
 本書が,意匠・デザインに関わる皆様方の座右の書の1冊となれば,望外の
幸せです。
 最後に,本書の出版にあたり大変御世話になった宮根茂樹編集顧問をはじめ
とする青林書院の関係者の皆様には心からお礼申し上げます。
令和3年1月
小谷 悦司
小松 陽一郎
伊原 友己


編集者
小谷 悦司(弁理士)
小松陽一郎(弁護士・弁理士・日弁連知的財産センター幹事)
伊原 友己( 弁護士・弁理士・日弁連知的財産センター副委員長・弁護士知財
       ネット事務局長)

出版事務局
■事務局長(著作権分野担当)
 早稲田祐美子(弁護士・日弁連知的財産センター副委員長)
■事務局顧問
 川瀬 幹夫(弁理士)
■事務局(商標・不正競争防止法分野担当)
 服部  誠(弁護士・日弁連知的財産センター事務局長)
■事務局(意匠法分野担当)
 黒田  薫( 弁護士・弁理士・産業構造審議会知的財産分科会意匠制度
        小委員会委員)
■事務局(総合調整)
 大住  洋(弁護士・弁理士・関西大学法科大学院特別任用准教授)
  
執筆者(執筆順)
松本 健男(特許庁制度審議室法制専門官)
伊原 友己(上 掲) 
小松陽一郎(上 掲) 
内田  誠(弁護士・弁理士) 
村田 真一(弁護士) 
早稲田祐美子(上 掲) 
諏訪野 大(近畿大学法学部教授) 
阿久津匡美(弁護士) 
青木  潤(弁理士) 
重冨 貴光(弁護士・弁理士) 
大塚 啓生(弁理士) 
齊藤 良平(弁理士) 
野村 慎一(弁理士) 
五味 飛鳥(弁理士) 
松井 宏記(弁理士) 
安立 卓司(弁理士) 
土生 真之(弁理士) 
小谷 昌崇(弁理士) 
並川 鉄也(弁理士) 
布施 哲也(弁理士) 
服部  誠(上 掲) 
西村 雅子(弁理士・国際ファッション専門職大学教授) 
木村耕太郎(弁護士・弁理士) 
青木 大也(大阪大学大学院法学研究科准教授) 
黒田  薫(上 掲) 
城山 康文(弁護士) 
高石 秀樹(弁護士・弁理士・カリフォルニア州弁護士) 
[令和3年1月1日現在]






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最新青林法律相談


意匠・デザインの法律相談
編・著者小谷 悦司・小松 陽一郎・伊原 友己 編
発行年月2021年02月
ISBN978-4-417-01806-3
税込価格8,250円(本体価格:7,500円)
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■解説
新時代のデザイン知財法制を完全解説
◆令和2年改正意匠法までの知財法改正に完全準拠!!     
◆経験豊富な実務家,知財法学者による最新の裁判例も踏まえた最先端の解説!!    
◆デザイナーやデザインを学ぶ方々の理解に資する平易な解説!!


はしがき
 『意匠・デザインの法律相談』(新・青林法律相談)は2004年6月に初版が,
2006年3月には増刷本(第2刷)が刊行されましたが,初版刊行から16年近く
が経過しました。
 この間,産業界を含む社会が大きく変化しました。今日では,デジタル革命,
AI,IoT,第4次産業革命,5G等の言葉が巷にも溢れ,デザインをコアとした
企業戦略の必要性がますます高まってきています。
 特許庁の「特許行政年次報告書2019年版」をみると,意匠・商標制度につい
て,「優良な顧客体験が競争力の源泉として重要性を高める中,デジタル技術を
活用したデザイン等の保護や,ブランド構築のため,意匠制度等を強化する。」
とされ,また,「製品の同質化(コモディティ化)が急速に進み,機能や品質の
みで,他者製品を凌駕するだけの差別化を図ることが困難な今日,米アップル
社や英ダイソン社をはじめとする欧米企業は,デザインによって新しい価値を
創造し,イノベーションを創出するとともに,自社独自の強みや技術,イメー
ジをブランド・アイデンティティとしてデザインによって表現することで,製
品の価値を高め,世界的な市場拡大に結び付けている。」と紹介しています(
同報告書117頁等)。
 さて,令和元年改正意匠法(令和2年4月からその多くの改正項目が施行さ
れています)は,「モノについてのデザインのみならず,コト(経験)のデザイ
ンを重視する」という観点から「空間デザイン」も保護しようとするなど,その
保護対象の拡大や保護強化等には目を見張るものがあり,10ヵ所もの極めて重
要な改正がなされ,これにより,ようやく世界的水準に達したといわれています

この改正法の内容を十分に理解して有効利用し,ビジネスに反映させることが
喫緊の課題といえましょう。特許庁の「特許行政年次報告書2020年版」でも,
「使いやすい意匠制度の実現に向けた取組」として,意匠審査基準の改訂など
をアピールしています(同報告書125頁以下)。
 また,デザイン保護という観点からは,著作権法も非常に重要な知的財産法
ですが,この30年間でも,インターネットやデジタル技術対応ともいえる種々
の法改正が重ねられてきており,柔軟な権利制限規定も導入され,また応用美
術についての判例や学説も,かなり深化してきています。
 さらに,より広くデザインを保護・活用するためには,意匠法や著作権法の
みならず,商標法や不正競争防止法,特許法,実用新案法など知的財産法全般
の総合的な理解が必要であることはいうまでもありません。
 そこで,本書では,改正意匠法や著作権法プロパーの内容のみならず,意
匠・デザインという客体で括って広く知的財産法全体の視座からも検討する設
問をできるだけ増やしております。
 設問は,なるべく具体化し,また回答も客観的で平易であり,最新の判例な
どもふんだんに取り入れる,というコンセプトで編集にあたりました。
 また,広く意匠やデザインに関する仕事をされている各種デザイナーや,芸
術・建築分野の大学や専門学校などで勉強をしておられる方々にもご利用頂き
たいという思いから,執筆者各位には,難関な法律用語を多用するような解説
を控えて頂き,またなるべくビジュアルな資料も添えて頂くようにもお願いし
ました。
 本書の各設問の解説については,意匠・デザイン分野の知的財産法制を研究
されている学者の先生方,弁護士資格をお持ちで,かつ経済産業省(知的財産
政策室)や特許庁の法制専門官として各所管法令を普段から手掛けておられる
方々,さらには在野において実際にクライアントから,あるいは企業内で法律
相談やデザイン戦略の立案等に対応している法律実務家(弁護士,弁理士〔イ
ンハウスを含みます〕)にお願いしました。
 そして,設問も旧版を大きくブラッシュ・アップし,今日的なものを多く加
えて1.5倍に増やし,2分冊で出版することとしました。なお,複数の異なる
設問で講学上は同一の論点に属することについて記述されているところもあり
ますが,設問単位である程度,完結する解説となっていたほうが利便性が高い
と思われ,その利用しやすさを優先しましたのでご了承願います(関連する他の
設問番号も多く引用されていますので,適宜そちらと併せてご参照頂ければ幸い
です)。
 ご多忙の中,本書の趣旨にご賛同いただき,また令和の意匠法大改正が動き始
めた時機に後れることがないようにという思いから,編集者がタイトな出版スケ
ジュールを設定したにもかかわらず,快く執筆をお引き受けくださった執筆者各
位には心よりお礼申し上げます。
 また,設問の改訂・追加から出版に至るまで事務局として多大なサポートを頂
きました川瀬幹生先生,早稲田祐美子先生,服部誠先生,黒田薫先生,及び大住
洋先生には感謝申し上げます。
 本書が,意匠・デザインに関わる皆様方の座右の書の1冊となれば,望外の幸
せです。
 最後に,本書の出版にあたり大変御世話になった宮根茂樹編集顧問をはじめと
する青林書院の関係者の皆様には心からお礼申し上げます。
令和3年1月
小谷 悦司
小松 陽一郎
伊原 友己


編集者
小谷 悦司(弁理士)
小松陽一郎(弁護士・弁理士・日弁連知的財産センター幹事)
伊原 友己(弁護士・弁理士・日弁連知的財産センター副委員長・弁護士知財
       ネット事務局長)

出版事務局
■事務局長(著作権分野担当)
 早稲田祐美子(弁護士・日弁連知的財産センター副委員長)
■事務局顧問
 川瀬 幹夫(弁理士)
■事務局(商標・不正競争防止法分野担当)
 服部  誠(弁護士・日弁連知的財産センター事務局長)
■事務局(意匠法分野担当)
 黒田  薫( 弁護士・弁理士・産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委
        員会委員)
■事務局(総合調整)
 大住  洋(弁護士・弁理士・関西大学法科大学院特別任用准教授)
  
執 筆 者(執筆順)
小松陽一郎(上 掲) 
山崎 道雄(弁護士・弁理士) 
大住  洋(上 掲) 
佐々木 奏(弁護士) 
愛知 靖之(京都大学大学院法学研究科教授) 
宮脇 正晴(立命館大学法学部教授) 
桑野雄一郎(弁護士) 
市村 直也(弁護士) 
井奈波朋子(弁護士・弁理士) 
村田 真一(弁護士) 
井上 周一(弁護士・弁理士) 
服部  誠(上 掲) 
板倉 集一(甲南大学大学院法学研究科教授) 
渡邉遼太郎(経済産業省知的財産政策室室長補佐・弁護士) 
大向 尚子(弁護士・ニューヨーク州弁護士) 
阿久津匡美(弁護士) 
山口 裕司(弁護士) 
高石 秀樹(弁護士・弁理士・カリフォルニア州弁護士) 
小池 眞一(弁護士) 
城山 康文(弁護士) 
松井 宏記(弁理士)
松本 健男(特許庁制度審議室法制専門官) 
谷口  登(弁理士) 
清水  亘(弁護士) 
岩井久美子(弁護士) 
中村  閑(弁護士) 
早稲田祐美子(上 掲)
内田  誠(弁護士・弁理士)
黒田  薫(上 掲)
伊原 友己(上 掲)
諏訪野 大(近畿大学法学部教授) 
唐津 真美(弁護士・ニューヨーク州弁護士) 
[令和3年1月1日現在]


   



国家賠償訴訟〔改訂版〕


リーガル・プログレッシブ


国家賠償訴訟〔改訂版〕
編・著者深見 敏正 著
発行年月2021年01月
ISBN978-4-417-01804-9
税込価格4,180円(本体価格:3,800円)
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■解説
ますます充実!! 国家賠償訴訟入門の決定版!

裁判官が,国家賠償訴訟の特殊な実務上の解釈・運用について,各問題点ごとに,
裁判例を分析しながら,わかりやすく解説!      

●重要な最高裁判例をフォローし,判例の到達点を明示
●情報提供義務違反に基づく国家賠償請求について検討
●改正民法に対応


改訂版はしがき
 2015年に初版を出版した国家賠償訴訟も,おかげさまで版を重ねることにな
った。これはひとえに読者の方々のおかげだと感じている。
 初版発行の際にはしがきに記載したとおり,更なる検討を加えたいところが
あり,改訂の機会にそれを行おうと考えていたが,本務の忙しさから,そのす
べてを果たすことは今回もできなかった。初版のはしがきでも記載したとおり
,本書は法律実務家が書くものであることから,判例の到達点を明らかにする
ことを中心に据えており,初版発行以降多くの重要な最高裁判決が出ているの
で,これをフォローすることを第一義とした。また,それに合わせて,立法に
かかわる裁判例の分析,裁判に関する違法限定説の適用範囲について思索した
ほか,各行政分野に分散していた情報に関する国家賠償訴訟を取りまとめると
ともに,情報提供義務違反に基づく国家賠償請求について検討を加え,民法
(債権関係)の改正に伴い, 簡略ながら民法の適用の項を書き改めるなどした。
 今回も学兄須藤典明日本大学大学院法務研究科教授には,改訂に当たり貴重
な意見をいただいた。また,今回の改訂に当たっても,青林書院の長島晴美さ
んには,常に叱咤激励をいただいた。
 令和2年12月
 深見 敏正


はじめに 
本書は, 国家賠償法の解釈を中心とし, 消滅時効等民法の適用,訴訟の運営等
に論究した国家賠償訴訟についての概説書である。法律実務家の書くものである
から, 判例の到達点を明らかにすることを中心に,国家賠償法の実務上の解釈,
運用を明らかにしようと努めた。そうしたことから,各問題点ごとに最高裁判例
を中心に裁判例を多く指摘したが, 逐一原典に当たりながら本書を読む労苦を省
くために, できる限り最高裁判例の原文を引用した。その際,本文が横書きなの
で,差し支えがない限り,漢数字は便宜上アラビア数字で表記し,個人名が記載
された部分を引用する場合には, アルファベットに置き換えて表記することとし
た。
 本書は,学兄須藤典明判事とリーガルプログレッシブシリーズの第一冊目にあた
る『LP民事保全』の最終原稿を青林書院の長島晴美さんに渡した後に,執筆を始
めたものである。
その後,東京地裁から大阪地裁,横浜地裁,徳島地裁と異動したこともあり,『
LP民事保全』が三訂版と版を重ねる中,執筆は遅々として進まなかったが,訟務
の要職を務められ,私の在籍部の部総括判事をされていた宗宮英俊元判事及び学兄
須藤典明判事から,適切な助言と励ましをいただき,8年以上の年月を経て,よう
やく日の目を見ることができた。いろいろ更なる記載をしたい部分もあり,完成し
た文献とはいえないかもしれないが,1つの区切りとし,仮に改訂の機会があれば,
更なる充実を図りたいと考えている。
 私は初任の東京地裁以来,行政調査官や訟務の要職を経験された部総括判事の方
々の指導を受け,また,訟務部門に在籍した際も,上司,同僚の方々から,国家賠
償法の解釈等について種々の教えを受けた。本書を読まれたこれらの方々からお叱
りを受けないかが心配ではあるが,現時点での私の国家賠償訴訟についての理解を
示すことで,今後の実務の進展に何らかの役割を果たすことができれば幸いに考え
ている。
 最後に,本書の刊行について,『LP民事保全』同様に尽力していただいた青林
書院編集部の長島晴美さんに謝意を表したい。
 平成26年12月10日
 深見 敏正 


執筆者紹介
深見 敏正:東京高裁部総括判事
 





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